老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

日本の援助 8億ドルの行方

2019-08-24 13:11:14 | 安全・外交
今日阿修羅を見ていたら、室井佑月のブログが載っていました。その中で韓国メディアが素晴らしい報道をしているのを紹介していました。

今、日本のメディアは、嫌韓、報道をすれば視聴率が稼げるとばかり、出所の明らかでない論拠で、韓国悪しの論陣を張っていますが、この韓国メディアの取材力、報道姿勢を少しは見習った方が良いと思います。

まずは動画を見てみてください。

https://www.facebook.com/275833026700169/videos/367581660804833/
https://www.facebook.com/275833026700169/videos/809121129482661/

※室井佑月「知人から観て! と、まわってきた韓国のニュース。衝撃的! みんな観てみて!」 
日本の援助 8億ドルを追跡したら?「経済援助」資金を横領した三菱、新日鉄、岸信介 
http://www.asyura2.com/19/senkyo264/msg/760.html

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
流水
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日韓関係危機 続報

2019-08-23 17:03:00 | 安全・外交
昨晩(8月22日)、重大なニュースが飛び込んだ。

韓国政府が日本と締結している軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表したのである。

※軍事情報包括保護協定(GSOMIA) ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%8C%85%E6%8B%AC%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E5%8D%94%E5%AE%9A

大方の予想は、そこまで韓国政府が踏み込むことはない、と考えていた。日本政府も米国への手前、韓国も、そこまでは出来ないと踏んでいたようだ。

解決策を模索するため、光復節で文大統領が演説で「話し合い」解決への呼びかけを行ったにもかかわらず、日本政府は何のアクションも起こさなかった。

日本政府は完全に韓国政府を舐めていたとしか思えない。【協定を延長しない】という韓国政府発表後の日本政府の狼狽ぶりに、如実に表れている。

そもそも、韓国をホワイト国から外した理由を「安全保障上の輸出管理だ」と強弁したのが、世耕経済産業大臣。一言で言えば、韓国を「安全保障上」信用できない国だと言ったに等しい。

となると、韓国を信用していない国と、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)のようなシビアな問題で、緊密な安全保障上の関係性を維持できないと韓国政府が考えても文句は言えない。(🔷先に、手を出したのは日本)

安全保障と経済の問題は別だと日本政府関係者は言っているようだが、そもそも元徴用工問題は、民事訴訟なのに、国の問題として問題にしたのは日本政府。(🔷ここも最初に手を出したのは日本)

前の投稿でも指摘したが、世耕経済産業大臣の当初の発言では、明らかにホワイト国外しと元徴用工問題をリンクさせていた。歴史問題と経済問題をリンクさせたのも日本。(🔷最初に手を出したのは日本)

あまりにお粗末。韓国と事を構えるのなら、もう少し理論武装をして、世界の誰もが納得できる論理を構築しなければならない。いい加減な「出たとこ勝負」の外交をするから、こんな大騒動になる。

日本はアメリカのポチA。韓国はポチB。俺達でもアメリカに逆らえないのに、ポチBが逆らえるはずがないと見くびるから、対処を間違う。

前の投稿でも指摘したが、世界は「地政学的大転換」の時代に入っている。今日の常識が明日の常識とはならない。対米従属で凝り固まった頭では、この大転換の時代を生き抜けない。

前の投稿ではあまり触れなかったが、ここで徴用工問題について多少触れておく。

※徴用工問題についての立場の相違

●日本政府の立場
徴用工の問題では1965年の日韓請求権協定を根拠に、日本に対する請求権は消滅している。

●日本の最高裁判所の判断
日本と中国との間の賠償関係等について外交保護権は放棄されたが、被害者個人の賠償請求権については、「請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく、当該請求権に基づいて訴求する権能を失わせるにとどまる」としたものである(最高裁判所2007 年4 月27 日判決)。

●韓国大法院の判断
韓国大法院は、元徴用工の慰謝料請求権は日韓請求権協定の対象に含まれていないとして、その権利に関しては、韓国政府の外交保護権も被害者個人の賠償請求権もいずれも消滅していないとした。(2018年10月30日)。

これだけ見ても、日本政府が韓国政府や日本国民に対して説明している論拠があやふやである事は一目瞭然。日本の最高裁判所ですら、被害者個人の賠償請求権については【請求権を実体的に消滅させるまでを意味していない】としている。つまり、賠償請求権はある、と認めている。

ただし、賠償請求権に基づいて訴える権能はない。つまり、日本に対しては出来ないという意味。⇒韓国政府が対応しなさい、と言う事。

韓国大法院の判断は、そもそも元徴用工の慰謝料請求権は「日韓請求権協定」に含まれていない。だから、韓国政府の外交保護権(自国国民の権利を守る)も個人の賠償請求権も消滅していない。あるとしている。

日韓両国政府と日韓両国の最高裁判所(法的権威の象徴)との解釈の微妙な相違が今回の問題の根底にある。

ではこの種の問題を考えるとき、どう考えたら良いのか。闇雲に自国利益を主張するのではなく、国際法基準に照らして冷静に国益を主張するのが、国際性のある国家と考える必要がある。

※元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明

この問題を考えるとき、非常に参考になるのが、「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明」である。
http://justice.skr.jp/statement.html

1、韓国大法院判決骨子

・・・本判決は、元徴用工の損害賠償請求権は、日本政府の朝鮮半島に対する不法な植民地支配及び侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権であるとした。

その上で、このような請求権は、1965年に締結された「日本国と大韓民国との間の財産及び請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定」(以下「日韓請求権協定」という。)の対象外であるとして、韓国政府の外交保護権と元徴用工個人の損害賠償請求権のいずれも消滅していないと判示した。・・・

2、同判決に対する安倍総理の答弁⇒日本政府の立場

・・・本判決に対し,安倍首相は、本年10月30日の衆議院本会議において、元徴用工の個人賠償請求権は日韓請求権協定により「完全かつ最終的に解決している」とした上で、本判決は「国際法に照らしてあり得ない判断」であり、「毅然として対応していく」と答弁した。・・・

3、安倍首相答弁に対する弁護士有志の統一見解

・・・しかし、安倍首相の答弁は、下記のとおり、日韓請求権協定と国際法への正確な理解を欠いたものであるし、「毅然として対応」するだけでは元徴用工問題の真の解決を実現することはできない。 ・・・ 

明確に安倍首相や日本政府の立場を否定し、問題解決に向けて以下のような提言をしている。

◎徴用工問題の本質

(1)徴用工問題の本質は【人権問題】

・・・・本訴訟の原告である元徴用工は、賃金が支払われずに、感電死する危険があるなかで溶鉱炉にコークスを投入するなどの過酷で危険な労働を強いられていた。提供される食事もわずかで粗末なものであり、外出も許されず、逃亡を企てたとして体罰を加えられるなど極めて劣悪な環境に置かれていた。これは強制労働(ILO第29号条約)や奴隷制(1926年奴隷条約参照)に当たるものであり、重大な人権侵害であった。・・・

(2) 日韓請求権協定により個人請求権は消滅していない

「裁判における争点」

★元徴用工個人の新日鉄住金に対する賠償請求権が、日韓請求権協定2 条1 項の「完全かつ最終的に解決された」という条項により消滅したのかが重要な争点となった。
 
★【韓国大法院】の解釈
元徴用工の慰謝料請求権は日韓請求権協定の対象に含まれていないとして、その権利に関しては、韓国政府の外交保護権も被害者個人の賠償請求権もいずれも消滅していないと判示した。
 
★【日本の最高裁判所】の解釈
日本と中国との間の賠償関係等について、外交保護権は放棄されたが、被害者個人の賠償請求権については、「請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく、当該請求権に基づいて訴求する権能を失わせるにとどまる」と判示している(最高裁判所2007 年4 月27 日判決)。この理は日韓請求権協定の「完全かつ最終的に解決」という文言についてもあてはまるとするのが最高裁判所及び日本政府の解釈である。

(3)被害者個人の救済を重視する国際人権法の進展に沿った判決である

・・・重大な人権侵害に起因する個人の損害賠償請求権を国家が一方的に消滅させることはできないという考え方は、国際的には特異なものではなく、個人の人権侵害に対する効果的な救済を図ろうとしている国際人権法の進展に沿うものといえるのであり(世界人権宣言8条参照)、「国際法に照らしてあり得ない判断」であるということもできない。・・・・

(4)日韓両国が相互に非難しあうのではなく、本判決を機に根本的な解決を行うべきである

★本件の問題の本質が人権侵害である以上、なによりも被害者個人の人権が救済されなければならない。それはすなわち、本件においては、新日鉄住金が本件判決を受け入れるとともに、自発的に人権侵害の事実と責任を認め、その証として謝罪と賠償を含めて被害者及び社会が受け入れることができるような行動をとることである。
 
★具体例
例えば中国人強制連行事件である花岡事件、西松事件、三菱マテリアル事件など、訴訟を契機に、日本企業が事実と責任を認めて謝罪し、その証として企業が資金を拠出して基金を設立し、被害者全体の救済を図ることで問題を解決した例がある。

※「企業の戦争責任 三菱マテリアル和解の意義」(時論公論) NHK 
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/246430.html

この弁護士有志の声明は、きわめて冷静で、論理的で解決方法も極めて具体的。問題を元徴用工の【人権問題】として捉えているため、間違っても、ヒートアップしがちな「政治問題」や「歴史認識問題」に傾斜しないように具体的提案まで行っている。

声明の中でも触れているが、安倍首相の「日韓請求権協定」の解釈がこれまでの常識的解釈と異なっているところに今回の問題の淵源がある。声明でも以下のように述べている。

・・・安倍首相は、個人賠償請求権について日韓請求権協定により「完全かつ最終的に解決した」と述べたが、それが被害者個人の賠償請求権も完全に消滅したという意味であれば、日本の最高裁判所の判決への理解を欠いた説明であり誤っている。

他方、日本の最高裁判所が示した内容と同じであるならば、被害者個人の賠償請求権は実体的には消滅しておらず、その扱いは解決されていないのであるから、全ての請求権が消滅したかのように「完全かつ最終的に解決」とのみ説明するのは、ミスリーディング(誤導的)である。
 
そもそも日本政府は、従来から日韓請求権協定により放棄されたのは外交保護権であり、個人の賠償請求権は消滅していないとの見解を表明しているが、安倍首相の上記答弁は、日本政府自らの見解とも整合するのか疑問であると言わざるを得ない。
・・・・・
今日の安倍首相の会見でも、「韓国は約束(日韓請求権協定)を守ってほしい」と繰り返し述べているので、どうやら安倍首相は【個人の賠償請求権】も消滅したと考えているらしい。

韓国政府は「個人の賠償請求権」は消滅していないので、今回の韓国大法院の判決は、新日鐵住金と被害者の間の【民事訴訟】と考えている。決して【国家賠償訴訟】ではない、と考えている。民事訴訟に政府は介入しない。民主国家のイロハである。それを韓国政府の問題だとするのは、無理がある。

この解釈の行き違いで両国の関係が戦後最悪にまでなるのだから、政治と言うものは怖ろしい。

その意味で、メディアの役割は重大。日韓双方の「日韓請求権協定」の解釈の行き違いの問題をきちんと指摘し、間違っても双方の国民を煽るような報道をしてはならない。

その意味でこの【弁護士有志の声明】は、問題の落としどころもきちんと指摘している。

問題を【人権問題】に限定し、解決策を模索する。これ以外にナショナリズムを煽ったり、刺激しない解決法は見当たらない。

日韓双方ともここは大きく深呼吸して、問題の本質を直視し、冷静な判断をして、落としどころを探るべきであろう。

「護憲+BBS」「安全・外交政策を考える」より
流水
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日韓貿易問題激化の陰で進行する北東アジアの地政学的大変化

2019-08-22 14:12:35 | 安全・外交
日韓の貿易対立は激化する一方だが、光復節の文大統領の演説がトーンダウンしたため、日本のメディア論調も多少鎮静化しているようだ。

(1)日本メディアの報道

日本メディアの見立ては、韓国経済の劣化、文大統領の孤立化(北朝鮮からも非難されている)のためだというのが大半である。

わたしはそうは考えていない。

おそらく文大統領は、以下のように考えている。

もし日本が、文大統領の呼びかけに応じなかったら、やはり徴用工の問題への報復だったと世界に公言したのも同じになる。

何故なら、日本は、韓国のホワイト国扱いを停止した理由を、徴用工の問題ではなく、安全保障上の問題と何度も説明している。だから、韓国側が話し合いを呼び掛けてきたら、応じざるを得ないという弱みはある。

文大統領はその辺りの計算はきちんとしている。もし、日本が拒否したら、やはり政治問題を経済問題に絡めているからだ、と日本を批判できる。

日本が、話し合いに応じてきたら、喧嘩両成敗的に妥協できればそれでよい。世界的には、文大統領の姿勢が評価される。

しかも、韓国内の批判の標的は、全て安倍政権に向けられ、日本国民に向けられていない。これもなかなか考えられた戦略で、国民の反日を煽り続けると、感情的対立になり、日韓関係の修復は難しくなる。

この姿勢が日本側に伝えられると、【嫌韓】を叫ぶ勢力の勢いを削ぐ効果がある。韓国人が抑制的に行動しているのに、何だ、という批判を浴びる可能性が高い。現に国内では、嫌韓の声がそれほど高まっていない。

実は、日韓関係悪化の最大の問題は、日本メディアの報道姿勢にある。韓国側の「日本人は悪くないけれど安倍政権が悪い」という姿勢は、このメディアの報道姿勢に多くのインパクトを与えている。

韓国側は、闇雲に【反日】を叫ぶのではなく、問題のありようを冷静に分析しているのに、日本メディアは単に文政権や韓国たたきをしているだけで、嫌韓を煽っていると言われても仕方がない。TBS「ヒルオビ」の矢代弁護士のように、反日、反日とネトウヨそこのけのアジテーションをする始末。

わたしはこのような日本メディアや一部国民のありようを戦前の日本と対比しながら、『感情動員と感情労働の国 ;近代国家失格の日本(NO1)』 で論じた。

今回の騒ぎは、いよいよ、日本国民を根こそぎ【感情動員】しようとする政府・メディア一体となったファッショ体制確立の動きが顕著になった、と読まなければならない。

このようなメディア報道の在り方に対して、韓国側の反対運動は、単なる反日運動に堕する事を極力避けて、安倍政権と日本国民を仕分けしている。日本と比較しても、韓国国民の方がはるかに賢明で民主的だと言わざるを得ない。

今回の文大統領の演説は、韓国内のこのような冷静な反対運動を受けて行われ、これが日本側の報道姿勢に微妙な変化を与えている。

(2)日韓の間に横たわる重大な問題

それより、日韓の間で、きわめて大きな問題がある。

7月23日、中国とロシアの爆撃機などの編隊が、韓国が実効支配している独島(竹島)の領空を侵犯した。韓国空軍がロシア軍機に近づき、猛烈な警告射撃をした。

この事件の政治的意味についての分析は後ほど行うとして、米国のエスパー新国防長官が、事件について語るときに独島(竹島)を「(日韓の係争地でなく)韓国領」であると述べた。

米国は、独島(竹島)が日韓両国が領有権を主張し、両国の係争地になっていることをよく知っている。にもかからわず、よりにもよって米国の国防長官が、独島(竹島)は韓国の領有地だと述べたのである。

当然、日本側は、この発言に対して厳重な抗議をしなければならないのに、何もしていない。エスパー国防長官も発言を訂正していない。と言う事は、日本は竹島の領有権を放棄して、「竹島は韓国領」を認知したと言う事になる。当然、それが国際的合意と言う事になる。

・・・・・
※Trump’s ambiguous attitude on Seoul-Tokyo disputes) (Russia And China Display Strategic Coordination In Asia-Pacific)

※国際的に見て、竹島はもう韓国のものだ。 (Pentagon still trying to sort out Russian violation of allied air space while keeping angry allies from fighting each other) ・・・
田中宇 対米従属と冷戦構造が崩れる日本周辺
https://tanakanews.com/190816japan.htm

いつ、日本は竹島の領有権を放棄したのか。嫌韓を叫び続けている連中にとって、これこそ怒らなければならないはずだが、誰も騒いでいない。

一体全体、どうなっているのか。国粋主義連中にとって領土問題は、それこそレーゾンデートル中のレーゾンデートル。しかし、誰も怒っていない。この事実こそが、現在の日韓関係危機の七不思議。

この問題を考えるとき、TV朝日の昼の報道番組に、元外務官僚の宮家某という男が出て、これから先の日韓関係や北東アジアの見通しを語っていた。わたしは彼をネオコンだと考えているので、彼の発言を反面教師として聞いていた。

彼曰く、韓国は「海洋国家」でもなく、「大陸国家」でもない国家。だから、日本とアメリカとは違うと断定していた。日本とアメリカは海洋国家だから理解し合えるが、韓国はそうはいかないと言うわけだ。たしかに彼の言う通り、韓国はいわゆる「半島国家」で、大陸と陸続きとはいえ、単なる大陸国家ではない。

そして、彼は、いずれ韓国は大陸国家に引き寄せられてゆくと断言していた。だから、彼は日本は韓国と一定の距離を置いた関係になるべきだと言う。

彼の発想は、「マハン」の「地政学理論」を下敷きにしていることは明らかだが、わたしは何故、彼が、今こんな話を持ち出しているかと言う点に注目した。

※地政学 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%94%BF%E5%AD%A6

おそらく彼の発言は、水面下で動いている世界潮流にどう乗るか、という官僚組織の考え方が底流にあると考えられる。

宮家流の発想からすると、将来は、北朝鮮・韓国・中国・ロシアが一体になると考えている事は明らか。そして、日本とアメリカはそれから一定の距離を置いた存在になると予想している。

この発想の延長線上に「竹島問題」があると読まなければならない。竹島を韓国領にすることは、織り込み済みというわけだろう。

わたしも、韓半島とロシア、中国は、新たな「北東アジア共栄圏」的な協力関係になるだろうと予測しているので、彼の予測にはあまり違和感はない。

彼の未来予想はある程度当たっているが、これから先も米国と日本は一体という予想は、頂けない。まあ、対米隷属が省是の外務省出身者だから、この辺りが彼の限界だろう。

(3)米国の戦略

トランプ大統領の理念は、【米国は覇権国家から降りる】に尽きる。彼はその目的を達成するために、世界中から米国が嫌われるような言動と強引な政策を採り続けている。

北朝鮮とは、今にも戦争か、という誰が見ても強引で危うい言動を繰り返しながら、結局北朝鮮と話し合いのテーブルに着いた。

現在、イランとも同様な危うい政策を採っているが、おそらく戦争はしないと考えられる。しかも、他国に有志連合へ参加しろと強制し顰蹙を買っている。誰がどう見ても、今回のイラン危機は、アメリカが仕掛けている。ほとんどの国は、アメリカが悪いと思っている。

NATOや韓国、日本に米軍駐留費用を増大しろと無理難題を吹きかけ、同盟国を辟易させている。そんなに金を要求するのなら、もう米軍にはお引き取り願おうと言い出すのを待っているのかもしれない。要するに、俺は手を引くからお前たち(同盟国)は自立しろ、と言っている。

中国には貿易戦争を仕掛けているが、中長期的には、米国は勝てない。トランプはそれが分かっていて、貿易戦争をしかけている。国内の中国脅威論者たちの支持を勝ち取るためだと言ってもよい。来年の選挙で勝利したら、落としどころを探り始めるに違いない。

南米ではベネズエラに対する理不尽なクーデターまがいの圧力をかけ、多くの国の顰蹙をかっている。

※ベネズエラで進行している米国によるあからさまな政府転覆計画

ロシアとはNPT体制を崩壊させ、新たな核競争を再開させ、クリミア危機以来の経済制裁を続行している。ただ、ウクライナでは新たな大統領が選出され、ロシアとの対話が模索されつつある。

※NPT体制 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E6%8B%A1%E6%95%A3%E9%98%B2%E6%AD%A2%E6%9D%A1%E7%B4%84

中東では、米国はイスラエル支持を明確に打ち出し、エルサレムをイスラエルの首都として認め、大使館を移した。と言う事は、パレスチナ問題に介入する道徳的立場(中立を保つ)を放棄した。これで、米国は、中東和平の仲介役を明確に下りた。

さらにトルコとの関係悪化、サウジアラビアとの関係強化など、これまでの中東政策を大幅に変化させている。このため、中東でのロシアのプレゼンスが大幅に強化され、米国は中東での覇権を失いつつある。

この世界情勢下で極東アジアが静かなわけがない。

つまり、トランプ大統領は、各国の自立を促している。北東アジアで言えば、朝鮮半島の冷戦情況を終わらせ、北朝鮮と韓国の一体化を促進させる。それと呼応して、米軍を韓半島から撤退させる。

同時に、在日米軍も撤退させる。もし、中国と事を構えるような事態になった場合、沖縄などの基地は、中国軍のミサイルの格好の標的。早めに撤退をさせなければ、米軍の被害は甚大になる。朝鮮半島が平和になると、米軍の存在価値がなくなるという理由で撤退に踏み切る可能性が大きい。

問題はこの世界情勢をどう読み、どのように日本の立ち位置を定め、この不確実性の時代をどのように生きていくか、というグランドデザインがないところにある。

(4)日韓危機の最大要因⇒経産省の亡国政策 ⇒これを報道しないメディアの大罪

よく思い出してほしい。福一事故の後、多くの識者の顰蹙を買いながら、日本が原子力発電所を各国にセールスしていた事を。そして、そのセールスがことごとく失敗したことを。

これらの原子力政策の中心人物が、今井尚哉首相秘書官。経産省出身。彼が現在の「原子力村」のボスと言っても過言ではない。

原子力ルネサンス政策の提唱者、柳瀬唯夫元首相秘書官は、東芝だけでなく日立製作所や三菱重工も危うい状況に追い込んだ。彼は加計問題でも中心人物。彼も経産省出身。

※安倍政権が後押しの原発輸出 全て頓挫
 東京新聞 https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/909

※原子力ルネサンス https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_2261.html

※原子力ルネサンスの果て、東芝の苦境/優遇措置での誘いが今は最大の重荷に
https://www.huffingtonpost.jp/shinrinbunka/nuclear-energy-toshiba_b_16812444.html

そして、首相側近の世耕経産相が元徴用工問題を理由に対韓輸出規制を始めた。

※元徴用工訴訟問題 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B4%E7%94%A8%E5%B7%A5%E8%A8%B4%E8%A8%9F%E5%95%8F%E9%A1%8C

※元徴用工問題と「通商」リンクは危険なゲーム。「韓国向け輸出厳格化」が招く日本経済のリスク
https://www.businessinsider.jp/post-194070

本来、徴用工訴訟問題は、日本企業に対する民事訴訟。国家賠償とは違う。国家が関与する問題ではない。韓国政府は、その立場を取り続けている。現に中国では、民事訴訟と言う形で「三菱マテリアル訴訟」も和解した。

※「企業の戦争責任 三菱マテリアル和解の意義」(時論公論) NHK 
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/246430.html

元徴用工問題は民事訴訟で国家賠償問題とは違う、という基本的立場で、日韓両国政府が粘り強く話し合い着地点を見出すべきだった。

それを安倍内閣は、貿易問題と絡めた。しかし、それはWTOルール違反になる可能性が高いと見るや、「安全保障上の輸出管理だ」と主張した。当初の世耕経済産業大臣の発言は、明らかに元徴用工問題に対する報復のニュアンスがあった。それがまずいと見るや、「安全保障」問題にすり替えた。明らかな二枚舌。

現実に日本が韓国に対して行っていることは、サムスンなどの韓国半導体メーカーに対する嫌がらせ以外の何物でもない。

希少性の高いフッ化水素がウランやサリン製造に使われるわけがない。EUVレジストやフッ化ポリイミドが軍用機やレーダーに回されることもあり得ない。と言う事は、この三種の規制に安全保障上の意味はない。

この三種の希少性の高い製品を作っているのが、JSR、東京応化工業、森田化学工業、三菱ケミカル、富士フイルムなど。グローバル化した世界は今や分業の時代。それぞれの国が得意分野に特化して製品を作り、お互いがそれを輸出し合い、相互補完して生きている。上記の会社もサムスンやSKと【水平分業】をして顧客を維持してきた。

※水平分業 (コトバンク)
https://kotobank.jp/word/%E6%B0%B4%E5%B9%B3%E5%88%86%E6%A5%AD-163451

だから、サムスンやSKだけでなく、日本企業にも打撃はある。韓国企業は一年そこらは落ち込む可能性が高いが、いずれ代替えメーカーを確保するに違いない。すでに、中国・ロシアなどが名乗りを上げている。

・・・経産省は半導体素材だけでなく、液晶やディスプレーもぶっ壊している。官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)を通じて3500億円も出資したJDI(ジャパンディスプレイ)は債務超過。JDI主力の白山工場はスマホ向け液晶パネルが振るわずに追加損失を計上し、2019年4~6月期は連結純損益で833億円の赤字だ。・・・

産業を根こそぎ破壊 韓国叩きの本質は経産省の亡国政策だ 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/260548

さらに外交関係でも、経済産業省出身の今井尚哉首相秘書官が主導で行ってきたロシアとの領土返還交渉は完全に暗礁に乗り上げている。北朝鮮との拉致被害者返還交渉も一歩も進まない。

米国とのFTA交渉も望み薄。はや、米国農産品の爆買いを迫られている。

こんな二進も三進も行かない状況打破を狙って行われたのが、韓国叩き。選挙前に行う事で、安倍内閣の支持率を何とか現状維持に保とうという狙いが見え見えの政策。

換言すると、日本の国益をどぶに捨てるような経済産業省主導の経済政策や原子力政策、外交政策の失敗を覆い隠すための【日韓危機】の創出だと考えたほうが良い。

結果、韓国の反安倍行動に火を付け、日本製品不買運動は燎原の火のごとく燃え盛っている。韓国からの観光客は激減。九州地方は悲鳴を上げている。

米国メディア 特にワシントンポスト・ブルームバーグなどは明確に日本に非があると報道している。

この状況を踏まえた文演説である。

このように日本も韓国もどちらも得をしない愚策は一日も早く撤回すべきで、メディアは、国民の【感情動員】だけを目的にした煽りは止めるべきである。

金子勝氏が指摘するように、今回の政策は、世界性を完全に喪失した【亡国政策】だと言わざるを得ない。

「護憲+BBS」「安全・外交政策を考える」より
流水
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イージスアショアは何故山口県・秋田県なのか(2)

2019-07-11 09:46:03 | 安全・外交
6月8日に表題について下記(※)の投稿をしたが、昨日(6/9)の記者会見で岩屋防衛大臣が山口県は米軍グアム島、秋田県は米国ハワイ諸島の防衛目的もあることを認めた(NHKWEBより)。

『岩屋防衛大臣は閣議のあとの記者会見で、北朝鮮の弾道ミサイルが、アメリカ軍基地のあるハワイやグアムを狙って発射された場合の対応について「アメリカ側に対する攻撃が、わが国の存立を脅かすおそれがある事態だと認定された場合は、限定的な集団的自衛権を行使し、迎撃できる」と述べました。』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190709/k10011987431000.html?utm_int=news-ne
w_contents_list-items_117


山の高低誤測問題より両県民にはこちらがより重要な問題であり、最初からこの目的もある事を両県民に説明すべきではないか。重ねて安倍政権の隠蔽体質が露呈した。

このことが明らかになった以上、仮想敵国も先ず両県のイージスアショアを攻撃すると同時にハワイ、グアムを狙うであろう。白紙撤回しか在るまい。

日本防衛ならイージス艦で十分との判断だったはずである。トランプ政権との日米貿易交渉によって急に浮上したのではないのか。

※再掲(6月8日投稿、6月9日ブログ掲載)
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/7abdb0036b34f030bdaaeb3cf579d0ef
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イージスアショアは何故山口県・秋田県なのか

現在イージスアショアの設置予定県の一つ秋田県での適地調査データーに誤りがあることを地元メディアから指摘され、防衛相が陳謝したと7日の朝日デジタルは報じている。
https://www.asahi.com/articles/ASM664JPLM66UTFK00G.html

また同日の朝日新聞社説(陸上イージス、ずさんな調査に驚く)は、『山口・秋田県へのイージスアショアの必要性について、防衛省の報告書は「24時間365日、日本全域を守り続けることができる」と報じているが、そう言い切れる説得力のある根拠は示されていない』と記している。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14046520.html?ref=opinion

問題は政府がどの国のミサイル攻撃を想定しているのか分からないが、これまでの安倍首相の発言から推察すると、北朝鮮と中国ではないかと思われる。仮にそうであれば山口、秋田県が最適地で、365日、日本全域を守れるのだろうか。仮にいざ戦争になれば、同時に何十発ものミサイルが撃ち込まれ、イージス艦もイージスアショアも在日米軍も役立たないであろう。

そのような想定をすれば、山口県と秋田県に防衛庁が強くこだわる理由が解せない。そこで地球儀を俯瞰してみると、山口県の延長線上の太平洋上には米国のグアム島があり、秋田県の延長線上の太平洋上には米国のハワイ諸島がある。何れにも重要な米軍基地が在る。

よってこの二つの米軍基地を攻撃するミサイルを日本上空で迎撃する目的も担っていることも推察できる。これが防衛省がこの両県に固執する理由ではなかろうか。

日本防衛が目的なら日本海上のイージス艦がベターなはずであり、既に航行中のはずである。山口県、秋田県では迎撃タイミングが地理的に遅いのではないかとの疑問が素人にも浮かぶ。

秋田県での電磁波の人体への影響云々以前に、日本防衛より米軍基地防衛のために日本の予算が使われようとしているのではないかとの疑問を、野党には国会で追求して貰いたい。また、メディアにもこのことを精査して戴きたい。
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「護憲+BBS」「安全・外交政策を考える」より
厚顔
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スカスカの中身と危険性だけが際立つ安倍外交!(NO2!)

2019-07-10 11:46:20 | 安全・外交
(2) 北方領土問題(プーチンに手玉に取られる安倍晋三)
   
北方領土問題に関して、維新の丸山議員の戦争発言は、大きな話題になった。そもそも、右翼イデオロギー丸出しの「社会主義国家ソ連」敵視認識で、問題が解決するはずがない。年齢が若いわりに、時代認識が全く古い。

現在は「ソ連」ではなく、「ロシア」である、という原点から考えなければならない。つまり、相手はソ連型社会主義ではなく、社会主義に多くの民主主義的要素(選挙など)を取り入れた独自の国家スタイルの国家だという認識から出発しなければ間違う。

同時に、ソ連邦解体後のロシアは、エリチン大統領の時代、アメリカの傀儡国家の様相を呈していた。ロシア国内には新自由主義の影響を受けた経済人(オルガルヒ)が多く存在し、社会主義的国家形態は捨てられつつあった。
このようなロシア内部からの解体を仕掛けたのが、ネオコン。彼らは、この結果米政界に大きな影響力を保持した。

プーチン大統領は、米国の傀儡国家的ロシア国内体制を、独立国家ロシアへと変貌させた。その意味ではプーチン大統領は、「愛国主義者」と言って良い。

その手法は、民主主義的影響を受けながら、かっての大ロシア主義的傾向を色濃く持った独特なもの。西側は、独裁主義者というワンパターンで批判しているが、彼はそんなありきたりの評価で割り切れるような人物ではない。

プーチン率いるロシアが、米国の傀儡国家状態から再独立を果たした時点から、ネオコンとの対立は決定的になった。

1992年に書かれたウォルフォウィッツドクトリンの目的は、米国一国支配の世界に作り上げる事。その為の最大の障害である社会主義国家ソ連邦を崩壊させ、ロシアを傀儡国家へと変貌させたのが、ネオコンの最大の勝利だった。これ以降、ネオコンは米国支配体制の内部で大きな影響力を保持している。

このネオコン流世界支配の目的の前に大きく立ちふさがったのがプーチン大統領。彼が米国から目の敵にされる理由である。
   
さらに丸山議員が馬鹿丸出しなのは、現在のロシアは、世界でも一、二を争う強大な軍事力を誇り、核を保有している国家だと言う事を考慮に入れていない点である。

※ロシア軍の現在と未来(スプートニック)
https://jp.sputniknews.com/infographics/201803024633798/

簡単に言えば、ロシアと事を構えるつもりなら、日本が消滅する事を覚悟しなけれならない。消滅するとは、比喩ではなく、文字通り日本や日本人がこの地球上から消滅する事を意味する。ロシアの核保有とはそういう事を意味している。米国が守ってくれるなどと言うのは幻想にすぎない。日本が消滅した後、報復をするかもしれないが、消滅した後に報復してもらっても何にもならない。簡単な理屈である。

これは、ロシアだけでなく、中国も米国もそうである。覇権国家とは、この恐ろしさを保有している国家だと認識しなければならない。お前さんはその覚悟があるのか、と言う話である。

では、安倍首相の北方領土返還の構図は何か。一言で言えば、【二島先行返還論】である。

従来の「四島返還論」から「二島返還論」への方針転換の裏には、鈴木宗男や佐藤優コンビの【二島先行返還論】の影響があったと考えるのが至当。
 
※二島返還論 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%B3%B6%E8%BF%94%E9%82%84%E8%AB%96
 
・・・2島先行返還論を主張していた政治家は鈴木宗男、官僚では外務省の東郷和彦、佐藤優らだった。彼らは小泉政権下の2002年に相次いで逮捕されたり外務省を追われた。その顛末を佐藤優氏が『国策捜査』という本に書いてベストセラーになったが、検察の捜査が国策捜査でなかったことなどこれまで一度もない。・・・
田中良紹 ―瘋癲老人世直し録― 
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakayoshitsugu/20181115-00104287/

要するに、彼らがロシア外交で推進してきた【二島先行返還論】が当時の外務省の主流(米国追従路線)と対立したからである。主流派の叫ぶ「四島一括返還論」を主張すればするほど、ロシアは簡単には応じられない。

と言う事は、ロシアの脅威は隠然として残る。そうなると、日本は米国の軍事力を当てにしなければならない。米国と日本の軍産複合体勢力(安保マフィア)にとって、きわめて都合の良い状況。だから、「四島一括返還論」を主張する。そうなれば、米ロ対立が続く限り、半永久的に北方領土は返還不可能になる。

では、何故、安倍首相は【二島先行返還論】に舵を切れたのか。理由は単純明快。トランプ大統領の許可が取れたから、と考えるのが至当。

以前にも書いたが、現在のトランプ政権は、トランプ大統領の言う事を聞く勢力とトランプ大統領の言う事を聞かない勢力の争いの上に立っている。

いわゆるネオコン勢力(軍産複合体=トランプ反対勢力)の論理からすれば、ロシアと日本が完全に国交回復し、シベリア開発などでロシアに協力する事は、ロシアの力を増大させることにつながり、きわめて不愉快。

ところが、トランプ大統領は、プーチン大統領を高く評価している。だから、軍産複合体の影響力の強い民主党系メディアなどから、「ロシアゲート疑惑」が囁かれる。その為、ロシアを利するかもしれない日ロの領土交渉での【二島先行返還論】にゴーサインを出したのだろう。

※米国民主党が主張するように、ロシア政府の介入で、クリントン候補の私用メール流出が起こったという主張は、あまり信用できない。彼らが、何故このような疑惑を持ち出すかと言えば、自分たちが他国に対して同様な事をやっていたから。敵も同じような事をするだろう、という憶測に基づいていると思われても仕方がない。

しかし、プーチン大統領はKGB出身者で法学部出身者。論理的にあらゆる可能性を検討し、安倍首相との交渉に臨んでいる。一言で言えば、裏の裏まで読みつくしていると言って良い。

プーチン大統領の言葉は、吟味され尽くしている。「ウラジミール」とプーチン大統領を呼んで、二人の親近感を強調する以外脳のない誰かさんとは大違いである。

ロシア専門家から言わせれば、実はこのような呼び方はロシアにはないそうだ。親近感を生み出す話ではなく、安倍首相の無知をさらしているともいえる。

彼は、安倍首相に領土交渉にかすかな希望を抱かせるために、何度も会談に応じ、シベリア開発などの協力を呼びかけ、日本との交渉を続けることを選んだ。

プーチン大統領は、北方領土問題を解決した首相として名を残したい安倍首相のレガシーつくりの野望をよく理解している。だから、時折彼の願望をくすぐり、「希望の灯」を消さないように、何度も安倍首相の会談に応じている。
 
同時に、日本と米国の条約(日米安保条約)に対する日本側の弱い立場をつつく高等戦術に出ている。北方領土を返還するのは良いが、米軍基地を建設しないと確約できるのか、と言うわけである。誰がどう見ても、米国のポチに過ぎない日本の弱い立場を見越した牽制球。安倍首相に「お前さん、米国の要求を断る事ができるのかね」というわけ。
 
それでいて、日本がシベリア開発などから手を引かれても困るので、日ロ「平和条約」先行論を持ち出し、交渉は継続させるというわけ。さすが、プロフェッショナル。【強か】という以外ない。「赤子の手をひねる」ような外交を展開している。

日本外交の致命的欠陥なのだが、インフォメーション(情報)とインテリジェンスとの区別が鮮明でない。インテリジェンスは、知恵、知性、理知、知能、諜報などと訳されるが、時には情報とも訳される。CIAが最も有名だが、日本語訳が中央情報局になっているのが間違い。実態は、【中央諜報局】と言った方が良い。

戦後日本は、戦争をしない、そのためには、軍隊を持たないという国是を掲げたため、国家として重要なインテリジェンス機能も失ってしまった。戦前の日本は、陸軍中野学校のような諜報員養成所を持っていた。

※陸軍中野学校 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B8%E8%BB%8D%E4%B8%AD%E9%87%8E%E5%AD%A6%E6
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さらに言えば、満州鉄道(略称満鉄)調査部というきわめて優秀な研究機関があった。きわめて実利的で、「白でも黒でも良い。ネズミを捕るのが良い猫」という理念で、人材確保を行った。天皇機関説などの学者攻撃などで日本国内に住みにくくなった研究者なども積極的に雇用した。(美濃部亮吉などもそう)戦後日本の再建の人材を多く輩出した。

※満鉄調査部 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E9%89%84%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E9%83%A8

さらに、東亜同文書院という学校があった。上海に設立された私立大学だったが、ここの大学には大旅行と呼ばれるユニークな「卒業旅行」があった。

・・・書院のもう1つの特徴は研究調査旅行、いわゆる「大旅行」である。学校の規定によれば、学生は卒業前に必ず中国各地へ散らばって調査旅行に出かけなければならない。通常は卒業1、2年前の夏休みに3ヶ月から半年、数人一組となって中国内地の各地や東南アジアまで回って見聞録や日記を書き、学校で学んだことと総合して報告する。旅行の後「調査報告書」を書き、それを卒業論文とした。この大旅行の伝統は第1期生から始まり日本の敗戦まで45年間途絶えることなく続いた。学生たちの旅行記は各期毎まとめて『大旅行誌』として印刷され、毎年刊行された。・・・

※東亜同文書院の目指したもの(卒業論文)
https://leo.aichi-u.ac.jp/~kagamisemi/repo/itou.html

この旅行記(見聞記)は、実に見事な調査研究であり、中国研究の進展に大きく寄与した。一種の諜報活動と言ってもよい。現実に、この大旅行中、中国当局に拘束された例もあるらしい。諜報活動の実践練習と言われても仕方のない要素があったようだ。東亜同文書院の卒業生が満鉄調査部などに就職したのも頷ける。

戦前には、この種のインテリジェンスと呼ぶべき組織や発想がきちんと存在していた。

武力で国を守らないと決意したのだから、逆にインテリジェンス(ありていに言えば、諜報を主体とする情報収集能力とその分析力など)を強化して、国家の生存を図らなければならなかった。旧満鉄調査部という模範があるのだから、そういう研究所や機関を作るべきだった。これこそが、武力を使わずに国を守るための最重要課題だった。

米国・ロシア・中国などは、山口組や稲川会のような大暴力団だと考えれば、理解できる。彼らは、圧倒的な力(子分・財力・武器弾薬)を保有しており、言う事を聞かない奴には、容赦なく暴力を振るう。トランプ大統領の言動を見れば、彼らの本質が良く理解できる。

このような暴力団に対抗するには、揺るがない理念と勇気と知恵と情報力と団結力(国連の場での信頼感)が必須の条件。平和外交とは、本来、そういうものである。

戦後、日本と言う国家は、そのような生き方を選択したはずである。平和憲法を維持するとは、他のどの国にもまして、情報収集能力(諜報能力⇒平和維持のための諜報)と毅然とした【理念=平和を希求する】が必要になる。その為には、多少の損失も我慢する【痩せ我慢】の精神が必要になる。

こう考えると、現在の安倍政権の外交姿勢がそれとは正反対の方向を向いている事は一目瞭然。

例えば、G20に出席したEUのトゥスク大統領は、大阪での会議の前に被爆地・長崎を訪問し、G20に参加する世界のリーダーに向けてこう演説した。

<国際社会は、強い者が容赦なく自らの都合を弱い者に押しつける場所であってはならない。また利己主義が連帯を上回る、また国家主義的な感情が常識を上回る場所であってはなりません。自らの利益だけではなく、何よりも平和で安全かつ公正な国際秩序に対して責任を負っていることを理解しなければならないのです>

G20を日本で開催するのだから、日本の首相はこのような明確な平和の理念と国際社会の在り方に対して、揺るがない信念を吐露すべきであり、それこそが日本を「平和」を真剣に希求する国家として世界に尊敬されるのだが、安倍首相にはそんな理念も勇気も何もない。

理念なき隷属外交は、国を崩壊させる。

(3)中国外交
 
では、中国外交はどうか。当初、安倍首相は、中国包囲網形成にしゃかりきになっていた。【世界を俯瞰する外交】などと大見えを切り、世界中を駆け巡った。そして、多くの国に、バラマキ(供与)をしてきた。

これは日本のためと言うより、米国支配層(軍産複合体)のためと言って良い。換言すれば、米国の世界戦略のために、日本国民の血税をばら撒いてきた。完全な軍産複合体主導の隷属外交。

本来、中国と言う国家は「中華主義」を国是にしており、「覇権国家」の本質を持っている。

歴史的に言えば、冊封体制(中国の歴代皇帝たちが自任した、称号・任命書・印章などの授受を媒介として、「天子」と近隣の諸国・諸民族の長が取り結ぶ名目的な君臣関係(宗属関係/「宗主国」と「朝貢国」の関係)を伴う、外交関係を規定する体制の一種。ただし、「世界覇権」国家というより、「地域覇権国家」の本質を持っている。)・・・・ウィキペディア・・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%8A%E5%B0%81%E4%BD%93%E5%88%B6

という形態を取っていた。※日本では、福岡県志賀島で発見された金印がその事を証明している。

これは「大陸国家」の本能ともいえる。大陸国家は、国境を接する異民族の国家と対立する場合が多く、いつ何時侵略されるか分からない。中国の古代国家が【万里の長城】建設に懸命になったのが象徴的。

だから、自国とその周辺国家を傘下に置けば、とりあえず安心できる。これが「地域覇権国家」である。近隣国家を全て侵略するわけにもいかない。だから、名目上とは言え、君臣関係を結べば、その危険性は大幅に除去される。

この発想は、海洋国家にはなかなか理解できない。海洋国家は、海を渡る。その行動範囲は、大陸国家の比ではない。隣の国家ではなく、はるか離れた民族や国家を侵略し、支配する。その場合、相手国の民度に応じた支配をするのが特徴。

スペインやポルトガルの略奪を主体にした中南米支配。インカ帝国を侵略したコルテスやピサロなどが象徴。

インドなどに見るイギリスの植民地支配(間接統治)の巧緻な方法。支配には、武力が欠かせないが、インドのような広大な国家を支配するためには、現地の部族を味方につけ、彼らを使って支配するやり口。

東インド会社の傭兵として雇われたグルカ兵が有名。
※グルカ兵 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%AB%E5%85%B5

米国は英国の統治方法を継承している。とはいえ、それは第二次大戦後、植民地支配が否定されたため、という理由が大きい。米国統治の特徴は、米国隷属を大切にする腐敗政権を支援し、多くの大衆の恨みを買う統治体制が多い。(例えば、中南米やベトナム。中東などもその傾向が大きい。戦後、米国統治が成功したのは日本だけ)

ただ、海洋国家の覇権主義には、正統性の論理がある。特に英国から飛び出し、新大陸で新たな国家を建設した米国は、建国当初から、【自由】の理念と《独立精神》が横溢していた。米国は独立当初から、「理念国家」であり、ある意味「理念過剰国家」と言っても過言ではなかった。

米国が覇権国家でない時代は、この種の理念型国家は、貴重な存在だった。「理念」というものは、ある種の「正義」の表明である。米国流【自由】の理念は、間違いなく米国の【正義】に他ならなかった。

米国の特徴は、この【自由の理念】の輸出、宣伝、時には【押し付け】や「強制」を行うところにある。

米国を建国したピルグリム・ファーザーズたちは清教徒。英国本国でのアングリカン・チャーチの弾圧に抗して、清教徒革命を成し遂げ、さらに米国に新天地を求めた人々なので、きわめて厳格で、純粋な信仰心の持ち主。と同時に彼らの厳しい信仰心は、彼ら以外の他者に対する排除も厳しいものになった。ネイティブ・インディアンの対する排除はその事を象徴している。

現在のトランプ政権支持層の「キリスト教福音派」=「キリスト教原理主義」の排他主義的傾向にその名残が見られる。米国が理念型国家に傾斜しがちなのは、米国の建国の歴史に起因していると思える。

この点が、中国とは決定的に違う。米国流の理念型国家を単純に遂行するには、中国には歴史の厚みと長さがありすぎる。

人の数だけ「正義」があり、人の顔だけ「理念」がある。どんな正義もどんな理念も相対化してしまう長い歴史を持っており、人々は、その事をよく認識している。だから、中国は単純な「世界覇権国家」は目指さない。

中国共産党政府は、ソ連流の社会主義理念に簡単に従わなかった(中ソ論争)。50以上に及ぶ民族と多様な言語を持つ人々が暮らす国家を統御するのは、一つの理念だけで統御できるほど単純ではない。

だから、中国共産党を理論だけで理解するのは正しくない。そうではなく、具体的に人を支配する統御力を持った「実務型利益集団」と考えた方が良い。日常生活に根付いた利益集団であり、社会生活の隅々までその影響力はいきわたっている。

だから、常に派閥(郷党)があり、具体的な人のつながりが背後にある。顔の見える権力集団が中国共産党。そのトップが集まっているのが、中南海である。中国共産党は「法治」の集団ではなく、「人治」の集団だと考えてよい。

※中ソ論争 コトバンク 
https://kotobank.jp/word/%E4%B8%AD%E3%82%BD%E8%AB%96%E4%BA%89-97386
※中南海 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%8D%97%E6%B5%B7

こういう集団は強い。日本の評論家などがよく中国共産党批判をしているが、実は、中国共産党の構造は、日本の隅々まで張り巡らされた自民党支配の利権構造と類似したものだ、と言う事を忘れている。

日本でもこの利権構造がなかなかなくならないのに、もっともっと緊密に構築されている中国の利権構造がそんなに簡単に崩壊するはずがない。

だから中国相手の外交を行う時は、共産党政府相手でも多くの筋をつかむ必要がある。とにかく、人脈を複数作り、様々なルートから多くの情報を収集し、あの手この手の交渉を行う必要がある。もちろん、一番重要なのは、現在なら習近平政権中枢との交渉である事は論を待たない。

ところが、日本の中国外交も、外務省内部の派閥争いでいわゆる「チャイナスクール」と呼ばれた中国専門家外交集団が敗れ、本当の意味での専門家が少なくなっている。伊藤忠の社長だった丹羽宇一郎氏などが大使になって就任していたが、彼もイデオロギーでしか外交を判断できない右派連中により更迭された。

※外務省 チャイナスクールの功罪
https://matome.naver.jp/odai/2138873780309501901

日本と中国の外交関係の紆余曲折は、世界情勢に翻弄される場合が多い。かっての東西冷戦下では、外交関係を結ぶこと自体が難しかった。田中政権下での外交関係樹立以来、その時々の世界情勢に影響される場合が多かった。

特に安倍政権樹立以来、「中国敵視政策」が行われ、両国の関係はきわめて悪かった。

しかし、米中貿易戦争が勃発。中国の姿勢の変化が見られる。米国の圧力に耐えるためには、第二の貿易相手国である日本との関係を良好にしておく必要がある。

日本にしても、中国との貿易は日本の生命線と言っても過言ではない。中国市場抜きに日本企業の明日はない。右派連中のような好き嫌いの感情だけで中国排除を叫んでいては、日本の明日はない。13億とも15億ともいわれる巨大市場で国民の消費意欲も旺盛。この市場に活路を見出す以外に日本の未来はない。

この視点に立てば、中国との外交関係を「中国包囲網」などという中国封じ込め政策などに加担する事は、日本の自殺行為になる。

今回の米中貿易戦争で日中貿易に大きな影響が出ているのを冷静に観察すれば、日本の立ち位置に対するきちんとした議論が出てしかるべきである。

① 日本の経済を米中両国に従属する経済形態ではなく、日本独自の技術と価値を生み出せる新たな技術立国を目指さなければならない。⇒自立思想の確立

② 米中双方のいずれかに与するのではなく、独自のスタンスを保持しなければ、受ける影響が大きすぎる。

③ ②を実現するためには、日本独自の外交を展開しなければならない。⇒トランプ大統領が北朝鮮との関係を劇的に変化させているのを肯定的にとらえなければならない⇒朝鮮半島の冷戦情況が終わる、と言う事は、北東アジアの緊張緩和が始まると言う事を意味する⇒この文脈でトランプ大統領の日米安全保障条約の破棄を積極的に考えるべき⇒米国の北東アジアにおけるプレゼンスが後退する⇒日本の真の意味での独立を真剣に考えるべき

④ ③の視点に立てば、米国とも中国とも等距離の外交を展開するためには、日本の真の意味での独立=戦後体制の脱却が不可欠。その為には、日本独自の経済体制、生産技術の開発が不可欠。そうしないと、米中双方から袖を引いてもらう事が出来なくなる。

⑤ つまり、日本の進むべき道として、米中のような大国路線(覇権国家)を捨てる必要がある。そうではなくて、徹底した平和外交路線を追求し、経済、文化、科学などに特化した日本独自の価値観を生み出す社会体制を構築しなければならない。
  ⇒力ではなく、平和国家としての思想・文化の担い手として尊敬される国家=平和国家・文化国家として存在感を持った国家を目指すべき

⑥ 軍事的圧力を感ぜず、それでいて無視できない経済力と科学技術、文化的価値を擁する国として生きていくことが、21世紀日本の目指すべき国の姿であろう。

⑦ この視点で外交関係を構築すれば、米中双方に胸を張って堂々と正論を述べる事ができる。何故なら、どちらの国家にも警戒心を与えない国家としてのスタンスを保持しているから、両国ともその意見を警戒せずに聞けるからである。

⑧ 堂々と正論を述べるスタンスの国家建設を目指せば、国民の矜持(誇り)が生まれ、あらゆる国際問題での日本のプレゼンスが拡大する可能性ができる。

バカのように軍事大国を目指せば目指すほど、膨大な軍事予算が必要になる。そうなると、社会保障、教育費、研究費など社会の基底部分を支える予算が希薄になり、国家の力も社会の力も落ち込む。

何時の時代でも国や社会を支える力は、【人】の力である。特に日本は資源が少ない国家。このような国家では、武田信玄ではないが、「人は城、人は石垣」という思想が何より重要。「人」を大切にしない社会や国家は必ず滅びる。この冷厳な真実を肝に据えなければならない。

外交と言うものは、タクティクスばかりではなく、このように国家を支える理念と国際関係の中での主張の整合性が重要になる。その場しのぎの場当たり的な外交をしていては、国益を存するばかりだと認識しなければならない。

「護憲+BBS」「政権ウォッチング」より
流水
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スカスカの中身と危険性だけが際立つ安倍外交!(NO1)

2019-07-04 09:35:51 | 安全・外交
6月28日からG20が始まった。テレビで見る大阪の警備は凄まじいもので、ほとんど人影もなく、道路を走る一般車両の姿もほとんどない。もはや、これは、戒厳令と言っても過言ではない。

周辺の学校などは休校だそうだ。おそらくこれは今後への試金石。日本の近未来の社会の姿だろう。

今回の参議院選挙。自民党は、安倍外交を目玉商品として売り込むつもりだ。「世界の真ん中で力強い外交」だそうだ。
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/20190607_pamphlet.pdf?_ga=2.95482587.679269629.1562201363-6614360.1560237726

誰がつけたキャッチコピーかしらないが、【外交の安倍】などと持ち上げられて、のぼせ上がったのだろう。私の地方では、人の忠告も聞かずに、得意満面な表情で、得手勝手な事をする人間の事を「タコの糞が頭に上っている」と言うが、安倍首相の現状はまさにこの言葉にぴったりだ。

“世界を俯瞰する外交”などと大仰なキャッチフレーズで、安倍首相が訪問した国と地域は、80。延べ訪問国・地域 167。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/page24_000037.html

さらに海外へばら撒いたお金。ばら撒きというのは、基本的に供与。これがどれくらいになるのか。

社民党の福島瑞穂議員が国会で「「誰の政治ですか。税金は安倍総理のポケットマネーではありません!」と、追及したのは昨年1月。第2次安倍政権発足以降、54兆3621億円を外国へバラまいていることへの発言だが、その額は増える一方。

下のサイトに詳しく出ているので、興味のある方は、計算してみてください。

※安倍首相の海外バラマキと同行企業リスト①
(海外バラマキ・リスト)
青山貞一編  http://eritokyo.jp/independent/aoyama-abebaramaki11..html

まあ、見る人が見れば、海外への支出の多くは、各国現地でのインフラ工事を我が国の大企業が受注するためのまき餌。得をするのは自民党政権と癒着した大企業だと言う事になる。この内閣得意の「お友達優遇政策」の典型。そのために、60兆円になんなんとする税金を湯水のごとくばら撒いて良いのか、と言う話である。

大企業とこれだけ癒着すれば、経団連などは安倍内閣支持になるのは当然。安倍内閣で行われている「働き方改革」の方向性など、この一事を見れば、推して知るべし。労働者のためには決してならない。

これだけお土産を持っていけば、どこの国も愛想笑いの一つもするに違いない。それが安倍夫妻には気分が良いのだろう。だから、国会審議をないがしろにして、外交と称して出かける。「外交は安倍首相の精神安定剤」などと評した人間がいたが、そうとしか思えない訪問数である。

訪問される外国からすれば、迷惑な話。今回のイラン訪問もイランの方は迷惑がっていたが、お金を出してくれるので受け入れたようだ。冷徹な外交の論理から言えば、【財布と心臓は別】と言う事である。

では、少し具体的に安倍外交を検証してみよう。

(1) 拉致問題⇒ 安倍首相が政界で頭角を現したのは、拉致問題に熱心だ、と言う事が大きな理由。【拉致の安倍】で売り込んだ。しかし、よく観察すれば明らかだが、小泉内閣の時に蓮池氏などの拉致被害者が帰国して以来、誰一人帰国していない。

拉致問題の年表は下記のサイトに詳しいので見てもらえば分かるが、安倍内閣になって拉致問題の進展はほとんどない。
https://www.rachi.go.jp/jp/ugoki/index.html

拉致問題のようなセンシィティブな問題は、正面から話し合うだけでは簡単に解決しない。裏口・搦手からの交渉が欠かせない。ところが、安倍政権は、【圧力】一辺倒の外交姿勢。正面からも搦手からも話し合いのきっかけすらつかめなかった。

裏で北朝鮮当局と話し合い出来る人物は一人もいなかった。こういう裏交渉できる人間は、北朝鮮当局との信頼関係が必須の条件。「圧力」だけを唱えていれば、仕事をした気になる安倍政権では、そんな地道な仕事をする人間が育つはずがない。そんな効率の悪い仕事をするより、内閣府や官邸にゴマをすったほうが出世が早い。

トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委長の会談が行われ、朝鮮半島の雪解けムードができると、トランプ大統領に橋渡しを頼むなど、拉致問題解決の糸口すらつかんでいない現状を露呈している。

そもそも自国の最重要課題である拉致問題を他国の大統領に頼むなど、己の「無能力さ」を世界中に示すようなもので、一国の首相としては深く恥じなければならない。

それをトランプ大統領に依頼して、被害者家族会の人間をトランプ大統領と面会させ、俺は拉致問題に熱心に取り組んでいると宣伝する。「厚顔無恥」とは安倍首相のような人間を指す。

その後、【圧力】路線を変更して、【前提条件なしの話し合い】を呼びかけているが、当然だが、北朝鮮から「厚かましい」と一蹴されている。

拉致被害者家族ではないわたしのような立場の人間から見れば、安倍首相のこすっからい計算だけが目に付く。彼のどや顔が鼻について堪らない。

よくよく見ればすぐ分かるが、【圧力路線】の時は、北朝鮮からの脅威を煽れるだけ煽り、軍備拡張と戦争前夜のような雰囲気を醸成し、政権維持に利用した。選挙が近くなると、拉致問題を取り上げ、拉致問題を熱心にやっているように見せる。

時には、トランプ大統領と面会させて、「どうだ俺は一生懸命にやっているだろう」と宣伝する。いみじくも、麻生太郎が自民党の勝利は北朝鮮のおかげと言ったのも頷ける。それでいて、選挙が終われば、何も進展しない。

こういうやり口が安保マフィアの常套手段。危機を煽れるだけ煽り、人々に冷静な判断ができなくしておいて、権力に頼らせる。ファシスト政権のやり口はいつもそうである。解決する気などさらさらない。

本当に拉致問題を解決したいのなら、日ごろの地道な積み重ねしか解決の方法はない。「誠心誠意」粘り強く交渉する以外、方法はない。これまでの安倍首相のやり口は、拉致問題の政治利用以外の何物でもない。蓮池透氏が批判するのも当然と言わざるを得ない。

★ 板門店でのトランプ大統領と金正恩委員長の三回目の会談

G20が終わるや否や、電光石火、トランプ大統領は韓国に飛び、板門店で北朝鮮の金正恩委員長と三回目の会談をした。そして、非核化交渉を継続する事を決定した。トランプ大統領は、非武装地帯の南北の境界線を金委員長とともに超え、北朝鮮を訪問した最初の米大統領になった。

トランプ大統領の外交センスは並みではない。このニュースは、世界中のメディアが報道し、世界中の話題をさらってしまった。安倍首相が心血を注ぎ、参議院選挙に向けた【やってる感】満載のG20の成果など一晩で吹っ飛んだ。木村太郎などは、フジテレビの番組で、トランプ大統領の外交センスは天才だ、と叫んでいたが、さもありなんと思う。

トランプ大統領は金委員長をアメリカに招待したと言っているので、いずれ国連総会出席を名目に委員長は米国を訪問するだろう。そこでの会談で、「朝鮮戦争終戦宣言」にでも署名すると、名目上朝鮮半島の脅威はなくなる。これなら胸を張って「ノーベル平和賞」候補になっても仕方がない。

「世界の警察官を止める」というトランプ大統領の政策目標は、朝鮮半島でも実現可能になる。当然、韓国の駐留米軍は、帰還する可能性が高い。そうなると、日米安全保障条約の必要性もなくなる。ブルームバーグが、トランプ大統領の発言として紹介した【日米安全保障条約の破棄】もこの文脈で考えれば、当然の帰結であろう。

さらに付言すると、今回の板門店での米朝会談の裏には、中国の習近平主席とロシアのプーチン大統領の周到な後押しがある。両者とも米国との緊張関係をこれ以上大きくしないために米朝双方の和解を後押ししている。

その証拠にこの会談の前に金委員長はロシアを訪問。プーチン大統領と会談している。習近平主席も、北朝鮮を訪問し、綿密に金委員長と話し合いを行っている。

韓国の文大統領もトランプ大統領と金委員長の会談成功のために、自分自身は徹底的な黒子役に徹して助力している。

国際性を完全に欠如した日本メディアの論調とは裏腹に、中・ロ・北朝鮮・韓国とトランプ大統領(米国)の関係は悪くないと考えるのが至当。

日本の安倍首相だけがこの関係からはじきだされている。

少なくとも、トランプ大統領と金委員長の会談を事前に察知して、G20で文大統領と親密に会談し(文大統領も韓国内では苦境にたっている)金委員長との会談への助力を依頼するのが外交のプロの仕事。そうする事で、なんとしても、拉致被害者帰国のための手がかりをつかむと同時に、こじれにこじれた日韓の徴用工問題解決の糸口を探る。

拉致問題解決は、家族の年齢を考えても、一刻の猶予もならない。「韓信の股くぐり」ではないが、自らの面子は捨てても、問題解決のために努力すべきだ。それを、よりにもよって、安倍内閣は、徴用工問題の報復で貿易制限に出る始末。やる事が正反対。何とも頭の悪い、お粗末な政権である。

その意味では、安倍首相は千載一遇の機会を逸した。トランプ大統領からは、安倍首相には何の話もなかった。これが、尽くしに尽くしたトランプ大統領の仕打ちだ。

これが、日米安保マフィア(日米安保で生まれる様々な利権で食っている日本と米国の産軍複合体の連中)と一線を画しているトランプ大統領の本質を理解していない安倍首相の限界であろう。

★商業捕鯨再開と韓国問題

この原稿を書いている時に、日本の国際的孤立を招きかねない二つの重要な政策決定が行われた。7月1日に戦後初めての国際組織(IWC)からの脱退、商業捕鯨の再開を決定。同時に、韓国に対する経済制裁が実行された。

わたしも給食でクジラを食べた経験もあるし、実家が田舎の雑貨屋で魚も販売していたので、クジラもよく食べた。だから、クジラを食べる日本の食習慣については理解する。さらに海の食物連鎖の頂点に立つクジラを一定程度捕獲する事は、他の魚種のために必要であるという認識には賛成する。

だからといって、IWCからの脱退には反対である。自分たちの意見が通らないからといって、国際機関から脱退するという行為は、戦前の国際連盟からの脱退を彷彿とさせる大変危険な行為と言わざるを得ない。おまけに捕鯨再開を主張する専門家ですら、IWC脱退で漁獲量も減るというのだから、話にならない。

国際的には、これで日本の主張は、説得力を失う。今後、IWCでは、より厳しい捕鯨規制の方向性が打ち出され、日本の商業捕鯨に対する批判の声がより一層高まるに相違ない。気が付いた時には、周りに味方してくれる国がどこもなかった、という事になる予感がする。

しかも、この商業捕鯨再開を喜んでいるのは、和歌山県と山口県(下関)だけかもしれない。両県は、二階幹事長と安倍首相の地元。あらぬ疑いをかけられても仕方がない。
 
さらに国際的批判を浴びそうなのが、韓国に対する経済制裁の実行である。

・・・経産省は1日、スマートフォンやテレビに使われる半導体材料3品目で対韓輸出規制を強化すると発表。安全保障上の脅威となる電子部品の輸出でも、規制が緩和されている「ホワイト国」から韓国を外す方針で、さっそく政令改正の手続きに入った。 3品目の中には日本企業が世界シェアの9割を占める部品もあり、韓国の電機産業の生産に影響を与えるのは必至だ。・・・中略・・・
韓国はすぐさま反発し、「自由貿易の精神に反する」として世界貿易機関(WTO)提訴を含めた必要な措置を講じると表明した。
・・・日刊ゲンダイ

G20サミットで「自由で公正な貿易」を標榜してからわずか2日。その舌の根も乾かぬうちに、議長国が自由貿易を完全否定するような暴挙に出ている。

日本政府の言い分としては、「ホワイト国」(貿易をスムーズにできる特別待遇)を外すだけで、自由貿易を否定するものではない、という理屈になる。

しかし、韓国メディアの反応を見ると、一斉に日本との貿易戦争が始まった、という報道である。欧米メデイアの反応も同様である。

「反保護主義」は、日本のように資源が少なく、貿易立国を目指している国にとっては、レーゾンデートルといってもよい原則。それを完全否定する政策を発動したと世界に印象付けたのである。

トランプ政権がアメリカ・ファーストを標榜し、保護主義的政策を実行。他国に圧力をかけている手法を真似たのであろう。

荒れる学校時代、一人の突出した暴力的生徒が存在すると、その学校は間違いなく荒れた。学校組織や学校の秩序などと言うものは、ある種の【予定調和】で成り立っている。多少おかしいな、と思っても、「まあ、いいか」と放置してしまう。それでも何となく回っていくのが、学校の秩序や一般社会のルールだろう。

ところが、一人の突出した生徒がその「秩序」や「ルール」の壁を突破してしまうと、後に続く生徒がびっくりするくらい現れる。そして後に続く人間ほど性質が悪い。最初に突破した生徒はそれなりに理屈もあるし、罰も受ける覚悟もできている。

ところが、それに続く生徒は、覚悟もなければ、理屈もない場合が多い。こういう連中が次から次へと現れ始めると、間違いなく学校は荒れる。

学校と世界秩序と同列に論ずることはできないが、これまでの秩序を破壊し、周囲を混乱に陥れるメカニズムは同じ。世界の目には、日本の行為が、トランプの二番煎じに映ったのも無理はない。

こういう場合、よく知っておかねばならないのは、世界各国には、米国に楯突くのは怖いが、日本を批判するのはそれほど怖くない、という心理的メカニズムが働く事である。

そして、この批判は、かなり強くなると覚悟しなければならない。何故なら、米国を正面切って批判できない鬱屈が、日本に向かってくるからである。怖くない国家には、こういう理不尽さがついて回ると覚悟しなければならない。

これは、日本のメディアが常にやっている心理的メカニズムに他ならない。安倍内閣の批判は怖いが、野党や芸人やスポーツ選手などのスキャンダルならやりすぎぐらい執拗に叩く。吉本の芸人は叩くが、吉本興業は叩かない。

これから、同様なことが日本に対して行われるであろう、と認識しておく必要がある。世界各国から、理不尽な批判をされる事が増加すると覚悟しなくてはならない。

私たち国民は、安倍内閣が続く限り、戦前と同じような世界からの【孤立の道】を歩まざるを得ないと覚悟しておかねばならない。

「護憲+BBS」「政権ウォッチング」より
流水
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イージスアショアは何故山口県・秋田県なのか

2019-06-09 08:50:54 | 安全・外交
現在イージスアショアの設置予定県の一つ秋田県での適地調査データーに誤りがあることを地元メディアから指摘され、防衛相が陳謝したと7日の朝日デジタルは報じている。
https://www.asahi.com/articles/ASM664JPLM66UTFK00G.html

また同日の朝日新聞社説(陸上イージス、ずさんな調査に驚く)は、『山口・秋田県へのイージスアショアの必要性について、防衛省の報告書は「24時間365日、日本全域を守り続けることができる」と報じているが、そう言い切れる説得力のある根拠は示されていない』と記している。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14046520.html?ref=opinion

問題は政府がどの国のミサイル攻撃を想定しているのか分からないが、これまでの安倍首相の発言から推察すると、北朝鮮と中国ではないかと思われる。仮にそうであれば山口、秋田県が最適地で、365日、日本全域を守れるのだろうか。仮にいざ戦争になれば、同時に何十発ものミサイルが撃ち込まれ、イージス艦もイージスアショアも在日米軍も役立たないであろう。

そのような想定をすれば、山口県と秋田県に防衛庁が強くこだわる理由が解せない。そこで地球儀を俯瞰してみると、山口県の延長線上の太平洋上には米国のグアム島があり、秋田県の延長線上の太平洋上には米国のハワイ諸島がある。何れにも重要な米軍基地が在る。

よってこの二つの米軍基地を攻撃するミサイルを日本上空で迎撃する目的も担っていることも推察できる。これが防衛省がこの両県に固執する理由ではなかろうか。

日本防衛が目的なら日本海上のイージス艦がベターなはずであり、既に航行中のはずである。山口県、秋田県では迎撃タイミングが地理的に遅いのではないかとの疑問が素人にも浮かぶ。

秋田県での電磁波の人体への影響云々以前に、日本防衛より米軍基地防衛のために日本の予算が使われようとしているのではないかとの疑問を、野党には国会で追求して貰いたい。また、メディアにもこのことを精査して戴きたい。

「護憲+BBS」「安全・外交政策を考える」より
厚顔
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ベネズエラで進行している米国によるあからさまな政府転覆計画(2)

2019-03-18 20:33:10 | 安全・外交
(4)チャベス死後のベネズエラと米国

2013年3月 チャベス死去以降、「21世紀型の社会主義」を標榜するニコラス・マドゥロ大統領が政治の舵取りを行ってきた。

ベネズエラを敵視する米国政府は、お得意の【経済制裁】を課してきた。シェール・ガス革命後、OPEC(石油輸出国機構)などの産油国の力は急速に衰えた。石油価格が暴落に近い下がり方をしたのである。

NYマーカンタイル(原油先物市場)は、投機マネーが暴れまわるきわめて危険な市場だが、かってはその市場の支配権はOPECが握っていた。特にサウジアラビアの動向がカギを握っていた。そのメカニズムは簡単で、石油価格が高騰しすぎると、石油産出量を増産し、価格が低くなりすぎると、石油産出量を減産する。そのメカニズムを握っていたのが、OPEC諸国。その一員であるベネズエラの経済は安定していた。特に、ベネズエラは、その埋蔵量は、世界一とされている。

ところが、シェール・ガス革命は、OPECの価格決定権を奪い去り、現在の市場の動向は、エクソン・モービルなどの石油メジャーと巨額の余剰マネーを握る投機筋が握っている。原油安の進行は、これらの投機マネーが原油市場から一斉に引き上げられたと言う事を意味している。

つまり、ベネズエラ、イラン、ロシアなど国家財政を石油が握っている反米国家の経済を直撃したのである。

このように、原油価格の決定は、見事な経済制裁になりうるのである。これが覇権国家米国の強み。他国の生殺与奪の権を握っているのである。

米国は、さらに厳しい制裁を加えている。

国営石油公社PDVSAを狙い撃ちにした経済制裁を発動。

●PDVSAによる石油の輸出を禁じ、米国内の資産を凍結。

年間110億ドル(約1兆2000億円)の輸出収入を消失。70億ドルの資産凍結
●米国以外の国々もベネズエラ産の原油の取引をしないように働きかけ

●ベネズエラ産原油は硫黄分の多い重質油⇒ナフサを加えて希釈⇒製品化
 米国内の資産凍結でナフサが輸入出来なくなり、石油生産それ自体が滞る。

★制裁によってベネズエラが受けた損失 ⇒3,500億ドル(38兆5000億円)(2013~2017年) ・・ラテンアメリカ地政学戦略センターの計算。
          ↓
★ハイパーインフレが進行 ①制裁による物資不足②自国通貨の価値を決定づける石油販売ができない ⇒1月の物価上昇率 268万% 年内予想⇒1000万%
300万の国民が国外脱出事態

※現在、米国は選挙で選ばれたマドウロ政権を認めていない。そして、コロンビアに送り込まれた人道支援物資をマドウロ政権が搬入を認めていない、と非難している。マドウロ政権は独裁的で強権的で非人道的政権だというわけである。

かっては、チャベス政権にも同様な非難を加えていた。

まあ、現在のベネズエラの窮状は、米国の経済制裁が大きな要因である事は明白。苛酷な経済制裁を課し、その国をぎりぎりまで追い込み、国民に塗炭の苦しみを味わせておいて、「人道支援」もないわけだが、これが米国の常套手段。

イランもそう。北朝鮮もそう。キューバもそう。中国もそう。ロシアもそう。米国が経済制裁を加える国は、すべて反米国家だと考えてほぼ間違いない。

あらかじめ、相手国内部に米国の同調者を作っておく。そうしておいて、経済制裁をかけ、相手国の経済を破滅的な状況に追い込み、国民の不満を極限まで高め、相手国の政治情勢を乱せるだけ乱す。

そこで、人道支援などを行い、米国に対する好印象を与え、米国傀儡政権をつくり、その国を支配する。そうしておいて、相手国からできる限り収奪を行う。これが、米国流支配の法則。今も昔も変わらぬ【侵略】の手口である。

(5)ベネズエラの現在

正式な選挙によらないで大統領を自称しているフアン・グアイドは一体何者なのか。彼はアメリカによって大統領として認知されている。これ一つとっても、通常の国際関係ではあまり考えられない状況である。

ファン・グアイドは、2007年にジョージ・ワシントン大学へ留学、ごりごりの新自由主義者である。彼が、政権を奪取した暁には、ベネズエラでチャベスが推進した社会主義的政策を破棄。私有化を推進するつもりだと言われている。特に、国営石油会社のPDVSAをエクソンモービルやシェブロンへ叩き売るつもりだと言われている。

グアイドが米国留学する2年前、米国支配層はベネズエラの学制5名をセルビアに送っている。彼らは、応用非暴力行動・戦略センター(CANVAS)の支援でやってきた。CANVASは、スルジャ・ポポビッチが設立したオトボール(抵抗)の幹部たちによって設立され、非暴力を標榜しているが、目的はアメリカ支配層のカネ儲けに邪魔な体制を転覆させることにある。

このあたりの事情については、以下の論文に詳しい。
・・・フアン・グアイド誕生裏話:アメリカの政権転覆研究所によるベネズエラ・クーデター指導者の作り方・・・(マスコミに載らない海外記事)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-58b3.html

要するに、チリのアジェンデ政権が打倒され、ピノチェト政権が樹立された時、新自由主義経済学者フリードマンたちが行った新自由主義的経済政策をベネズエラでも行おうという狙いが見え見え。そのための準備が10年以上前から行われていたと言う事である。

今回のベネズエラ危機は、米支配層の長年にわたる周到な準備を経て顕在化していると見なければならない。つまり、東欧で行われたカラー革命には、「政権転覆研究所」のような緻密な計画と資金の供給と指導が背後にあってはじめて成功している、と言う事が良く理解できる。

今回のベネズエラ危機は、米支配層の世界支配の手口がよく分かるという意味で、注意深く見なければならない。

チャベス大統領に対する暗殺計画も何度かあったが、現在のニコラス・マドウロに対する暗殺計画も三度あり、彼も運よく生き残っている。

アメリカが経済制裁の名のもとに仕掛けたベネズエラの経済混乱につけ込み、トランプ政権は軍の一部を使ったクーデターを何度か仕掛けている。

しかし、昨年一月の大統領選でマドウロが再選された。すぐさま、議会で多数を占める野党が、「野党候補が不当に排除された。この政権は正統性がない」と非難。グアイド国会議長を暫定大統領に選出。米国は直ちに承認。追加制裁を実施。マドウロ政権の退陣を要求。

上で指摘したように、このグアイドとアメリカの関係はきわめて濃密。誰がどう見ても、グアイドがアメリカの傀儡である事は明白である。アメリカやEUのうち17ヶ国がグアイドを大統領として承認している。しかし、彼が国内で大統領として承認されたという実体はない。

アメリカのボルトン大統領補佐官(安全保障担当)は、人も知るネオコンで強硬派。彼は、「ベネズエラの広大な未開発の石油埋蔵量のため、ワシントンはカラカス(首都)での政治的成果(クーデター)に大きな投資をしている」「アメリカの石油会社にベネズエラへの投資と石油生産を可能にすることができれば、それは経済的にアメリカにとって大きな利益をもたらす」等と公然と発言。アメリカの帝国主義的侵略の狙いを隠そうとしていない。

当然、マドウロ政権側も反論する。「もはやワシントンはクーデターの黒幕というよりも、攻撃の前線に立ち、暴力を煽って従順なベネズエラ野党に命令を出している。証拠はあからさま過ぎて米国内ですら疑う人はない」 アレアサ外相の言葉。

わたしがトランプ政権の下品で乱暴な手口と指摘するのは、ボルトンのようなあまりにもあからさまな発言を指す。

当然このようなアメリカのやり口に対して、ロシア・中国、イラン、シリア、トルコ、ニカラグア、キューバ、ボリビアなどが批判を強めている。メキシコ、ウルグアイ、ローマ法王庁、国連事務総長、EUは、対話を呼びかけている。

一方アメリカは「対話の時は終わった」とし、武力介入も辞さず、と強硬姿勢を崩していない。

3月7日、ベネズエラで大規模な停電があった。グリ水力発電所が電力を供給できなくなった事が原因。マドウロ大統領発表では、破壊活動があったと主張している。

・・・・ベネズエラの最大80%が影響を受け、与えられた損害は最初考えられていたよりずっと深刻だ。この出来事の前には、何週間、あるいは何カ月もの計画があった可能性が高い - こういうものを成功させるには相当な専門知識が必要なのだから、アメリカの闇の勢力が背後にいるのはほぼ確実だ。

 金曜日に二度目のサイバー攻撃、土曜日に三度目の攻撃が続き、電力が復活した地域に影響を与え、問題解決をさらに複雑にしたとマドゥロが述べている。
 ベネズエラのおよそ70%で電力が回復した後「白昼、我々はもう一つのサイバー攻撃を受け、再接続作業が乱され、昼までに達成した全てが駄目になった」と付け加えた。
 「完璧に機能していた発電装置の一つ」が電力会社を内部から攻撃する潜入者により再び破壊工作された。」・・・・・

当初思われたより遥かに深刻なトランプ政権によるベネズエラ電力戦争(マスコミに載らない海外記事)
Stephen Lendman
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-b11d.html

このような憶測をさらに駄目押しするのは、アメリカ政府によるベネズエラ工作の指揮官に任命されたのが、エリオット・エイブラムズ。

彼の仕事は何なのか。以下の記事を読めば、一目瞭然。

・・「エイブラムズもニカラグアの秘密工作に参加している。CIAの工作には麻薬取引がつきもので、ニカラグアを含むラテン・アメリカの場合はコカインが利用された。
 ニカラグアの工作は周辺国、例えばエル・サルバドルでの工作と一体の関係にある。そのエル・サルバドルで実行された「汚い戦争」ではCIAの手先になっていた軍人や警官が1980年3月にカトリックのオスカル・ロメロ大司教を暗殺、その年の12月にはカトリックの修道女ら4名を惨殺、81年12月にはエル・モソテの村で住民900名から1200名を殺している。
 2月13日に下院の外交委員会へ出席したエイブラムズはイルハン・オマール下院議員からエル・モソテの村での虐殺について1982年2月に上院外交委員会で虚偽の証言をした過去を指摘された。
 
エイブラムズはイラン・コントラ事件と自身の関わりについて議会へ情報を隠した罪を1991年に認めているが、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領の恩赦で刑務所行きを免れた。破壊、殺戮、麻薬取引を含む秘密工作に連座していた人物が今、ベネズエラのマドゥロ政権転覆工作を指揮しているのだ。」・・・・櫻井ジャーナル
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201903080000/

※イラン・コントラ事件(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/イラン・コントラ事件
※イラン・コントラ・ゲート事件
http://naotatsu-muramoto.info/rekisinobenkyou/iransi/iransi33.html

このような人物が指揮を執っているベネズエラ工作にあまり正統性は感じられない。むしろ、いかがわしさの方が感じられる。

以前から指摘してきたが、覇権国家を降りる寸前の覇権国家の振る舞いは、非常に危険である。ベネズエラに対する米国の振る舞いは、その事を証明している。そして、その事は日本も例外ではない。

これも以前から指摘してきたことだが、アメリカには二つの権力がある。トランプ大統領に忠誠を尽くす軍とCIA派と反トランプ派の軍とCIA派の二つの権力が死闘を重ねている。

北朝鮮外交の物別れに象徴的に示されていたが、ポンペオとボルトンが参加した会議で会談が決裂した。北朝鮮側がこの二人が失敗の原因だと名指しで批判しているのを見れば、トランプ大統領のお目付け役としてこの二人が参加していたことは明白だろう。

ベネズエラ工作の中心は、ペンス副大統領やボルトンなどのネオコン派と石油業界などの産業界だろう。トランプは、この工作に乗ったのか、乗ったふりをしているのか、良く分からないが、このベネズエラ工作の裏があまり明らかになると失敗する可能性が高い。

地球の裏側で展開されている話なので日本ではあまり話題にならないが、アメリカと言う国の正体が一番よく認識できる話なので、注視したほうが良い。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
流水
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ベネズエラで進行している米国によるあからさまな政府転覆計画

2019-03-15 16:00:58 | 安全・外交
(1) 序

現在進行している米国によるベネズエラ政府転覆計画ほど、あからさまで露骨なものはない。米国はここまで露骨に他国を侵略する帝国主義的国家意思を明らかにするほど落ちぶれたのか、と唖然とする。

わたしのトランプ政権評価の一つに、米国流世界支配の手口をきわめて分かりやすく下品で露骨な方法で世界に見せてくれる点がある。米国の狙いはこれだな、とすぐ理解できる。見事な反面教師役である。

過去の米国政権は、それなりに知性があり、上品で、米国流【自由】の理念にもそれなりの説得力があった。東西冷戦時代は、資本主義国家の旗手として、多くの国々を束ね、説得しなければならなかったので、それなりの自制心も働いていた。

しかし、冷戦終了後の米国は、米国一国覇権時代を迎え、「タイラント」としての本質を隠さなくなった。特にネオコンが政権中枢に入りこみ、以前にも紹介したが、ウォルフォウィッツが世界支配の野望を書いて以降とみに酷くなっている。

特に、ブッシュ・ジュニア政権時のアフガン戦争、イラク戦争は、誰がどう見ても、【侵略戦争】そのもの。米国の戦争目的それ自体が産軍複合体の利益確保のために、他国(それも反撃力のない国)の国土の破壊と国民の命を奪う理不尽なものだった。

武器と言うものは、消費してはじめて次の武器を作れる。使わない武器は、廃棄せざるを得ない。しかし、もったいないから、どうしても、廃棄するまでに時間がかかる。それでは軍需産業は儲からない。とにかく、盛大に武器を消費してもらえばもらうほど儲かる。それには戦争しかない。だから、アフガン、イラク戦争のような米国が負ける心配のない戦争(武器消費のためだけの戦争)が必要となる。

そうなると、どうしても戦争のための大義名分が怪しくなる。特にイラク戦争の戦争目的(大量破壊兵器の存在、テロリストとの関係)が全くのでっち上げだったことは、米国の世界的信用を失墜させるのに十分だった。もし、米国が覇権国家でなかったら、ブッシュ大統領やチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官などは国際社会から「戦争責任」を追及されても致し方がなかった。

冷戦終了後、世界各地(特にアフリカや東欧諸国)で起きた【カラー革命】もその実態は、各国の民衆が選挙で選んだ政権を米国に支援された反体制勢力による打倒だった。後で触れるが、現在のベネズエラ危機の主役のグアイドという人物も、この【カラー革命】を指導した組織が育てた人物である。

米国が民主主義国家だ、などと言う事は幻想にすぎない。戦後、米国は何度、国民の選挙で選ばれた民主主義国家を打倒して、独裁国家を支援してきたことか。その典型的事例が、ベトナム戦争。米国と組んだ南ベトナムのゴ・ジンジェム政権の独裁的体質と腐敗体質は、本当に酷かった。民主主義を標榜する米国が、何故あのような政権と組むのか。世界中の人々には理解できなかった。

米国が高らかに語る「民主主義」と「自由の理念」と、彼らが支援する独裁的で強権的体質の政府との落差が、常に米国と言う国に対する疑問符として残らざるを得なかった。

(2)米国による中南米諸国に対する介入

中南米諸国は、アメリカの裏庭と呼ばれ、中南米諸国の歴史は、米国を抜きにしては語れない。スペイン・ポルトガルの侵略により、中南米各国に住んでいた先住民がほぼ壊滅状況にされたため、不足している労働者を補うため、アフリカから黒人たちが奴隷として運ばれてきた。その結果、米国やカリブ海の国々には多くの黒人たちが住み着いた。例えば、大坂なおみ選手の父親の母国ハイチなどもそうである。中南米諸国は、米国に対する労働力の供給国としての役割を担ってきたのである。

資本主義の盟主、新大陸の盟主としての米国は、中南米諸国に社会主義的政権や独立志向が強く自主的外交を行う政権ができる事は、目にゴミが入るようなもので、大変嫌った。

理由は明白。米国にとって中南米各国は、収奪の対象。その連中が独立したり、自主外交をしたり、ましてや社会主義国になることなどあってはならない。そんな政権は、どんな手段を講じても、叩き潰す。これが米国の中南米各国に対する明確なメッセージ。この方針に従って、米国の政策は立案されてきた。

★チリ 【アジエンデ政権の打倒】⇒新自由主義政策の実験場
※もう一つの 9・11と呼ばれる。

一番悲惨な例が、チリのアジェンデ政権の場合である。世界最初の選挙で選ばれた社会主義政権と呼ばれた人民連合のアジェンデ政権は、チリの主要産業である【銅鉱業】(生産量世界一)をはじめ、主要産業を国有化する方針を打ち出した。当然なことだが、これらの主要産業を支配していたのは、米国資本。

権益の喪失を恐れた米国は、CIAを送り込み、チリの軍隊を教育。1973年9月11日にピノチェト将軍にクーデターを起こさせ、アジェンデ首相を殺害。政権を掌握。同時に数万人に及ぶ市民を拘束。市内のサッカー場で数千人を殺害した。その中に、フォークロア歌手として活躍したビクトル・ハラもいた。

※ビクトル・ハラ 
命尽きるまで歌とギターで戦い抜いた男
【 あの人の人生を知ろう~ビクトル・ハラ 】
 http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/jara.html

血塗られたクーデターで政権掌握したピノチェト将軍は、経済立て直しのために、ミルトン・フリードマンなどのシカゴ学派の経済学者=(新自由主義経済論の旗手)を招き、経済運営にあたらせた。

このあたりが米国と言う国の凄さだが、1950年代より、中南米の若者たちを米国に留学させ、新自由主義的経済理論を教え込み、それぞれの国へ帰国させた。チリのように政権転覆させ、新たな経済運営を行う時のために、理論も人材もそろうように周到な準備を行っていたのである。

(実は日本でも同様な事が行われている。戦後、日本のエリートたちの多くが米国で学んだ。小泉政権が新自由主義的経済運営にシフトした時、その理論的支柱になった竹中平蔵も同様。彼は、ゴリゴリの新自由主義者で、米国多国籍企業の代理人とでも言うべき人材)

そこで行われたのが、典型的な【新自由主義的経済政策】である。
①銀行など500の国営企業の民営化
②外国からの輸入自由化
③医療・教育などの公共支出の削減;公立学校⇒バウチャー・スクール チャーター・スクールになる。医療費は利用のつどの現金払い。幼稚園も墓地も民営化 学校での牛乳の配給停止(チリも貧しかったので、給食で栄養を取る子が多かった。その牛乳停止政策で、学校に来なくなった子供が増加した)
④パンなどの生活必需品の価格統制

よく見てほしい。現在、安倍政権下で進められている政策とあまり違わない。新自由主義的経済政策は、時代や国を選ばない。「民営化」という手法一点張りだと言う事。

当然、このような経済政策の帰結は、酷いものになる。
10年後のチリ経済
①累積債務⇒140億ドルまで拡大
②超インフレが襲う 失業率はアジェンデ政権下の10倍⇒30%・・⇒チリ経済破綻
③1988年⇒45%の国民は貧困ライン以下の生活 上位10%の富裕層⇒収入は83%増大

こんな状況に陥っても、フリードマンの評価は高くノーベル経済学賞受賞。ノーベル経済学賞とノーベル平和賞の政治力学が取りざたされるのも無理はない。

このチリの悲劇は、多くの証言や映像によって記録されている。

http://www.webdice.jp/dice/detail/4908/ 
(アメリカが仕組んだもうひとつの9.11―世界初の選挙による社会主義政権とクーデター
民族問題研究家・太田昌国さんによる『光のノスタルジア』『真珠のボタン』トーク・レポート

チリの軍事クーデターから45年、政治の力学、海外派兵、政治家の資質
http://www.kokusyo.jp/america/13269/

著名人も殺害…アメリカが主導した『もうひとつの9.11』
https://matome.naver.jp/odai/2141026974625216601

世界初の選挙で選ばれたアジェンデ政権の崩壊までを描いたパトリシア・グスマン監督の映画『チリの戦い』は、必見である。
https://www.huffingtonpost.jp/hotaka-sugimoto/chile-coup-history_b_12204650.html

チリの場合は、あまりに多くの国民が殺され、ピノチェト将軍の残忍さが際立った事例だが、これが典型的な米国の侵略のやり口である。

●チリの軍事政権支援と同様な手口が、70年代の南米で行われた。アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルなども新自由主義経済の実験場になった。
・ストライキの禁止・雇用主が労働者を自由に解雇する権利・外資の出資制限の緩和⇒国営企業の売却・・・・・⇒これまた現在日本で行われている政策。いかに日本が周回遅れの新自由主義イデオロギーの洗礼を受けているかが分かる。

南米の軍事政権の共通の手口
●反体制派の活動家を拉致して【行方不明】にする方法⇒背後にCIAが暗躍
アルゼンチンの場合⇒行方不明者 約3万人 (8割以上が16~18の若者)

この軍政下、多国籍企業が莫大な利益を上げる⇒GM、フォード、クライスラー、メルセデス・ベンツなど。

チリもそうだったが、これらの国々の経済政策も破綻する。

80年代、ラテンアメリカ各国で累積債務危機が発生。⇒75年の685億ドル→82年には3,184億ドル 約5倍近く膨れ上がった。

IMF(国際通貨基金)や世界銀行の方針(徹底的な新自由主義的政策の押し付け)

構造調整計画

債務返済を最優先⇒国内産業保護や外資の規制や社会福祉政策を撤廃させる⇒規制緩和、自由化、民営化を強制

公務員の削減、社会保障支出の削減、増税、公共料金引き上げ

公共企業の民営化・外資への売却・貿易の自由化

★結果
ほとんどの国で経済成長マイナス。
一人当たり所得⇒15%低下
失業者の総数⇒全労働者の44%
IMFや世界銀行の政策は、大失敗。

80年から89年の間に、この地域の一人当たりの所得は15%低下し、都市部での最低賃金はペルーで74%、メキシコで50%低下した。失業者の総数は全労働者の約44%に達した。90年代に入り、米ソの二極対立から、米国一強時代が到来する。米国は、中南米諸国への新自由主義政策をさらに強化した。90年、パパ・ブッシュ時代、米州イニシアチブ構想を打ち出し、94年に米州自由貿易構想を発表。

中南米諸国は、厳しい緊縮財政と民営化によって失業者は増大の一途。対外債務は増加の一途。中南米諸国全体で、7000億ドルを超えた。

99年、中南米の貧困人口は43・8%。一部の富裕層のみ肥え太る新自由主義政策の結末が明確に表れ始めた。

(3)ベネズエラの場合

90年初頭 ペレス政権 ⇒累積債務問題解決のためIMFと合意書
                    ↓
                 緊縮財政政策実行
                    ↓
公共料金の大幅引き上げ、各種補助金の縮小、廃止。基礎生活物資(コメ、小麦粉、粉ミルク、医薬品など)の価格統制廃止・自由化、付加価値税(消費税)導入
                     ↓
                 国民生活大打撃
1990年⇒政府管理課の三銀行売却 
1991年⇒VIASA航空 国営電気通信会社CANTV 民営化⇒米電機メーカーGTEと電話会社AT&Tなどが経営権獲得、所得税の最高税率引き下げ、輸入自動車の関税引き下げ
    ↓
(結果)
物価2~3倍に高騰(価格自由化)
インフレ率(89~98) 年平均53%
貧困層 82年=33・5%  96年=67・3%(半数以上が極貧層) へと上昇
        ↓
1989年 カラカソ大暴動
(原因)バス料金の値上げ 
(結果)1000人以上の犠牲者を出す

※ベネズエラの歴史 https://ja.wikipedia.org/wiki/ベネズエラの歴史
 (ウィキペディア)

◎新自由主義に対する戦い
1999年2月 ベネズエラ チャベス政権
2003年   ブラジル、エクアドル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア
2004年   ウルグアイ
反米左翼政権誕生

この中でシンボル的存在が、ベネズエラのチャベス政権。チャベス政権は、「ボリバル革命」を唱えて政権を奪取。
(具体的内容)
●大衆の政治参加 ● 米国支配からの独立 ●新自由主義反対 ●富の平等な分配 ●貧困の撲滅
※ボリバル革命⇒スペインからの中南米諸国の独立を主張したシモン・ボリバルの主張になぞらえた。

※シモン・ボリバル(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/シモン・ボリバル

政権掌握後のチャベスが実行した政策
①憲法制定議会設立⇔国民投票 ⇒新憲法制定
②憲法制定⇒国民が政策決定過程に参加できる。議員のリコール制導入。農地改革(大企業や大地主の農地を農民に分配)
③食料、教育、医療、職業を保証
④石油資源は国家管理下に置かれる  ベネズエラの主要産業 輸出総額の約80%、国庫収入の50%、国内総生産の25%を占めている。
⑤領土内への外国軍隊が入る事を禁止
⑥共同評議会・・200~400世帯を単位として、全国に設けた。共同評議会は予算を持ち、条例も作る事ができた。⇒地元の問題について決定できる権限を保有
⑦住民参加を拡大⇒教育、医療、食料助成、社会サービス、土地改革、環境保護などの社会開発計画への住民参加を制度化した。
⑧低所得者対策の充実⇒住宅建設や医師の派遣、安価な基礎食料品の供給、低所得者向けの無料の食堂の運営、識字教育、失業者の職業訓練など。

【結果】
 GDP 2002年 920億ドル ⇒ 2006年 1700億ドル
 失業率 1999年 16% ⇒ 2006年 9・6%

チャベスの改革は、米国の中南米支配との戦いだった。米国のNAFTA(北米自由貿易協定)を南米に拡大しようとした試み(米州貿易圏構想)に反対、挫折させる。中南米諸国の自立に向けた戦いを繰り広げた。

チャベス(ベネズエラ)は、石油資金を外交の武器に使い、キューバとの関係を構築。石油をキューバに提供する代わりに、医療などの人材をキューバから受け入れた。

●石油メジャー支配に抵抗。
2006年にはブラジル、アルゼンチン、ボリビアとともに、ベネズエラの石油と、同国およびボリビアの天然ガスを南米南部まで送るパイプライン網建設計画。
●南米開発銀行を創設する構想。
●キューバ、アルゼンチン、ウルグアイなどに働きかけて、2005年7月に国際テレビ放送網「テレ・スル」を発足させた。

チャベス大統領率いるベネズエラは、米国の南北アメリカ支配計画に大打撃を与えた。このため、2002年4月11日に、CIAの支援を受けて軍部によるクーデターが発生した。チャベスは軍に監禁され、代わりに元ベネズエラ商工会議所連合会 (Fedecámaras) 議長のペドロ・カルモナが暫定大統領に就任するという事件が、既に起きていた。

一瞬成功したかに見えたクーデターは、民衆による巨大な抗議運動がおこり、チャベスを支持する軍の一部と国家警備隊がチャベスを奪還。クーデターはわずか2日間で失敗に終わった。

この事件の詳細は、偶然そのときにベネズエラを訪れていたカメラマンによって記録されていた。NHKのBSプライムタイム「チャベス政権 クーデターの裏側」 でも紹介された。わたしも、この掲示板に投稿した記憶がある。
https://www.youtube.com/watch?v=aZXAzhm2zJ8

上記に書いたチャベス政権の政策は、きわめて反米色が強く、中南米諸国を完全に支配下に置きたい米国支配層にとって、目の上のたんこぶとでも言うべき存在だった。

その後もチャベス暗殺計画があったのだろうか、チャベス大統領自身がCIAの暗殺計画を告発している。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=146580


チャベス大統領の死についても、CIAの関与を疑うものは絶えなかった。それだけ、中南米諸国に対する米支配は強烈で、それに抗うものは、常に命の危険を覚悟しなければならなかった。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
流水
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「空母」机上論のアホ総理、大臣、官僚

2018-12-30 10:49:02 | 安全・外交
護衛艦の空母化と、そのためのF-35B導入に戸惑い、呆れているのは一番危険を背負う自衛隊のパイロットでしょうね。

空母はF-35Bを”載せているだけ”では、張り子のトラです。甲板上で常時さらされた時の塩害、時化た海で離着艦を行う困難さ。米国空母が艦載機の離着艦時に救難ヘリをホバリングさせているのは、なぜか。通常、F-35Bの垂直離着陸は狭小の”上下左右に揺れない”地面を想定しています。

米国は、敵地へ切り込む海兵隊のAV-8B ハリアーⅡ(ベースは英国製)に替えて、米国軍需産業のために次世代型のF-35Bを導入したいのでしょう。

せめて国産化(部分的に国内生産)してF-35Bのノウハウを吸収しよう・・・と軍需産業に数千億円を設備投資したのに、アホ総理の鶴の一声により”言い値”FMSで完成機を購入”へと方向転換。

膨大な開発費を上乗せされ、米国内で「高価すぎる!」と批判されるF-35シリーズやオスプレイですが、日本がワリカン・・・どころか、いくらでもツケを払ってくれるのだから大喜びでしょう。

「常に飛行機を載せていないから、空母ではない」とのたまうアホな政治家は、自衛隊のパイロットに土下座してほしい。荒天、強風、突風、雨天、濃霧など気象条件の悪さは陸上への垂直離着陸でさえ難しいことがあります。

「空母を持つ」ということは「海上自衛隊の戦闘機パイロットが必要」ということ。タテ割りの航空自衛隊と海上自衛隊が共同で指揮・運用するという事です。米国がそのバックヤードに、どれだけの時間とカネをかけてきたか。

さらに空母は、単体では運用できません。数千名の乗員とともに撃沈されないため、護衛艦・イージス艦・潜水艦など10隻前後で防御形の艦隊を組みます。米国では「空母打撃群」と呼び、北朝鮮の威圧に派遣されたのは記憶に新しいところです。

一隻の空母から始まり、その整備港の整備、艦隊の維持費用、保守点検中の”もう一つ”の艦隊づくり、艦載機の購入・整備維持・機材更新、”海軍”パイロットの養成・・・等々。どれだけ「国防費」が底なしになるか、年単位の時間がかかるか、想像がつきますか?

空母化という遠回りの改修作業に血税をつぎ込み、「まずは威張れる空母が欲しい」といきがる、机上論のアホな輩たち。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
猫家五六助
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