老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「日本はなぜ、『戦争ができる国』になったのか」を読む(その2)

2024-05-04 09:54:30 | 安全・外交
1,はじめに

前回のコラムにつづき、今回も矢部宏治氏の著書「日本はなぜ、『戦争ができる国』になったのか」を元に、私の疑問である「憲法のミステリー」(謎解き)に迫ります。前回のように矢部さんの本の紹介なら、読者に読んでもらえば済む話なので、自分の「理解」に限定しての投稿になります。

その理解の一端を言うと、矢部さんの本が出る以前には、憲法学者たちが「謎」として意識しておらず、まして一般国民は「米軍基地」の多さとアメリカとの関係だけが突出していることに慣れっこになっていて、学者もそれを受け入れていた節があり、今回の著書の解読では、「日本人というのが、怠惰な国民である」との認識でした。(憲法のこれからの命運ぐらいには関心をもてや、という意味です。)

2,憲法の起草者であるマッカーサーの最初の構想に関して

矢部氏の本の見出しでは、『戦後世界の新しい理想、国連軍構想』となっていて、そこで、日本近代史研究の権威、ジョン・ダワー氏は、「マッカーサーの構想では、日本の「非武装中立」は、沖縄を含む太平洋の主要な島々に、国連軍を配置することによって守られることになっていた」と述べています。(「昭和」ジョン・W・ダワー著・みすず書房)

矢部氏が言うように、マッカーサーは、「国連軍」という今では聞きなれない「軍」を配置して、軍事力を持たない日本の防衛を維持するという、今となっては「信じれれないような」構想をしていたというのです。
しかしながら、矢部氏が続いて言うように、このマッカーサーの「国連軍」構想はあっけなく実現不可能になってしまいました。

次に、矢部氏は、日本の安全保障が持つ二つの側面に関して、重要な問題点を指摘しています。
NATOの太平洋版として構想された「太平洋協定」に関してです。

日本の憲法学が軽視しているような構想ですが、(もちろん、政府も)つまり「太平洋協定」というのは、通常の安全保障協定の役割を持つと同時に、日本が占領の終結後、再び侵略的な軍事行動をとるようになったらどうするのだという、近隣諸国の強い軍事上の不安に配慮した構想でもあったという。

3,この「太平洋協定」の構想も現在ではかなり重要な問題点になっていますが、(政府は麻生太郎副総裁に、「台湾有事」を強調する如きの、「戦う覚悟」、と言わせている)、今回コラムでは、マッカーサーの「国連軍」構想が実現せず、なぜ、米軍基地というアメリカ軍の在留継続となっているのか、その「謎解き」に論点をシフトします。

この著書の見出しでは『1,朝鮮戦争直前-マッカーサー・モデルの崩壊』として、次のように述べる。

『これから検証する。「米軍=国連軍」→「米軍アンチ≒国連軍」というプロセスはある意味では、「マッカーサー・モデル」の崩壊プロセスということもできるでしょう。
その劇的な最初の崩壊が起こったのは、朝鮮戦争が始まる2日前、1950年6月23日のことでした。この日に書いた覚書(6・23メモ)の中で、マッカーサーは
①日本全土が、米軍の防衛作戦のための潜在的基地とみなされねばならない。
②米軍司令官は軍の配備をおこなうための無制限の自由を持つ。
③日本人の国民感情に悪影響を与えないよう、米軍の配備における重大な変更は、米軍司令官と日本の首相との協議なしには行わないという条項をもうける。しかし、戦争の危険があり場合はその例外とする。』

(続けて)

『「えー、なんだこの条文は」と思われたかもしれません。(中略)われわれ日本人にとって信じがたいことですが、あの滅茶苦茶な米軍の特権を定めた条文の執筆者は実は、「日本の本土には絶対に基地を置かない」と言い続けた、マッカーサー本人だったのです。いったいどうして、こんなことが起こってしまったのでしょうか。』

引き続き、矢部氏は、マッカーサーの「方向転換」の謎を解明して、次にように述べる。

『しかし、占領終結後も米軍(占領軍)が日本の本土に駐留し続けることは、「占領の目的が達成されたらに占領軍は直ちに日本から撤退する」と書かれたポツダム宣言に、完全に違反します。(中略)
そのため彼は、それまで自分が行ってきた占領政策と、なんとか矛盾しないかたちで日本本土への駐留を認められないか、頭をひねっていたのです。』

そんなマッカーサーに絶好の知恵を与えたのは、やはりダレスでした。

4,ダレスのアドバイス「国連憲章43条と106条を使えばよいのです。」

矢部氏は本文の中で、上記のように、マッカーサー元帥にアドバイスをしたと言うが、それは矢部氏の想像であるとして、次のように結論づけている。本文の見出しでは『「国連軍のようで国連軍ではない」在日米軍の誕生』となっている。
曰く
『つまり、正規の国連軍ができないあいだは、国連憲章の中にある「暫定条項(106条)」を使って、日本が「国連のようなアメリカ」とのあいだに「特別協定のような二か国協定(=旧安保条約)」を結んで、「国連基地のような米軍基地」を提供すればよい。それは国際法のうえでは合法です。」とダレスは言っているのです。
そして、その結果、マッカーサーは心を痛めることなく、「日本の国土全体を米軍の潜在的な基地とする」という基本方針を執筆することができたのです。』

上記の矢部氏のまとめで、長年の「謎」が氷解しました。

それと、私が疑問を抱いていた、「国際連合」というアメリカに本部を持つ国際機関の「正体」の謎解きもこの本で書かれていました。
矢部氏は、169頁の見出しで、次のように書いている。
『国連は自分がつくったと考えていたダレス(ジョン・フォスター・ダレス国務長官)』

矢部氏の著書で、なぜ米軍が占領後も日本本土と沖縄に駐留しているのか、そして、治外法権を持つが如きの、外国の軍隊が日本の主権でもある制空権まで権利として掌握できるのか、「謎」は解明されたのである。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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いつの間にやら、空母が2隻。(-_-;)ゞ

2024-04-09 20:49:21 | 安全・外交
故・安倍晋三が”積極的平和主義”なる陳腐な造語を喧伝し、国会で122回ウソをつき、軽々しい閣議決定で方向を決めた日本の安保政策。

① 空母は保有しません→前後分割甲板のヘリ空母を建造。
② 空母ではなく「ヘリ搭載護衛艦です」
甲板が前後分割だから航空機は離発艦できません
→艦首~艦尾まで通った甲板の大型ヘリ空母を建造。

同時に、航空自衛隊が垂直離着陸できる戦闘機F-35を導入。
また、垂直離着陸できるが安全性・安定性に欠陥のあるv-22オスプレイも導入。
V-22オスプレイを購入したのは日本だけ。それも今年、米国で生産打ち切りになるというのに整備増強して、空母に載せようという魂胆。
それらをヘリ空母に搭載するのでは?と突っ込まれた政府は、

③ 航空機は艦内に格納できません→大型エレベーターを装備。
④ 航空機が離発艦できる強度はありません→耐熱耐荷重のある飛行甲板に改修。
⑤ 米軍空母からF-35とV-22を呼び寄せて、離着艦テスト。

ついに、日本は戦艦大和に匹敵する大きさの空母を2隻保有しました。
「空母ではなく、大型護衛艦です。災害時には輸送艦になります」と国民に説明していた言葉は、どこへ消えたのですか?

◆海自の護衛艦「かが」大規模改修で飛行甲板が長方形に…事実上の空母化で「F35B」発着艦に
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E6%B5%B7%E8%87%AA%E3%81%AE%E8%AD%B7%E8%A1%9B%E8%89%A6-%E3%81%8B%E3%81%8C-%E5%A4%A7%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E6%94%B9%E4%BF%AE%E3%81%A7%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E7%94%B2%E6%9D%BF%E3%81%8C%E9%95%B7%E6%96%B9%E5%BD%A2%E3%81%AB-%E4%BA%8B%E5%AE%9F%E4%B8%8A%E3%81%AE%E7%A9%BA%E6%AF%8D%E5%8C%96%E3%81%A7-%EF%BD%86%EF%BC%93%EF%BC%95%EF%BD%82-%E7%99%BA%E7%9D%80%E8%89%A6%E3%81%AB/ar-BB1lgDSN?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=07968ca78fa44e82898a331351d16b89&ei=7

事実上の空母化・・・って、書いちゃうんですね?読売新聞さん。記事には、
「政府は2018年に定めた中期防衛力整備計画で、警戒監視や有事の際の防空態勢を強化するため、いずも型の2隻について、事実上の空母とすることを明記した。」
とも。さすが、ネトウヨみたいなweb版を運用するマスメディア。全国紙が、すでに空母化を容認している。権力への批判がない御用新聞、まるだし!

今後、空母2隻で済むわけがない。空母を守るミサイル護衛艦、露払いのイージス艦、隠れたところに潜水艦・・・アメリカ海軍の空母打撃群を見ればわかるでしょうに。おカネなんか、いくらあっても足りるワケがない。だから、防衛予算だけ複数年で確保する。

こうやってズルズルと、「専守防衛」という線引きを「先制攻撃」の方へズラしていくんです。「空母じゃない」と強弁していた国会議員は辞職せよ!

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
猫家五六助
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コラテラル・ダメージを傍観する日本政府

2023-07-24 09:34:30 | 安全・外交
1週間以上前になるが、平日の午前中、頭上でジェット機の排気音が響いた。頭上と言うよりも聞こえてくる方向がわからないほど、空全体に響き渡る轟音。

私に聞き覚えのある飛行機といえば、はるか上空を飛ぶジェット旅客機の「ゴォォォォ・・・」だが、軍用機は一段と排気音が大きい。厚木基地に飛来する、映画「トップガン・マーベリック」で有名なF-18の「キィーンン、ゴォー!」。大気を低周波振動させながら低空を通り過ぎるMV-22オスプレイの「ヴォンヴォンヴォンヴォンッ!」。その他、横田基地に飛来する大型旅客機や大型輸送機の「グォォォーッ!」など。

しかし、件の轟音は異質だった。「ヴォォォーーーッ!」が2~3機まとまって飛んでいるような響きで、ついに戦争が始まったのかと思うほど。私は今まで一度も聞いたことがない轟音に疑念がおさまらず、しばらく四方の空を見回して機影を探していた。

ところが先週土曜日、このネットニュースを目にして、私の疑問は氷解した。

7月12日付【アメリカの戦略爆撃機『B-52』が横田基地に飛来して驚く軍事ファンの皆様「何年ぶりの飛来だ?」「それにしてもデカい」】
https://togetter.com/li/2185000

7月20日付【横田基地の「B-52戦略爆撃機」離陸!7月12日にダイバート、アメリカ空軍】
https://flyteam.jp/news/article/139391

なんと、あのB-52が横田基地に着陸する際の騒音だったのだ。「あの」とは、ベトナム戦争の北爆で大量のナパーム弾を投下した大型爆撃機であり、燃料を浪費して騒音をまき散らす6基のジェットエンジンを載せ、沖縄・嘉手納基地で離発着を繰り返した悪名高い軍用機を意味する。正体不明の轟音は米軍基地騒音の原点ともいうべきB-52だったわけで、私は悪い意味で納得した。

当日は機体の不調による緊急着陸だったようで、8日間滞在して7/20に飛び去ったが、東京新聞には掲載されていなかった。TVメディアで報道されたのだろうか。当然ながら、日米安保協定により「何を」積載していたかを米軍は公表しない。B-52は現在も核兵器を搭載可能な戦略爆撃機として運用されているのに、だ。

表題の「コラテラル・ダメージ」とは、軍事行動において関係のない民間(人)が被害に遭う、損害を受けることを意味する英語である。武力の行使によって発生する間接的な被害で、別名「巻き添え被害」とも呼ばれている。カッコよく言えば、「大義をなすための最小限の被害」。しかし、日本では「在日米軍が好き放題する陰で泣き寝入りする周辺住民」「『国益』をゴリ押しする政治家に泣かされる弱者・国民」と訳すことにする。

ウィドウ・メーカー(未亡人製造機)と揶揄されたV-22オスプレイを陸上自衛隊が導入し、佐賀空港へ配備する準備を進めている。一方、在日米軍のMV-22は最低飛行高度が60mに引き下げられるという。日本では法律上の最低飛行高度が150mで、それを大きく下回るのに「訓練」という米軍の要望が優先される。「オスプレイは安全」というが、それは民間機の徹底した安全レベルではない。軍用機は消耗品であり、安全よりも兵器としての機能性・利便性を優先している。それゆえ、訓練や戦場では予期せぬ運用・不安定な飛行状況を強いられ、結果的に「人為的ミス」「想定外の事故」「事故は起きても仕方なかった」で処理される。

直近では沖縄・嘉手納基地と東京・横田基地で米軍が大量に漏らした、発がん性物質を含むPFAS(ピ-ファス、有機フッ素化合物)消火剤の問題。以前から地下水汚染の疑惑を民間団体が指摘しているのに、東京都も政府も「知らぬ、存ぜぬ」を繰り返してきた。ところが、在日米軍は4年前に漏洩事故の事実を政府に報告していたことが発覚。それを「連絡の行き違い」と、くだらない言い訳をする官僚。

少なくとも米軍はコラテラル・ダメージを定義し、“占領地”“治外法権”の日本においても危機管理は意識している。その日本の政府は何をしているのか?なぜ、米軍・米国に及び腰なのか。国民の被害を、しら~っと傍観しているのか。“愛国”政治家や官僚(特に外務省)は国家・省益を守っても、国民を守る気がないらしい。意に沿わない者を「非国民」と弾圧し、兵隊を虫けらのように扱い戦死させた大本営的発想と何ら変わりない。

こんな日本に防衛力強化や防衛費の大幅増額なんて、ナンセンス。「改憲が党是」とかいう前に、アベノ残党と岸田政権は日本国憲法を学び直し、憲法を護るべし!

「護憲+コラム」より
猫家五六助
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「世界で最初に飢えるのは日本」を読む(その1)

2023-06-03 14:23:49 | 安全・外交
1.(はじめに)

戦後史(戦争も含む)を検証している中で、歴史学が見落としているのではと思う「敗戦直後の食料事情」に疑問を抱いた、この一年であった。

ある判事の餓死事件(山口判事の餓死)がきっかけで、当時の政府が採った食管法をもう一度再考するべきではないかと考えるようになっていた。結論を先取りして言うと、当時の政府は、食管法に基づき、配給だけで生活することを国民に強制していた。山口判事の餓死は、彼の餓死という問題に還元できない、国民すべてに襲い掛かる餓死という問題であり、「事件」だったのである。

そして、現在でも、その餓死の危機的状況は日本に迫っているのではないかと思い巡らせている時に、鈴木宣弘東大教授の上記タイトルの著書に出会うことになった。

この本は、新書版であるが、かなりの情報量であり、一回でその概略を紹介できる構成とはなっていない。今回と次回で、分けて紹介したい。

最初に問題のキーワードになることがある。それは何故、日本の「食料自給率が37パーセント」と低いのであろうか。その「疑問」を解く謎の解明は、鈴木教授がすべて、この著書で書きつくしている。

2.「大惨事が迫っている」国際機関の警告

この見出しで、鈴木氏は、次のように述べる。
『いま、世界中で、かつてない規模の食料危機が迫っている。WFPとFAOは、2022年6月に、ハンガーホットスポットーFAO-WFPの急性食料不安に対する早期警告という報告書を発表している。
新型コロナウィルスの拡大や、ウクライナ戦争の影響などにより、世界20か国以上で深刻な飢餓が発生すると「警告」したのである。(中略)
「世界同時多発食料危機」が、現実の世界でも切羽詰まった問題になっているのである。
その中で、日本の食料問題もまた、深刻な脅威に直面している。』

そして、さらに鈴木氏は概ね、次のように述べる。
『筆者が主張する根拠は、日本の食料自給率が今後大幅に低下するという試算にある。
日本のカロリーベースの食料自給率は、約37パーセントという低水準だ。しかし、37パーセントと言うのは、あくまで楽観的な数字に過ぎない。
農産物の中には、種やヒナなどを、ほぼ輸入に頼っているものもある。それらを計算に入れた「食の自給率」はもっと低くなる。
農水省のデータに基づいた筆者の試算では、、2035年の日本の「実質的な食糧自給率」は、コメ11パーセント、野菜4パーセントなど、壊滅的な状況が見込まれるのである。』

この後の文章で、鈴木氏は、なぜ、世界の食料問題が危機的な状況を迎えたのか、現状分析などを具体的に述べているが、肝心の日本の農政の失敗に関して、次の見出しで、日本の「食の安全保障」(全くないが)を批判して、読者である私たちに、岸田政権の欠陥を突き付けるのである。

3.日本には「食料安全保障」が存在しない(鈴木氏曰く)

『2022年1月17日に行われた岸田総理大臣の施政方針演説で、「経済安全保障」という言葉が語られた。だが、そこに、「食料安全保障」、「食料自給率」への言及はなく、農業政策の目玉は、輸出振興とデジタル化であるとされている。(中略)
勿論筆者も輸出振興を否定するわけではない。だが、食料自給率が約37パーセントと、世界的にも極めて低い日本にとって、食料危機が迫るいま、真っ先にやるべきことは、輸出振興ではない。国内生産の確保に全力を挙げることである。(中略)
いま、日本に突き付けられているのは、食料、種、餌などを海外に依存する度合いが大きすぎれば、いざという時に国民の命を守れない、という現実である。それなのに、より自由化を進めて、貿易を増やすことが安全保障であるといった、筋違いの議論は、いまだに横行しているのである。』

4.かくして、鈴木氏の説得力のある日本の食料事情の危うさを訴える実証的な報告で、日本政府の「農政」の失敗が理解されたと思うが、このような食糧自給率の貧困は今に始まった事では、勿論ない。

それはこの本で、その「原因」となった日本の「農政」の失敗が、実はアメリカの日本への「計画的な策略」に起因していることが、明らかになるだろう。その策略に手を貸したのが、政府の官僚、とりわけ、財務省などであったことを著者は言及している。

この詳細は、次回のコラムに続きます。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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安全保障は軍事問題なのか

2023-03-11 14:33:32 | 安全・外交
1,前回のコラムで、「軍事問題の安全保障」という日本政府のスタンスへの疑問を提示したが、今回も、「経済安保」とりわけ「食の安全保障」という視点から、戦後の再検証を考えていきたい。

何故か。現代史家が隠蔽してきた、敗戦直後の食料管理法下で「食糧難」に直面した都市住民の置かれた状況は、現在においても再考するべきだと思うからである。

ロシアのウクライナ侵攻で、日本はアメリカに追随して、経済制裁やウクライナへの援助を大々的に行っているが、物価や光熱費の値上がりはとてつもない状況である。

これは、70年代から本格化した、世界経済のグローバリゼーションの帰結であり、日米が恣意的に宣伝する「共産主義圏は除外する」という虚構の言説とは異なり、グローバリゼーションはロシアや中国を素通りする、と言うプロパガンダ問題ではありえない。

2,時間軸を少し遡って、日本の「食料自給率40パーセント」(現在は37パーセント)という驚異的な数値に焦点を当てたい。私が危惧するのは、何故、日本は食料自給率を40パーセントにして、安心しているのか、ということだ。

結論から先に言うと、この自給率の低迷は、日本の戦後の「食糧難の時期」に遡る問題であり、おそらくこの時期に、アメリカの食料援助と同時に、小麦粉や大豆の輸出(日本なら輸入)が「戦略」として入って来たからに他ならない。

平賀緑さんの著書「食べものから学ぶ世界史」(岩波ジュニア新書)では、アメリカからの植物油と小麦粉の食事転換への誘導があった、という。この時代以降、日本人の食生活は和食中心から転換し、小麦粉の需要が多くなる。具体的には、インスタントラーメンなどの需要が普及した。

また、「和食」と言っても、その実体は輸入食品がほとんどであり、「和食」ということ自体がレッテル詐欺に近い。

3,食料自給率37パーセントの大きな問題点

最後に、何故食料自給率が低いと問題なのか。それは、最初に述べたように、敗戦直後の「食糧難」時代の再現になる可能性が高いからである。

何故か。一番の危機は、日米政府が躍起になっている、中国などへの敵視政策と軍事増強が、単なる防衛問題を越えて、東アジア有事へと一歩踏み出していると思えるからである。

特に、過去の中国の内戦期に、蒋介石が指導した国軍が台湾に移り、台湾政府を樹立して政治的に独立したが、現在、アメリカ政府は、中国が台湾に侵攻すると称して、再び「台湾有事」へと寝た子を起こす戦略を構想している。

これに日本が巻き込まれると、日本列島は隣国であるだけに戦場になる危険性は高い。そうなると、食料自給率の低い日本では、兵站が間に合わず、軍事的な武力の面でなく、食料難が押し寄せると予測できる。

これが、私の危惧する「敗戦直後の食糧難」の再現ということなのである。

次回は、この食糧自給率の低迷を脱却する処方箋の問題を解明する、というテーマに移行したい。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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フト思ったこと---対抗する軍事力強化は至極当然な市民の安全を保証するものだ、の考えに竿を指してみたいが、かなり手強そうだ

2022-11-24 21:59:11 | 安全・外交
NATOなみにGDP2%を目途に防衛力を強化するというアドバルーンが打ち上がっている。ウクライナ問題や北朝鮮の核ならびにミサイル騒動が日々話題になっている折り、市民の安全を確保するには至極当然な考えにも見えるが、市民の安全保障策として軍事のみに頼る論が先行する状況に敢えて異論を提示したい。

5つ程、異論のポイントがある。

1つ目は、お金のこと。5%UPは5兆円程に相当するという。政府の目論み通りGDPの2%へ防衛費が上がれば、いずれ消費税が2%をはるかに超える割合であがるだろう。

2つ目は、現在の5兆円が10兆円に上がることで、利権にたかる所謂白アリが喜ぶだけの構図が拡大することを、指をくわえて見るだけという閉塞感がまたまた募ることになろう。
また今日、官房長官がシェルター構想まで持ち出してきている。市民の恐怖につけ込んだ何時もの箱物行政の臭いがする。

3つ目は、軍事力競争というものは、そもそも経済力そして科学技術力に優るものが勝つに決まっている争いと言える。ある意味、産業革命・植民地獲得競争や革新技術開発競争等の場面において狡賢く立ち回り経済的に優位に立った組織程、勝ち残る世界を表している。そんな世界を拒否する考えがあっても良いのではとも思うのだが。
残念ながら品性に基づく議論は軍事力競争批判の際には、迫力が無いことは承知の上で敢えて触れておく。

4つ目は、今回防衛に関わる費用増額の議論の中に先制攻撃力を加えるという考えも混ぜられている。お互いが先軍思想に走り、盾と矛との武器開発調達合戦を互いに繰り広げる状況は、双方の疑心暗鬼のなか何かのきっかけで戻ることが不可能な最悪状況に陥る可能性が生まれる危険な議論との認識が大切と考える。
核まで普通に持ってしまっている現代の軍事情勢のもとでは、血気にはやった一時の熱気位で即断して欲しくない問題と考えたい。

5つ目は、帝政下のドイツに生まれたユダヤ人哲学者レオ・シュトラウス(シカゴ大に奉じネオコンの祖と目され、毀誉褒貶の激しい面もある学者として知られる)の論説を紹介する形になる。

彼の主張の一つは、近代社会に入った我々は“科学”と“哲学”とを分離し、しかもただ分離しただけでなく近代社会の我々は“科学”の側に軍配を挙げ“哲学”の方を追放しようとした、ということである。従って近代社会成立以降の革新的科学技術は“哲学的価値観”抜きの単なる”有用性”だけを利用して進んでいる社会といえる。この点が一つ。

もう一つの彼の主張は“思想の自由”に関することである。普通、“思想の自由”は至極当然で自明な基本的人権と思われている。しかしシュトラウスは“思想の自由”とは、大多数の市民にとっては、少数の弁論家や著述家たちが提示する幾つかの見解の中の一つを単に選択することにすぎないことだ、と主張する。

ここにおいてもしも公権力が大多数の市民に提示される見解の選択肢の幅を恣意的に規制し、狭めた場合、どのようなことが起こるだろうか?と問うている。かかる状況のもとでは、大多数の市民にとって異論は存在せず、公権力の誘導する選択肢だけが唯一の正当なものと、大多数の市民が判断するのは至極当然のこととなる。即ち、大多数の市民は自身が自由な立場から選択を行ったと思うかも知れないが、実態は誤誘導の罠に囚われているという事態が懸念されるわけである。

だがこれは第一の局面の懸念だとして、シュトラウスはそれだけでは留まらない次の懸念もあると続けている。

第二の局面の懸念は次のような状況を指す。即ち第一の局面で、大多数の市民が公権力の誘導する見解を正当なものと判断し受容したとしても、そのお仕着せの見解に従わない真に独立した思考を持つ少数の人の存在まで根絶することは出来ない状況が残るだろうとシュトラウスは想定する。

しかしその生き残った少数者の異論は、彼ら少数者の勇気や信念が如何に強靭であったとしても、また如何に人類の進歩による思想の自由の実現が期待されようとも、長く生き続けて行くことは困難だろうとしている。しかもその生き残った少数者の異論をつぶすのは公権力ではなく、公権力の誘導する見解を正当なものと判断し受容した大多数の市民が行うのだ、と論じている。

このシュトラウスの2つの局面に対する視点は、自民一党支配が長く続く日本の特異性を示唆する見解であろう。

“防衛力強化を検討する政府の有識者会議”の見解は、新聞・雑誌・TVとうのマスコミ媒体に踊る有識者や芸人らによる影響によって強化され、市民への浸透が加速されていくことだろう。これを食い止めることには、かなりの智恵を絞る必要があろうし、そうした上でも極めて困難なことと心得なければならないだろう。

一方、設立されたとされる、軍事力ではなく平和外交による安全保障を目指す「平和構想提言会議」には、一方に偏りがちな世論のバランスを取る為にも最大限の努力で取りくむことを期待したい。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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Jアラートと有識者会議の提言

2022-11-23 15:41:55 | 安全・外交
『防衛力強化を検討する政府の有識者会議(座長・佐々江賢一郎元駐米大使)は22日、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や安定財源確保のための増税などを求める報告書を岸田文雄首相に提出した。』
(東京新聞 Tokyo Web 11月22日 21時26分)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/215524

この提言に先立つ11月3日朝、北朝鮮により弾道ミサイルが発射され日本上空を通過する可能性があるとして、8時過ぎにJアラートが発令され、発令と同時に地上波、BS全てのテレビ局で番組が中断され、不快な警報音と共に、あやふやなミサイル発射情報と、宮城、山形、新潟の3県を対象にした避難の呼び掛けが、ほぼ一時間にわたって続けられた。

その間に「7時48分ごろ通過したとみられる」との情報が一旦流れたが、結局通過は確認されず、その後ミサイルはすでに日本海に落ちたか行方不明だったとの「訂正」が発表され、結果としてJアラートは当該3県を始め、全国を巻き込んだから騒ぎに終わった。

後日、テレ朝のモーニングショウは、この事例を「検証」する特集時間を設けたが、「弾道ミサイル情報」を「地震」や「大雨」、「洪水」などの自然災害情報と同等に位置付け、「例え不発だったとしても、命を最大限守るために警報は出すべき」との結論に導き、「不正格、遅すぎ、役に立たない情報」発令の是否ではなく、「警報に際し国民がどう行動すべきか不明確」なことのみを、問題点としてクローズアップしていた。

昨今の政治の動きを見ていると、国民の「不安」や一時的な「お得感」を煽って、政府の望む方向に国民世論や行動を誘導しようという意図がやたら目立つ。また、テレビを始めとするマスメディアも、その誘導に荷担する姿勢があからさまになっているように思える。

その帰結として導き出されたひとつが、今回の有識者会議の提言であり、報告書を受け取った岸田首相は、「(省庁の)縦割りを排した総合的な防衛体制の構築の検討を進めたい」と応じたという、政府の筋書き通りの展開になっている。

一方で、東京新聞は同じ紙面の中で、
『「政府の議論は極めて危うい」…研究者らが団体設立 平和外交による安保目指し提言へ』という記事も併せて報じている。

それによると、
『防衛力強化や防衛費増額を巡る政府・与党の議論を危ぶむ研究者らが「平和構想提言会議」を設立した。政府が12月末までに改定する「国家安全保障戦略」など3文書の対案として、軍事力ではなく平和外交による安全保障を目指す提言を来月中旬にもまとめ、公表する。
会議は、憲法学者の青井未帆学習院大教授や、非政府組織(NGO)ピースボートの川崎哲共同代表ら15人の有志が10月に発足させた。戦後の安保政策の転換につながる敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費の増額、殺傷能力のある武器の輸出などの議論が、幅広い視点を欠いたまま進んでいるとして、憲法の平和主義に立脚した提言を政府や国会、国民に示したい考えだ。』とのことだ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/215524

安全保障政策として日本が今まずやらなければならないのは、より正確な情報を、よりタイムリーに把握・提供することであって、不正確な情報を発して、国民の不安をあおり、その不安を背景に反撃能力を増強することではない。

「日本国憲法」の理念を大切に思う「護憲+」のメンバーとして、「平和構想提言会議」の設立を支持し、提言の行方を見守りたい。

それと同時に、生活者の一人として、コロナ感染の不安に加え、物価高騰と年金・福祉の縮小によって、ただでさえ生きづらくなっている私たちの暮らしに対して、脅しや誘導で更なる増税に導き、苦しみを与えて恥じない岸田政権には、政権内の内向きの論理を改めて国民生活に真っすぐに目を向け、本当の安全や豊かな生活を実現するために全力を尽くすことを、強く求めたいし、それができないのなら、早急に政権の座を明け渡してもらいたい。

そして、政権交代の必要性を踏まえ、立憲野党がより強く逞しくなるよう、私自身、これからも応援し続けたいし、一市民として、今後もできることを、微力ながら誠心誠意やっていきたいと思う。

「護憲+コラム」より
笹井明子
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自衛隊海外派遣、隠された「戦地」の現実

2022-05-23 14:24:53 | 安全・外交
◆著者;布施祐仁、集英社新書、1,034円
表題の書籍について、東京新聞に独協大名誉教授・古関彰一さんの書評が掲載されていました。
ウクライナ情勢を踏まえた政治家や識者の国防・先制攻撃・改憲論が声高になる中、「そうすると、どうなる」を考えてほしい内容です。
※東京新聞webサイトから抜粋
https://www.tokyo-np.co.jp/article/178677

+++++++++ ここから +++++++++++
本書は「百聞は一見に如かず」という言葉を眼前で教えてくれる。首相が国会で「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域」などと言っていたイラクのサマーワは、現地では迫撃砲が飛び、ロケット弾攻撃の現状にさらされていた(2004年、小泉首相)。

政府のPKO5原則には、「停戦合意や受け入れ合意が崩れた場合は、撤収する」と書いてあったが、カンボジアPKOの現実は、5原則と乖離していた、という。

著者は現場取材ばかりでなく、情報公開によって自衛隊の「イラク行動史」などを入手・検索し、あるいは当時の部隊幹部にインタビューをしており、本書は実に手堅い実証的な書物なのである。

というのも、従来の自衛隊報道は、「現場」がない、せいぜい「演習」の実態を報じてきたにすぎなかった。しかし、本書は、PKOが中心ではあるが、自衛隊を文字や言葉による「観念」ではなく、「戦場」の自衛隊の「現実」を検証して、その是非を論ずることを可能にした。   

また、自衛隊の今後に起こりうる問題も指摘している。「指揮権」問題である。政府はカンボジアPKOの際にも「指揮」を「指図」と翻訳し、政府統一見解で、国連軍への指揮下に入る「参加」ではなく「協力」であり、武力行使と一体とならない、としてきた。

それは、イラクの多国籍軍への参加の場合も、多国籍軍の指揮下に入らず「連絡・調整」であり、他国軍の武力行使と一体化しない、と閣議決定していたのだ。

ところが、著者が見た自衛隊の「バグダッド日誌」によると、多国籍軍の司令部に二人の幹部自衛官を「幕僚」として派遣していた、という。相手は米陸軍少佐だった。

日米の指揮問題は、昨今「反撃能力」と名を変えた「敵基地攻撃能力」においても主要な問題であり、本書でイラク派遣でも米軍の指揮下にあったとの指摘は貴重である。

インタビューのなかで、隊員が建設や機械は「日本のお家芸」と語る。今後は医療、技術教育など非武装による平和構築に期待したい。
++++++++++ ここまで +++++++++++

おそらく、安倍晋三を含めたアホな政治家は「国産の巡航ミサイルで、敵(北朝鮮、中国、ロシア)の核ミサイル基地を叩けばいい」という安易な発想で先制攻撃論を唱えています。

当たり前の話ですが、先に手を出した方が悪い。「相手が攻撃してくる」兆候をどの段階でとらえて「その前に叩く」と判断するか。攻撃されれば当然、反撃されます。百歩譲って、先制攻撃が有効なのは「隠された施設を含め、敵の複数個所の軍事目標を同時に、一撃で潰せる」場合のみ。それが不可能であることは今回、核兵器保有&軍事大国・ロシアの軍事作戦が失敗していることで明らかです。

先制攻撃が成功しなければ、火に油を注ぐだけ・・・お互いの街や人間を潰し合う長期戦に陥ります。そんなことよりも日本は外交力、そして情報収集力が重要です。

プーチンと仲良しだった安倍晋三は、ナニをしている?勇ましいことを言うだけで無責任な、戦前の軍人・戦中の大本営と同じですね。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
猫家五六助
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先に“お花畑“外交を強化せよ!

2022-04-18 14:32:50 | 安全・外交
ウクライナ戦争でロシアの容赦ない攻撃が広がるにつれ、
「ロシアは怖い。北海道から攻めて来たらたら、どうする?日本の防衛力を強化せよ」
という声が政治家やネット民の間で高まり、国民が不安を煽られている。

確かに毎日、テレビ番組やネットニュースでウクライナの攻防戦と惨状を見せつけられたら、対岸の火事では済まない気持ちになる。また、年配の方々は1945年8月にロシア(旧ソ連)が日ソ中立条約を突如破棄して参戦した記憶が蘇るのだろう。

ロシアのウクライナ侵攻を見れば、日本の主要都市や陸海空の自衛隊基地、原子力発電所を中距離ミサイルや巡航ミサイルで叩き、制空権を奪って戦車・歩兵大隊を上陸させ、無差別に破壊と殺戮を繰り広げることは可能だろう。

それゆえ、政治家と右派論客・評論家が「平和ボケの日本国民」「お花畑の憲法九条論者」と水を得た魚のように騒ぎ立て、防衛予算の倍増や先制攻撃論、核武装・核兵器レンタル論を語り始める。

しかし、冷静に考えればわかる。産業・金融・経済が大国を含む地球規模でネットワーク化している昨今、地続きでないロシアが北方領土から北海道へ侵攻する利得はあるのか。侵攻に至るには国家間のメンツにかかわる事件や経済的な損得事案、偶発的な軍事衝突が起きているはずで、それらは日ロ両国と第三国、国連を含めて解決へ向けた外交的努力が行われるはずだ。

また、日本には日米安保条約がある。ロシアに近い在日米軍基地は青森県三沢にあって、自衛隊と共同運用している。「もし、ウクライナがNATO加盟していたら」と同じ流れで、ロシアが日本領土に侵攻すれば日本国内の米軍基地が連動して反撃せざるを得ない。「ロシアが日本に侵攻しても米国は守ってくれないし、核兵器で威嚇してくれない」という論客は、カネのかかる日米安保廃止を前提に防衛力増強を論じなければならない。

一方、著名な歌手がテレビ番組内で、このような私見を述べていた。
「ウクライナ戦争を目の当たりにして、我々も考えなければいけない。相手が武器を持って攻めてきた時、その前に立ちはだかり、自分の家族を守ることができるか。相手が銃を向けてきても『自分は人殺しはしない』と言うのか、銃を持って相手を殺せるのか」

彼は戦争や武力の問題から逃げずに広く深く多くの議論をしよう、と言いたかったのかもしれない。しかし、少し言葉足らずな気がする。右派論客は勢いYesかNoかで「無抵抗で黙って殺されるのか?家族も守れないのか?身を守るために、愛する国を守るために軍備増強を!」と叫び、問題意識を持たなかった人々は不安や恐怖を抱えて同調するだろう。

核保有国と対峙するには、どれだけの軍備が必要なのか。物量と兵員に勝るロシアと戦うには、陸海空でどれだけの武装をすればいいのか。「その前に、やるべきことはないのか」を置き去りにして自衛力強化や軍備増強ばかりを進めるのが与党自民党である。

護衛艦「かが」「いずも」へF35Bを搭載する空母化を進めてながら具体的な運用は置き去りで、海上自衛隊と航空自衛隊の連携すら未知数という。要は「ウチも空母を持ちたい!」だけ。

米国の空母が単体運用ではなく“打撃群”として複数の艦船・潜水艦を引き連れているのは何故か。数千人単位の乗組員はどこから連れてきて、どんな教育をするのか。米国の戦術データリンクに接続するために大金を費やしても、情報提供する一方で重要な情報をもらえない“交渉下手”でいいのか。

「核兵器保有国には核兵器で対抗する」と強大なオモチャを持ちたがり、夢想する。その核兵器はどこへ、何発配備して昼夜を問わず管理するのか。配備基地の特定を避けるために核兵器を日本中で移動するのか。核兵器の安全管理(暴発、誤発射)は担保できるのか。核兵器を搭載した潜水艦が民間船と衝突しないのか。

核兵器の常時発射状態を維持するため、どれほどの付帯設備・秘匿要員が必要なのか。そのために今まで、米露がどれほどのカネを浪費し、神経をすり減らして運用した結果、核軍縮に至ったのか。核爆弾を搭載したB52が過去に複数回、墜落事故を起こした事実を知っているのか。核兵器の怖さを知っている「唯一の被爆国」ではないのか。

なぜ、先に外交力と情報収集・分析力を強化しないのか?「ヒゲの隊長」こと、自民党外交部会長の佐藤正久さん。自衛隊海外派兵の経験を経て政治家になったのだから、お花畑の武装論と外交オンチを質してから、勇ましいことを言ってほしい。核保有国と軍備で肉薄した時、相手の挑発に乗せられたら、どうする?シビリアンコントロールが軽視された今、数十年前の満州事変の再来はないと言えるのか。

国際的な外交はディベートと駆け引きのつばぜり合いで、明確な主張・反論ができない者は無知・無能と軽く扱われる。相手国の主張・非難・暴言に対し、タイムリーに硬軟使い分けたカウンターを発信せず「遺憾である(残念です)」程度のコメントしかできない日本の与党政治家は無責任かつ無能である。

ウラジミール君と呼べてご満悦な、外交センス・外交能力・情報分析力のない“嘘つき晋ちゃん”とオトモダチのようなお花畑の輩が8年以上も政府を牛耳った結果、ロシアからカモネギ扱いされて終わった。その総括と批判もできない評論家・コメンテーターは「お花畑な憲法九条論者」などと非難する資格がない。お花畑なのは、粋がって高価なオモチャを欲しがる、アンタらが担いでいる政治家だよ!

「護憲+コラム」より
猫家五六助
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ウクライナ侵攻後の世界の激変にどう対処するか(4)21世紀日本はどう生きれば良いか

2022-04-03 13:50:28 | 安全・外交
(4)今後のロシアは?今後の世界は?今後の日本は?(21世紀日本はどう生きれば良いか)

①ロシアは、自国の金融・経済を西側から引き離し、自立させようとする。⇒グローバル経済から脱却
②西側の制裁⇒国内の反プーチン派(グローバル経済派)の粛清を加速させる
⇒日本と同様にロシア国内のグローバル派は、自国の利益より米国の利益を優先させている⇒現在、何人かのオリガルヒと呼ばれる人物が海外へ出ている。これからも同様なことが起きる。
③ロシアに対する経済制裁賛同国が48国。英国が呼びかけたウクライナ支援多国間会議参加国⇒30ケ国  
※西側諸国への参加国の減少が現在の世界の趨勢を示している
④石油・天然ガスの価格上昇はもちろん穀物価格の上昇がこれからの世界を苦しめるだろう。
 これに伴い、欧米各国の公定価格は利上げ。日本ももう少しすれば利上げだろう。
   
為替価格は、今回の天然ガス価格をルーブルで支払え、という決定を受け、ルーブルは制裁前より上がっている。ところが、円は下落の一途。ルーブルより安い。日本人は、この現実を直視しなければならない。世界から見たら、日本の米国追随外交の評価はきわめて低いと言う事である。

⑤日本が米国一辺倒の政策を続け、明らかなロシア敵視政策をとった場合。
▼北方領土は決して還らない ▼サハリンや北方4島などにミサイル基地が設営され、日本全土・沖縄米軍基地は、完全な射程内に入れられる。⇒中国のミサイルも狙っている。⇒北朝鮮のミサイルもある。3国とも核保有国。この現実をどう考えるのか。日本のこれからの姿を真剣に討議しなければならない。(※私見を述べれば、永久中立国としての日本と平和憲法の理念を再評価する時がきたと考える。)
▼石油・天然ガス・鉱物などの原材料はきわめて輸入が困難になる。⇒原材料などを保有している国との通商が不可欠。グローバル経済一点張りでは生きていけなくなる。    
  
▼小麦など食料の輸入が困難になる。・・・世界的な食糧難の時代が来る。食料自給率の増大は不可欠。大手企業などで相次ぐリストラで生まれる余剰人員を農業へ誘導する政策的インセンティブが求められる。田舎の再生の理念が求められる。
  
☆最大の問題点は、グローバル経済(金融資本主義)が崩壊する可能性が高い。その場合、多くの企業の国内回帰が起きる。疲弊した国内経済をそれまでに再構築しなければ、日本の21世紀はない。
 
大きな戦争のあとは、世界のレジームが変わる。グローバル経済が、アンシャンレジームになる可能性は高い。ただ、盲目的に現実追随を続けている日本政府やメディアでは、この歴史の動乱期を生き抜くことができるのかどうか。きわめて心もとない。
(完)

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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