老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

オンライン署名「人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます」

2021-05-06 15:44:17 | オリンピック
弁護士の宇都宮けんじさんが東京五輪中止署名を始めました。

「人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます」
https://utsunomiyakenji.jp/stoptokyoolympic/

昨日の開始以来賛同署名は続々と集まり、今現在の賛同者は61,132筆に及んでいます。

宇都宮さんによれば、5月 17、18日に予定されているIOCバッハ会長の来日までに第1次集約を行いたいとのこと。

日本に暮らす私たち生活者の率直な気持ちをこの署名に集約して、現実を見ようとしないIOCバッハ会長や日本のオリンピック関係者に突き付け、中止の決断を迫りたいと思います。

皆さんも是非署名しましょう!

「護憲+BBS」「イベントの紹介」より
笹井明子
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“控えめにお節介を焼く老人の会”のようなものがあっても良いのでは(3)

2021-05-05 10:55:02 | 社会問題
孤独を感じたり、孤立しているな、と思うことは多くの人に普段見られることであり、殊更何か手を差し伸べなければ、と思わないことも無きにしもあらず、かもしれません。

が例えば1987年1月札幌で起きたまだ小学生と中学生だった3人の子を残してシングル子育て中の母親が餓死してしまった事件(水島宏明、“母さんが死んだ”1994年現代教養文庫)や、2006年2月に起こった母を車イスに乗せながらの思い出の京都市内見物を終えた後、介護で職を失っていた54歳の長男が朝もまだ明けきらない桂川河畔で認知症の母を絞殺し、自身は未遂に終わった殺害心中未遂事件等を、やはり意識しながら人は今を生きる必要があると思っています。

当時何が足りていなかったのか、今は充分手当出来ていて大丈夫なのかをその都度確認していくことは、是非続けていきたいものと思っております。

足がかりとなる幾つかの点を、明治学院大学河合克義社会学部長の本“老人に冷たい国・日本”から拾っていきたいと思います。

1.孤立・孤独の原因

孤立・孤独の原因が何かを考える際、江口英一氏の示した次の視点が参考になります。江口氏は低消費水準生活が基本的な原因として、次のように述べております。

低消費生活をする人は、「個人的再生産費目」と「社会的固定費目」に挟撃されて、低所得低収入なるがゆえに社会生活を維持するために必要不可欠な「社会的強要費目」の支出をも削減せざるを得ず、従ってその社会生活は圧縮され社会的欲望や要求それ自体も次第に委縮し、長期的には心身の衰退、荒廃を招き社会的孤立と孤独の中に追い込まれざるをえないような、そして現にその中にあるような生活の世帯あるいは人々である、としております。

貧困以外の要因もあるでしょうが、そのほかの要因も入り口部分の話であり、その入り口の要因により貧困が引き起こされ、よって孤独・孤立化へと向かうのでしょう。

2.孤立・孤独感は人により強弱がある。最も弱い人、最も強く影響される人を意識して孤独・孤立問題を考えていくことが望まれる

生活していく上で何らかの問題に直面すると、自立心の強いしっかりした人は、その問題を理解しようと努力し、その上で手だてを尽くして回避していく方策を考える。

これで問題を解消できる人が多くいる一方、単に当惑してしまい自ら声を上げられずに途方に暮れてしまう人もいる。こうした状態が長く続くと自分がどのようなことで困っているのかも分からなくなってしまうことになり、その結果生きる意欲まで失ってしまう人もいる。

孤独孤立の問題を考えていく際に、人により影響され方に強弱があるという視点を無視して議論していくと、社会の一部の階層のみを扱う理論となってしまう。望ましい議論は、最も弱い立場の人々を捕捉特定して、その生活実態を正しく把握することから始めることが必要であり重要だと考える。なぜならそうした人々の生活を支えることは、それ以外の階層の生活問題の予防にも繋がるからである。

この予防の視点を大切にすることが重要です。

3.貧困化・孤独・孤立化への道筋はどんな様子か:世田谷区の高齢者調査から

特に都市の場合、住宅の貧困が都市在住の高齢者世帯、特に一人暮らし老人世帯の孤立化・孤独化をもたらすことになる要因となっていると考えられる。

また住宅ローンをはじめ様々なローン負担が共働き世帯化、多就業世帯化、夜勤残業の増大化を引き起こし、住宅の貧困の問題と相まって、結果として核家族化の傾向が強まる。結果として高齢者が世帯から弾き出されることに繋がり、老人だけの世帯の孤立化の問題が増大し、また老親の居なくなった核家族の方は、生活力の弱体化がおこることにつながっていく。

4.政策が作りだす貧困と孤立

2000年以降孤立死、餓死がそれ以前よりも増加している。増加の原因は一つではないが大きく影響を与えているものに政策の在り方がある。

今日の高齢者政策に大きな影響を与えたものに介護保険制度がある。2000年に導入され、生活保障関連制度を大きく変えることになった。

介護保険制度導入以前の高齢者介護に関する公的制度として中心的な役割を担ってきたのは、「措置制度」を基本とする老人福祉制度であった。この従来の制度では高齢者自身の意思によってサービスを選択することができない点、所得審査や家族関係等の調査を伴う点と言った問題が指摘されていた。

2000年4月から施行の介護保険制度は、被保険者がサービスを積極的に受ける権利意識を明確に持てるという利点が強調されている。しかし一方次の点が気がかりな事として挙げられている。

4-1.高齢者福祉のこれまでの行政サービスが、大部分民間事業者に委ねられた。
4-2.よって行政による高齢者問題の把握力の低下が起こっている。
4-3.利用者が自らの意思でサービス内容を自由に選択できるのは大きな利点ではあるものの、これは自身の判断が問題なく出来る状態の人或いは世帯であることを前提にしての議論であって、今考えている自身の問題に押しつぶされかねない孤独・孤立しつつある人々にとっては、自身で選択して申し出なければ物事がスタートしないという、今回の制度への変更が良い方向へのものだったのか。逆にそのような人にとっては制度との距離が大きくなった変更であったといえる。
ここから発想されるセーフティネットが用意されているか否か、が重要なポイントと考えます。
 
5.平成25年度介護保険事業報告によると、2014年3月末現在の65歳以上の高齢者は3202万人。要介護(要支援)認定者は569万人、認定者の全員がサービスを受けてはおらずその利用率は全国平均ほぼ80%と言われており、これを基にすると介護サービスを実際に受けている人は455万人程度になる。よって65才以上の高齢者の14.2%しか介護保険制度を当時利用していなかったことになる。

逆に言うと国は高齢者の15%弱しか捕捉していないことになる。捕捉し認識している15%程度の高齢者で起こっている問題だけを考えていき、全体が類推し推測していけると思うことが不十分であると認識する事が大切である。

残りの85%、人数にして2750万人程の高齢者の中で起こっている生活問題に目を向ける必要があるのは当然である。実際貧困と孤立問題はこの2750万人の高齢者の中でも発生しているのである。

例えばこんな例がある。秋田県の元農家の夫を失って現在一人暮らしの84歳の女性。年金は月25000円、光熱費を払うと残りは1万円程。食費は月4000円程度。山菜とり川魚釣り等で凌いでいるが、生活保護は家・田畑があるので資格がない、と言われている。先祖伝来の土地を手放してまでは保護は受けたくない。そんな生活の中でも医療費に月2500円がかかっており、時に死にたいと思う事もあるという。

高齢者の生活の実態はこのようなケースが多い。光熱費・医療費のUPや年金減額・消費税UPを考える際にはこのような高齢者の生活実態をきちんと認識したうえでの判断であるべきであるし、そのような高齢者の生活実態への温かいまなざしが必要であるゆえんである。

減免等のセーフティネットはどうなっているのでしょうか。

6.福祉サービスの縮小・廃止

在宅福祉サービスを例に2000年の介護保険制度前と後の変化を時系列的に見てみる。

1997年まで 「在宅高齢者等日常生活支援事業」として国は2/3を補助。
1998年   名称が「高齢者在宅生活支援事業」となる。国の補助は同じで2/3。 但し地域の高齢者人口に従い補助の限度額が設けられる。補助が激減する地域もでてくる。
1999年    名称が「在宅高齢者保健福祉推進支援事業」となり、国の補助は1/2となる。
介護保険化に合わせて福祉サービスが再編される動きが進んでいた。
2000年   介護保険制度スタート。名称が「介護予防・生活支援」と更に変わる。
2004年   名称がまた変更され「介護予防・地域支えあい事業」となる。
2006年4月  新たに介護保険制度の中に「地域支援事業」が創設され、それに伴い「介護予防・地域支えあい事業(年間予算約400億円)」が廃止となる。
介護予防に関わるサービスについては一部地域支援事業に移行されたが、それまでの高齢者の為の在宅福祉サービスは消滅した。
2007年   国家予算上の「老人福祉費」が廃止されたことはほとんど知られていない。

以上見てきたことをもとに、ではどうしたら良いか。3人の専門家が2010年頃に対策案を提案しています。
最後にその題目だけを紹介して、その詳細は次回に触れたいと思います。

第一の提案:湯浅誠氏(当時、反貧困ネットワーク事務局長)
 パーソナルサポーター制(寄り添い型支援)案
第二の提案:結城康博氏(当時、淑徳大学准教授)
 おせっかいの復権
第三の提案:河合克義氏(明治学院大学社会学部長)
 公的ヘルパー制

「護憲+BBS」「 メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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5.3、市民意見広告「武力で暮らしは守れない!」

2021-05-03 16:53:34 | 憲法
憲法記念日の今日、朝日新聞、毎日新聞、福島民報の3紙に、恒例の「5月3日、市民意見広告」が掲載されました。今年のメインタイトルは「武力で暮らしは守れない!」、サブタイトルは「いのち」。

今年の主張は「コロナ禍から命を守れ」「「生存権」を脅かすな」「憲法9条の実現「戦争しない国」」「暮らしは政治です」の章分けで語られています。



※詳細は以下をご覧ください。
https://www.ikenkoukoku.jp/archives/730/

この市民意見広告運動は、2003年5月に「イラクへの攻撃と有事法制に反対する」趣旨でスタート。以来、憲法記念日に誰でも参加できる「紙上のデモ」として、憲法9条や25条の真の実現を通して平和を訴える「意見広告」を新聞紙上に掲載し続け、当初2095件だった賛同件数が、今年は9,883件にまで伸びているそうです。
https://www.ikenkoukoku.jp/about/



「老人党・護憲+」も長年にわたり参加しており、今年も賛同者に名を連ねました。画像中ほどに名前があるのですが、分かりますか?

「護憲+BBS」「イベントの紹介」より
笹井明子
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“控えめにお節介を焼く老人の会”のようなものがあっても良いのでは(2)

2021-05-03 14:47:08 | 社会問題
この2月以降の「孤独・孤立対策担当相」任命後に見られた政府・行政側の動きと、協力要請を受けることになる民間活力体制側の代表的意見を紹介していきたいと思います。

4月2日付けAERAdotで、坂本大臣は担当相就任にあたって以下のように所信を述べています。

日本人の多くは宗教を基にした日常的な繋がりがない。
かつては会社が社員・その家族を支援する仕組みがあったが、それも失われつつある。
坂本氏自身そうだが、多くの人が濃密な人間関係の地方から希薄な都会に移動している。
従って今の日本は誰もが孤独感を感じる可能性の高い環境で生活しており、しかも新型コロナウイルス感染禍で、問題は拡大し深刻化している、というのが基本認識である。

(今までの行政対応)
自殺対策は厚労省、子どもの貧困は内閣府、子ども食堂への食材提供は農水省。
各省庁縦割りになっている現状に対し、今後の孤独対策は横に繋げていく必要があり、各省庁の枠にとらわれない大臣が司令塔になるのが最適と認識している。

(2月以降現在までの行動)
○全省庁会議を開催し、SNS活用・孤独孤立の実態把握・NPO連携の3つのタスクフォースを立ち上げた。
○緊急的にNPO法人への支援策をまとめ、女性と子供支援や自殺対策、生活に困っている人たちに食品を提供する“フードバンク”への財政支援、公営住宅を低価格で貸し出す仕組みなどに予算措置を行った。
○孤独・孤立対策担当室には常駐職員6人、兼務を含めると30人以上を配置した。
○今年6月に策定する経済財政運営の基本方針”骨太の方針“に孤独・孤立対策を盛り込む。

支援を必要とする人は増えている。現場に近いNPO法人や民間企業などの協力が不可欠である。大きなネットワークを作り、支援が必要な人が繋がりやすい仕組みを築いていく、その土台となる政策を考えたい。

以上が新任坂本大臣の直ちに動いた行動と、氏の抱負についてです。

ついで受け皿と目された民間活力実行部隊側の一人と思われる池上正樹氏のブログ(4月1日)から、池上氏の視点からの一連の動きを紹介します。自民党・霞が関等の動きや考え方がつかめる記事と思います。氏は24年間に亘り“引きこもり状態”にある人々にインタビューをしてきている実績を持つ方です。

○2月25日発足の自民党孤独・孤立対策特命委員会(委員長松野博一元文科大臣)の会合が3月22日に開かれ、池上氏も15分間“ひきこもり”をテーマに講演した。
○同委員会は英国に次ぎ世界で2番目となる孤独・孤立対策担当大臣(坂本哲志氏)を任命。
 内閣官房には“孤独・孤立対策担当室”も設置された。
○下村博文政調会長から“孤独孤立と引きこもりは関連性が高い”として、孤独孤立や引きこもりに取り組むNPO等への支援について党の要望を受けて決めたことなどが説明された。
○内閣官房の谷内繁孤独・孤立対策担当室長から、厚労省の自殺対策、生活困窮者や引きこもり状態にある人を支援しているNPOなどに、総額60億円の予算措置がされていることが共有された。また孤独孤立対策に関する連絡調整会議を立ち上げ、ソーシャルメディアの活用や実態把握、関係団体の連携支援についての3つのタスクフォースを編成することなど、政府の取り組みに動きがあったことが報告された。
○招待者の話
① エビデンスに基づく「引きこもり支援の基盤となる法律」や「居場所」の整備などを要望している宮崎大の境泉洋教授(心理学)の話が先にあった。
② 次いで池上氏が永年の引きこもり状態にある人へのインタビュー経験から感じていた問題意識について説明した。

(引きこもりのきっかけ)
学校や職場等の集団生活での社会的ストレスや個人の特性への理解不足などが要因である。
最近のコロナ禍での生活の先行き不安や解雇・雇止めで仕事を失う事例も増えてきており、誰もが孤立しやすい状況が生まれている。
(引きこもり状態に対する手当)
孤立状態に陥ると適切な判断が当人は出来なくなる。よって不安を払しょくするためにも先ずは寄り添って感情や感覚を受け止めてくれる理解者との繋がりが必要とされる。ところが引きこもり支援の現場で使われている2010年厚労省が発表したガイドラインは、精神医療の治療者目線で書かれており、引きこもり状態の要因に多い「社会的ストレス」の視点が欠落し時代にそぐわない点を指摘した。

多くの場合引きこもる本人や親は障害者ではないとの思いから、医療機関に行きたがらない。本人の病識がないことから診断まで辿り着けないことになり、制度からこぼれおちる引きこもり状態の人が多いのが実情である。

”引きこもり支援“、“自立支援”をうたう「引き出しビジネス業者」が存在し、弱みに付け込むことで事態を更に悪化させている場面もある。

従来の”引きこもり支援“は就労目的や訓練主体のパターン化した対応が為されており、引きこもる本人達それぞれが幸せになることに寄り添う姿勢がない人達が作った評価基軸での支援であると言える。新たな「引きこもり支援の認証評価」の法整備やガイドラインの改訂の必要性があるとした。

その他の制度面での要望として精神医療への抵抗感を考慮して診断や障害認定がなくとも利用できる制度や障害年金のハードルを下げること、引き出しビジネス対策の重要性について言及した。

(質疑応答)
Q.引きこもり状態と精神疾患との関係
A.引きこもる人の中には元々精神疾患や発達障害の特性を持つ人、そのことが周囲に理解されなくて集団生活が出来なかった人、長期的な孤立で二次的に発症する人、社会的ストレスから退避せざるを得なかった人もいるので「引きこもり」という状態を俯瞰的に判断出来る人の存在が大切。
Q.“アウトリーチ(訪問支援)”は必要か?
A.引きこもっている本人は人間関係にトラウマを持っていることが多い。アウトリーチは望んでいない見知らぬ人が家に来ることで脅威と感じ、無理に進めるとトラブルになる可能性がある。本人が何に不安を感じていて何を望んでいるかを知ることから始める必要があり、先ずは家族の不安に寄り添いながら本人や家族が生きていく上で必要な制度や資源などの情報を提供できる人材の育成が急務だろう。

世界で2番目の早さで誕生した孤独・孤立担当大臣の話題を紹介してきましたが、次回は大臣誕生以前のトピックスを振り返って問題点の明確化が出来ればと思います。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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危機におけるリーダーの人物像とは!

2021-05-02 14:58:29 | 災害
🔸危機管理の要諦 -最悪を想定して、充分な準備をするー

どんな組織でも、危機管理はすぐれてリーダーの仕事である。大袈裟に言えば、リーダーの仕事は、危機管理しかない、と言っても良い。

平穏な日常の時間が流れている時には、リーダーは目立たない方が良い。教師の経験から言えば、静かな時代の学校で名校長と呼ばれた人物の多くは、運動場の草取りや、校舎の破損個所の修繕などを黙々としていた。現場で直接教育に取り組んでいる教師のバックアップに徹していた。

しかし、学校現場は多くの子供たちが生活している場所なので、必ず問題が起きる。喧嘩もあれば、怪我もある。病気もあれば、盗みもある。いじめもあれば、体罰もある。こういう問題が起きた時には、現場教師の責任だけにせず、自ら正面に出て問題解決に乗り出す校長が名校長と呼ばれた。

すぐ現場の責任だけを問いがちな教育委員会の圧力をどう受け流すか、校長の腕が問われた。部下の教師の不祥事は、自らの管理不足と正面から部下をかばえる校長への信頼は厚かった。

危機の時のリーダーのあり方を考えるヒントがここにある。

◎平穏な時には、現場の部下の支援に徹する。部下の力を存分に発揮させる。
◎問題が起きた時には、責任者が正面に出て、解決にあたる。自らの責任を逃げない。
単純なようだが、これが信頼されるリーダーの一般的な像だろう。

ここからさらに考えなければならないのは、平穏な時ほど、危機の場合を考える必要があると言う事。

何度も言うようだが、平時の時のリーダーは、いるのかいないのか分からない方が良い。うちの親分は居眠りでもしているんだろう、と陰口をたたかれるくらいが丁度良い。リーダーがリーダーである必要があるのは、危機の時。つまり、リーダーの最大で最重要の仕事は、危機の時のありよう。良きリーダーこそ、常日頃から、有るか無いか分からない危機の対処の仕方を考え、あらゆる準備をしておくのが通例。

学校で言えば、学校には子供がいる。子供がいない学校は、学校ではない。子供は活動する。活動しない子供ばかりの学校は学校ではない。活発に活動する子供は大小にかかわらず必ず問題を起こす。問題を起こすから子供であり、問題を起こさなかったら問題を解決する能力は養えない。だから、学校や教師や親は、問題が起きる事を恐れて子供の活動を抑えてはならない。

と言う事は、学校や教師は、常住坐臥『危機管理』を忘れてはならない、と言う事になる。名校長と呼ばれた校長は、上記の二つの課題に見事に対処できた人物だった。

🔸強権的管理こそがリーダーの資質と勘違いする現在のリーダーたち

ところが、新自由主義的思考が教育現場にも影響を与え始めた時代から、文部省(文科省)が推し進めた教師の階層化(校長・教頭・教務・主任・平教師。現在はさらに細分化されている)が進展するにつれて危機管理の考え方が変化した。

◎平穏な時には現場の教師の支援に徹する。部下の力を存分に発揮させる。
⇒ (現在)●平穏な時ほど、上意下達を重視。部下教師の些細なミスを徹底的に責め、上司の意向に忠実な部下を重視。教師間の分断(差別構造)を促進し、教師の階層化を広げ、固定化する。
◎問題が起きた時には責任者が前面に出て問題を処理。
⇒(現在)●校長は、教育委員会の意向に従順に従う⇒責任を下に下に押し付ける⇒▼問題の本質を体制や組織の問題として捉えず、全て個人(問題教師)の問題として処理する。問題の矮小化を図る。

その為、教育現場では、ヒラメ教師が増加。事なかれ思考が現場を覆っている。日本の子供の学力が低下したのは、公教育の現場の退廃が大きな要因になっている。

実は今回のコロナ禍における日本政府・官僚・東京都などの『危機管理』能力の無さ、お粗末さは、上記の教育現場における変化と対をなしている。

菅首相が「自分の政策に反対のものは止めてもらう」と公言し、内閣人事局を拠点に強権的人事を強行。霞が関では、忖度が横行。ヒラメ官僚だけが出世するようになってしまった。

こうなると、官僚たちのモチベーションは低下の一途。有能な若手官僚はどんどん辞めている。自らの頭でものを考え、行動し、その結果の評価は、甘んじて引き受ける、という覚悟の無い連中だけ生き残りはじめた。高度成長経済後の日本を覆っている『現状維持が正義』という退嬰的思考がもたらしたものだと考えなければならない。

さらに悪いことに、新自由主義的思考が蔓延しているために、指導的立場(政治家・官僚など)の連中には、『自分が間違っているかもしれない』という自己否定・自己批判の視点が皆無に等しい。かっての全共闘のように『自己否定・自己批判』を強調しすぎるのも問題だが、自己批判の視点が全くないエリートも問題が山積みである。

コロナ禍の日本では、日本の権力中枢の“退廃”が露わになり、もはや修復不可能なほどの無残な姿を露呈している。

🔸旧日本軍の失敗と相似形

コロナ禍の現在、多くの識者が、現在の日本の現状を戦前の陸軍の失敗と重ねて見ている。
・・・
今の菅氏の一挙手一投足を観ていると、太平洋戦争時の日本を敗戦に導いた元凶・旧日本軍幹部(当時の首相は東條英機)を彷彿とさせます。
旧日本軍幹部連中は、当時の米国の国力・軍事力をまともに分析せず、無謀にも、対米戦争を挑んでいます。彼らは当時から、自信満々で、米国に負ける敗戦シナリオ(最悪シナリオ)をまったく描かず、自分たちの願望(Desire)だけで突っ走って、最後は玉砕しています。その結果、300万人以上の日本国民を犠牲にしています。・・・新ベンチャー革命 
http://blog.livedoor.jp/hisa_yamamot/archives/9796809.html

旧日本軍の幹部と現在の類似点

(1)失敗=間違いを認めたくない。=責任を取りたくない。それでいて、権力(権限)だけは欲しい。

(2)対策は中途半端で小出し⇒旧日本軍で言えば、戦力の逐次投入。

(3)コロナ対策についての総合的・科学的・合理的・論理的分析もしないし、データも取らない。会議の議事録すら満足にない⇒後世の歴史(評価)を怖れる=歴史の審判に立つ覚悟なし。
旧日本軍が米国の戦力分析・国力分析を怠り、精神力だけで戦争に勝てると言い続けたのと相似形である。
※悲惨な退却戦を戦わざるを得ない安倍後の日本!(インパール作戦の二の舞)

(4)縄張り意識が強く、自らの権益《省益》に強いこだわりを持つ・・
※日本の統治機構(政治家・官僚たち)は、何故軌道修正ができないのか!
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/d51cf56a1bc50fb145d6b27ec7140efc
「護憲+ブログ」2020-08-17 15:43:40 | 災害

(5)説得の言葉を持たない・・・教師をしていた人間の立場から言うと、言葉で伝わるものは約2割。後は、まなざし・表情・声音・抑揚・身振りなど言葉以外で伝わるものが8割。『指先に言葉をつけろ』とよく先輩教師に教わったものだ。もう一つ大切なのは、子供の顔、目をよく見て、語りかけなければ、教師の想いは伝わらない。

菅首相や安倍首相などの言葉が空疎なのは、言葉に1人の人間である首相個人の願いや想いが込められているように感じられないからである。自分の心の底からほとばしり出る血を吐くような言葉(自分自身の言葉)が感じられないからである。

🔸大石内蔵助に見るリーダーの資質

忠臣蔵の大石内蔵助は、平時なら「昼行燈」と噂された凡庸な人物のまま一生を送ったはずである。彼は「昼行燈」でいる事に満足し、意識的にそうしようと心掛けていたと思われる。「昼行燈」の家老として一生を送れるなら、藩にとってこれほどの幸せはない。内蔵助は、そう思い定めて過ごしていたと思われる。

そんな内蔵助が、「お家断絶」の危機にあたっては、見事なばかりの立ち居振る舞いを見せた。浅野内匠頭が刃傷を起こし、江戸表から赤穂まで2挺の早籠でその知らせが届いたのは、4日半後。走った距離は155里(約600km)。駕籠を担いで、人力でこの距離を走ったのである。常識では考えられない速さである。

実は、浅野家は、江戸表に異変があった場合に備えて、常日頃、宿場宿場に相応の金子を与え、万一の場合に備えていた。だから、駕籠をかく連中も懸命に走った。日ごろの手厚い心づけが役に立ったのである。大石内蔵助は浅野家家老。万一に備えて、こういう手当を怠らなかった、とされている。

さらに大石内蔵助は、城受け渡しにあたっては、藩士を督励し、毛ほどの隙もないほど武器弾薬などの員数を数え、全てをきちんと文書に記載し、後世の批判をさける見事な受け渡しをやってのけた。

もう一つ付け加えると、江戸時代、藩が取り潰しになったり、国替えになったりした場合、一番問題になったのは【藩札】の交換をどうするかの問題。

多くの藩では、雀の涙程度で交換。なかには、交換をしない藩もあった。藩札が紙切れ同然になるのが通例。多くの民衆が馬鹿を見た。ところが、浅野家では大石内蔵助らの指示のもと、発行高が900貫目あった藩札の回収に現有する銀700貫目をあて額面の6割で引き換えたとされる。

赤穂藩は塩の産地なので、内緒が裕福だったせいもあるが、簡単にできる事ではない。藩が潰れ、藩士は全員路頭に迷うのである。そんな金があったら、俺たちに回せ、という声があったに相違ない。それを抑えて、領民にお金を渡す。武士支配の江戸時代である。生半可な覚悟では藩士の不満を抑えられない。見事な差配だと言わねばならない。

現在でも赤穂で大石内蔵助や浅野家が愛されるのは、仇討ちばかりではない。潰れ方の見事さがあったからでもある。

このように、内蔵助は、対外的にも藩内の領民にも“立つ鳥後を濁さず”の見事な対処をみせた。同時に、自分についてくる50人近い人数を一年以上まとめ上げ、“主君の仇を報じる”という大義名分のもと、“喧嘩両成敗”の原則を踏みにじった幕府の拙速で片手落ちの裁きに見事な異議申し立てを行った。

仇討ちを成功させても後は切腹だけが待っている行為に、50人近い人間をまとめ上げるのは至難の業。たとえ、武士道がモラルの江戸時代であっても、誰でも命は惜しい。“死んで花実が咲くものか”は、心の中の真実。赤穂浪士全員にあったであろう心の中の迷いを吹っ切らせ、死を目指して全員の心を一致させる。そんな芸当は、並大抵の人物ではできない。

それができたのは、大石内蔵助が語る言葉・声音・仕草・表情などから、内蔵助の覚悟を皆が『感得』できたからに相違ない。

人を動かすのは、この【感得】以外ない。理解などという上っ面のものでは人は動かない。菅首相や大臣、官僚などはこの人心の機微が分かっていない。平時なら、東大文学のような人間の血が通っていない官僚言葉でも誰も批判はしない。誰しもがそんなものだと諦めて聞き流しているから、大きな批判は来ない。

しかし、今は平時ではない。戦時と言っても良い『緊急事態』。最初に書いたように、緊急時ほどリーダーの存在が大きくなる。だからこそ、リーダーは、何をさておいても、自らの言葉で語らなければならない。

しかし、残念ながら、日本国民は、菅首相からも、安倍首相からも、誰からもそんな言葉を聞いた事がない。百年に一度ともいえる危機にあたって、この程度のリーダーしか持てない日本国民は、不幸である。

同時に、日本国民は、こんな程度のリーダーしか生み出せない政党に戦後の大半をゆだねていることを深刻に反省しなければならない。

「護憲+コラム」より
流水
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“控えめにお節介を焼く老人の会”のようなものがあっても良いのでは(1)

2021-05-01 13:22:03 | 消費税増税
おかしなネーミングの老人会と間違えられかねない名前を敢えた付けた理由はおいおいご理解いただければ、と思います。きっかけとなった最初の情報の事から始めてみます。

DeutscheWelle(ドイツの波:ドイツ連邦共和国国営放送体でドイツ人の目で世界が見えるネット情報媒体です。しかも今の所は無料のようです)4月23日付けに、日本に新たに孤独・孤立担当大臣が任命されたという紹介があり、世界でも英国に次ぐ2番目の早さとの事です。それだけ状況が切迫している裏返しかもしれませんが。以下要点を記します。

(日本で孤独担当相がメンタルヘルス危機に立ち向かう)

社会的経済的孤立が増大し、日本の自殺率が高まっている。特にシングルマザーに見られる。コロナパンデミックで更なる悪化が見込まれる状況に対処すべく新たに孤独担当相が任命されプランを練ることになる。

菅氏はこの2月71歳と高齢の坂本哲志氏を新ポストに任命。高齢者・働く女性・パートタイマーそして無職の人々が精神的に追い詰められている状況の下での今回担当相任命の動きを、多くの健康問題専門家は好感を持って迎えている。

しかし現政権与党の長老であり他にも多くの業務を抱えている坂本氏は3月の新任会合の折、次のように言う。
「社会からの孤立を緩和する政策を検討導入することを目標にする。」「孤立孤独の実態を確実に理解することが大切であり、関連する各省庁の政策と付け合わせながらプラン化システム・チェックシステム・行動システムを作成することが重要である。」

英国のような国々は同様に指名を受けたシニアオフィサーが社会から孤立した人々を社会へ連れ戻す作業を行っている例があり、坂本氏はそれら先例の経験に学ぶことも期待されている。

東京在住のテレフォンライフライン代表のVickieSkorji氏は今回の専任相指名は「プラスに向かう第一歩」と評価している。しかしやることは山ほどある。」とも忠告している。
「日本社会のある部分の人々は他のグループの人々に比べて、パンデミックにより大きく影響され打撃を受けやすい。多くの人が孤立を意識させられている。」と述べている。

(経済的苦境がメンタルヘルスの被害をもたらす)

1年以上前の初回のパンデミック以来、日本は何回か全国に及ぶ又は局所限定の緊急事態宣言を経験しており、近々東京・大阪に再度宣言が予定されている(4月23日付けの為)。

政府は夜8時以降の店じまいや営業の時間制限を要請したり、リモートワークの推進徹底を要請する方向である。
数十万人規模で一時帰休や就業時間の短縮がみられ、解雇のケースもある。学生はパートの職を奪われ授業料の支払いにも苦労している実態がある。

(女性が最大の被害者である)

Skorji氏は女性がパンデミックの衝撃を最も受けているとする。「特に心配は女性の自殺が増えていることで、多くはパート職を失いそれ故に収入を失った上に、家庭内での仕事が増えたり身内の高齢者の世話も重なったりしている。」と言う。「特にシングルマザーが現在の情況に上手く立ち向かえていない。」と付け加えている。

厚労省によると日本の自殺者は2010年に31600人。2019年までに20169人まで減少してきていたが、昨年の2020年に再び20919人と上昇している。Skorji氏は日本の保険制度はメンタルヘルスケアに適用されず、必要な人に必要なだけ良質の救済策・支援が幾重にも用意されることが望まれる。」としている。

(単なる人受け狙いのタイトル)

北海道文教大学の渡辺教授は「安定した職を求めている人々が社会的に無視されることが多くみられ、またこのことは何も目新しいことではない。」と警告している。

「4,50才のロスジェネと呼ばれる多くの男性は、卒業時に経済悪化があり良質の職に恵まれずに以来自宅に留まざるを得なかった。」とし更に「多くのシングル世帯と引きこもり状態の人は永年にわたり急増しており、政府はもっと早くこの実態を認識すべきだった。」と付け加えている。渡辺教授は多くの人がパンデミックに圧倒されて孤立していくことを防ぎ、社会に引き戻すことを先ずは実行すべき、としている。

しかし渡辺教授は今回新設の孤独孤立担当相がこの目標を成し遂げるに必要な方策手段を持っているとは、完全には信認できない、としている。

「ほとんど実地の経験や支援を必要とする人の本当の手助けになるノウハウを持っていない、単なる人受け狙いのタイトルではないか、と心配している。」と彼は言う。
「私達は社会にネットワークシステムやサポートシステムを再構築する必要があるが、30年も前からすでに日本は社会の中に孤立と孤独の問題が存在していたことは明白である。何故その間何もしなかったのか?」と彼は言う。「新設担当相を設けたことは良い、のは事実だが、私の考えでは余りに対応が遅く、ほとんどあいまいな約束事から成り立っているように思え、効果的に実行に移していくことが困難に見えてしまう。」

以上ドイツ人の視点からの日本の孤独と孤立の問題を紹介したが、以降幾つか別の面からこの問題を考えていきたいと思っております。

表題に関わる話まで最終的には辿り着きたいと思いますが、それは次回以降でとします。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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アンブレイカブル 敗れざる者達

2021-04-27 16:14:12 | 民主主義・人権
柳広司が書いた小説「アンブレイカブル」を読みました。

小林多喜二「雲雀」
鶴彬「叛徒」
和田喜太郎をモデル「虐殺」
三木清「矜持」
をテーマにした4つの短編集です。

第1章「雲雀」
小林多喜二は、何故あれほどリアルな小説を書けたのでしょうか。
天賦の才能もあったのでしょうが綿密な取材力にもあったのだろうと思います。
生き生きと楽し気に取材する多喜二の姿は、大きな鷲や鷹にも臆する事なく空高く舞い上がり楽し気に鳴く雲雀を彷彿させます。
多喜二と取材される労働者の間に信頼関係が生まれつつあった時、1人の内務官僚の罠により多喜二は絶対絶命のピンチに陥ります。
しかし最後は意外な結末で、やはり多喜二は空高く舞う雲雀だったのです。

第2章「叛徒」
鶴彬は、権力を鋭く批判し軍隊貴族や帝国勢力に切り込んだ川柳を幾つも発表した川柳作家です。
その作風と川柳という短い言葉で切りとった現実を為政者と国民に突き付け、投獄されます。
鶴彬が理不尽な目にあった時、それを見咎めた憲兵隊長に救われます。
彼は鶴彬に亡くなった弟の面影を見いだし「必ずや立派な憲兵に育て上げる」と決意しますが、又内務官僚の計略にあい、鶴彬は遂に帰らぬ人となるのです。

1章は明るく、2章は取り締まる側にも感情があり救われる思いがしました。

第3章「虐殺」は鳥肌が立つ恐ろしい章です。
満鉄に勤務する志木(仮名)は、ある日若い編集者に「周囲の同業者、知り合いが次々と消えて行く」と怯えた表情で相談されます。それは文字通りある日突然「消えてしまう」のです。
これは横浜事件をモデルにした小説です。
「罪は見付けるのではなく作るのだ」と嘯く内務官僚の指示により、免罪を記せられ弁明の機会も与えられず投獄され命を落としてしまう若き編集者達。
動物園で編集者と話しをした後、志木は食い入るように動物を見つめる子ども達の未来が、恐ろしい虐殺に満ちていると予感するのです。

第4章「矜持」は、この小説に常に影の様に登場する内務官僚クロサキの章でもあります。
同郷の天才哲学者三木清は、クロサキにとって何をやってもかなわない頭の上に置かれた大きな石の様な存在でした。中学、一高へと進み、どんなに良い成績を取っても父親は「清さんにはかなわない」と鼻の先で笑うのです。
清さんは西田磯太郎の下で学ぶべく京大に進学します。クロサキは帝大に進学し内務官僚に迄登りつめます。
そして刑務所という劣悪な環境でボロボロに成り果てた三木清と対峙するのです。
クロサキはその時何を感じたのでしょうか。
三木清も酷い環境で健康だった身体を壊し、敗戦の年9月に還らぬ人となるのです。

人間は恐ろしい残虐な行為を繰り返すうち、それにもいつか慣れてしまうのでしょうか。クロサキの三木清に対する思いは、どうしてもかなわぬ相手に対する「反知性主義」を彷彿させます。

75年の時を経てそれがまたよみがえって来た様な気がします。学術会議任命拒否のあの頑な総理の態度。
とても「アンブレイカブル」にはなれない私。だからこのままではいられない。投げ出さず、諦めず出来る事をやろう…と日々思っているのです。

「護憲+コラム」より
パンドラ
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きな臭さが充満しはじめた世界 (平和主義を再評価した日本の生きる道の模索)(2)

2021-04-27 08:57:40 | アメリカ
🔶「民主主義」と「人権」の危険な側面

米国は戦争を始める前には周到な準備工作を行う。イラク戦争前、独裁者フセイン大統領の蛮行の数々が世界中のメディアに満ち溢れた。大量破壊兵器を隠し持っているとも喧伝された。テロリストをかくまっているとも報道された。

要するに、独裁者フセインは、民主主義の敵であり、人権侵害を平気で行う悪魔のような人間であると世界中に報道されたのである。こういう悪魔を征伐し、塗炭の苦しみにあえぐイラクの民衆を救う正義の戦士が米国という図式が、世界中のメディアで報道されたのである。

その結果はどうだったのか。大量破壊兵器はなく、死者は五十万人を超えたとされる。戦争を行う大義名分すらなかったのである。

※イラク戦争の死者 
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8459/

戦争中、ファルージャなどでは、多数の市民が虐殺されたという報告もある。

※ファルージャの戦闘 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%81%AE%E6%88%A6%E9%97%98
※ファルージャの悲劇 真正の偽造旅券 論座
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2015070400004.html

戦争は米国兵士にも深い傷跡を与えた。帰還兵のPTSD発症率は高く、様々な問題を起こしている。その数は膨大な数になると言われている。

※銃乱射の元海兵隊員も? 米退役軍人にまん延するPTSD AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3196878

もし、米国が敗戦国だったら、イラク戦争の米国の指導者は、間違いなく『戦争裁判』にかけられたと思われる。米国が覇権国家だからこそ、戦争裁判などの声が起こらないのである。

こういう経緯を見ていると、西側メディアで『民主主義』とか『人権』というフレーズが大仰に飛び交い始めると、戦争危機が近づき始めた、と考えてそれほど間違いはない。

◇ナワリヌイ問題(ロシア)

現在、ロシア国内で起きているのは、プーチンの政敵ナワリヌイ氏の健康不安に対してのデモのニュース。ナワリヌイ氏の問題に関しては、かなりの部分、眉に唾して聞いた方が良い。

※ナワリヌイは毒を盛られていない 
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-e3990d.html
※ナワリヌイが部下から「毒物」とされる飲み物を渡されるのを示す空港CCTV映像
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-83623b.html
※ロシア - ノルド・ストリーム2 対 アレクセイ・ナワリヌイ毒物被害
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-16abed.html
※ナワリヌイ偽旗作戦の張本人連中がウソを隠蔽するため新しい展開を発明
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-959714.html

◇ベネズエラ問題

現在、米国は、ナワリヌイ氏と同様なことをベネズエラでも行っている。トランプ政権が傀儡(かいらい)のグアイドを担ぎ出し、「チャベスやマドゥロの独裁に対する民主主義、自由主義の運動が弾圧を受けている」とふりまき、経済制裁とともに軍事侵攻をほのめかす緊迫した事態を作り出していた。

ナワリヌイにはグアイドほどの力はなかったが、両者とCIAとの緊密な関係は知る人ぞ知る事実。米国の手法は変わっていない。

※独裁vs民主主義でよいか ベネズエラをめぐる二つの見解にみる 長周新聞
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/11393
※新自由主義に対抗 反米の牙城となったベネズエラ 歴史的背景を見る 長周新聞
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/10894
※ベネズエラ転覆に乗り出す米政府 暫定大統領でっち上げる内政干渉 長周新聞
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/10759

🔶 日本はどう生きるか

日本は米国にとって重要な役割を担っている。米国の地政学的戦略理論から見れば、日本は対中国抑え込みの先兵になる。

安倍政権が耳にタコができるほどわめき続けた『日米同盟の深化』とは、日本と自衛隊が限りなく米国と一体化し、米国戦略の主要プレイヤーとしてひたすら米国の為に活動する事だと考えれば良い。(※間違ってならないのは、日米同盟の深化とは米国のためであって、決して日本のためではない。)

今、21世紀の世界は重大な岐路に立っている。日本の進むべき方向は三つある。

(1)これまでと同じように、米英欧日と同じ海洋国家側にたち、内陸国家(中国・ロシアなど)を封じ込め弱体化させる側に立つのか。
(2)中国・ロシアなど内陸国家側にたち、海洋国家側と一線を画すか。
(3)米国・中国・ロシアなどと等距離外交を行い、両者を仲介する存在感を持った中立的独立国家の道を選択するのか。

これまでの自民党政権は、(1)の道を選択してきた。田中角栄や小沢一郎、鳩山由紀夫のように(3)の道を選択しようとすれば、政財官メディア挙げて潰しにかかる。当然、その背後に米国の影があった。

自民党は田中内閣失脚で米国の意向に逆らう事の怖しさを学習した。鳩山内閣や小沢一郎などの民主党政権の倒れ方は、覇権国家としての米国の強さの表現でもあった。端的に言うと、“お前たちは米国の属国だ。逆らう事は許さないぞ”というわけである。それは同時に日本経済沈没の始まりでもあった。

民主党政権が倒れ、清和会という似非右翼政権が誕生したのは、米国がこれまで中南米やベトナムなどで行ってきた傀儡政権樹立とほとんど同様な手口だった。

例えば、南ベトナムのゴ・ジンジエムは文字通りの独裁政権で腐敗の温床のような政権だった。当時、米国は民主主義を叫ぶのに、何故あんな非民主的独裁政権を支えるのか不思議だとよく言われたものだ。

※ゴ・ジンジエム政権 世界史の窓 
https://www.y-history.net/appendix/wh1603-062.html

今、考えればそれは不思議でも何でもない。洋の東西を問わず、独裁政権は「政権維持」だけが目的になる。理由は明白。政権を失えば、今までのしっぺ返しが来る。国内の敵に酷いことをすればするほど、自分自身の命が危うくなる。だからどんな手を使っても権力を維持したい。その為には、国益を米国に売っても、自分を支えてもらいたい。こういう人物が権力を握っていれば、米国の意向は何でも通る。

米国の支援で、チリのアジェンデ政権をクーデターで倒したピノチェト政権も、同じような独裁政権で腐敗政権だった。ピノチェト政権下でどれだけの国民が死んだか。現在、ミャンマーで行われている国軍による民衆の虐殺どころの騒ぎではなかった。

※【世界のマイナー戦争犯罪】ピノチェト政権下の「反体制派」弾圧【南米チリ】
https://oplern.hatenablog.com/entry/2019/01/20/012426
※ピノチエト政権 世界史の窓 
https://www.y-history.net/appendix/wh1703-075.html
※赤旗 ピノチェト独裁下で政治囚処刑 
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-27/2013122706_01_1.html

自民党清和会政権もこれと同じだと考えれば、小泉政権,森政権、安倍政権、菅政権の統治下で日本中が貧しくなり、日本沈没が現実のものになるのも無理からぬものがある。

一応日本は先進国という扱いになっているので、民主主義的選挙による政権交代という手続きを経て行われる。だから、チリを始めとする南米各国やベトナムのような形を取ってはいないが、本質的には変わらない。

米国の目的は日本の富の収奪。それに尽きる。清和会の政権は、米国の目的に忠実に従う政権。権力維持のために、日本の国益を米国に売り尽くす典型的な売国政権。日本万歳を叫ぶ右翼政権が、国益を売る典型的売国政権だというところに、笑えない悲劇がある。

※竹中平蔵に代表される新自由主義的経済導入 (これもチリなどの南米諸国と同様。米国で教育を受けた人間をその国の重要政策を決定できる地位に送り込み、その国の人間の手によって、米国に都合の良い政策決定を行い、国の方針それ自体を米国寄りに決定させる、という典型的な植民地政策。)
※湾岸戦争、イラク戦争などへの関与(戦争経費負担、自衛隊の派遣など米国の戦争への一体化。)

このように見てくると、現在の日本の経済的沈下、格差の拡大、貧困の増大、軍事費だけが異様に増大し、コロナ下での危機管理政策の無さ、オリパラだけに景気浮揚を託す無能な政権が、なぜ生き延びる事ができるのかがよく理解できる。

それもこれも米国の属国の地位に甘んじ、米国の顔色だけを窺ってきた売国政権を唯々諾々と受け入れてきた日本国民と、何の批判精神も持たず政権の意向を垂れ流す大手メディアの腐敗堕落が招いた結果である。

🔶21世紀こそ日本国憲法の平和主義が最大の武器になる時代

21世紀の世界をどう生き抜くか。わたしは、(3)「米国・中国・ロシアなどと等距離外交を行い、両者を仲介する存在感を持った中立的独立国家の道」を選択する以外ないと考えている。

日本国憲法の理念である非戦・平和主義がもっとも必要とされるのが21世紀。何故なら、21世紀は、否応なく、『覇権の多様化』の時代が招来する。現在では中国の台頭が話題になっているが、21世紀はアジアの各国、ブラジルなどの国々が中国の後を追う可能性が高い。アングロサクソン流の世界支配は時代遅れになる。

このような『覇権の多様化』の時代だからこそ、戦争をしない平和国家という理念こそが、最大の武器になる。戦争をしない平和国家だからこそ、世界の国々に安心感を与え、信頼を勝ち取る事が出来る。アングロサクソン流の収奪をしない国家、という安心感こそ日本の武器になる。この理念を旗印にした等距離外交を選択する以外日本の生き残る道はない。

経済的には、新自由主義理論を克服する以外ない。対外的には先祖返りをしているバイデン政権だが、国内的には新自由主義経済克服の舵を切っている。これは民主党内の左派を取り込まないと生き残れないバイデン政権の内部事情もある。それだけではなく、米国内の格差問題が、もはや看過できないほどの国内問題を生み出す土壌になっているからである。

さらに言えば、新自由主義的欲望資本主義は、地球環境破壊の最大の要因でもある。気候変動は、もはや待ったなしの状況。内でも外でも、ありとあらゆる状況が、新自由主義的欲望資本主義の行き詰まりを示している。

日本も例外ではない。国内の経済格差は、開く一方。コロナ下の経済的困窮者は増加の一途。もはや、ドラスチックな経済改革を行わなければ日本は沈没してしまう。

今こそ政治の季節である。北海道・長野・広島の補選は、野党が三連勝。野党が連携し、結束を固めれば、政権交代は可能。

今年こそ、清和会主導の自民党売国政権を倒さなければ、21世紀の日本は、奈落の底に沈んでしまう。老骨に鞭打ち、最後の頑張りをしなければならない。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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きな臭さが充満しはじめた世界 (平和主義を再評価した日本の生きる道の模索)(1)

2021-04-26 20:34:14 | アメリカ
🔸バイデン政権の本質(軍産複合体の代弁者)

バイデン政権が誕生して4か月。予想通り、世界は確実に第三次大戦へ向けて歩み始めた。

トランプ政権は米国のエスタブリッシュメントに対する極右からの革命政権だった。トランプ支持者の間で広まっていた【陰謀論】の標的は、米国の真の支配者である軍産複合体を中核としたエスタブリッシュメントに向けられていた。

トランプ政権は、米国が世界の覇権国から降りるという政策を着実に実行し、世界の多極化に拍車をかけた政権だった。トランプが再選されていたら、米国は確実に覇権国家から降りていた。トランプが攻撃の標的にした米国エスタブリッシュメントは、世界の経済・軍事・金融・メディアなどあらゆるものを支配下に置き、世界を実質的に支配する巨大な権力を手に入れている。

米国内の格差は広がる一方。1%の富裕層が米国の富の30%近くを保有している。この事態は、もはや容認しがたい状況に陥っている。
※広がる格差、「上位1%」がアメリカの総資産3割を握る | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

1%の支配層は、自らの支配を正当化するため世界中のメディアに影響力を行使している。日本のメディアも同様である。彼らがメディアを通じて世界中に流布するイデオロギーの中心が【民主主義】と【人権】。この価値観に反する国や支配者は、米国の敵であり、殲滅すべき対象になる。

安倍晋三が繰り返した『価値観外交』とは、米国外交の中心的価値観である。そしてその価値観は、米国の世界統治の基本的理念であり、世界一の巨大な軍事力に裏付けられている。

問題は、『民主主義』と『人権』という標語にあるのではない。その価値観を他国に押し付け、拒否する国を攻撃する材料に使う点にある。この時の米国は、彼らが語るような温和な民主主義国家ではない。恐ろし気な顔をしたタイラント(専制君主)そのものである。戦後、米国が『民主主義』と『人権』を旗印にしてどれだけ多くの他国の政権を倒したり、戦争を仕掛けたか、枚挙に暇がない。

特に米国の裏庭と称される中南米諸国への介入は、『民主主義』と『人権』の守護神を任じる米国が強権的で専制主義的性格をむき出しにしており、米国という国家のダブルスタンダードを余すところなく示している。

例えば、チリの軍事クーデター。米国の支援を受けたピノチェト陸軍司令官が1973年9月、選挙を通じて誕生したアジェンデ人民連合政府をクーデターで倒し、軍事独裁政権をつくった事件。90年の民政移管までの弾圧で約3200人が死亡もしくは行方不明になった。2011年までの調査によると、拷問や投獄などの被害者総数は4万人を超える。

※赤旗 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-05/2013010507_02_1.html
※「もう一つの9/11」 https://democracynow.jp/video/20100915-3

このクーデターで、アジェンデ大統領は自ら銃を取り、大統領官邸で戦死した。現在ミャンマーで行われている軍事クーデターと同じというより、はるかに酷い虐殺や拷問が行われた。

その他、2000年代、旧ソ連邦加盟国家で起きた非暴力の革命運動=カラー革命がある。ジョージア(グルジア)のバラ革命。ウクライナの「オレンジ革命」。その後起きた「アラブの春」(チュニジアのジャスミン革命)など花になぞらえた革命が多く、総称して【カラー革命】と呼ばれている。これらの革命の裏に米国CIAなどの影がある事など世界の常識である。投資家ジョージ・ソロスなども東欧のカラー革命にかかわっている。

香港の民主化運動も2000年代に行われた『カラー革命』と同じ手法が行われた、とする見方が絶えない。
さよなら香港 田中宇 http://tanakanews.com/190911hongkong.php
さよなら香港、その後 田中宇 http://tanakanews.com/190917hongkong.htm
※「カラー革命」敵視で共鳴  中国式ガバナンス  朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL5J4WC3L5JUHBI01L.html

香港の民主化活動家たちが米国CIAと親密な事は周知の事実だった。これを見た中国当局が、「カラー革命」の手法を警戒しないわけがない。香港の民主化活動家に対する強権的な弾圧は、その意味では当然の結末だった。

わたしは周庭という活動家に注目していたが、香港の民主活動が過激化するのを見ていて、中国当局の思うつぼだと心配していた。活動の過激化は、当局にとっては思うつぼ。案の定、香港の民主化運動は終息。周庭も逮捕、収監され、結果として、見事に抑え込まれた。

もし、この運動が成功したら、2000年代のカラー革命の再現だった。中国当局にとっては、それは悪夢以外の何物でもない。それだけは絶対阻止するという中国当局の意志は、多少の国際的批判など歯牙にもかけないほど堅かった。

わたしは、香港の運動を見ていて、中心活動家が米国の要人と会っている写真を公表するなどあまりにも米国寄りの姿勢を明らかにしており、国際関係の力学に無頓着な点を懸念していた。

もし香港が独立したら、必ず『台湾独立』が日程に上る。これだけは、絶対阻止するというのは革命以来の中国共産党の国家的大命題。その為には何が何でも香港独立は阻止しなければならなかった。

台湾海峡の緊張は、米国流世界統治の方法と中国流統治の方法のぶつかり合う最前線の緊張であり、この緊張を煽る事は、第三次大戦を覚悟しなければできない。

🔶バイデン政権の対中政策

バイデン政権は、中国に対して明確に「人権」を理由にした非難を開始した。特に、新疆ウイグル問題に関して、「人権」を名目にして厳しく非難。中国の政策を明確に否定した。EUも同調し、制裁を課している。当然ながら、中国は強く反発。

※新疆ウイグル問題
https://kotobank.jp/word/%E6%96%B0%E7%96%86%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C-1738007

※NHK ウイグルの人権問題で欧米が制裁 中国は反発 日本の対応は
2021年3月23日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210323/k10012930421000.html

さらにバイデン政権は、一つの中国というこれまでの米国政府の外交原則を修正。台湾政府を認知し始めた。この米国政府の態度変更は、当然中国政府の激しい反発を招き、米中関係は厳しい状況になっている。
※米中全面対決、台湾有事はあり得るか:
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00702/

今回の菅総理の米国訪問。米国の対中政策の最前線に日本が立ってほしいという狙いが歴然としている。その為、共同声明で台湾に言及。中国政府の激しい反発を買っている。
※中国はどう報復するか。日本には「寸止め」方針との見方
https://www.businessinsider.jp/post-233359

バイデン政権の対中政策の変更は、日本にとってきわめて深刻な問題になる可能性が高い。何故なら日本の中国に対する貿易依存度は年々高くなっており、米国をはるかに超えている。中国との対立は日本の経済の根幹を揺るがす危険性がある。
※対中依存度が急増する日本に米中の踏み絵は踏めるか 貿易収支が語る、台湾有事と日本の安全保障の不都合な現実(1/3) | JBpress(Japan Business Press) (ismedia.jp)

🔶バイデン政権の対ロ政策

バイデン政権は、4月15日にロシアに対して追加制裁を決定した。理由は、ロシアによる選挙介入やサイバー攻撃。

その前の3月17日に、バイデン大統領はプーチン大統領に対して人殺しと認識していると発言。外交官引き上げなど、ロシアとの間で大きな確執を生んでいる。一国の大統領が他国の大統領を『人殺し』と罵るのは尋常ではない。ロシア当局が怒るのも無理はない。

さらにウクライナ問題に関しても、米国はウクライナでの戦争を望んでいるかのような動きをしている。
・・・4月8日CNNは、米国が黒海に二隻の軍艦を配置するつもりだとトルコに知らせたと、トルコ外務省の情報筋が金曜日に述べた。軍艦は5月5日まで黒海に留まる。・・・と伝えた。

黒海に軍艦を配備すると言う事は、ロシアと正面から対峙する事を意味する。つまり、ウクライナとロシアの間の戦争を米国は望んでいると言う事になる。ウクライナの現在の政権(ゼレンスキー内閣)の力では、米国の承認なしに戦争を始めることなど不可能。軍艦配備とは、米国の承認があったのではないか、と疑わせるに十分。ロシアは受けて立つことを明言している。

ここでもきわめて危険な兆候があらわれている。

🔶バイデン政権の中ロに対する基本姿勢(米国の地政学的戦略視点)

▼これまでの米国流「地政学」理論
ユーラシア大陸の外側・海洋側の勢力(米英日欧)⇒中ロイランなどのユーラシア大陸の内側国家(内陸国家)の勢力を封じ込め、弱体化させる=ユーラシア包囲網⇒米英支配の要諦
=米国流戦争理論

▽この理論に対置する中国の戦略⇒一路一帯政策
内陸国家が結束。海洋勢力の包囲網を打破する。⇒地政学的逆転が中ロの狙い。(現状はそうなりつつある)⇒覇権の多様化

この状況を打破するためには、米国は何が何でもEUの住民(約4億5千万人)を囲い込まねばならない。つまり、EUの住民を守るためには、どうしても米国の保護と武器が必要だと感じさせなければならない。その為には、ロシアの危険性を大々的に報じ、どうしてもウクライナとの戦争が必要だ、とEUの人々に感じさせなければならない。これが、ウクライナ危機を煽る米国の理論だろう。

誰がどう考えても戦争はウクライナの完敗に終わるだろう。米国はそれで良い。ウクライナの国民やウクライナ国家の運命など物の数ではない。ブリンケン国務長官やビクトル・ヌーランドなどのネオコン連中の発想は、この戦争を通じて、ロシアの脅威をEUの住民に腹の底から感じさせれば良いのだ。そうすれば、EUの住民たちは、米国の保護を求め、米国の覇権を望むことになる。それが出来れば大成功という話だ。

このネオコン流のやり口には米国の成功体験がある。旧ソ連邦が崩壊したのは、アフガン戦争のゲリラ戦で泥沼に陥り、経済的苦境に陥ったのが原因。当時アフガン・ゲリラを武器・弾薬・人で支えたのが米国。オサマ・ビンラデインは、サウジアラビアからこのゲリラ戦に参戦。文字通り、CIAのお友達だった。

とにかく、ソ連をアフガン戦争の泥沼に引きずり込んで消耗させるのが狙いだった。このグランド・デザインを描いたのが、当時、まだ力があまりなかったネオコン連中。ソ連邦崩壊を契機に米国政治の中でネオコン連中の力が高まったのである。
※ネオコン ⇒ネオコン(新保守主義)とは、アメリカの保守系の勢力の一部を構成する「国際政治へのアメリカの積極的介入」「アメリカの覇権を重視」「アメリカ的な思想を世界に広めること」などを信条とする勢力のこと。
詳細については以下を読んでください。
https://liberal-arts-guide.com/neoconservatism/

政治力学については、このように、様々な理屈が考えられるが、問題の根源は、米国の衰退にある。

冷静に現在の経済状況を眺めてみればすぐ理解できることだが、現在、絶対米国から買わなければならないものがあるのかと問えば、世界の誰もが一瞬首をひねるだろう。それくらい米国が世界に売りつける高付加価値の商品が年々乏しくなっている。

日本の安倍前首相などが米国に脅されて使えもしないポンコツ武器を言い値で買わされているのを見れば、いかに米国が売るものがないかが良く分かる。

覇権国家の脅しと力づくの商売は長続きしない。脅しで商売できる相手は限られる。今や世界の成長エンジンは、中国やアジア諸国に移っている。

ユーラシア大陸のアジア諸国の人口は約47億人。中国の成長により、この巨大マーケットから米国は排除されつつある。もしこれにEU各国が続けば、世界の6割近い50億以上の人口から米国商品が排除されることになる。

しかも、これらの住民は商品を買う事が出来る豊かな住民であり、アフリカの住民たちとは根本的に違う。それがユーラシア大陸と言う一塊になっている。ここから排除されると言う事は、米国にとっては悪夢に近い。米国がただの南北アメリカという一地域の『覇権国家』に転落する事を意味する。

通常の国家指導者なら、ユーラシア大陸の住民たちが欲しがる魅力ある商品を作る事が出来る産業の育成を図るだろう。

しかし、覇権国家としての果実を食べる事に慣れた米国の支配層はそう考えない。『経済』と『戦争』を一体化させて考える。競争相手を戦争に引きずり込み、相手国を徹底的に疲弊させ、経済を弱体化させ、自国の覇権を死守するように考える。

だからこそ「ウクライナの戦争」が必要だ、というのがネオコンの理論だろう。政権中枢にネオコンの影響力が強いバイデン政権の危険性はここにある。

ただし、正面からロシアと戦争すれば、米国もただでは済まない。ロシアは核兵器を大量に保有しているうえに、ロシアの大陸間弾道弾サルマトの性能は米国のそれを上回るというのが定説。

・・・ 最も脅威的なのは、大陸間弾道ミサイル「RS28サルマト」で、射程は11万キロ。通常の攻撃コースである北極経由はもちろん、南極経由でも欧米を攻撃できる射程を持ち、弾頭重量は100トン、核弾頭なら15個を搭載できるという。北極経由より圧倒的に長距離である南極経由の攻撃が可能になった。この意味するところは、弾道ミサイル防衛(MD)において「北から核ミサイルがくる」との想定に基づき北方方面に配備していたMDの迎撃ミサイルなどを、南側にも配備しなければ守りきれないということだ。

・・もうひとつは低空を飛ぶ巡航ミサイルだが、その動力は原子力。核動力巡航ミサイルとして「無限の射程距離」を獲得したという。これは北大西洋条約機構(NATO)や米国、日本の迎撃システムによる迎撃可能エリアを大きく迂回して目標に到達することが可能だと説明。レーダーに探知されにくい低空を飛ぶ。・・・ 
岡田俊彦 軍事ワールド
https://www.sankei.com/west/news/180313/wst1803130006-n1.html

米本国が核攻撃に晒されるなど、米指導者にとってはあってはならない。そんな危険は冒すことはできない。だからこそ、ウクライナとNATOの協力により、米国が後方支援する形での戦争が必要になる。これなら、ウクライナが戦場になり、拡大してもヨーロッパが戦場になるだけ。米国にとっては痛くもかゆくもない。

ウクライナ問題、ナワリヌイ問題をこの視点で考えると、米国の壮大な意図が見えてくる。

ロシアとの関係も一触即発だが、米国と肩を並べる中国との関係もきな臭さが充満している。自分の立場を脅かす国は、力づくでも追い落とすせ、というのが、覇権国家の力学である。

以前から、わたしは覇権国家が覇権を降りなければならない時が、世界にとって一番危険な時期であると指摘してきたが、バイデン政権の4年間がまさにその時期だと考えている。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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「もうひとつの日米戦後史」を読む、その2

2021-04-23 09:59:37 | アメリカ
今回のコラムはオリバー・ストーン監督と鳩山友紀夫氏、他2名の対談集「もうひとつの日米戦後史」を読んで、感銘を受けた箇所の感想であり、以前のコラム投稿の続きである。

最初に断っておくが、従来の現代史;戦後史の見解とは180度異なる「問題提起」を、オリバー監督と共著者のピーター・カズニック教授が発言されているので、私の「力量」ではどこまで、本書のポイントを伝えることができるのか、いささか不安である。

始めに、前回、冒頭部分と第2章は詳述しているので、ここでは、その部分の要点のみを記述する。

アメリカの原爆投下は、日本政府が戦力も喪失して、ポツダム宣言を受諾したものかどうか躊躇して、「黙殺」している間に行われたものであり、アメリカがあえて、原爆投下する「必要性」は全くなかったと、オリバー・ストーンは断言している。

彼は、原爆投下は米軍の損失を避けるという目的ではなく、主にソ連の参戦に対抗する意味が強いと主張している。そして、さらに、アメリカは原爆投下の主たる目的として、来るべきソ連との軍事的な衝突を意識していたことを述べている。

本書では、対ソ問題で、二つの論点に焦点を当てている。

一つは、第二次世界大戦に「勝利」したのは、従来の現代史の見解では、Dーデイ、「ノルマンジー上陸作戦」によって、ドイツをアメリカが「打ち負かした」という見方が通説であり、映画人のスピルバーグ監督も、そうした「史観」で映画制作している、とオリバー監督は発言する。しかし、これはアメリカのプロパガンダに過ぎないと言うのである。

そうではなく、ドイツを打ち負かしたのは、ソ連であり、実際に2700万人もの犠牲を払って、第二次世界大戦に「勝利した」のは、ソ連だったと述べる。

もう一つの「論点」であるが、冷戦構造の問題である。これは、従来の歴史的な通念では、アメリカとソ連が「覇権」を競って、冷戦という「紛争」が起こったというものである。

しかし本書では、それは違う、「冷戦」を起こしたのはアメリカの方であり、「反共」政策の実現のために、ソ連に挑発を仕掛けたという。ソ連を封じ込める目的で、冷戦を仕掛けたという見解を本書では打ち出している。

実際に、「キューバ危機」という事件では、ソ連の党首フルシチョフとケネディ大統領の電話対談で、「一触即発」の核戦争の危機を回避したのである。

そして、本書では、ケネディ大統領の「暗殺事件」はオズワルドが暗殺者とされているが、映像(現地の人の撮影したもの)から見て、彼は「真犯人」などではなく、オリバー監督はアメリカの「影の政府」の仕業であると発言していて、映画化まで行っている(映画「JFK」)。

ここまでが、前回までの「内容」であったが、今回は、アメリカという国が「どういう国」であるのかを「語っている」箇所に触れたい。

本書で、鳩山友紀夫氏と木村朗教授が対談している箇所があり、二人が「9.11」事件の「真相」を暴露する対談には驚かされた。

(木村氏)私は、原爆投下によって、冷戦が意図的に開始されたように、「9.11」事件を契機に、そのテロとの戦いが意図的に立ち上げられたと考えています。第二次世界大戦後から開始された冷戦もテロとの戦いという「第二の冷戦」も、実は幻、虚構であって、本来なら必要のない、実体のない闘いであって、それは軍産複合体の存在、利益をカモフラージュするというか、生き残りを図るために必要なプロセスであったと思っています。
(鳩山)「9.11」によって、大軍拡計画が成功していくわけですね。
(木村)新しい真珠湾攻撃が「9.11」なのです。「9.11」を、新しい真珠湾攻撃だと最初に言ったのが、ヘンリー・キッシンジャーで、それからブッシュ・ジュニアもその日の日記にそう書いたと、あとから言っています。
(鳩山)恐怖を煽って、戦わねばならないと国民の意志を向かわせ、結束を高めたり、政権の支持を高めていくというのは、政治指導者の常套手段でもあります。
(中略)
(木村)本来ならば、冷戦終結後に、平和で民主的な国際社会・世界にできるはずだったものを、ウォルフウィッツ・ドクトリン(注記:ポール・ダンデス・ウォルフォウィッツは「ネオコン」の理論家であり、冷戦以後はアメリカ一極時代であり、アメリカに逆らう国は先制攻撃で打倒していくというドクトリンの提唱者)に従って、湾岸危機から湾岸戦争に突入していきます。私が1985年から87年に留学していたユーゴスラビアで起きた内戦も、その延長線上で起こったと思っています。まさしく、軍産複合体の巻き返しです。

<小泉政権がイラク戦争に加担した経緯を再検証>

(木村)冷戦終結後、NATOは解体するどころか、一方的に拡大膨張しつづけている。(中略)ヨーロッパに行くと、ロシアの脅威というプロパガンダが浸透しています。しかし、本当はNATOの拡大自体が、その地域の最大の脅威なのです。
(鳩山)私もそう思います。
(木村)アメリカのリベラルな人たちの多くは、ブッシュ政権は、アメリカの歴史の中でも、特に異常な、逸脱した政権であって、最悪だったという評価です。それをオバマがようやく変えて、元のアメリカに戻った、という評価です。ところが、オリバー監督などに言わせれば、彼は就任早々に、ディープ・ステイトに取り込まれたと指摘しています。
 そもそもオバマ政権ができる時に、国務長官にヒラリーがなったこと自体が、オバマの意志が通らない組閣であったと思います。そして、そのヒラリーが、リビアのカダフィー政権の崩壊とカダフィー殺害を指揮するわけです。
 実は、ISなども、アメリカがヒラリー国務長官を中心にしてつくったものです。オバマ大統領も、結局、それを容認したのです。

<日本国民もアメリカに盗聴されているというスノーデンの証言>

「ロシアゲイト」と言われるトランプ大統領への疑惑問題も、オバマが、後にトランプ政権の「片腕」になるマイケル・フリンの進言「ISを作るようなことは危ないからやめろ」ということに対して、オバマはヒラリーの肩を持って、フリンの首を切ったという。その後、彼がトランプ大統領の片腕になったので、「ロシアゲイト」事件をでっち上げたと本書では語っている。マイケル・フリンはロシアとの戦争を止めるべきだとずっと言っていたとのことである。

本書には、スノーデンの「暴露」、特に、日本との関係で触れている箇所がある。映画でも扱われている問題である。

(鳩山)横田にいたみたいですね。
(木村)マルウェアとは、日本がアメリカに逆らったり、離反しようとしたら、日本に制裁を加えるための仕掛けです。これが作用すると、日本のあらゆるインフラストラクチャーは停電して使えなくなります。そういう、プログラムを密かに仕込んでいるとスノーデンは証言しています。
(木村)スノーデンが証言したもうひとつの重要な点は、アメリカ側が盗聴システムを日本に分け与えるから、日本自身が国民を全部監視しろと要求したのですが、日本政府はそれを断ったので、自分たちアメリカ側で行うことになったという証言です。
(鳩山)もう、アメリカがやっているということですね。

ここで、ドイツのメルケル首相の携帯をアメリカが「盗聴していた」問題に触れているが、その後で、日本の盗聴問題に触れている。

(鳩山)軽く見られていることは間違いないでしょう。しかし、日本人がそこまでなってしまっているのは、情報が操作されているということが一番大きいのでしょう。(中略)
(木村)ですから、いま日本にとって本当に必要なのは、権力と一体化して情報操作をしている御用メディアではなく、権力を監視・批判できる市民による対抗メディア、ソーシャル・メディアとそれを支える強力なシンクタンクの設立だと思います。
(鳩山)これは作らなければいけないのでしょう。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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