老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

コロナ後の社会と政治:「パフォーマンス」から「実直」へ

2020-06-23 14:36:47 | 政治
東京を中心に、今なお新型コロナ感染者が連日50人近く発表され、コロナ感染の不安が拭えない中、政府は5月25日に緊急事態宣言を解除し、東京でもいくつかのステップを経て、6月19日に自粛要請が全面解除となりました。

思えば、この3か月間は、コロナ感染の恐怖と行動の不自由さの中で、自分にとって譲れない大切なものとは何かを否応なく自問する日々でした。

それと同時に、医師、看護師、介護士、流通や販売、ごみ収集に携わる人々など、命や暮らしに欠かせないエッセンシャルワーカーの存在に気づき、休業要請等で収入の糧を奪われ生活が成り立たなくなった人たちの存在を身近に感じるなど、今まで余り意識していなかった社会の現実や、政治が果たすべき役割について、自分事として考えた人も多かったのではないでしょうか。

そんな中で、投開票日7月5日の都知事選がスタートしました。巷では現職知事の小池百合子氏が露出度を含め、断然有利とされ、早くも圧勝が言われています。

しかし、コロナ禍対応に於ける小池氏の言動を思い起こすと、「ロックダウン」から始まり、「東京アラーム」「夜の街」「ウィズコロナ」など、キャッチ―な言葉と、レインボーブリッジや都庁を赤や虹色にするなどのパフォーマンスが目立ち、結局は人心を煽り、都民の自己責任と自粛警察による半強制にお任せ、だったという感想が残ります。

そして、「東京大改革2.0」なる立候補の決意を見ても、『都民の命を守り「稼ぐ」東京の実現』『「人」が輝く東京』他、一見華やかで積極的なイメージのタイトルが並ぶものの、中を見ると従来と変わらない施策が細かく羅列され、コロナ後の東京で働き、暮らす人たちに、どのように安心、安全を提供するかの抜本的ヴィジョンが見えてきません。

https://www.yuriko.or.jp/policy

それに対し、今回3度目の都知事選立候補を表明した宇都宮けんじ氏の場合、公式サイトでは『都民一人ひとりのいのちとくらしを大切にする都政へ転換を』『~新自由主義からの大転換が都政の課題~いまこそ世界と連帯して「グリーン・リカバリー※」を!~』と、コロナ後社会への「転換」を明確に打ち出しており、日々の街宣のスピーチからも、都民のいのちと暮らしを守り抜く決意の本気度、真剣さが伝わってきます。

※グリーンリカバリー:気候危機に対する経済政策を基本にした経済復興

http://utsunomiyakenji.com/
http://utsunomiyakenji.com/policy/introduction

巧みな「自己アピール」と派手な「パフォーマンス」から、現実を直視し、苦しむ人に寄り添う「実直」「誠実」へ。

3か月間コロナ禍の苦しみを体験し、今もなお体験し続けている私たちは、連帯・共生の社会、人に優しい政治を作り上げていくための第一歩を踏み出せるのか。今回の都知事選は、私たち自身の本気度、真剣度が問われる選挙と言えるのではないでしょうか。

「護憲+コラム」より
笹井明子
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映画2本「コリーニ事件」、「13th -憲法修正第13条-」

2020-06-19 10:41:22 | 社会問題
上映中の「コリーニ事件」は、「恩人を殺した犯人の動機は何?」という謎を弁護士が追及していくと、ナチの暴虐にたどりつく。「なるほど、よくある戦争犯罪の話ね」と納得していると、法廷は逆転。そこからがこの映画の本領発揮。なんと戦後ドイツの国家の法制度にまで辿り着くのです。

法廷サスペンスと銘打っているように、謎を追及する新米弁護士のドジ(だって、もっと早く犯人の過去をさぐるべきだよね)な展開もありますが、彼自身の出自や家庭環境、恩人とのかかわり、彼を助ける父親との出会いや生きのよい女性など、脇も面白く、とてもお勧めです。
https://collini-movie.com/


「13th -憲法修正第13条-」は、ネットフリックスが今、無料で配信している2016年のドキュメンタリー、お家のPCで観ることができます。

こちらは、アメリカの黒人問題。アフリカから誘拐されてきた黒人奴隷の時代から今まで、アメリカの法律でいかに黒人たちが虐げられてきたが、次々と明らかにされていきます。ことに刑務所の運営で儲ける民間会社には驚き。奴隷制度が無くなると、黒人を犯罪者として刑務所に入れて、労働力として便利に使う。

荒れ狂い、店を壊す暴動には呆れてしまいますが、そうなる背景がしっかり理解できます。「黒人のため」じゃない「人間のため」。

「あともう少しの我慢」という歌が流れて4年、変わらない警官の暴力を見せつけられていることに、怒りを覚えます。

こちらもぜひご覧ください。ここで見ることができます。(期限があるのかもしれませんが)
https://www.youtube.com/watch?v=krfcq5pF8u8

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
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憲法上の目先の課題 ①臨時国会の召集権 ②沖縄の民意の尊重

2020-06-15 18:48:54 | 憲法
【社説】通常国会 問題山積なのに閉会か 【北海道新聞】2020.06.14 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/430527
【社説】沖縄の民意/政府は無視せず向き合え 【神戸新聞】2020.06.14 https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202006/0013422572.shtml
【論説】国会延長せず 立法府への愚弄だ 【佐賀新聞】2020.06.13 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/534147
国会召集「内閣に法的義務」 憲法53条めぐり初判決 6/10 https://www.asahi.com/articles/ASN6B4JX7N64TPOB004.html

「#国会を止めるな」と、ツイッターに投稿相次ぎ、野党の呼びかけにも拘らず、首相は、臨時国会の開会(憲法53条)を明言せず、逃げ込みそうだ。脱兎の如く。全く恥ずかしい奴である。一度ならずも。
 
更に、従来から懸案の辺野古新基地建設断念、放棄の問題。沖縄県の民意は明らか、疑いないが、これに従おうとしない。多分、全国的国民投票を実施しても、結果は同じ。陳腐な『外交は、政府の専権事項』などと埒もないことを言い募って、民意に従おうとしない。
 
憲法53条にしても、『俺が決める』統治行為論?みたいなことを言っていたが、那覇地裁判決は、国会(少数派請求権)と政府のバランスをとるとして、一蹴した。しかし、未だ、地裁判決、確定はまだ先だ。多分、繰り返すのではなかろうか。
 
そんな無法者、安倍政権相手に、どう対峙、解決するか? 詰まる所、議会少数派に追い落とさねば、しかも、相当長く冷や飯食わせて、辛抱強く。主権者一丸となって、主権者の地位を取り戻す、主権者の権威、威厳を示さなければならないのではないか。
 
今度こそ、爾後ずっと、目にもの見せねば。同胞へのイマジネーションとシンパシーが大事。違いより、大同に付こう! 主権者がいいのか、下々(蔑視)がいいのか、全国の陣笠議員を削ぎまくらねば。
安倍政権の暴挙は、止めねばならない。今、我らの手で!!

◎添付
衆議院・参議院 選挙の歴史 | NHK選挙WEB https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/history/
 ・2019年 参院選 第25回 令和元年7月21日(安倍首相)与党改選過半数を上回る71議席獲得も 改憲勢力3分の2維持できず
 ・2017年 衆院選 第48回 平成29年10月22日(安倍首相)自民284議席で圧勝 与党で3分の2超の議席確保
【社説】[国民投票法10年] 新たな課題の議論必要 【南日本新聞】2020.06.13 https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=120919
【社説比較】憲法改正めぐる主要5紙の主張 – メディアサプリ 2019/5/4 https://mediasapuri.jp/2019/05/03/7625/

「護憲+コラム」より
蔵龍隠士
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コロナ後の日本社会が目指すべき方向

2020-06-14 10:48:49 | 災害
(1)コロナ危機と政治利用(東京都知事選の一視覚)

東京アラートも解除され、日本全国で日常性が回復されつつあるように見える。

本当にそうだろうか。

小池都知事の声明を聞いていると、これからは【自粛】から【自衛】に変化するそうだ。わたしは東京都民ではないので、怒る資格はないのだが、腹が立って仕方がない。

規範意識が強く、おとなしく、お上に逆らわず、粘り強い国民性につけこんで、政府も東京都もひたすら【自粛要請】を繰り返した。しかも、政府は、自粛だから補償はしないと嘯く始末。

これでは店が潰れると、パチンコ店のように自粛要請に従わないところには、それを「敵対勢力」に仕立て上げ、日本得意の「同調圧力」を総動員して攻め立てる。御用メディアがそれを盛り上げる。

東京オリンピック延期決定以前には、感染者数を少なく抑え、延期決定が決まると、翌日から感染者数が増加する。

小池知事は、突然、ロックダウン(都市閉鎖)になっても良いのか、と脅し上げ、以降、コロナ対策の女神のごとく振る舞い、連日TVに露出する。

ロックダウン、ステイホームなどの横文字を乱発し、都民を煙に巻きながら、自らの印象を上げ続けたと言って良い。

“緊急事態状態”が終わると、「東京アラート」を持ち出し、都民の危機意識を逆手に、自らの存在意義の延長を図っている。

わたしなどはレインボー・ブリッジの赤を見ていると、あまりにも【凶々しい】印象が強すぎて、気分が悪くなる。これからの東京の暗い未来を暗示しているようで、気持ちが滅入ってくる。

さらに、自粛時のパチンコ屋と同様に、東京アラートの時には、「夜の街」「新宿」「ホスト」を敵対勢力に仕上げて、感染がやまないのは、彼らが原因だと言わんばかりの仕打ちをする。

しかし、どうもそれがうまくいかないと見ると、とたんに「東京アラート」を終了し、【自衛】だとのたまう。

羽鳥のモーニングショーなどで、“自衛”=“自己責任論”ではないか、と批判されると、翌日には、自己責任論ではなく、自らを守る意識を忘れないでほしいという意味だ、などと取り繕う。

そして、東京都知事への立候補を宣言。“東京大改革2.0”などという訳の分からないスローガンを掲げて、意欲満々である。

しかし、“日常性の回復”は、小池都知事には有利には働かない。危機が深いほど、彼女は毎日TVに露出できる。恐怖心が深いほど、人々はすがるものが欲しい。

さらに言えば、“東京アラート”が継続されていれば、様々なスキャンダルが出始めた小池知事にとって、他候補の選挙運動を大きく制限できる。そうなれば、感染報告などでTVに露出できる現職知事に圧倒的に有利。

“東京アラート”発令の狙いはその辺りにあったに違いない。本当は、小池都知事は、選挙終了まで“東京アラート”を続けたかったはずだ。

このように、“日常性の回復”が、政治的かけひきに使われ過ぎて、あまりにも事態の本質が見えなくなっている。

(2)分散型社会への転換(コロナ後の社会への一視点)

わたしは“日常性の回復”が簡単にできると考えていない。高齢者に多いかもしれないが、みな、以前のような生活を取り戻すのが難しい、と感じている。

理由は、国民の心に沁みついている“恐怖”だ。いつ感染するかも分からない、という恐怖は、必然的に他者に対する“恐怖心”を誘発する。他者に対する“恐怖心”や“警戒心”に満ち溢れた社会は“安心感”を以て生活できない。この恐怖心や警戒心は、人間の本質である「生産活動」にプラスになるはずがない。

“天然痘”“ペスト”“スペイン風邪”等々、人類を襲った数々の感染症の恐怖は、人類の記憶に深く刻み込まれている。イタリアのベニスの仮装面にもペスト時の記憶が鮮明に残されている。このように、感染症の恐怖は、人類の歴史を変えてきた。
https://ameblo.jp/art-masciclismo/entry-12595913772.html

過去の感染症の歴史を概括すると、人類の産業の進歩、都市への人口の集中、田舎の衰退が、大きな要因になっている。さらに“交通手段の進歩=移動の拡大”が、一地方の感染症を世界的パンデミックに拡大させている。

① 東京の場合も戦後一貫して行われた【東京一極集中=大都市集中型社会】の弊害が顕著に表れている。論理的に考えれば、この問題を克服するには、東京一極集中を制限し、地方中心の【分散型社会】への転換以外ない。

② 分散型社会は、現在のエネルギー政策の大転換を招来する。つまり、原発・火力発電の膨大なコストがかかるエネルギー政策から、地方の分散型再生エネルギー政策へ転換した方がコストも安く、はるかに環境に優しい。環境問題が待ったなしの状況である21世紀世界の必然な政策である。

③ コロナのような感染症対策を考える時、都市型集中社会より、田園型コミュニティ社会の方が、はるかに強い。今回のリモート通勤の普及の中で、地方の環境の良い都市や町へ移住する人が増大しているそうだ。これが時代の要請だと思う。

さらに付け加えるならば、喫緊のコロナ対策(二次・三次感染拡大)も、分散型対策が鍵になる。

◎原理原則⇒コロナ対策を行いながら、経済を守る。
   ↓
🔷検査の拡大以外ない。⇒出来得る限りの検査を行い、陽性者と陰性者を明確にする⇒陽性者は隔離・早期治療⇒陰性者は経済活動 
   ↓
🔷検査拡大の方法⇒闇雲に拡大してもあまり意味がない。⇒コロナ感染者の集積地を集中的に行う。(例)例えば、新宿歌舞伎町周辺全てで行う(定期的)
   ↓
🔷病院・介護施設・老人ホーム・学校などや運動関係や会社関係を集中的に行う。(例)ソフトバンクグループが行った全員の抗体検査のような形
 
その他、様々な場合が考えられるが、国という単位でなく、地方中心にさらにもっと小さな組織や集団で徹底的に検査を行える体制を構築する必要がある。(国の制度設計や金銭的援助が重要)

このような形での、分散型検査の拡充が2次感染・3次感染阻止のための必須条件である。

コロナ後の社会を考える時、大都市が危険である事は自明の理。このような【分散型社会】と新たな【コミュニティ】の構築が最重要になる。

効率一点張りの中央集権型の新自由主義的経済体制や、政治体制、医療などを始めとする福祉体制の全面的改変が、もっとも大きな論点になる。同時に、中央集権型から自立型の地方自治の確立が最重点になる。

「大きいことは良い事だ!」という思想を捨て去り、身の丈にあった経済や国家体制の確立をどのようにして行うか、が焦眉の課題になる。

このグランドデザインを描ける政党、政治家を選出しなければ、日本の未来はない。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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気を緩ませたのは誰か?

2020-06-08 10:56:04 | 災害
日本におけるCOVID-19の感染状況をまともに把握しようとしないまま、先月25日の夜に緊急事態宣言が全面解除されてしまった。

東京都を中心に、緊急事態宣言の解除後に感染者が再び増加している(それでも検査数を抑制して見かけ上の数字を少なくしているように見える)ことからも、予定していた5月31日より一日も早く解除することにこだわり、前のめりになっていたのではないかという懸念を抱いてしまう。

この二週間で私が目にした街の様子は、「少しずつ」日常を取り戻すというよりは、日常生活で様々なことを制限されてきた鬱憤を晴らすかのように一気に人が戻ってきたというべきである。

「自粛」という名のもとで感染拡大防止の責務を一方的に押し付けられた市民たちが、その「自粛」を「解除」されたのであれば、今までできなかったことを一気に再開したくなるのは当然のことだ。

こうした市民たちの必然的行動を、自らの地位と特権を脅かされないことばかり考え、日常が一転するような現実を直視しようともしない一部の特権的な人たちが「気の緩み」などと上から目線で講評するのは明らかにおかしい。

商業施設や公共施設の再開はあくまで段階的に行うことを示そうが、漠然としたイメージしか想起させない「新しい生活様式」なるものを提示しようが、最初に「解除」という言葉を出してしまったら、それ以降の内容には聞く耳を持たなくなるだろう。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のヒトへの感染が国内で確認されて以降、この国のトップは常に「なかったこと」にしようとしてきた。今回の緊急事態宣言も、解除した後に引き続き感染者が一定水準で確認されるようであれば、国民の気の緩みを原因にするつもりなのは明白だ。

だが、ここで問いたい。誰が国民の気を緩ませたのか。

記者会見などの場で繰り返される、法的な拘束力を持たない「お願い」であり、応じるかどうかはあくまでも個人の判断というレベルの言辞に対し、この国で生きる市民一人ひとりは従順すぎるほどに従っていた。

市中での感染拡大防止にこれでもかというほどに協力し、医療体制の崩壊を現在もかろうじて食い止めている市民に、これ以上自発的に頑張らせる方法で凌ごうとしても、もはや限界が近い。

そんな中で緊急事態宣言を解除した政府こそが国民の気を緩ませたのである。感染拡大を防げなかった責任は市民が負うべきものではない。

この騒動はもうしばらく続くのだろう。気温と湿度が上がればあんなウイルスは弱るものだと高をくくっていた政府関係者の発言が空しくなるほどに、感染の勢いは止まらない。

私たちの代表者であり組織の責任者である人々に、今以上に無責任な行動と事態の収拾がつかないことを国民のせいにする言動を続けられると困るので、今後も政府の対応を注視していきたい。

「護憲+コラム」より
見習い期間
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勝ちに不思議な勝ちあり! コロナ騒動の中間検証

2020-06-03 17:24:49 | 災害
“緊急事態”の解除が決定された。

WHOも日本の対応を一定の評価をしている。安倍首相にいたっては、“コロナ封じ込めに成功”などと嘯く始末。海外メディアの評価は、日本政府の対応は全く評価していないが、なぜか死者数が際立って少ないことを不思議がっている。

今年、鬼籍に入った野村監督の言葉に「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし」というのがある。

スポーツ指導者の大半は、野村監督の言葉に頷くだろう。特に団体競技の指導者は、「そうなんだ」と手を打っていると思う。

お互い勝つために死力を尽くして戦うのだが、力量差が一目瞭然という相手と戦う場合がある。99%勝てない相手と戦うのだが、何故か勝てる場合がある。10回試合をして、ほとんど10回負けるだろうという相手でも、勝てる場合がある。

野球で言えば、味方の投手が相手チームとなぜかしら相性が良くて、何となく抑える場合がある。そうなると試合は接戦にもつれ込む。そこで、チャンスに打てない打者がまぐれでタイムリーを打ち、勝つ場合がある。

こういう場合、指導者は「よくやった」とほめてやるのだが、内心ではどうして勝てたんだろうと首をひねっている。指導者として選手たちに何を語れば良いか、を一番悩むのがこういう勝ち方。強運としか言いようがない勝ち方なのだから、この勝利からどのような【教訓】を引き出したら良いか、非常に悩む。

わたしは、日本政府のコロナ対応は、“勝ちに不思議な勝ちあり”そのままの結果だと考えている。

クルーズ船の対応のまずさ、初期対応の遅れ、学校閉鎖の勇み足(準備何もなし)、“緊急事態”宣言を出すなら、補償とセットでなければならないはずなのに、補償をネグレクト。地方自治体に対応を丸投げ。

批判が高まると、方針転換。第一次補正予算・第二次補正予算を組んだが、絶望的なくらいスピードがない。理由は明白。書類手続きの煩雑さ、難しさが最大のネック。一次補正のお金が、いまだ届いていない。国に殺された、と涙を呑んで廃業する中小企業や個人事業主が後を絶たない。

医療崩壊を叫ぶなら、せめて医療機器、マスク、防護服などの医療資源を優先的に調達するのが政府の仕事。さらに言うならば、コロナ患者を受け入れる病院の経済的補填を優先的に行わなければ、コロナ患者を受け入れる病院すらなくなる。

病院や医師・看護師に「犠牲的」な仕事を依頼しながら、コロナ対応に熱心に取り組んでいる病院ほど赤字経営になり、看護師の家族や子供たちが「心ない差別」に苦しんでいるのを放置する。ブルーインパルスを飛ばせば済む話ではない。

保健所の職員たちもそう。国の政策で保健所の数、職員は激減している中、感染疑いの人との電話対応、PCR検査を受けれるかどうかの判定、検体の輸送、クラスターの聞き取り、自宅療養者への電話対応などなどの仕事を一手に引き受けさせられ、それに加えて一般業務もこなしている。

あげくのはては、発熱37・5度以上4日間様子を見なさい、という厚生労働省の指針が批判されると、加藤厚生労働大臣は、保健所の職員たちに責任があると言わんばかりの答弁をする。わたしが職員なら、厚生労働省へ怒鳴り込んでやりたいと思うだろう。

一事が万事。国は、最前線で働く日本の病院や医師・看護師たちの「病人を助けたい」という崇高な志だけに依拠し、保健所の職員たちの寝食を忘れた労働に何一つ答えていない。結局一番大切な人々の努力を利用し、見殺しにし、ないがしろにする厚生労働省や国の姿勢に怒りを禁じえない。

ところが、安倍首相は5月25日の会見で、「日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います。」と述べた。

どの口が言うのか、とあきれ果てるが、メディアも「コロナ対策に成功した日本」をアピールする典型的な出来レースを展開している。

“勝ちに不思議な勝ちあり”という認識を持っている人間は、決してそんな能天気な発言はしない。

これだけ初動に失敗、PCR検査の数は他国に比べて圧倒的に少ない、国民に自粛だけ求めて補償はほとんど行き渡らない、コロナに全精力を注げばよいのに、検察庁法改正などに血道を上げて、国民の総反発を食らう。おまけに、黒川検事長の賭け麻雀疑惑が浮上、検事長は辞職。当然ながら、内閣支持率は急落。危険水域に入っている。

通常の政権なら、内閣総辞職も検討せざるを得ない。もし、これでコロナの死者数が増加し、感染拡大に歯止めがかからない状況だったら、間違いなく内閣総辞職を迫られたと思える。

ところが運よく死者数もあまり増加せず、感染者数も減少し始めた。安倍内閣にとっては、僥倖としか言いようのない結果。本当に賢い政権なら、この運をきちんと認識して、もっと謙虚で抑制の利いたコメントを出すが、「日本モデル」の成功などと大風呂敷を広げるところが安倍内閣。

「きっこのメルマガ」などは、「またも自画自賛の安倍首相「解除会見」で飛び出した事業規模サギ」
https://www.mag2.com/p/news/452937・・ 『きっこのメルマガ』 まぐまぐニュース・・・・
で「安倍晋三首相の自画自賛&自己陶酔ワンマンショー」と切り捨てている。

問題は、この「不思議な勝ち」は、どうしてできたのかだ。

一番参考になるのは、ノーベル賞学者京都大学の山中伸弥教授の唱える【ファクターX】 の存在という説。
山中教授の【ファックターX】候補は以下の通り。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1) 感染拡大の徹底的なクラスター対応の効果
(2) 日本人のマスク着用や毎日の入浴などの高い衛生意識
(3) ハグや握手、大声での会話が少ない生活文化
(4) 日本人の遺伝的要因
(5) BCG接種などの何らかの公衆衛生政策の影響
(6) 2020年1月までの、何らかのウイルス感染の影響
(7) ウイルスの遺伝的変異の影響
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まだ科学的に明らかにされていないので、これだという結論は出ていないが、おそらくこの中のどれか、または複合的要因だろうと推定できる。

一番考えられるのは、日本人の規範意識(罰則規定がなくても、ルールを自発的に守る)。

東北大震災の際にも、食料・水・生活物資の配布にも、誰もがきちんと列に並び、配布を待つ姿が印象的だった。「自分だけが良ければ・・」と我先に列を乱すような人はほとんどいなかった。自らの不安や悲しみや苦しみをじっと心の内に押し込めて、静かに列に並び、他者に迷惑をかけない。この日本人の我慢強さ、規範意識が、政府の「自粛要請」に黙って我慢して従ったのだろう。

これが、山中教授の言う(2)(3)の要因の根底にあると考えられる。

わたしは、こんな我慢は、何度も続かないと考える。自粛なので、補償しない、という政府の姿勢は、上記のような日本人の特性によりかかり、それを利用(悪用)しているとしか思えない。今回のような国難ともいうべき危機的状況の時、そんな対応をして国民が政府を信用するはずがない。安倍内閣の支持率低下は当たり前である。

“勝ちに不思議な勝ちあり”“負けに不思議な負けなし”

政府与党は、もう一度野村監督の言葉を拳々服膺すべきである。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水

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安倍のレースを許さない!

2020-06-01 10:03:46 | 安倍内閣
本日は、一国の総理たる安倍晋三の無責任ぶりを競馬に例えた指摘と当日の様子を、猫野氏からいただきました。『例え話』なのでテンピンとか、違法なコトは一切ありません、指摘に当たりません。(スガ・カンボー長官)

新型ウイルス流行が収束しない今日この頃。にも関わらず、閣議決定された私人・安倍アキエさんが総理の名前で東京競馬場を借り上げ、緊急事態宣言の解除を受けて「総理大臣杯」レースを開催しました。実況中継は“国会議事堂の晩ごはん”こと猫家ゴロスケ、招待客は・・・ご想像にお任せします。

皆さん、こんばんは!本日のメイン・イベント、第459レース。“ジゴク”レースとも呼ばれる中、総理大臣にゆかりのある名馬10頭が出揃いました。それでは、本日の出走馬をご紹介します。

第1のコ~ス♬、アベノミクス。トリクルダウンという理屈で日銀が株価を買い支え、大企業の内部留保金を増やすだけの残念な結果から名づけられました。

第2のコ~ス♬、アベノモリカケ。馬主は国有地売却に絡んだ夫妻、あるいは有名大学の理事長とも噂されています。

第3のコ~ス♬、アベノトモダチ。自称アベノ応援団と呼ばれる面々が総理大臣を賛美し、その行いを正当化するために育てた名馬です。

第4のコ~ス♬、アベノソンタク。総理大臣を“天の声”と察し、ひたすら高級官僚を目指し、あるいは大臣ポジション欲しさに奔走する官僚や政治家を忖度した馬主が名づけました。

第5のコ~ス♬、アベノカイザン。「ハイセイコーの忘れ形見」との出生証明や血統書も改ざんされた可能性も・・・おそらく、ロバです。それゆえ、週刊誌で「総理の耳はロバの耳」と揶揄された経緯があります。

第6のコ~ス♬、アベノサツジン。公文書改ざんに絡み、誠実な公務員が自死したことを受け、ネット上で空前絶後35万人近くも賛同が集って出走が決まりました。馬主は「アカギさんは総理に殺されたようなもんだ・・・」とつぶやき、名づけたそうです。

第7のコ~ス♬、アベノサクラ。総理の後援会や応援団が公費で飲み食いし、「オレ達は特別なんだ、馬刺しを持ってこい!」と言った・・・とか、言わなかったとか。そのまま放置されていたサラブレットを連れてきました。

第8のコ~ス♬、、アベノケンジ。競馬界の“法の番人”と呼ばれる一方、あらゆるレースでアベノ~と名がつく出走馬をアシスト。ゴール寸前の本命馬を故意につぶしてきた疑惑が持たれています。

第9のコ~ス♬、本日の穴馬、アベノウイルス。指導力のない総理が側近や厚労省官僚に振り回され、新型ウイルス対策や国民・中小零細の事業主への支援が遅れたことから突如、出走が決まりました。その腹黒いポテンシャルは計り知れず、馬がウイルスに感染した・・・いや、ウイルスは総理・・・失礼、訳わからないです。

第10のコ~ス♬、アベノセキニン。本日の本命馬!総理は「政治資金で買ったなどは、一切ない。ご指摘は、まったく当たらない」と言いましたが、内閣機密費で購入したという話です。

当初は一番人気“アベノサツジン”が本命でしたが、「責任は私にある」と言い続けた総理が「この馬が優勝したら、私は総理を辞する」と明言したため、レース当日に“アベノセキニン”が本命となりました。しかし、その迷言が元で総理大臣杯レースが大惨事に・・・それでは、実況のゴロスケ氏に話を戻します。

さぁ、各馬ゲートに出揃い・・・一斉にスタート!先頭はアベノトモダチ、そしてアベノソンタク、アベノカイザンが続きます。第1コーナーを回り、第2コーナーへ。各馬一団となって・・・あ~っと!アベノウイルスが、いきなり転倒!後続のアベノミクスが巻き込まれたっ!先頭のアベノトモダチが泥船から逃げるように最下位へと下がる・・・まさに、予想通りの展開となりました。(笑)

各馬第3コーナーを抜け、先頭は変わってアベノカイザン。迫る、アベノソンタク・・・おっと、空気を読んで順位を下げました!その間隙を突いてアベノサツジンが2番手へ。追うのは悪評高いアベノケンジ!続く、アベノセキニン。これは荒れそうなレース展開です。

そしてレースは終盤、最終コーナーへ・・・お~っと、なんだ?布マスクをつけた馬が乱入!なんと、出走枠から外されたアベノマスクじゃないか。ヌノマスク、怒っています!虚を突かれたアベノケンジ、ここは迷った。潰すのはアベノサツジンか、アベノマスクか・・・あっ、アベノマスクを道連れにコケた、コケた!これは、想定外の展開となりました。

さぁ、最終コーナーを回って直線に。先頭は本命のアベノセキニンで3馬身リード!しかし、追い上げるアベノサツジン、アベノサツジン、サツジン!アベノモリカケとアベノサクラが続く。アベノセキニンに無恥が・・・失礼、ムチが入った!このまま逃げ切るか、アベノセキニン!刺せるか、アベノサツジン!セキニンか、サツジンか?セキニン、サツジン!地獄へと流れゆく~ぅ・・・

ところがゴール直前、責任を取りたくないアベノセキニンが逆走を企て、急反転。後続のアベノサツジンと衝突し転倒、再び起き上がることはありませんでした。招待席のアベ総理は顔面蒼白、観衆は狂喜乱舞で大混乱に。

奔放な総理夫人が主催した温泉ツアー・・・もとい、記念レースは写真判定もできず中止になったそうな。おあとがよろしいようで・・・テケテン、テケテン・・・

いや、よろしくない、責任取れよ!安倍晋三。

「護憲+コラム」より
猫家五六助
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