老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

終戦から79年目の広島・長崎「原爆の日」に・・・

2024-08-27 22:50:25 | 戦争・平和
8月もまもなく終わろうとしています。
今年も8月6日の広島と8月9日の長崎の「原爆の日」に、犠牲者追悼と核廃絶・恒久平和を誓う「平和祈念式典」が行われました。

その中で、今回特に注目を集めたのは、広島と長崎で対応が分かれた、「平和祈念式典」に駐日イスラエル大使を招待するか否か、という問題でした。

私自身は、終戦後生まれとはいえ、親や人生の先輩達から折に触れ戦争の悲惨と平和の有難さを聴いてきたせいか、毎年8月6日と8月9日にはテレビの前で、祈りにも似た気持ちと共に「平和祈念式典」をみてきましたが、ここにきて、戦争の悲惨は遠い過去のできごとではなく、今現在もウクライナやガザでは多くの人たちが、現在進行形で傷つき、命を落としているという事実を突き付けられていて、皆で神妙な面持ちで平和を祈るだけで良いのか、という疑問を拭えずにいました。

こうした状況下で、今回長崎市長が「イスラエルを招待しない」方針を示した時、アメリカをはじめとする先進7か国から日本を除いた6か国と、EUの駐日大使が式典をボイコットするという圧力をかけ、エマニュエル駐日アメリカ大使は繰り返し日本政府にイスラエル招待を働きかけたと聞いて、欧米諸国、とりわけアメリカにとって、「原爆の日・平和祈念式典」も、単なる政治バランス保持のための外交手段のひとつにすぎないのかと、失望せざるを得ませんでした。

結果として、鈴木史朗長崎市長はイスラエルを招待しない決断を貫き、若い世代を中心に据えた誠意溢れる式典を挙行し、厳粛かつ平穏に終えたことを当日のX(旧ツイッター)で報告。それを見て私も安堵しつつ、深い感動と共感を覚えました。
https://x.com/suzuki46genki/status/1821869304515903932

その後私は、現在ガザでジェノサイドともいえる行為を続けているイスラエルの大使はどんな思いで「平和祈念式典」への参加を望んだのかを確かめたくて、大使のXを辿ってみたのですが、タイムラインには、広島式典後の「原爆犠牲者への哀悼の意」の表明、長崎市の不招待への「遺憾の意」の表明、イスラエル除外に反対することを選んだ国々への「感謝」の表明、東京で行われた追悼式典に米国、英国大使と共に参加した「報告」など、比較的無難なコメントが並んでいました。

その一方で、大使のXには、ハマスに拘束された人質解放の報告や、一刻も早い人質全員解放への願いと共に、『イスラエルはイランの支援を受けているテロ組織によるテロ攻撃に常に晒されている』との訴えと、『自衛権と道義的責任に基づいて、自国領土と国民の保護を続けている』との主張を展開。恒常的な不安と被害者意識で、自分たちが齎したガザの人々の悲惨な状態に思いを致すことができない精神的膠着状態に陥っている様が色濃く出ていて、現状打開、和平への道筋造りの難しさを改めて感じさせられました。

イスラエルの立場はそれとして、今回の「原爆の日」式典に対するエマニュエル大使の対応で図らずも表面化した、アメリカの日本に対する上から目線の押し付けがましさには、今更ながら不快感を禁じ得ません。

日本政府は今こそ不均衡な日米関係を見直し、アメリカの核の傘の下に安住し、日米軍事指揮連携の強化を目指すのではなく、アメリカが投下した原爆の被災当事国として、また、憲法9条を持つ平和国家として、自律的判断で平和外交に力を尽くしてもらいたい。そして、イスラエルによるパレスチナ侵攻についても、公正な立場で真の和平樹立に向けて尽力してもらいたい、と痛切に感じた、終戦から79年目の8月となりました。

「護憲+コラム」より
笹井明子
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