老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

地球沸騰時代の野生生物の窮状からみた世の中の『進歩』の度合

2024-07-17 11:08:33 | 環境問題
「社会の進歩」は望ましいとの思想がある。この思想をもとに、『地球沸騰時代は脆弱な生命体ほど厳しい状況に置かれる』という現実を紹介する情報をもとに「進歩」という視点から見た我々の世の中の現在地を考えてみたい。

1971年、市井三郎氏は「歴史の進歩とは何か(岩波新書)」のなかで、進歩思想の歴史を紹介しつつ、次の考え方・モノサシを「社会の進歩」の指標として提案している。

私流表現になるが、大筋で市井氏が主張する指標は『合理的・正当な理由がなく、当人に責任を負わせることは不当であり理不尽な理由でもって、引き起こされる過酷な環境を受け入れざるを得ない脆弱層が存在するのであれば、その脆弱層の存在を少なくすればするほど、その世の中は進歩している』という、考え方・モノサシを市井氏は示したのである。
半世紀以上が経過した今でも通用する、生き生きとした見方だと思う。

ここで、「正当な理由がなく、そして当人に責任を問うことは理不尽な理由でもって、引き起こされる過酷な環境」とは、現在我々が直面している地球沸騰時代の熱波であり、洪水であり、山火事等々であり、我々は世界の現実としてそれらを日々目にしているのである。

そして「脆弱層」とは、視野を狭くすればグローバルサウスの国々が一例になるだろうが、我々はもっと視野を広げる必要があるだろう。

即ち、地球沸騰時代の対処を放置したり遅らせたり、あるいは判断・手段を誤り、現在既に進んでいる望ましくない方向が更に進行して行けば、ゆくゆくは地上の全員(人間だけではない)が脆弱層になるのである。ここでは脆弱層の代表として野生生物を取り上げて、話を進めていくが、話の内容は野生生物だけの問題でないことは当然なことである。

この様に考え、我々が「社会の進歩」を進めたいと希望するのであれば、地球沸騰時代に生きる我々に求められることは、市井氏の示した「進歩のモノサシ」からハッキリ見えてくる。即ち、我々のやるべきことは、「地球沸騰時代の厳しい環境に苦しむ脆弱層を如何に減らしていくか」ということになる。それが『我々の世の中の進歩』に繋がる行動にもなるのである。

そしてそれを進める上で、前提として、どのような脆弱層が存在しているのか、現在どんな窮状にあるのか、かれらの窮状を放置した場合、如何なる影響が出る可能性があるか、といったことも把握して行くことも求められるだろう。

では目標とする「脆弱層を如何に減らしていくか」の動向の世界の現在地はどうであるか。これは、容易に判断は難しいものの、COPやG7、G20、EUや拡大BRICS・ASEAN・アフリカ連合等の動向を注視していくことで、見ていくことになるだろう。

但し現状は、例えばGHG排出の点で責任がないにも関わらず熱波や日照り・水害・山火事・海面上昇等の窮状に苦しむ脆弱なアジア・アフリカ・中南米や島嶼国の人々がいる一方で、彼らが行う緩和策や順応化策に向けた活動資金の提供を後へ後へと先延ばししている先進国主導のCOPの動向を見るにつけ、世界の現在地には明るさは余り感じられない。世界の主導層の想定する「社会の進歩」に、脆弱な全ての国や市民や野生生物が含まれていて欲しいものだが、果たしてどうなのだろうか。注視を続ける必要がある。

今日の本題に移りますが、もう一つ今後この問題を考えていく際に心に留めておくべき点として、1つは地球沸騰時代の過酷な環境に対して緩和措置・適応措置を講じる際にも、そこには『格差』が現在、厳然として存在しているという事実の認識と、そして2つ目に資本を武器に社会の変革を、技術革新競争を勝ち抜くことのみを目標として推進して行こうとする信仰とも言える考え方が世界の支配層や、我々にも存在しているという認識を持つことが大切と思っております。そして、それら信仰を持つ層には強大な力がある。彼らの力を『上からの圧力』とすると、市民側の『下からの圧力』をどう醸成していくかが大切な視点と考えております。

では今回のテーマです。上に説明の2番目の課題の『どのような脆弱層が存在しているのか、現在どんな窮状にあるのか、かれらの窮状を放置した場合、如何なる影響が出る可能性があるか』という話題に関係する情報(脆弱層の代表として野生動物を取り上げている)を提示します。

責任がないにも関わらずに、そして緩和も回避する術も力も持ち合わせていないことから地球沸騰時代の被害だけを甘受せざるを得ない代表者として野生動物を取り上げ、地球沸騰時代の被害を理不尽にも受けているのは人間だけではないということ、そして野生動物の窮状を通して、我々社会にある格差の存在する故に起こっている脆弱な人々のこと、そしてその窮状が継続することから懸念される我々社会に広がりつつある新たな脅威の拡大に関連する情報と捉えています。

紹介する情報は次の2つです。

1. 何故野生動物が不眠症になるのか?
(Vox.com, 2024年6月2日 Benji Jones氏記す)
2.地球沸騰化が野生動物と人々を接近させ、悲劇が生まれる可能性を高める
(Insideclimatenews.org, 2024年5月7日 Kiley Price氏記す)

概略を伝えることを念頭に置いております。詳細は出典に当たって下さい。

1、何故野生動物が不眠症になるのか?(Why some wild animals are getting insomnia)

暑すぎる寝床で数時間、べた付く汗で眠れずに横になっている気分位、嫌なものはない。

過度の熱気は安眠を邪魔するが、それは我々が持つ自然放冷機能の作動を熱気が妨害するからだとされている。
しかし、多くの人はエアコンや扇風機をオンに出来るという幸運に恵まれている。だが野生動物には、そんな幸運はない。

哺乳動物に関する新たな研究報告が2つ出ており、それらによると、例えばチェコの野生イノシシは暑い夏の時期の安眠度合いが、涼しい時期に比べて17%低下するという。
もう一つの研究は、アイルランドの小鹿もまた夏の暑い日の睡眠がより短く、睡眠の質がより悪くなることが指摘されている。

即ち気候変動の結果、夏季の暑さが高進すると動物たちは睡眠が妨げられることになり、その結果、彼らの免疫力は低下していき、生存が危ぶまれる可能性が出てくる。
そして、生息地の移動が促進されたり、それに基づく伝染病の拡大が起こったり等々の、従来は保全されていた自然界の生態系の均衡が破られる恐れが出てくることになる。

動物たちの睡眠状況を観察することで、科学者らはそのような事柄を調査している。

ブリストル大学研究員のEuan Mortlock氏は、動物たちの睡眠状況の観察を研究対象にしている。対象は、大は大型の哺乳動物から小はミバエ(fruit flies)までを観察している。

「動物たちが起きている時に行う様々な行動が興味深い研究対象であって、睡眠行動というものは、この起床時の興味深い行動の時間と次の起床時の行動の時間を単に埋めて、繋いでいるだけの存在だ、と多くの人々は捉えていると思う。しかし私はこの睡眠行動を最も興味深い観察すべき行動の一つだと考えている」とMortlock氏は指摘する。

睡眠行動を、観察すべき興味深い研究対象だと考える理由の一つは、恐らく海綿動物を除いて全ての動物が共通して睡眠行動をとっているという点である。アザラシは300mもの深さまで潜りながら昼寝をし、クラゲは脳に相当する部分がないにも関わらずに睡眠状態になり、そのときクラゲの脈拍数は低下することが判っている。
ショウジョウバエも昼寝をする。その際ショウジョウバエは頭を少し下に傾け、触角は垂らしているという。

睡眠は、人にとっても動物にとっても非常に大切なことであり、例えば免疫系の改善や脳の働きを良くするといった様々な効能がある。従って睡眠を妨害する環境の変化は、生存や生態系に深刻な影響を与える可能性があるのである。

人の睡眠は、FitbitやApple Watchなどを使って追跡が可能であるが、野生生物に対して、Mortlock氏らは加速度計と呼ばれる装置を、捕獲した動物に取り付けることでデータを採集することに成功している。
この方法を用いると、様々な動物の睡眠行動やその他の行動の情報を入手することが可能となり、例えば、暑さや寒さその他の気象状況による野生動物の行動様式の情報を得ることができるという訳である。

Mortlock 氏らは2019年からイノシシを対象に、この方法を用いて監視活動を行い、睡眠時間と睡眠の質を測定し、得られたデータと気温や湿度といった気象データと比較し、それらの関係性を調査してきている。

得られた発見に「気温が高いと睡眠は短くなり、断片的になり、睡眠の質の低下が起こる」がある。また雪や雨の天候のもとでは、睡眠の質は高まることを認めている。これらの天候では動物の体温が低下することになり、その影響と考えている。

Mortlock氏らはダブリン近郊の公園の小鹿を対象に300日以上のデータを蓄積し解析を行っている。小鹿の場合も暑い日の睡眠時間と睡眠の質は、イノシシと同様に低下することを認めている。

非営利団体Climate Centralの報告によると、猛暑日が昨年世界全体で平均26日分増加したとされ、Mortlock氏らの研究結果と付け合わせると、野生生物の世界で、睡眠の質の低下状況が生まれている可能性が懸念されている。
睡眠不足は、野生動物の免疫性に影響を与え、病気になる可能性が高まり、子供の世話に費やす時間が低下するといった影響が出るとされている。

ここで、野生動物らは適応性の高い生き物だということを意識することも大切であり、気温や湿度の上昇により睡眠に悪影響が出る状況に置かれた場合に、彼らは行動様式を変えていくことも考えられる。例えば、体温を下げるため水浴び回数を増したり、寒冷地への移動を行うこともある。

彼らが取るこれらの適応行動によって、野生動物が人間の生活圏に接近する可能性が高まることが起こるのである。

猛暑や熱波は野生動物にとっても間違いなく様々な課題を突き付けるものである。野生動物たちは既に森林伐採や密猟などの脅威にも曝されてきているのである。

2.地球沸騰化が野生動物と人々を接近させ、悲劇が生まれる可能性を高める(Climate Change Is Pushing Animals Closer to Humans, With Potentially Catastrophic Consequences)

気候変動が原因して、世界の動物の行動範囲に変化が起こっている。
それぞれの動物の広範な生活場所の配置替えにより、動物は人間の生活圏への接近を強要され、悲劇を生む可能性が高まっている。

気候変動が原因して人と野生動物との間に争いや接触が世界的に増え、人獣共通伝染病のリスクが高まり、世界にあふれ出てくることを示す研究報告例が増えてきている。

最近の事例を紹介していく。

(1) 人と野生動物との間の争い・接触の増大
熱波や海面上昇に加えて、アジア・サハラ砂漠以南のアフリカ・オーストラリアやフロリダに住む人々の間では、気候変動の進行につれて命に関わる毒蛇との遭遇の懸念が高まってきている。

最近の研究によると、気温上昇につれてある種の毒蛇(アフリカ西部のクサリヘビgaboon viperやアジア・サハラ砂漠以南に住むエジプトコブラ)の生息域が拡大しているという。
多くの毒蛇の生息域が、気候変動の進行により失われていく可能性があり、その結果危険な毒蛇の生息域が耕作地や家畜飼育場と重なっていく可能性が、ことに低収入諸国で高まると研究者らは見ている。

WHOも、この状況を注視しており、各国に解毒剤備蓄を増やすこと・人々に毒蛇への注意喚起を進める等の「緊急行動」を1月に要請している。
地球沸騰化により、冬眠と呼ばれる蛇の静止状態からの目覚めの時期が早まってきており、オーストラリアの蛇の活動が高進していることを、生物学者らは既に認めている。

「蛇が早い時期から活動的になり遅い時期までその活動が続くということは、それだけで終わるものではなく、蛇たちは夜遅くまで活動的になっているということを意味している」とクイーンズランド大学の生物学教授のFry氏は指摘する。

フロリダ・エバーグレーズでは、地域をはいまわるビルマニシキヘビ(1980年代にペットとして移入)の数が増えている。そして今や気候変動の影響で北部地域へと生息域を拡大している、と米地質学会は指摘している。

蛇以外の野生動物と人との争いについては、複雑さがあると言われている。

例えば、北極クマは氷塊の溶解進行により陸地での狩りの機会が増えており、人々との接触機会が拡大している。
過去20年の動向を見ると北極くまの生息域は移動しており、悲劇的な遭遇が起こる可能性が高まっているとワシントンポスト紙は指摘している。

世界各地で、数えきれない衝突事例が観察されており、人にも野生動物にも被害が起こる可能性が出てきている。

(2)動物起源の伝染病の発生
鳥インフルエンザで見られるように、人獣共通伝染病は常に一つの生物種に局在するものではない。

気候変動の進展につれて、人と野生動物との間合いが狭まるにつれて、これらの人畜共通伝染病の蔓延が進行し、流行化へと転換をおこす機会が増えることをフィナンシャルタイムズ紙が報じている。

多くの場合、流行化への転換を引き起こすきっかけとなるのは極めて小さい生き物、即ち蚊であることが多い。
高温化により、蚊は生殖再生産を加速し、人畜への咬みつきが増え、そして生息域の拡大等が相合わさって伝染病の伝搬が促進されることになる。
WHOの2023年報告は、ハマダラ蚊が原因であるマラリアの流行と気候変動との関連性を報告している。

同様に、蚊が媒介するデング熱が、従来感染が見られなかった地域にも広まっている、とされており、その理由は気候変動及び都市化の進行だとしている。
ペルーにおける感染の拡大がことに懸念されており、今年のデング熱により死亡者数は3倍以上とされている。「蚊が気候変動に適応してきており、従来よりも生殖再生産速度が速まっている」とリマ大学の伝染病学者のTarazona氏は指摘し、「ラテンアメリカ地域において極めて深刻な状況が生まれている」としている。

ダニが媒介するライム病と気候変動との関連性もまた研究されている。
研究によると、気温と湿度の上昇がダニの生育地の拡大に繋がっており、メイン州やウィスコンシン州で見られるという。

人獣共通伝染病の拡散を低減する目的で、諸国は共同体間の連絡網の利用やAIの活用等を利用する監視の増強を進めている。

***
熱帯夜が増加すると、野生動物の間で睡眠障害が深刻化し、結果として全ての脆弱層の生き物は疲弊し、その免疫力は低下し、精神状況にも懸念すべき状況が発生する恐れが出るのである。

一方で、人畜共通伝染病を媒介する蚊やダニはより活発化し、その活動域も従来の範囲を超えて広がりつつあり、これら人畜共通伝染病の流行により、脆弱層が更に影響を受けるという悪いサイクルの循環が起こることが大いに懸念される。

かかる「悪いサイクルの循環」の発生を如何に抑制し、脆弱層の健康・免疫力を改善し、伝染病の蔓延を如何に防いでいくかに、世界の行方は掛かっている訳であるが、市井氏のいう『進歩』という視点から見て、我々は脆弱層の窮状を低減していっている、明るい方向を目指しての道中に我々は現在いると、断言できるであろうか?

また、我々の世の中は、支配層が差配する「進歩思想」だけに頼る、即ち技術革新至上主義だけに頼る「進歩思想」だけで、間違いなく世の中は『進歩』していけると言えるのであろうか?

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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都知事選を振り返る

2024-07-16 00:12:52 | 選挙
7月7日投開票の東京都知事選は、現職の小池知事が3回目の当選を果たし、広島県安芸高田市の元市長石丸伸二氏が2位、立憲民主党を離党し「反自民」「非小池都政」を旗印に集った「オール東京」の下で闘った蓮舫さんは3位という結果に終わった。

5月27日に立候補を表明して以来、蓮舫さんの動向を見てきたが、東京都が抱える様々な問題に取り組む人たちの声に耳を傾け、都庁下の炊き出しや再開発が進む神宮外苑をすぐに視察するなどの迅速な行動力を発揮し、「行政改革の専門家」の視点で問題の本質を即座に把握して、具体的な解決策と東京の未来像を提示する、その知性と理性、率直さ、政治家としての卓越した能力に改めて感心し、連日の街宣の盛り上がりと相俟って、当選への期待は高まっていった。

しかし、聴衆の盛り上がりが高まるにつれて、テレビやSNS上では蓮舫さん本人や、蓮舫さん支援を表明し積極的に協力する共産党等へのネガティブキャンペーンが強まり、組織に頼らず「自立した個の集まり」に拘った選挙戦術は、既得権益を守ろうと結束する組織による「蓮舫潰し」の前に有効な対抗手段を見いだせないまま、結果として敗北。蓮舫さんの描いた「新しい東京、新しい未来」への期待は、一旦断ち切られることになった。

ちなみに、都知事選のもう一人の“勝者”、自らの「はっきりものを言う姿」をアピールするYouTube紹介戦略が功を奏して2位になった石丸氏は、人気の謎と本人の不思議な話法がテレビ界の商品価値と評価されたのか、今や連日テレビに出演し自己アピール、彼の「思う壺」状態になっているように見える。

蓮舫陣営に話を戻すと、選挙結果が出た後も、「水に落ちた犬は叩け」とばかりに、テレビタレントたちによる蓮舫さんへの揶揄や誹謗中傷は一層声高になり、SNS上では街角に残った「R」マークのシールを執拗に取りざたした「ひとり街宣」への根拠不明な非難が続いたりしている。

こうして、今回の都知事選は、「物言う個人」が、のびのび自分らしくふるまい、連帯し、力を持つことを嫌い、あるいは恐れ、何としても潰そうとする既存メディアを含む既得権益層の意志と、その影響下にあって、政治に関わる発言や行動を何となく嫌悪し、あるいは無駄と考える人たちが作る虚無的な日本社会の姿が、明確に可視化された選挙だったように思う。

そんな中、蓮舫さんへの支持表明をした一人、岸本聡子杉並区長は、選挙後の最初の金曜日にSNSの動画で以下のように語り掛けている。
「あげた声は残る。いつか誰かの力になる時がきっと来る。それは未来に繋がっています。・・・
社会をつくるのはひとりひとりの主権者です。・・・
選挙と選挙の間の民主主義を作ろう。」
https://x.com/satokokishimoto/status/1812332697270026658

そして、蓮舫さん本人は、選挙を終えた今、「私はね。黙らないよ。いま、最も自由に黙らない。」と旧ツイッター上で宣言。テレビやSNSでの揶揄や誹謗に対し、ユーモアと皮肉を交えつつ、ひとつひとつ率直な反論を展開している。

私たちも、新しい未来のために、あきらめずに、堂々と、これからも声を上げていきましょう!

「護憲+コラム」より
笹井明子
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2024年七夕都知事選を振り返って

2024-07-11 16:48:37 | 選挙
簡単に言えば、また利権政治を善とする既得権益層から仕掛けられた策略に嵌ってしまった結果が、目の前に現れただけ、ということだろう。

利権や既得権で繋がる自民を中心とする保守支持層は、有権者の25%程とよく言われる。そして、この層は何があっても、棄権せずに保守政治の支持にまわるのである。

今回の投票率は5%程上がり60%に届いたが、25%程の保守岩盤層の存在は、数字上はそれだけで全投票の42%程になる。この状況のなかで反対勢力が勝つ条件は、ただ一つ、反対勢力の候補が複数にならないこと。これに尽きる。

利権政治を善とする既得権益層が仕掛けた今回の策略は、まさに反対勢力の分断化であり、複数化であった。しかも、その策略にかける彼らの思いがアカラサマに表面に浮き出ることのないよう、即ち彼らの策略の思いが悟られることで、逆に市民から反発を受けることのないよう、極めて巧妙なやり方で既得権益層は選挙戦を取り仕切ったと言える。

即ち、立共の押す候補の露出度・注目度は極力抑え、一方で第3の対立候補に多くの注目が集まるような報道が選挙期間中続けられたと言える。

結果は正に絵に描いたようなものだった。
当選候補が約43%で、第3の候補が約24%、そして立共候補が約19%。現職の得票率がまさに上に予想した42%程とわずか1%の違い。2位と3位の分断度合いも正に利権・既得権益層が思い描いていた通りの結果が出たと言える。

利権政治を善とする既得権益層が仕掛ける策略に対しては、こう言う別の見方がある、とか、こんな考え方も別にあるということを折々に指摘していくことは大切だが、必要以上に彼らの策略をあげつらうことだけに、血道をあげることは反対勢力が取るべき健全な対応とは思わない。

利権政治を善とする既得権益層は、彼らなりに普段の日常生活に密着した活動をしているのである。例えば、町内会活動や何々通り商店会活動や消防団活動等々、そして最も手ごわい彼らの活動と思う朝のラジオ体操活動。彼らは普段の生活に密着した活動の中で地道な教宣活動を行っていると言える面があるのである。

例え、参加する全員が利権政治を善とする既得権益層の人々ではないと仮定しても、やはりかなりの人数が、少なくとも現状が大幅に変わるやり方には、二の足を踏む人々が多いのも事実であろう。

翻って、彼らの利権政治を善とする政治システムに対して、反対の意思を持つ勢力は、普段の生活に密着した活動の中で一体どんな魅力ある対立活動を打ち出せていたのだろうか? こんなことをやっている、と言うかもしれないが、残念ながら、少なくとも普段の日常生活に密着した仕掛けが、見えてこないのである。そして見えているのは、相も変らぬ、たまに気まぐれに吹く神風を期待しての待ちの姿勢だけなのである。

ここに大きな問題があり、何とか智恵を絞って身近な日常生活に結び付く、しかも利権政治を善とする層の行う活動とは明らかに違う対立した活動を創造し、具体的に行動化していくことが、対立勢力側が第一に普段の活動として取り組むべき事柄と思っている。

如何なる選挙であろうが、利権政治を善とする勢力は今後も巧妙な策略を弄してくるのは明らかであり、それを乗り越えるには、嘆いているだけでは前に進めないということだ。

そこで、一案を最後に記し、参考にしてもらえればと考えます。

対立勢力側の日常活動の一つに、自公政権や都政・府政等が執行している具体的政策ごとに、その『進捗状況を見える化するシステム』を作りだす努力を行うことを挙げたい。

そしてそのシステム作りの活動状況を例えシステムが出来上がる前の中間段階であろうと市民に訴えかけていくということです。『やってる感』を上手く訴えかけることも智恵の一つでしょう。

システムが出来れば、それをもとに進捗状況を市民が日々の暮らしの中で確認できるよう運動を進めていくことを勧めます。
即ち市民は、普段の日常生活の中で対立・反対勢力側の存在を意識することになり、そして政権担当勢力側の打ち出す政治に対しては、市民が適宜に具体的にチェックできることになり、市民にとってはその過程全てがそのまま民主主義の根本原理にふれているという実感を持てるということに繋がるのではないか、と考えております。

あくまでも一つのアイデアです。こんなことから始めて行かない限り、また選挙戦になれば、反対勢力・対立勢力側は巧みに目立たなくされ、望ましくないことだけに注目が集められるという今回の教訓が全く生かされず、毎度毎度、又まんまと上手く嵌められたなー、で事が進んでいくといった懸念を持っております。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan

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能登半島地震復旧・復興…放置 自民党の日本、どこへ行く!?

2024-07-10 10:57:47 | 災害
<現在地>
半年経っても、何故復旧復興が進まないのか?人が足りないとか、公費解体申請の手続きが煩瑣だとか、工事担当者らの宿舎が近くにないとか、これがネックだとか話がある。それでも、進めようとしない障害、ネックは、解消するか、別途解決の道を発見、見いだすかしかない。そんなこと、検討しているかどうか、知らないが。

首相が指示しないから、知事が指示しないから、進まないでは、被災者、復興に汗している人は、堪らないのではないか。そうそう、断水も未だ、解消されていないとか。酷いんじゃないか。

国や県、指導者の立ち止まり、思考停止。台湾だったら、もう「ネック解消、前に進む」解を見つけいるんじゃないか!?

首相や総裁、国会議員の座を守らんとするとはいえ、余りに私物化に走り過ぎ。公僕の欠片もない裏金議員一味の構築した自民党・日本、どこへ行く!?

国民、主権者の代表なんて立場うち捨てて、私利私欲に走る裏金議員一味、負うべき責任、裏切りの過去・現在、何をすべきか、思いを致せ…責任逃れ、交わそうとするなど、論外だ。

国民は、議員の忠誠心を、誠実さを求めている。裏切ろう、裏切ろう、私物化を進めよう、進めようとしているのかも知れぬが、 これに棹さす、今は、思い知らせる程の艱難辛苦が必要だ。そして、貴奴らが従来から最も嫌う「市民の為の人権委員会」新設も。政権交代したら、是非実現を。

◎添付
☆琉球新報<社説>能登半島地震6カ月 「救える命」全力で支えよ 7/3
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-3242901.html
☆西日本新聞 【社説】能登地震半年 命を守る取り組み強化を 7/1
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1229307/
>元日の能登半島地震からきょうで半年を迎えた。
 石川県の犠牲者は災害関連死を含め約300人に上る。2016年の熊本地震の276人を上回り、平成以降の自然災害では東日本大震災、阪神大震災に次ぐ人的被害となった。
 被災地では余震や長引く避難生活による被災者の体調悪化が懸念される。命を守る取り組みを一層強めたい。
 最大震度7の激しい揺れや津波による爪痕が奥能登を中心に残る中、能登地方では6月3日にも最大震度5強の揺れに見舞われた。
 元日から続く一連の活動の余震で、今後も警戒が必要という。損壊した家に戻って生活している人もいる。被害拡大を防ぐ対策が急務だ。
 学校の体育館や公民館などの1次避難所に身を寄せる被災者は、ピーク時の3万4千人超から大幅に減った。とはいえ、いまだに千人余りがプライバシーの確保もままならず、つらい集団生活を強いられている現実に胸が痛む。…
☆高知新聞・社説【能登の地震半年】復旧のスピード上げたい 7/1
https://www.kochinews.co.jp/article/detail/757361
☆信濃毎日新聞〈社説〉能登地震半年 「創造的復興」は地域から 7/1
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024070100202
☆山陽新聞・社説:能登地震から半年 遅れた復旧 もっと加速を 7/1
https://www.sanyonews.jp/article/1574478/
☆新潟日報・社説:発生から半年 生活再建にスピード感を 7/1
https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/431873
☆京都新聞・社説:能登地震から半年 進まぬ復旧、人手が足りない 6/30
https://nordot.app/1180040763010547816?c=39546741839462401
☆秋田魁新報・社説:能登半島地震半年 被災者ケアに一層力を 6/30
https://www.sakigake.jp/news/article/20240630AK0015/

朝日新聞(社説)台湾地震 経験共有し次に備えを 4/9
https://www.asahi.com/articles/DA3S15907819.html
読売新聞・社説:台湾の地震 被災地へ可能な限りの支援を 4/5
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20240404-OYT1T50239/

「護憲+コラム」より
蔵龍隠士
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農業と食の問題を通して世界の潮流を考える(3-1)

2024-07-02 14:43:54 | 社会問題
農業と食の問題を通して世界の潮流を考える(3-1)
『数千年間農民が作物改良に向けた育種の功績』対『種子メジャーの工学的育種の商品化』


今回は、遺伝子組み換え作物(genetically modified crops, GM作物)とゲノム編集作物(genome editing crops, GE作物)の話題を取り上げます。

GM作物やGE作物の現在の使用実態・安全性・危険性に関する現在の立ち位置・規制状況等、現在そして今後の「農業と食」を考えていく際に、避けて通れない極めて大きな問題です。

GM作物・GE作物が注目され、農業と食の分野にそれらが立ち現われた源は、一つの見方として、Norman Borlaug博士らが推進した「緑の革命」がきっかけだったと考えます。そこでは、例えば風水害時に倒れにくい形質を、近代的技術を駆使して如何に小麦やコメに組み込むかが行われた訳です。

ここで、GM作物・GE作物が「農業と食」を考えていく上で、避けて通れない大きな問題だとしても、我々はもっと視野を広げて、この問題を見る必要があると考えております。

即ち、GMやGE技術の品種改良という視点に立てば、なにもそこには目新しいものは全くなく、人類は農耕を始めて以来、人々はより良いものを、より多く作る、を念頭に試行錯誤を重ね現在に至ったという育種の長い実績と多大な功績を我々は既に持っているのです。
育種を通じて品種改良するという作業は、従って我々市民がもともと持っていたという事実を、我々は基本に置いておくことが大切なことだ、という点を指摘しておきます。

かかる観点から、我々市民は、「育種という品種改良作業」を、現代科学を駆使する種子メジャーらに白紙委任するという選択は、現在もそして今後も取るべきでなく、我々市民もその作業に関わる権利があり、作業を行う道を残していく努力が求められると思います。

しかし一方では、現代社会に蔓延している「科学技術の革新で世界を制覇する」という考え方があり、それを企業のみならず、市民も行政も広く受け入れているのも事実です。

農業と食の領域で『科学技術の革新化で世界の制覇』を狙う巨大企業側の戦略がGMビジネスであり、GEビジネスだと認識し、今後も更に巨大企業側はGM・GEと通じて育種ビジネスの『囲い込み』を強め、最終的には『育種の権利』と『普通の人々』との切り離し(今風に言えばデカップリング)を狙っている、と見ております。

結論的にいえば、『巨大企業の育種システム』と『我々が積み上げてきた育種の実績に基づく市民の育種システム』との共存、棲み分けがきちんと為される社会構造を目指すのが求められていると思います。
今回の一連の情報は、掛かる社会構造を目指すための情報提供と考えております。

まずは、GM種子・作物とGE種子・作物の現在の規制状況を紹介する記事から始めます。
参考にした情報は2つ、一つは欧州、もう一つはアメリカの話題です。
欧州の状況から始めます。

「ドイツの監視機関からの警告と特許論争が続く中、欧州議会は新たな遺伝子組み換え作物の規制緩和を支持」( euro news 2024年2月8日)

欧州議会は2月7日の投票で、新しいゲノム編集技術(new genome editing techniques, NGTs)を使用する作物に対しては、より緩い規制の対象にすべきだとする法案を僅差(307対263)で可決した。しかしドイツ連邦監視機関は新しいゲノム編集技術を使って改良された植物に「内在しているリスク」が軽視されており、科学的根拠はないと警告をしている。そしてEU各国では、新しい範疇のGMOsが特許で保護すべき対象かどうかの論争が、いまだに続いている。

新しいゲノム編集技術(NGT)の作物種は、アメリカでは既に市場に出回っているが、EUでは2001年制定のGMO指針の対象となっており、検査や追跡情報や表示義務等が求められる規制下に置かれている。

【作物に遺伝子工学処理を行う歴史は古く、先行した技術が生物の種の壁を超えて遺伝子操作を行うことを特徴とする、いわゆる遺伝子組み換え作物(genetically modified crops, GM作物)であり、次に出てきたものが種の壁を超えることは避け、一つの種が持つDNA内で遺伝子を操作することを特徴とするゲノム編集作物(genome editing crops, GE作物)。欧州議会や委員会及び各国では、GM技術を古い技術とし、新しい技術(ゲノム編集)で生まれるゲノム編集作物や種子を厳密に分け、現状では、この新しいゲノム編集作物が『従来の古い遺伝子組み換え技術』に課せられた規制指針と同じ土俵で取り扱われる状況を問題視し、『新しいゲノム編集技術』に対してはGM技術とは切り離し、緩い運用を求める法案を、今回賛否を問うたと言え、その法案が僅差で欧州議会を通ったという状況である。】

投票では、中道右派の欧州人民党(EPP)とリベラルなRenewグループが賛成に回り、中道左派の社会党と民主党は賛成・反対が相半ばしている。つまり緑の党と左派は提案を全面的に拒否することができなかったといえる。
この投票の結果、ポルフィエール氏率いる議会交渉団が政府代表と会談し、最終的な法案をまとめる任務を負うことになっている。

法案賛成派は、欧州の食料安全保障の強化に繋がる・気候変動に対処できる・肥料や農薬の使用量が低減できる等を指摘し、投票結果を歓迎している。

環境保護団体は一様に投票結果に否定的で、「欧州議会は人々の健康、環境、そして欧州農業の将来を守る義務を果たしていない。農家らが高い代償を払い、種子企業にますます依存するようになっていくだろう」と指摘している。

一方、同じタイミングでドイツの連邦自然保護庁は政策の公表を行っており、そこにおいて「新たなゲノム編集技術に対する規制に対しても、科学的根拠がある方式で行う必要性があり、もしその条件を欠けば、その考え方は予防回避原則に反するものであり、リスク回避が不充分になる恐れがある」と訴えている。この主張は、フランス食品安全庁(ANSES)と一致した主張であるという。

欧州の有機農業を行っている団体の評価は一面的ではない。
新しいゲノム編集に対する安全性検査の緩和に関しては、反対の立場。
有機農業の場から、「新しいゲノム編集を含めて全ての遺伝子工学技術を利用する作物を排除すべきとし、ラベル表示義務を課す」という法案内容には賛成の立場。
しかし、「新しいゲノム編集植物の特許化を全面的に禁止する」という法案内容については、有機農業団体は懸念があるとし、この内容では巨大バイオ企業が市場を独占したり、農家が煩わしい契約に縛りつけられたり、特許品目が有機農場に根付いた場合に訴追される恐れがある、とする懸念を表明している。

2つ目は、アメリカの情報で、「GMOsは安全か? 科学という衣をまとった食べ物の科学を府分けする」(Time.com 2024年1月5日 Jamie Ducharme氏記す)になります。

最初の遺伝子組み換えトマトがアメリカで販売されてから30年が経つ。
科学の衣をまとった食品に対し、懐疑心を持つ人は今も多い。
2020年のPew研究センターが行った調査によると、遺伝子組み換え食品が安全だと思っている人はアメリカでは27%、安全ではないと思う人の38%より低いのである(分からないとする人は33%)。

この傾向はアメリカだけではない。例えばフィリピンでは昨年初めて大規模に収穫された遺伝子組み換え米の「ゴールデンライス」に対し、活動家らはこの米が充分な検査を経ていないし、売りであるβカロテン含有(ビタミンA欠乏症による視力障害の予防を目的)という特徴も、遺伝子操作に頼らない、もっと安全な手法で解決できると指摘し抗議を行っているのである。

フィリピンの農民団体(MASIPAG)は「ゴールデンライスは飢餓と貧困に疲弊するフィリピンの抱える難題の解決策には全くなり得ない」と主張している。

遺伝子組み換え作物(genetically modified organism, GMO)の反対運動には長い歴史がある。反対運動は、多くの市民の懸念に基づいている。従来の食べ物とは違う毒性の問題、アレルギー症状が高進する、あるいは遺伝子組み換え野菜や畜肉を食べると人の遺伝子に変異が引き起こされるのではないか、という不安感が背景にある。

遺伝子組み換え作物を規制する機関の食品医薬品局(FDA)・米農務省・米環境保護庁は、GMOは安全と主張しているが、やはりこれらの食品に警戒心を持つ人は多いのである。

アーカンソー大学・農業経済学のトレイ・マローン氏は、「科学技術恐怖症(technophobia)という症状はとても一般的なものであり、古き良き時代に戻ることができれば、といった懐古趣味とも言えるもので、遺伝子編集(GE)や遺伝子組み換え(GM)に反対する風潮を生みだす心情的システムになっている」と指摘する。

多くの人が気付きにくい点に、人類は非常に長い期間、作物の改善を目指し、作物をいじくり回すといった努力を積み重ねてきた歴史があるということがある。
農民らは、数千年にわたり収穫物の中から最も良い形質の種を残し、次に使うことを繰り返して、将来の収穫量改善を目指し努力を重ね、時には異なった種の間での交配と言われる品種改良を、行い改良を継続してきた。
現在のトウモロコシ・バナナ・リンゴ・ブロッコリ等、皆そういった努力の結果出来て、今に繋がっているのである。

「遺伝子組み換え」とは、人類が長い期間積み重ねてきた作物の改善活動に関連する行動であり、高度の科学性を、身をまとっているものと言える。
行動の狙いは、例えば食べ物の香りを改善したり、栄養価値を高めたり、見た目を良くしたり、害虫からの食害を受けにくくしたり、といった形質を作物に持ち込むことである。
例としては、デルモンテのピンクの新鮮パイナップルやArcticリンゴ(arctic apple:カナダの企業が供給する褐変防止の形質遺伝子をリンゴに組み込み、皮を剥いても褐色化しない)がある。
これらの話題は注目をあび、人目に付く機会は多いのであるが、アメリカで販売されている遺伝子組み換え食品の割合は実は僅かなのである。
ノースカロライナ大学の農学教授のフレッド・グールド氏は遺伝子組み換え作物についての啓発活動を数多く手がけているが、彼は啓発活動の中で、スーパーで良く見かける光景の写真を使って、聴衆に問いかけるという。即ち写真の野菜の中で遺伝子組み換え野菜はどのくらいあると思いますか?それに対する答えはまちまちだが、中には90%程と答える人もいるという。しかし正解はゼロである。
確かにスーパーにおかれている遺伝子組み換え果物や野菜は、夏かぼちゃ(summer squash)やパパイヤや前記のパイナップル・リンゴ等幾つかある。そして10年前頃からFDAは遺伝子組み換えシャケ(成長が早いという特徴を持つ)やある種のアレルゲンを削除した豚肉を承認している。しかしながらアメリカ国内では遺伝子組み換え食品は加工食品の形に代えられて販売されることが多いのである。例えば調理用油や大豆製品・甘味料やスナック菓子類の形で出回っている。

実態としては、アメリカ国内で栽培される大豆・トウモロコシ・テンサイ(砂糖大根)や菜種(canola)のほとんど全ては害虫耐性(Bt形質の組み込み)や農薬耐性(glyphosate形質の組み込み)遺伝子を組み込んだ遺伝子組み込み作物なのである。
これらの遺伝子組み込み作物はアメリカ人が毎日食べる多くの包装菓子・スナック菓子向けに利用されているのである。

これらのスナック菓子類を毎日食べているアメリカ人たちは数十年にわたる「生体実験」に付き合わされて来ているともいえる」とグールド氏は指摘する。

アメリカ人やカナダ人は遺伝子組み換え食品を、今言ったように数十年摂食し続けてきている一方で、海外の人達の遺伝子組み換え食品の摂食頻度は少ない。

ここで、もし遺伝子組み換え食品(GMOs)が重篤な健康上の悪影響を持っているとすれば、北米に住む人々と欧州に住む人々との間の健康状況を比較する研究を行うことで、そこに明白な違いが観察されるはずである。

しかし、「データを見る限り、そのことを示すいかなる兆候も観察されない」とグールド氏は語る。即ち発がん性・肥満性・腎臓機能障害・胃腸傷害・自閉症等におけるアメリカ及びカナダ対欧州との間には遺伝子組み換え食品に基づく違いは観察されないのである。

動物を用いての実験においても、遺伝子組み換え食品が催奇形性・器官損傷や生殖機能の点で問題を起こすという証拠は認められていない。
リスクというものはかなりの時間が経ってから起こる可能性があるとも言われる。しかし今までの研究から得られていることから判断すると、そういった懸念も小さいのではないかと思う、とグールド氏は語る。

現在までに入手できる情報をもとに、マローン氏は、遺伝子組み換え食品を恐れるに足る明白な理由はなく、反対に遺伝子組み換え食品の利用を擁護する多くの理由が存在していると指摘する。
ゲノム編集(GE)技術は、栄養性を高めるだけでなく、農業と食の生産システムを合理化し、システムの持続可能性を高める働きがあると、マローン氏は指摘する。

研究の結果が示すように、遺伝子組み換え作物の栽培は、収穫量を増大させることができ、よって農家はより少ない耕地面積でより多くの作物を手に入れられるとし、結果的に農薬等の化学合成薬剤の使用削減ができると指摘する。同様のことが成育の早い遺伝子組み換えシャケの養殖において、従来に比べて投入資源の削減が可能だ、としている。

マローン氏は革新的技術がしめす明らかな利点を訴えていくことが、遺伝子組み換えの社会的認知度を高めるのに有効だ、としている。


以上、GM作物とGE作物の現状と規制状況を紹介したが、GM作物とGE作物が持つ利点に関しての評価には、欧州とアメリカとの間に違いがあることは明らかである。
ことにアメリカのタイム社の記事では、結論的主張としてマローン氏の考えを紹介しながら、未だ認知度の低い遺伝子組み換え作物と食品の社会的認知度を向上させていくことが必要なことであり、その為には革新的技術がしめす明らかな利点を訴えていくことが求められるとさえ、主張している点がアメリカ社会の現状を如実に表していると思う。

このアメリカ社会の現在の考え方(多国籍巨大企業が、革新技術の力を背景に、全てを差配し支配する農耕システムの推進であり、そこには数千年の歴史的重みを持つ市民の介在する権利は無視されている)が、ある意味一面的であり、楽観論に頼りすぎているのではないかという視点の情報を、これから紹介していく予定です。
かかる観点で紹介したい情報量はかなりのものになります。
今回は、最後にその一端を紹介する形で締めくくりたいと思います。

紹介する記事は「ブラジルにおける遺伝子組み換え作物と農薬の利用:拡大する危険性」
「Use of genetically modified crops and pesticides in Brazil: Growing hazards」
(researchgate.net 2024年1月13日)

要旨部分の紹介です。

遺伝子組み換え作物(genetically modified crops, GM crops)は2003年にブラジルで正式に承認された。本報文は、この技術導入後の13年間(2000年~2012年)の期間の農薬利用の実態を確認することを目的としている。

確認する測定項目は、農薬の使用量(kg)、一人当たりの農薬使用量(kg/1人)、ha当たりの農薬と除草剤の使用量(kg/ha)、作物生産性(kg/ha)である。

GM作物の導入により、農薬使用量は減少していくだろう、との我々の予想に反して、農薬全体の使用量は13年間で1.6倍に増大した。大豆に限ると、13年間で農薬使用量は3倍化している。

ブラジルではGM作物の採用により、農薬使用量は拡大し、結果として環境への影響及び人への暴露量の拡大化が起こっている。


どうやら、GM作物・GE作物の農業システムへの導入が、イコール使用農薬量の削減、環境への負荷軽減に役立つというアメリカ型農業システムの表看板には、直ちに首肯できない色々の話が有りそうな雲行きです。

次に続きます。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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生きるために必要なもの

2024-07-01 12:47:46 | 社会問題
数か月前に知人が「社会の中に隙間がなくなっている気がする」とインタビューで話していた。これを読んだ自分は、現在の社会には隙間はそれなりにあるけど、その隙間に入るために金銭や能力などが必要とされていて、何もしなくてもいられるところが少ないのではないかと思った。

かつては無人の待合室のような場所を設けていた駅が、駅前を整備してカフェやサウナ、さらには宿泊施設を設け、金銭を支払わないと利用できない空間に変化していた。

観光を主とした場所だけでなく、都市部においても通行人か消費者以外の存在を許さないような街づくりが目立ち、財産や目的を持たずして立ち寄れる隙間を探すことの難しさを感じている。公共施設の中で無料の休憩スペースだった場所を、飲食物を注文しないと利用できないようにするなど、物と交換するための貨幣を持たないものを排除する動きは現在進行形で起きている。

何かを必要とせずに楽しめる隙間や余白は、数は多くないが今でも探せば存在する。そういった隙間の存在を人々で共有し伝えていくこともできる。しかし、こうした空間を許さず誰かが所有して管理するべきであると考える人たちの目につき、取られてしまうのだろうか。

何も持たず何の目的もないままでは隙間を享受できず、無為に漂う者を参加させようとしない社会に未来はあるのかと悲観的に考えてしまう。

管理し支配する側も多様性を受け入れることをしきりに叫んでいるが、支配する側から見て包括すべきマイノリティと好ましくないマイノリティに線引きされていないだろうか。マイノリティ性を持ち合わせていても、社会の中で与えられた役割を果たせる人だけを社会参加させようとしていないだろうか。

能力があって世の中の役に立つ人にとっては、隙間を水か空気のように活用できていて、もはやその存在に気づけないのかもしれない。しかし、能力や財産がないとみなされた人間には、目の前にある隙間に入り込めないことこそが問題なのだ。なにより、こうした分断を解決していく必要があるだろう。

「護憲+コラム」より
見習い期間
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農業と食の問題を通して世界の潮流を考える(2)

2024-06-26 17:35:56 | 社会問題
農業と食の問題を通して世界の潮流を考える(2)
家族農業と小規模農業そしてFood Loss とFood Waste、それぞれを明確に定義し区分けし、そして世界の農業およびFood LossとFood Wasteの実態を考える

前回、農業問題を通して世界の潮流を考える、との表題で国連主導の「家族農業の10年」運動の話題を提供しました。

今回は第2回目になりますが、まずは表題を少し膨らませてみました。
理由は、農業という重要な問題をトータルに考えると、入り口の『農業』だけでなく、付随する、食べるという『食』の問題・課題も同様に重要なものとして存在しており、表題が『農業』だけでは不充分と考え『食』も表題に加えた次第です。

今後、様々な視点から「農業と食」絡みの我々が直面する課題に、光をあてたいと考えます。

問題・課題が多彩であり、また数多くあることから、話の順序や統一感や公平・公正感に懸念が出る恐れがあると考えております。この点をご了解ください。

統一感や公平・公正感に懸念が出る恐れを思う理由は、以前紹介したAGRA対AFSAの状況を思い出してもらえば容易に理解頂けると思います。

即ち、『農業と食』という問題課題を考えていく際に土台になる情報には、AGRA的情報とそれに対するAFSA的LaViaCampesina的情報が拠り所となります。

ここでAGRA的情報とは、『大規模な単一種栽培を指向し、肥料・農薬・種子メジャーらが支え、ビル&メリンダ・ゲーツ慈善基金らが応援し、世界銀行やアフリカ開発銀行の指導の下、アフリカの各国政府が取り組んでいる実態であり、従ってこのAGRA型農業システムに関わるステークホルダーはふんだんにあり、しかもそれぞれ力が強い所からの発信である。彼ら推奨の農業システムの実態を紹介する情報はふんだんで、詳細・精密を極めてその上、ある意味説得力ある主張が為されているのである。
【ここに、narrative言説・物語等の市民を誤誘導する強者側の1つの武器が見えている】

これに対してAFSA的情報に関しては、AGRA型で見られる応援団体・支援団体・多国籍巨大企業や各国政府の力の提供が殆どないことから、AFSA型農業の実態を紹介している情報の量と質に大きな期待が出来ないというハンデが、そもそも存在している。
そしてAFSAやLaViaCampesinaが力を注ぐ相手のアフリカの小規模農家(アフリカという条件を付ければ小規模農家イコール家族農家となるだろう)の実態は、当該国家・政府・行政自体からしても完全に実態を把握しきれていないのが実情である、という。

よってAFSA型の状況を、AGRAと同等に捉えること自体が困難であり、現在我々の眼前に出ている情報を頼りに『農業と食』という重大事項を考えて行く場合には、情報の質と量および迫力に差があるということを、先ずは認識しておくことが必要だと考える。

世界の『農業と食』に関して、少なくとも2つの大きく対立した考え方が存在していると思う。それら双方を平等に取り扱い、検討を行いたい思いはあるものの、入手できる情報自体にそもそもギャップがある状況下での比較検討になると感じている。

第2回目の本題に入ります。

第1回目に、国連の主導する「家族農業の10年」の紹介をしました。その紹介の中で、「家族農業」と共に「小規模農業」という言葉がふんだんに使われています。
しかもその二つを同列として扱い、同じ意味を持つ相互に交換可能なものであると、思わせるような表現が為されておりました。

その該当部分を抜き出すと、
○『国連では家族農業と小規模農業をほぼ同義語と把握しており、基本的には「家族農業・小規模農業」として包括的に使われている』としており、国連自体が「家族農業」と「小規模農業」を同義語扱いにしている。
○『労働力の過半を家族労働でまかなう農業漁業と定義される家族農業(即ちFAOの考えでは小規模農業とも置き換え可能)はFAOの調べで世界の農業経営組織の90%を占め、食糧生産規模的には80%を担っている』。

この国連FAOの「家族農業」と「小規模農業」についての認識および小規模農業が80%に達する食糧生産規模を持っていると思わせる記述の故に、様々な人が様々な議論をこのFAOの主張をもとに展開している状況がある。
が、しかし実はここに間違いがあるとする報告があり、今回は先ずその紹介から始めたい。

出典は、「小規模農家は世界の食料の1/3を生産しており、多くの論説が主張する生産割合の半分以下が実態である(Smallholders produce one-third of the world’s food, less than half of what many headlines claim.)」 Our World in Data 2021年 8月6日 Hannah Ritchie氏記す

Ritchie氏の情報の要点のみを記します。

世界の大半の農家は、小規模耕地栽培者(smallholders)。彼らは往々にして最も貧困状況にある。世界の食糧生産において、彼ら小規模耕地栽培者はどの位の貢献を果たしているだろうか?

『小規模耕地栽培者らは世界の食糧総生産量の70%を、なかには80%を生産している』と、時に報告されている。これらの主張は、国連FAOによっても為されており、この主張をもとに農業や開発の政策が組み立てられているのである。

しかし、この主張は間違っている。最近の研究によると、この70~80%という数値は高すぎであって、実態は世界食糧総生産量の約1/3であり、今までの推計の半分以下なのである。

指摘されている最近の研究結果(Vincent Ricciardi氏らのGlobal Food Security, 17,64-72,2018年)を示すと次のようになる。

農家の耕地面積規模ごとに対応する食糧生産量のデータ:
【耕地2ha未満の小規模農家】
世界の耕地面積に占める割合:24%
世界の総生産量に占める割合:29%
【耕地2ha以上20haまでの農家】
世界の耕地面積に占める割合:25%
世界の総生産量に占める割合:25%
【耕地20ha以上1000haまでの農家】
世界の耕地面積に占める割合:39%
世界の総生産量に占める割合:41%

即ち、小規模農家(耕地面積2ha未満)の世界の総生産量に占める割合は29%である。

また家族農業という観点で括ると、耕地2ha未満の小規模農家に加えて、耕地2ha以上1000haまでの下の2つの階層のかなりの部分まで網羅しているのが実態であり、家族農業の世界の総生産量に占める割合は70~80%となるのである。

何故この食い違いが出てきたかの理由は、「家族農業、family farms」と「小規模農業、smallholder farms」との2つの言葉をそれぞれ厳密に定義し、区別して使うことが行われておらず、時に混乱していたことが原因なのである。

「家族農業」の耕地面積には1haや2haといった制約はなく、それ以上に大きい様々な耕地面積で、「家族農業」事業者らは耕作を展開しているのであり、「家族農業」と「小規模農業」とがイコールだとの先入観が間違いだったのである。【世界の5.7億の農家の84%(4.8億)を占める「小規模農業」の耕作面積は2ha未満という制約が条件とされている】

権威ある国連FAOが提供している基礎データ資料の見方・読み方・捉え方次第で、実態の認識に大きな違いが起こることがあり得る、ということを示す例であり、今後『農業と食』の問題を議論していく際に、使用する用語の定義・意味を厳密に捉えておくことが極めて重要であり、必要なことである、ということを示す事例と考えます。
定義と意味するところに注意を必要とする『農業と食』に関する別の言葉に、『Food Loss』と『Food Waste』があると思う。

まずSDGsの12番目の目標を読んでみます。SDGs12.3は、原文で次になる。
「By 2030, halve per capita global food waste at the retail and consumer levels and reduce food losses along production and supply chains, including post-harvest losses」
外務省訳は、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」。
「food waste」を「食料の廃棄」に、「food losses」を「食料の損失」と訳している。

上記のSDGs12.3の原文と和訳を正確に捉えるのは、殊に「waste」と「losses」の正確な違いを意識せずに読んだ場合難しさがある、と思います。
そして先の「家族農業」と「小規模農業」と同様に、「waste」と「losses」との組み合わせも、ほぼイコールであり、相互に交換できる、と捉えてしまう可能性が大いにあります。しかし「waste」と「losses」との組み合わせにも、厳密にそれぞれが定義され、区別されているのです。
従って、SDGs12.3の原文と和訳を正確に理解し読み取るには、これら「waste」と「losses」の定義を知っておくことが求められる訳です。

『農業と食』という、我々にとって非常に大切な問題(例えば世界で6.9億人もの人々が飢えに苦しむ中、毎年13億トンもの食べ物が無駄に捨てられているという我々に突き付けられている課題)を考えていくことは非常に重要なことであり、よってこの違いを心得ておくことが必要となる訳です。

では「food waste」と「food losses」の定義と違いを紹介し、その上で食べ物が無駄に捨てられている話題についての情報の紹介に移ります。
参考とした情報は2つ。

一つ目は、『Food LossとFood Wasteとの違い(What is the Difference Between Food Loss and Food Waste?)』PopulationEducation.org,2020年9月29日、Andrea Moran氏記す。
二つ目は、『ReFEDが新たな食品廃棄物推定値を発表し、食品システムによる対策強化を呼びかける(ReFED Releases New Food Waste Estimates and Calls for Increase Action by Food System) Refed.org,2023年4月19日。

『Food Loss』と『Food Waste』の定義と違いについては、一つ目の情報からになります。

2つの用語の定義と意味するところの違いを理解することは、実は簡単です。
必要なことは、食べ物が生まれ、様々な過程を経て最終的に人々に食べられるまでに辿る食べ物の道筋を想定して、ある段階までに廃棄されるものを『food losses』とし、それ以降は『food waste』とする、ということになります。

境目は、農業や漁業の現場で生産され、次いで様々な加工業者の手による加工作業を経て商品となり、次いで配送流通業者が様々な小売店販売店レストラン飲食店等のフードサービス業者らに食品を配送し、以降小売店販売店レストラン飲食店等のフードサービス業者らを通じて消費者が食品を入手し消費していくという食べ物が辿る工程において、『配送業者』と『販売業者・フードサービス業者ら』との間に、今考えている切れ目がある、とするということです。

換言すると、農業漁業生産者と加工業者・輸送業者らが責任を持っている部分から出てくる廃棄物が『Food Losses』とされ、販売店やフードサービス業者や消費者らが責任を持っている部分から出てくる廃棄物は『Food Waste』とする、ということです。

『Food Losses』と『Food Waste』に対応する日本語は、政府が使う言葉、即ちlossesを『損失』、wasteを『廃棄』を基本に今後取り扱っていくことを考えています。

この定義を踏まえて、再度SDGs12.3を読んでみると、国連の目標がよりはっきりと捉えられると思います。

『農業と食』という重要な課題のいろいろな面を今後考えていく予定ですが、先ずは食べ物の『losses、損失』と『waste、廃棄』に関わる話題を更に紹介してみます。

ReFEDからの情報になります。因みにReFEDという組織は2015年に設立されているアメリカ国内の食料の無駄の削減を目指す非営利団体ということです。30社以上の企業・非営利団体・基金・行政府主導者らが参加しています。要点だけの紹介です。

ReFEDによると、2021年にアメリカでは9100万トンの「余剰食品」が発生していた。
【余剰食品(surplus food)とは、栽培農地から始まり、加工場・販売店を経て消費者へと繋がる食品サプライチェーンにおいて、売れ残ったり・食べられなかったものを指す】

この量はアメリカの食料供給量の38%分に相当し、年間温室効果ガス排出量の約6%に相当するという。余剰食品の約50%は家庭からのものであり、20%はフードサービス事業者からのものである(即ち70%はFood Waste食品の廃棄分と分類される)。

「余剰食品」が存在することで、発生する問題はGHG排出だけではない。例えば淡水の22%及び耕作地の16%の無駄も付随しているのであり、また「余剰食品」の栽培・収穫・輸送・冷却・調理そして最終的な廃棄に要する費用も発生するのである。
ReFEDの分析によると、「余剰食品」の経済価値は2021年分として4440億ドル(アメリカのGDPの約2%に相当)。

そしてこの「余剰食品」の量は、1490億食分に達するという(ほぼ全ての日本人が、日に3度の食事が出来、1年間続けられる量。世界で飢えに苦しむ8億人の人々に2日に一回食事を提供できる量でもある)膨大な量なのである。

ReFEDの事務局長のダナ・ガンダースさんは、「食品廃棄量の削減が進んでいることが確認できる分析結果を期待していたが、残念ながら2019年と比較してほぼ同じレベルと確認されている」として、「食品システムに関与する人々が、さらに真剣に取り組み、成果が期待される取り組み方へと変更を行っていくことが重要だ」と指摘している。

ReFEDの報告では、食品廃棄に関わる問題のパラメーターが詳細に説明されている。そして食品廃棄課題解決に関わる42種のモデル化を試みており、どのモデルが食品サプライチェーンにおけるそれぞれの事業分野に対して最も効果的にFood LossとFood Wasteを削減できるか、を求めようとしている。

これらの解決策を全ての領域において実践していくには、年間約180億ドルのコストがかかると見られる。しかし、この実践を行うことができれば、その経済的利益は740億ドルが見込まれ、コストの4倍の利益になると予測される。その上に、毎年1.09億トンのGHG排出削減が出来、6兆ガロン(約270億トンの水)の淡水節約ができ、そして10年間に6万人の新規雇用が期待できるという。

これら解決モデルを積極的に導入すれば、余剰食品の2100万トン(23%に相当)が削減できることになると見積もっている。

以上、食べ物の損失と廃棄の現状をアメリカの事例から見た情報を紹介しましたが、現状の大きな課題は、Food LossとFood Wasteとの状況を適切にモニターするという、『食べ物の無駄の見える化』システムが出来ていない・用意されていない点であると思います。ReFEDの事務局長のダナ・ガンダースさんも指摘しているように、無駄の削減の兆候が認められていない要因の一つはこの辺りになると思っています。

『見える化』が為されれば、より効果的な削減プランやアイデアは自ずと出てくるのではとも思います。

もう一つのポイントは、アフリカや中南米・アジアに散在している5億世帯にも達する小規模農家の活動や彼らが置かれている状況にもっと光を当てることが大切な視点だと思っております。彼らへの注目を拡大していけば世界の『農業と食』に関する課題の解決策は自ずと出てくるのではと思っております。

次に続きます。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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都知事選について

2024-06-17 20:19:45 | 選挙
5月27日に蓮舫が出馬表明してから、ネットや週刊誌が特集を組み騒がしくなった。

小池百合子はその騒動をじっと見つめ、蓮舫フィーバーが治まった頃少しづつ出馬表明を始めた。さすが、後出しジャンケンの魔女、じゃなかった女帝である。

新聞のテレビ欄も小池百合子の名前が網羅した。テレビのワイドショーでは、インテリタレントと呼ばれている女性が「蓮舫さんは都知事選に国政を持ち込んでいる。野党は批判ばかり。裏金問題でもワーワー騒ぐだけ。それを都知事選挙に持ち込まれても都民はウンザリするんじゃないか」と語った。

国民は怒っている、政治資金改正法だって骨抜きにされた、批判をして政権与党の誤りを正すのが野党の仕事。ウンザリは自民党応援団の貴女がテレビで言っているトンチンカンな発言。もう、聞き飽きた。

明治神宮の木を何百本も伐採することを、大企業やお友達に利益を齎す為に許可して、「民間がやる事」と逃げた都知事。

子ども食堂では、物価高騰の折寄付が集まらなくて困っているという。蓮舫は視察に行った。

そんな都民の暮らしを考えた政策を実現しようとする候補者を選ぶのか、都の予算を選挙の宣伝に使う現職を選ぶのか。
蓮舫は「私が先頭に立って都政を変える」と言っている。

告示は6月20日、投票日は7月7日。七夕の夜に奇跡が起きるのか。それは都民1人1人の投票行動に掛かっている。

一票を無駄にしないで投票には行こうよ。世田谷区保坂区長も言っている。「国がやらないなら私がやる」と。

都政が変わるかも知れない足音を、7月7日の夜、一緒に聞きたいと思いませんか。

「護憲+コラム」より
パンドラ
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農業問題を通して世界の潮流を考える(1)今年は国連「家族農業の10年」の6年目

2024-06-16 21:03:46 | 社会問題
世界農業の流れの特徴は、世界の種子メジャーや肥料メジャーが国際金融機関・慈善家と協働し、各国政府を差配し支配する構造が明らかに見えてしまう所にあると考えている。

この構造に異議を唱えているのが、La Via CampesinaやAFSA(the Alliance for Food Sovereignty in Africa)等が掲げるアグロエコロジーの理念が世界の農業と食糧安保と自治権に必要なものであり、その担い手である小規模農家を支援する体制の確立が重要だという指摘である。

こういった対立構造は勿論農業だけではない。原発含めてエネルギーの分野でも、国際金融の世界でも、G7でもCOPでも国連そのものの構造にも深く影を落としていると思う。

このせめぎ合いの両者の考え方は、一方はMultilaterarism(各国市民が選挙権を行使し選んだ各国の政府が参集し、世界に関わる課題の解決策を追求する方式)が機能してきた世界の考え方であり、もう一方はMultistakeholderism(世界に関わる難題がMultilaterarismでは解決困難と称して多国籍企業の参入を認め、打開策を腕力で図ろうとの方式)が差配し支配する世界の考え方であろう。

multilaterarismには、市民が選挙権を通じて世界の課題解決に介在しているという構造が曲がりなりにもあるのに対し、multistakeholderismでは多国籍企業体の力が前面に出て、市民力の介入力が大幅に低下している構造になっている所が問題と思っている。

いわゆる「世界市民の家」を想定した際、多国籍企業体に「庇を貸して母屋を取られた」の表現がピッタリな状況が今の世界を覆っており、農業含めていろいろな分野で市民が閉塞感を感じる大きな要因となっていると感じている。

話を広げ過ぎることは避けたいので、敢えて農業の問題のみに話題を絞って現在の閉塞感の原因の問題を考える際に必要な情報を提供していきたいと思っております。

概ね話題の中心は、世界の種子や肥料の多国籍メジャーらが国際金融機関・慈善家らと協働し、各国政府を差配し支配する構造の紹介と、この世界構造に異議を唱えるLa Via CampesinaやAFSA等が掲げるアグロエコロジーの推進を中心とする自給自足的考えも含んだ食糧自治権の確立と小規模農家の存在意義を訴える活動の紹介になると思います。

では第一回目として、国連の主導する「家族農業の10年」運動の紹介から始めます。

1つ目の情報は「家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン」の「家族農業の10年とは」です。

2017年12月20日、今後の世界の農業の方向性を左右する出来事があり、即ち国連本会議で2019年~2028年を「家族農業の10年」とする議案が全会一致で成立したことです。

コスタリカが代表となり、日本を含む104カ国が共同提案国となっていたこの運動は、2014年の国際家族農業年を10年間延長し、家族農業を国連加盟国の農業政策の中心に位置付けることを求める国連の啓発活動というものです。

「労働力の過半を家族労働でまかなう農業漁業」と定義される家族農業は、FAOの調べで世界の農業経営組織の90%を占め、食糧生産規模的には80%を担っている。耕地規模を見ると、1ha未満が73%、2ha未満で括ると85%を占めている。

これまで、先進国・途上国を問わず、小規模・家族農業の役割は過小評価され、充分な政策的支援が行われてこなかった。「時代遅れ」「非効率」「儲からない」と評価され、政策的に支援すべきは「効率的」で「儲かる」「近代的企業農業」とされてきたが、ここにきて農業の効率性を測る尺度自体が変化している。農業の効率性は、労働生産性のみで測れるものではないとされ、土地生産性は大規模経営よりも小規模経営で高いことが知られている。

また今、重要視されているのがエネルギーの効率性であり、化石燃料への依存度の高い外部投入資源(合成肥料や農薬、そして機械利用の土壌掘り起こしや灌漑設備等)を多量に使用する大規模経営農業よりも、それら外部投入資源への依存度の低い小規模・家族農業の隠れた効率性が注目されて来ているのである。

また、経済・社会・環境的に持続可能な農業として推進されている「アグロエコロジー」の実践においても、もっとも優位性を発揮するのが小規模・家族農業だと評価されています。そのため、国連の持続可能な開発目標(SDGs)(2016~2030年)の実現において、小規模・家族農業は中心的役割を果たすことが期待されている。

FAO事務局長は2013年に「家族農業以外に持続可能な食料生産のパラダイムに近い存在はない」「国や地域の開発において、家族農業を中心とした計画を実行する必要がある」と述べている。

この様に小規模・家族農業の活性化なくして食料の安定供給、貧困・飢餓の撲滅、農村地域資源管理や持続可能な社会の構築は不可能だということを、遅ればせながら国際社会が認識するようになり、政策の舵をいま大きく切っている。日本においても、政策の方向性を再検討する時です。

以上、この「家族農林漁業プラットフォーム・ジャパンFFPJ(Family Farming Platform Japan)」の立場は、中立的な感じがする、国連の「家族農業の10年」の理念を忠実になぞった情報の伝え方を感じます。

農水省も建前上は、同じ考え方で国連の「家族農業の10年」運動を準備怠りなく、見つめているでしょうが、具体的な行動は国内パワーバランスを見極め、現状は腰を引いて模様眺めといったスタンスと感じます。そしてもう一つの重要な、この運動の動因となって欲しいものが我々市民の動きでしょう。

残念ながら今年が、コスタリカらが求める「家族農業の10年」運動の第6年目という認識さえ、持っているかどうかが疑われる状況が日本社会の現状ではないかと感じています。

次に紹介するのは「家族農業の10年とは?日本への影響や家族農業のメリット・デメリット」 Minorasu.basf.co.jp , 2022年2月27日付けの情報です。

日本は農業後継者不足を理由に、大規模化や法人化を国の方針とし、進んでいる。国際的には農業の効率性・生産性向上が重視されるなか、従来の家族経営農業の価値も見直されてきており、今回国連が「家族農業の10年」を採択(2017年)している。

「家族農業の10年」の概要と、日本への影響を紹介する。

1.「家族農業の10年」とは?

世界的に家族農業の意義を見直す動きが出ている。この象徴が、2017年国連総会本会議で採択された2019年から2028年までの10年を「家族農業の10年」とする動きである。

この国際運動には先触れがあり、2011年の「国際家族農業年」に関する国連総会の採決であり、2014年に施行され、各種運動が展開された。

今回の「家族農業の10年」は、この「国際家族農業年」を実質的に延長したものである。

(家族農業の定義)
“労働力の半分以上を家族で賄っている農林漁業”を指している。耕地面積の大小や法人化の有無は定義上関係がない。ただし、国連では家族農業と小規模農業をほぼ同義語と把握しており、基本的には「家族農業・小規模農業」として包括的に使われている。

家族農業・小規模農業と対峙する存在が、資本的なつながりで構成された組織の「企業的農業」。営利目的で従業員を雇いビジネス展開する場合が「企業的農業」で、それ以外が「家族農業・小規模農業」と捉えられる。

(農家への影響)
家族農業・小規模農業推進のため、国連は2019年に「家族農業の強化を実現できる政策環境の構築」「家族農業における男女平等と農村のリーダーシップ促進」などからなる世界行動計画の7つの柱を策定した。

2020年にはそれぞれの加盟国が「国内行動計画」を作る段階となっていたが、コロナ禍の影響で遅れが生じており、日本も具体策案はまとまっていない。そのため現状では、国連決議が直ちに日本の農家に影響を与える可能性は低いと言える。

日本はこれまで効率化を重視し、企業化や大規模化を政府が推進してきたが、今後国連の掲げる「家族農業の10年」運動の推移により、最終年の2028年までの間に政策転換の可能性はあると言える。

2.家族農業が重要視される理由
家族農業は、世界では90%を占める農業経営基盤なのである。
【全体に占める家族農業の割合は、米国で98.7%、EUで96.2%、日本で97.6%(農水省、『国連、家族農業の10年』の情報)】

世界で進行する自由主義経済の影響から、農業の効率化(作付・農薬散布等の作業の効率化)のため大規模化が世界的規模で推進されて来ているが、その上で実際にはFAOの調査によると、家族農業が世界全体に占める割合が、数の点でおよそ90%にのぼり、生産量の点でもおよそ80%を占めるとされる。

人口増加により将来食糧不足が懸念される現状で、世界全体の大部分を占める家族農業を守ることが、持続可能な社会作りに重要な施策だと考えられているのである。

途上国では、多くの人が貧困・飢餓に苦しんでいる。そして、その多くが食の安全を求め農林水産業に従事している。従って、国連は家族農業を守ることが多くの人々を救う方策と考えていると言える。

また、家族農業では人手不足が起こりやすいことから、女性も男性と同じくらい重要な働き手と期待される。即ち女性なしでは家族農業は成り立たないとして、家族農業の推進は女性の社会的地位向上にも貢献が大きいとされ、期待されているのである。

家族農業はSDGsとも密接に関連している。SDGsの17の目標のうち、貧困撲滅・ジェンダー平等・雇用促進などの目標に関係している。

自然と共生して食糧を生みだす家族農業は、そのほかにも気候変動やエネルギー、イノベーションなどSDGsの掲げる多くの目標達成に関連している。

3.日本の家族農業の現状
農水省データによると、日本の農業事業者総数は、2015年137.7万、2022年107.5万。
内訳は、
会社法人組織:2015年1.66万(1.2%)、2022年2.0万(1.9%)
農事組合法人:2015年0.6万(0.5%)、2022年0.7万(0.7%)
各種団体法人:2015年0.3万(0.2%)、2022年0.2万(0.2%)
その他法人:2015年0.09万(0.1%)、2022年0.13万(0.1%)
法人組織合計:2015年2.7万(2.0%)、2022年3.07万(2.9%)
個人経営体:2015年134万(97.3%)、2022年103.7万(96.4%)

日本で農業を営む人の大半は家族農業である。しかし、経営難や高齢化の進行で離農が今も続いている。そして僅かながらも作業の効率化が図りやすい法人経営体が増加している。

4.家族農業のメリット
同じ品種を大きい圃場で栽培するほど生産コストが低減することから、大規模経営はスケールメリットを得られる。しかし多品目栽培をおこなう場合には向かない。

家族農業の小規模栽培はコスト面では、大規模栽培に劣るものの、様々な品種を植えても管理がしやすいというメリットがあり、病害や台風など自然災害を受けた際起こる可能性のある一度に全滅というリスクを回避できる可能性があり、大きなメリットと言える。

また、大規模経営は収穫量が膨大なため、流通網の分散化が難しい。一方小規模家族農家は付加価値の高い作物を栽培して消費者などの取引先と直接交渉することで、販売価格を高く維持することも目指せるというメリットがある。

そのほかにも、土地生産性やエネルギー効率は大規模経営より小規模経営の方が高いとの報告もある(「Handbook of Agricultural Economics」vol.4,chapter65FarmSize,NORTH HOLLAND)。

5.家族農業のデメリット
労働生産性の改善が難しいことによる労働時間の増加がデメリットとして挙げられる。

即ち、家族農業ではいくら生産性を向上させても、人手の点から栽培できる面積に限界がある。耕地面積が小さいことから、労働生産性は向上しにくく、その結果労働時間は長くなりがちである。

付加価値を高める努力と、機械化などによる生産性の向上をどう取り入れていけるかが、考えどころとなるだろう。

今後も家族農業が重視される可能性はあるが、高齢化や後継者不足の進展もあり、日本では農業の大規模化・法人化が避けられない方向であろう。

家族農業も小規模の意義やメリットを踏まえつつ、大規模化の検討も視野に入れることが求められるのではないか、と考える。

以上が2つ目の記事の情報です。

この最後の総括的文章『家族農業も小規模の意義やメリットを踏まえつつ、大規模化の検討も視野に入れることが求められるだろう』や『付加価値を高める努力と、機械化などによる生産性の向上をどう取り入れていけるかが、考えどころとなるだろう』との説明、そして文中に散見される色々な条件(例えば『日本は農業後継者不足を理由に大規模化や法人化を国の方針とし、進んでいる』『国際的には農業の効率性・生産性向上が重視される』)を含めての話の進め方に気になる点が多く感じる書き方なのである。

そしてFFPJでは、ハッキリと意義を紹介しているアグロエコロジーについては、その言葉さえいっさい伝えようとしていないのである。

実は、この情報の出所がBASF(典型的な国際的農薬メジャー)であることから敢えて紹介したのですが、国連の『家族農業の10年』運動という世界から提起された日本の農業の転換点にもなり得る状況を前にして、都合のよい方向へ世の流れを導いていこうとする動きが良く行われるところであり、このBASF情報がその一例ではないか、と紹介したものです。

BASF の認識は一面的であり、後継者不足課題は、若者らの新規参入の一つのチャンスであり、新たな雇用創出に繋がるチャンスとの考え方も出来るだろう。

そして、国連の主導する「家族農業の10年」運動と連動する形で、日本の小規模農家や家族経営農家がLa Via CampesinaやAFSA的アグロエコロジー的世界観と横のつながりを深めていく機会が拡大していくことになれば、そしてその結果、アグロエコロジー的世界観が日本の市民の間に根付いていくことを期待したいものである。
次回に続いていきます。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」を読む

2024-06-15 10:14:55 | 社会問題
1,はじめに

今回と次回で、ダグラス・ラミスさんの「本」を基に、日本の憲法政治の問題点を明らかにします。(いつもながら、コラムとは異質な論稿になる。)

ラミスさんの指摘で、日本の政治がかなり危ない状況になっていることが明白に理解できました。ラミスさんの警鐘はかなり的確であり、今回はその文章を引用、紹介します。

2,「タイタニック現実主義(本文、第1章)」

1999年9月22日の「ジャパンタイムズ」の4面に、国連環境プログラムが、「地球環境展望2000」という報告書を出したという記事があり、報告書には現在の地球環境がどれだけ危機的な状況にあるかが書いてある。そして、「先進工業国の資源消費を90パーセント減らすことを目標にすべき」と提言している。「そうしないと未来の世代は大きな生命の危機に直面するであろう」というのが報告書の結論である。

次の面は経済面、その5面に「日本経済は不景気から少し復活し始めた」という記事がある。電気の消費量が増えているのだから、経済は回復しているということだ。

4面の記事は陳腐になるほど、みんなが聞き飽きてしまったほど出ているが、この経済面には少しも影響を与えていない。

ラミスさんは、この新聞記事の二つの対比によって、「現実主義」の言葉のまやかしに異議を唱えている。

4面の国連の「報告」は国民多数が「聞き飽きた警告」であり、実際に、地球温暖化や水不足による農産物の被害の拡大などが深刻になっているのだが、世間の「常識」は、経済成長を求めて、電気の消費量が上がっても、不景気からの回復が優先されることが期待されている。

(「冷戦後でも紛争は108件も増えている」という大事な問題が書かれていますが、引用が長くなるので、省略します。)

そういう中で日本政府の「現実主義者」たちは、周辺事態法を可決させたり、憲法調査会を作って憲法第9条の廃止を準備したり、日本の半世紀ぶりの戦争への直接参加を凄まじい勢いで準備しています。(2003年当時の事項です。)

ラミスさんは、ここで、日本政府の「現実主義」をタイタニック号の比喩を使って、次のように表現しています。

3,「誰もエンジンを止めようとしない」

多くの人にとっては唯一の現実は、「タイタニック」というこの船だけなのです。
タイタニックの中にはいろいろなルーチン(日常の作業)があります。みなそれぞれにルーチンを持ち、それをやり続ける人が「現実主義者」なのです。(中略)
国連の報告を聞くまでもなく、このまま進めば氷山にぶつかるということはほとんど決まっていることなのですから。

4,今回の結論

ラミスさんの本は、新書であり、普通サイズですが、政治と経済の重要問題に言及していて、情報量は多く、日本と米国の「戦後史」に独自に視点から分析されており(私のコメントは今回は、言及できませんでした)、21世紀の現在、ウクライナ戦争とイスラエルのガザ侵攻の問題にも適用可能な論理が本書に表現されています。

特に今日のニュースでも国連の決議があり、イスラエルは「人権侵害国家」という認定があり、ラミスさんの理論はこの問題にも適用可能であるとの解釈を、次回コラムでは詳述したいと思います。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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