老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

裁判所は検察審査会の信頼回復に努めよ

2012-09-30 17:09:56 | 民主主義・人権
9月26日の朝日新聞は、『小沢元民主党代表の控訴審は9月25日の東京高等裁判所でわずか1日、たったの1時間で結審し、裁判官は、「(指定弁護士)の事実取り調べ請求を棄却し結審します」と宣言し、判決は11月12日に指定された』と報じている。

そもそも小沢氏が被告人とされたのは検察審査会の強制起訴によってであるが、特に小沢氏の不起訴処分に対する検察審査会の審査の在り方進め方は他の検察審査会(例えば、JR福知山線脱線転覆事故、明石横断歩道橋圧死事件)等に比べ、不透明で不明朗な部分が多いと専門家や市民団体からも指摘されている。

例えば1回目の検察審査会メンバーの一部は任期が切れてそっくり2回目のメンバーではないと伝えられているが、しかしその平均年齢はほぼ同じであったり、検察審査会事務局が後日平均年齢を訂正したりして、本当に入れ替えが行われたのか疑問視されている。にも拘わらず検察審査会事務局はその疑問に答えていないと報道されている。

一方で東京地検特捜部検察官の偽の捜査報告書は、2回目の検察審査会に時期を合わせて提出されたと言われている。そもそも検察審査会は検察の起訴、不起訴を国民が不服として審査の申し立てをして、それを受けて開かれるものである。小沢氏の場合も東京地検特捜部の不起訴を不服として国民が検察審査会に申し立てたもので、その場合、検察審査会に呼ばれ、説明にあたる検察官は、不起訴にした理由を検察審査員に説明するのが筋なはずである。

ところが東京地検特捜部は不起訴にしておきながら、審査会では強制起訴に誘導するための偽捜査報告書を提出していたのであるから、明らかに矛盾した行為である。逆に言えば検察に検察審査員の一般常識(無知)を逆手に取られた感じである。裁判員裁判の裁判員と同じように、有権者名簿から無作為に選ばれた善良な審査員も普通の人であり、元来検察官を信頼しており、検察官がまさかそのような不正行為をするとは夢にも思っていないであろう。また審査員の常識ではこのような検察の矛盾した不適正な行為を見抜けるはずもない。

しかし補助弁護士や検察審査会事務官は偽の捜査報告書内容には気付かなかったとしても、その道のプロであれば、検察官が強制起訴に誘導しようとする行為(捜査報告書の提出そのもの)には気が付いていたはずであり、仮にそれにも気が付かなかったとすればその役務を果しえなかった責任は重大である。

確かに補助弁護士は審査員側に立って検察の不起訴を質す立場であろうが、仮にその弁護士が反民主党であり、反小沢であり、小沢の政敵とパイプがあったとすれば、検察の矛盾した行為(偽捜査報告書提出)を黙認することは否定できない。このような補助弁護士のキャラクターをどこで誰が審理しているのかも不透明である。

また有権者から選任された検察審査員の多くも、弁護士は公正・公平な職業と信じて、補助弁護士の思想・信条や政治的関心について事前審査の必要性など思いもつかないであろう。そうなれば自ずと検察審査会法第二十条に規定されているように、最高裁が裁判所事務官から選任した検察審査会事務官や検察審査会事務局長が、検察官の不正行為や補助弁護士のキャラクターを事前審査しないことには公正な検察審査会は維持できないはずである。

検察審査会法  http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO147.html

第二十条  各検察審査会に最高裁判所が定める員数の検察審査会事務官を置く。
○2、検察審査会事務官は、裁判所事務官の中から、最高裁判所が、これを命じ、検察審査会事務官の勤務する検察審査会は、最高裁判所の定めるところにより各地方裁判所がこれを定める。
○3、最高裁判所は、各検察審査会の検察審査会事務官のうち一人に各検察審査会事務局長を命ずる。
○4、検察審査会事務局長及びその他の検察審査会事務官は、検察審査会長の指揮監督を受けて、検察審査会の事務を掌る。

参考までに、「八木啓代のひとりごと」ブログでは、検察審査会への不信と小沢氏の不起訴を審査した検察審査会の補助弁護士の選定について、次のような信じられないようなことが述べられている。

「小沢事件を通して、検察審査会法の改正は、けっして、検察を縛ったり、検察を厳しくチェックするためのものではなく、検察を補完するための制度(改正)だったのではないかということを改めて痛感したわけです。」「で、その、山下弁護士の衝撃的なお話です。」

衝撃的なお話の詳細は下記のURLを参照して欲しい。

http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-623.html

一方竹崎最高裁判所長官は今年の憲法記念日前日の記者会見で、『強制起訴された民主党の小沢一郎元代表が無罪となった検察審査会制度については、「強制起訴件数や裁判例はわずか。長い目で見ていく必要がある」との見方を示した。』と産経新聞は報じているが、いかにも能天気な会見答弁である。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120502/trl12050221070007-n1.htm

小沢氏はこのような不備な検察審査会制度の審査で強制起訴され、人格を毀損され、政治生命を絶たれたと言っても過言ではあるまい。裁判所はこのような不信を招いた検察審査会制度の信頼をどのようにして回復するのか、実際に犠牲者が居るのに、「長い目で見ていく必要がある」では済まされない。現状の検察審査会法の中でも検察審査会制度の改革をすべきところがあることは国民目線(素人目)にも明らかである。

例えば政治家や思想家や宗教家を検察審査会にかける場合、現状ではその人の政治信条や理念や宗教上の思想に賛同する人や逆に反対する人が検察審査員や補助弁護人に選任されることもあり得るわけで、そのような場合に検察審査員や補助弁護人が公正な判断をできるか疑問である。検察審査会法第六条には、「次に掲げる者は、検察審査員の職務に就くことができない」と一定の職種が規定されているが、その中には政党員やサポーターや宗教の信者や一定の思想を持つ学者は規定されていない。これらの人を憲法上排除できないならば、政治家や思想家や宗教家を検察審査会にかけるのはそぐわないのではあるまいか。

さらに審査会法第十五条(下記)には、検察審査会長は検察審査員に互選され、その2項には、「検察審査会長は、検察審査会議の議長となり、検察審査会の事務を掌理し、検察審査会事務官を指揮監督する。」と規定されている。

第十五条  前条に規定する各群の検察審査員及び補充員のいずれかの任期が開始したときは、その都度速やかに検察審査会議を開き、検察審査会長を互選しなければならない。この場合において、検察審査会長が互選されるまでは、検察審査会事務局長が検察審査会長の職務を行う。
○2、 検察審査会長は、検察審査会議の議長となり、検察審査会の事務を掌理し、検察審査会事務官を指揮監督する。

しかし有権者から選任された検察審査会長が司法行政のプロである検察審査会事務官を指揮監督したり、また検察審査会議の議長として、検察審査会の事務を掌理し司法行政の一端を司することは難しいであろう。自ずと実務経験のある補助弁護人や検察審査会事務官や事務局長に頼らざるを得ず、実質司法行政のプロが検察審査会を取り仕切らざるを得ないはずである。現実はこの様な条文と乖離している可能性が大であり、国会で早急な検察審査会法の改正が必要なのではあるまいか。

ざっと見ただけでも生煮えな検察審査会法とそれに準じた検察審査会制度であると見えてならない。裁判員裁判ではプロの裁判官が素人の裁判員をうまくリードして審理を進めているように見えて安心できるが、検察審査会では誰が審査を主導しているのか不透明である。このような不備な検察審査会に申し立てられては公正な審査は保障されないであろう。東京地検特捜部から提出された偽の捜査報告書が何よりの証拠である。

「護憲+BBS」「裁判、司法行政ウォッチング」より
厚顔の美少年
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「ここから~定点観測・国会前~」東京新聞9/29

2012-09-30 11:43:17 | 民主主義・人権
東京新聞9/29付記事より。「ここから~定点観測・国会前~」9/28に参加された、熊野亘代さん(81歳)のインタビューです。

+++++++ ここから +++++++++
 先月、デモ参加者が最盛期の3分の1に減ったとテレビで聞いて、「私のようなおばあさんでも一粒の種になるなら」と参加を始めました。腰や足が痛く、最近は微熱もあって少しつらい。それでも、ここに来ずにはいられない。

 戦争中、小型艦載機からの銃撃に必死に逃げました。3日間、水だけでしのいだこともありました。国民は知らないうちに戦争へと駆り立てられ、がちがちの軍国主義に染められた。40年ほど前、高校生だった娘に「大東亜戦争に、なずお母さんは反対しなかったの」と尋ねられ、何も言えませんでした。

 私が政治的な活動に関わるのを禁じていた夫が6年前に亡くなり、平和運動に加わるようになりました。基地反対を訴える米軍キャンプ座間(相模原市、座間市)前の座り込みにも毎週、行っています。父と兄は東京電力に勤めていました。

 でも日本が原発を始める時、私は「日本のような地震国では危ない」と思った。当時、誰も耳を傾けてくれなかったけど、「そら見ろ」という感じです。

 野田首相が原発ゼロをうち出して久しぶりにすかっとしたのに、経済界や米国の圧力でひっくり返された。まだ日本は占領状態なんですね。放っておくと、お国は何をするかわからない。残りの人生は運動にかけようと思っています。(聞き手・小嶋麻友美)
++++++++ ここまで +++++++++++

昔、映画俳優の「男は黙って、〇〇ビール」なんてCMがありましたね。女性(奥さん)が世間に声を上げようとすると、男性(ご主人)が「女だてらに」「オレに恥をかかすな」とか苦言を呈した時代なんでしょう。でも、「黙して語らず」では、ズルイ輩に好き勝手させるだけです。

熊野さんのお嬢様の素朴な疑問も理解できます。それをいいことに「戦時中は全国民が戦争に賛成していたんだから、戦争責任は国民にもある」という論理のする替えをするアホもいます。

しかし戦時中は、女性一人が「反対」の声を上げなどしたら家長ににらまれ、隣り組に叱られ、地域から村八分にされた時代でしょう。さもなければ憲兵隊か特高警察に連れて行かれ、最悪生きては帰って来れない時代だったと思います。

熊野さん、無理はなさらず長生きして、声を上げ続けてください。きっとお嬢様は理解して応援していると思います。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
猫家五六助
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「日中国交正常化40周年、、、」(東京新聞9/29)より

2012-09-30 11:40:44 | 安全・外交
東京新聞9/29付に、「日中国交正常化40周年、『不惑』を超えて」という特集記事がありました。その中にある中日新聞社相談役・大林主一さんの意見を転載します。

+++++++ ここから +++++++++++
「本社取材団として同行---田中首相の気構え伝わる」

 「決断と実行」を旗印にして1972年7月に誕生した田中角栄内閣。田中首相は就任わずか2ヵ月半後の9月25日、北京に飛び、中国の周恩来首相とのトップ会談に臨んで一挙に国交正常化を果たした。

 国民は田中首相の訪中を歓迎。当時の世論調査では訪中に「賛成」が63%、「反対」はわずか4%だった。

 日本メディアは国交がない中国側と交渉を重ね、新聞、通信、テレビ、ラジオの計29社の記者ら80人と技術者ら70人の計150人という前例のない大規模な報道陣を派遣した。本紙(東京新聞)は私を含め5人の取材団で臨んだ。

 田中首相、大平正芳外相、二階堂進官房長官とともに、羽田空港を25日午前8時10分に飛び立つ日航特別機に乗り込んだ。機内では田中首相が大平外相に向かって「おれは細かいことまで知らんぜ。大局的にやるよ」と話す声が聞こえた。あえて豪放さを装いながらも、首相の表情からは正常化交渉に命を懸ける気構えが感じられた。

 日中の国交正常化はすなわち台湾との断交を意味し、出発前には国内で不穏なテロ情報も流れた。中国内には戦争の記憶が生々しく残り、過激な行動も考えられた。田中首相は「いつ刺されても恥ずかしくないように」と新調の下着をつけ、大平外相は自宅に遺書を置いてきていた。

 日中間では粘り強い交渉が続き、一時は決裂するのではと危ぶまれたが、周恩来首相は
 「小異を残して大同につく(中国語表現)」
と最終判断。それだけに北京の人民大会堂で両首脳が共同声明に調印して力強く握手する光景を目の当たりにし、その記事を書くことができた感動は、今も忘れられない。
++++++ ここまで ++++++++++

故田中首相の功罪はありますが、政治家としての気構え・矜持・ポリシーは確かなものだと感じます。「細かいことは官僚に任せればいい。政治家は国(国民)のために体を張って決断する」ということでしょうか。

今の政治家、特に自民党!そして第二自民党と化した民主党。私には「政治家」の看板を背負った役人やサラリーマンに見えるんです。田中角栄さんが生きていたら、どのように尖閣諸島問題を捌いたでしょうか。

きっと雲の上から、あのダミ声で「まぁ、その~、チミねぇ」と今の緊迫した日中関係を憂いていることでしょう。そして、どの政治家・知事に「天罰」を与えてくれますやら。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
猫家五六助
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代表・総裁選挙戦のマスコミ報道

2012-09-26 20:29:03 | マスコミ報道
国民の代表によって構成される国会の勢力一位と二位の政党が、同時期に代表・総裁の任期満了を迎え、何れも選挙戦となった。

社会の公器などという抑制の効いた言葉は過去のもの、今は社会の尖兵なりとばかりのマスコミ界は、挙って提灯持ちよろしく、表やら裏やらと盛り上げに奮闘した。

だが待てよ、である。この両党の「選挙戦」、全く様相が違う(違った)。政権与党は再選を期す代表との「政策の違い」を鮮明にした。野党第一党は、現職総裁を出馬不能に追い込んだ挙句、候補者5人が同じ台本を手にして、同体振りを触れて回った。マスコミもその報道に総力を上げたに違いない。

しかし、ことは総裁・代表の選挙である。総裁・代表とは、一にも二にも、集うた同志をまとめて「力」を最高に発揮する為のまとめ役・引率役なのではないのか。競うのは、そのための力量・信望であり、ここまでは専ら内向きの事柄である。報道は、その結果とその結果を受けてのその集団の先行きを論じれば足る。

代表選挙で路線の違いを語るのであれば、先ずは「集団の内」において行動し、敗れればその外に身を置くべきものであろう。だから、代表選挙の場に臨むこともありえぬ。もってのほかのことと言うしかない。

そのような視点は、一毛ほどもないらしい。時を同じくして第三党の代表も無競争で重任したが、抱負の紹介もなくほんの数行の記事で終っている。

許せないのは、「皆様の~」を身上とする「本家・公共放送様」。民放なら「スポンサー企業の商品等々の日常からの追放」で、ささやかな「抗議」も可能だが、「本家様」にはそれも叶わぬ。「社会の公器」。郷愁と共にこの言葉も消え去って行くのだろうか。

「護憲+BBS」「マスコミ報道を批評する」より
百山
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野田首相の論功行賞、出ていけ人事

2012-09-26 20:14:43 | 民主党政権
野田首相の民主党人事は完全に首相に対する論功行賞人事に終った。最たるものは代表選に担がれながら辞退した細野大臣を政策調査会長に抜擢したことであろう。彼が出馬すれば野田首相も危ういと言われていただけに、これほど分かりやすい論功行賞人事はあるまい。安住、山の井氏の副幹事長、国対委員長人事もまたしかりである。

一方総裁選に出馬した他の3人は党人事では無視された形である。もっともこれは代表選挙戦での野田批判から見れば推して知るべしで、おそらく近日行われる内閣人事でも干されるであろう。そうなれば「党を出ていけ」人事同然である。

仮にそうだとしたら、どうやら野田首相には民主党のことより、次の衆議院選後に自民党が比較第一党になったとしても、自民党政権下で保守勢力が結集して政界再編した方がよいとの思惑がありそうである。今回の民主党代表選から任期は3年に延長されており、次の衆議院選に破れて野田首相は首相を降ろされたとしても、民主党代表は辞めないであろう。

その上で自民党を中心にした保守連立を組めば、旧社会党の議員はついていけなくなり離党に追い込まれる。こうして野田首相は日本の保守政治復活を夢見ているような気がしてならない。今日の自民党総裁選で安倍元首相が総裁にカムバックし、さらに衆議院選で大阪維新の会が躍進すれば、圧倒的な保守連立政権が形成されるだろう。戦前の大政翼賛会と同じ光景が目に浮かぶ。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年
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官僚の策謀

2012-09-26 15:15:34 | 民主主義・人権
猫家五六助さん紹介の佐藤優氏の記事、わたしの地方では東京新聞が購読できませんので、大変参考になります。

戦前、軍部の独走で戦争に突入した、というのが、戦後の通説ですが、そうとばかりは言えないと思います。佐藤氏も指摘しているように、軍人は複雑なたくらみは苦手です。当然ながら、戦争に突入するためには、かなり複雑な仕掛けが必要になります。そのための知恵の多くは、官僚が考えていた節があります。

たとえば、満州事変を計画したのは、たしかに石原莞爾、板垣征四郎などの軍人でしたが、満鉄もかなりの協力をしています。同時に革新官僚と呼ばれた官僚たちの協力もあったとされています。「満蒙は日本の生命線」と喧伝された時代、これだけの宣伝工作(国民洗脳)は国家挙げてのものだったはずです。それを計画立案実施したのは官僚です。これには、国家危機をあおり、国民を戦争方向に誘導、国内矛盾を覆い隠すという国家意思が働いています。(※この当時、東北農村では娘の身売りが多く行われ、労働争議は頻発、国民は塗炭の苦しみにあえいでいました)この状況から一気に解放される魔法の杖として【満蒙は日本の生命線】という言葉が喧伝されたのです。

現在の日本の状況も似たようなものです。国民生活の窮乏化はかなり深刻な状況になっています。高度成長期以降、絶えて聞くことのなかった餓死のニュースが何度も聞かれ、「弱いものが弱いものを食う」という人間社会の業のようなニュースも聞かれます。この状況こそ【ファシズム】の温床なのです。

自民党党首選の各候補者の演説、まるで極右の演説を聞いているようです。そう思っていたら、今日自民党が【徴兵制復活】の計画をしているというニュースが流れていました。

これがこの三年間の民主党攻撃の狙いだったのです。政界・官界・経済界・メディアなどの既得権益層の総力を挙げての攻撃に屈した民主党が菅・野田内閣で既得権益層と手を結び、消費税増税に踏み切ったのです。海外メディアから【日本の右傾化】と警戒の目を向けられ始めたのが現在の日本の政治状況です。橋下維新もその補完勢力に他なりません。

わたしは小沢一郎攻撃が始まった時から、今回の事態を深く憂慮していました。小沢一郎個人の好き嫌いでなく、法治国家の原則をないがしろにする検察など法務官僚の法意識それ自体がファシズムそのものだと考えていたからです。また、震災復興に名を借りた財務官僚の暴走も目に余ります。震災復興の金を他の事に使用するなどという【火事場泥棒】的やり方も明らかになっています。同時に、社会の木鐸であるべきメディアが、完全なプロパガンダ機関と化してしまったのもファシズムそのものの象徴です。

ここにも佐藤の言う【官僚の暴走】が国を危うくする現状があります。法務官僚の暴走(法の恣意的解釈・証拠捏造など)は司法の信頼を根底から崩しました。郷原信郎氏が【検察崩壊】の本を上梓するのも無理はありません。

こういう時ほど民主主義の原点に返り、憲法の精神を見直さなければなりません。戦後曲がりなりにも日本国民の思想の原点になってきた【憲法】の重要性が今ほど増している時代はないと思います。

「護憲+BBS」「 新聞記事などの紹介」より
流水
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「三たびの海峡」

2012-09-26 10:01:35 | 戦争・平和
「サラの鍵」について、自国の恥部に向きあおうとする姿勢こそ、誇り・・・と書きながら、半年ほど前に読んだ「三たびの海峡」を思い出しました。日本にも、きちんと向き合おうとする人がいたのでした。

戦前、朝鮮から17歳で強制連行され、九州の炭鉱で奴隷のように働かされた主人公が戦争が終わって韓国に帰り、それから数十年後、あるきっかけで三たび海峡を渡り、若い頃苦渋を舐めた地を訪れます。

小説はその年月を交互に描きます。強制的に連れてこられる場面、炭鉱での場面、息をのむようなシーンが次々に出てきて、ぐいぐいと引き込まれました。そしてこれは在日韓国人の方が書いたのだろうか、まさか日本人がここまで書くことができるのだろうか、と思いつつ読み進めました。

帚木蓬生という福岡に住む日本のお医者さんが約20年前に書かれたものとわかったのは、読んでいる途中。正直言って驚きました。1995年に映画化もされたそうなのですが、知りませんでした。三國連太郎さん、南野陽子さんたちが出演されているそうです。

西日本新聞の「九州の百冊」というページの中の一部を紹介させて頂きます。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/book/kyushu100/2007/09/post_88.shtml

・・・ここから・・・

執筆の動機は北九州市内の病院に勤務中、在日の患者に多く出会ったことという。
「一番腹が立ったのは」。終始淡々とした口調を崩さなかった帚木さんが、ふと語気を強めた。「教育に対してです。曲がりなりにも文・理の教育を受けてきたのに、私は何一つ知らなかった」。
時根(小説の主人公)は語る。
〈自分の都合のよいように、粉飾したり改変を加えた歴史からは、束の間のつじつま合わせしか生まれて来ない。たとえそれがいかに心地よいものであっても、長続きはせず、いつかしっぺ返しが訪れるのだ。私は日本にそういう道を歩んでもらいたくはない〉
「誰かが時代のなかで書いておかなければならないことがある」と語る帚木さんはこれを「土壌を作る」と表現する。

・・・ここまで・・・

朝鮮・韓国の人々をどのようにして連れてきて働かせたのかを知らない若い人の中には「お金を稼ぐために自らやってきた」と思っている人も多いとか。

知識としては知っているであろう私たち世代の人間も、その知識を血の通ったものにするために、フィクションと切り捨てずに一読することを心から薦めたいと思います。せっかく作ってくれた土壌を荒れ地にしないためにも。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
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たくらみ?

2012-09-26 09:55:24 | 安全・外交
流水さんの今週のコラムに関連して。元より、今回の尖閣諸島問題は石原都知事の立場をわきまえぬ自己中心的プレイが発端だと思います。それがここまで緊迫した情勢になり、野田総理・前原会長・石原都知事が引いてしまった・・・とは、シャレにもなりませんね。

しかし、もっとコワイシナリオを想定している知識人がいます。東京新聞「本音のコラム」に元外務省主任分析官・佐藤優氏(鈴木宗男さん事件で有名)が執筆しています。

++++++ ここから +++++++++++++++
「たくらみ」

 明確な証拠をつかんでいるわけではないが、一部の外務官僚がよからぬことをたくらんでいるのではないか、という気がしてならない。
 このままの状況が続けば尖閣諸島で日中間の武力衝突が発生する。領土は国家の礎だ。憲法9条で戦力の不保持と交戦権の否認が定められていても、国家は生き残るための本能を持つ。
 尖閣諸島周辺に中国の軍艦が出動すれば、日本はそれを力で排除する。彼我の力関係を冷静に考えた場合、米軍が出動しなくても「尖閣沖大海戦」では日本が勝利する。
 そうなれば「日本の領土を守れ」というスローガンで、オスプレイの沖縄配備、米海兵隊普天間飛行場の辺野古移設の強行に加え、普天間基地の閉鎖延期、さらに先島への自衛隊配備が迅速に行われる。防衛官僚は、手の込んだ謀略は苦手だ。
 他方、自らが戦場に赴くことがなく、安全地帯である外務本省にいる一部の勇ましい外務官僚は、旧陸軍参謀のように沖縄の地図を見ながら、この人たちが信じるところの国益を実現するために尖閣諸島をめぐる武力衝突を望んでいるのではないか。
 だから外務官僚は中国と武力衝突を阻止するための協議を行わないのだ。仮によからぬたくらみが実現した場合、沖縄の日本からの分離機運が確実に強まり、日本国家は分裂の危機にひんする。
+++++++++ ここまで ++++++++++++

同氏が作家を名乗っている以上、多少のデフォルメや妄想があるかもしれませんが、そういった体質・気質は戦後日本の官僚に脈々と引き継がれている感じもします。

なによりコワイのは、政治家・官僚の思惑が各々の思いもしない悪い方向へ進み、満州事変→太平洋戦争の悪夢が再現されること。野田総理以下、民主党・自民党の無能な政治家を見ていると「シビリアン・コントロールがあるから大丈夫」などと能天気なことは思っていられません。

だから、今の憲法は絶対に変えてはいけないと思うのです。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
猫家五六助
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「サラの鍵」

2012-09-25 16:29:39 | 戦争・平和
サラの鍵という映画を見ました。昨年公開されたばかりのフランス映画です。

この映画を見るまで私は、ホロコーストはドイツがやったこと、フランスはそれと戦っていた国と思っていました。しかし、この映画はフランスの恥部とも言うべき事実を明らかにしています。

1942年7月16日の朝、パリに住むユダヤ人の一斉検挙が行われました。その数13000人。ほとんどが冬季屋内競輪場に収容されたそうです。水も食べ物もトイレも十分でないところに数日閉じ込められ、それから各地の収容所やアウシュヴィッツに送られたそうです。その競輪場の名前をとって「ヴェル・ディヴ」事件と呼ばれています。

映画はそのパリの朝、10歳の少女サラが警察が来たことを知って、弟を納戸に入れて鍵をかけ、すぐに戻るからと両親と共に連行されるところから始まります。70年後偶然その部屋に住むことになった女性ジャーナリストが、「ヴェル・ディヴ」事件を取材しているうちにその部屋の少女のことを知り、調査を進める・・・という形で、70年の時を行ったり来たりしながら進みます。

印象に残ったのは、フランスでもやはり若い人は戦争中に自国が行ったことを知らないと言うことでした。一緒に雑誌を作っている若いスタッフが「ドイツがやったこと」と思いこんでいるのに対し、主人公が「フランスの国家と警察がやったのだ」と説明すると、ハッと息を飲む、という場面がありました。

思わず今の日本を思い浮かべてしまいました。(この監督はフランスの「右翼」から「自虐」とか言われていないのかな、なんて心配したり。)

映画の中にも出てきますが、1995年にシラク大統領が初めてホロコーストにおけるフランス国家の責任を認め、フランス人には「時効の無い負債」があると、この競輪場の跡地で演説したそうです。若いスタッフがそのことも知らなかったのですが。

映画はとても見応えがありました。重いけれど、これを避けては未来は無い、自国の恥部となるような事実でもきちんと向き合っていこうという確かな意思を感じて、心から見て良かったと思える映画でした。それでこそ自国を誇りに思えるだろう・・・と。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
コナシ
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世界の趨勢に置いていかれる日本

2012-09-24 17:47:27 | 政治
尖閣問題に明け暮れる昨今、民主党・自民党総裁選、維新の会のどたばた騒ぎ以外に内政の重要な問題が報道されない。

どさくさに紛れて民主党野田政権は、原子力規制委員会人事は野田首相が勝手に決める。問題が多い人権災害救済法案を可決する。【革新的エネルギー・環境戦略】と大仰なお題目を唱えて【原発ゼロ】政策に舵を切ったかのように見せかけて結局閣議決定をしない。オスプレイの試験飛行を認める。

七十円台に張り付いたままの円高、長期化するデフレ、悪化する雇用、置き去りにされている被災地。何から何までどうにもならない。

山積する諸問題に頬かむりを決め込んで権力闘争にうつつを抜かす。一体全体この国の政治家は何なのか。これらの諸問題の本質を報道しないメディアは一体何なのか。国民の絶望は深い。

【日米関係は日中関係】という外交用語がある。日米、日中関係は、二国間関係に終わらず、米中関係を含めた日米中の三国関係になる、という意味だ。

今回の竹島・尖閣列島をめぐる中国・韓国との領土問題も同様。中国・韓国との二国間関係では解決ができない。結局、米国の助けを借りないと何もできない日本の立場を露呈しただけである。

いくら、実効支配を叫んでも、領土問題は存在しないと叫んでも国際社会では通用しない。特に、尖閣問題を契機に中国と敵対関係に入れ、と声高に主張していた右派連中は、本当に中国と戦争前夜の情況に入ったとたん、石原慎太郎都知事のようにほとんど声を上げなくなった。

よくよく考えてみれば、石原都知事が尖閣を東京都が買い上げると発表したのは、米国ヘリテ―ジ財団を訪問した時だ。その前に、前原民主党政調会長が、同じく米国で、尖閣問題はあいまいにしないとぶち上げている。さらに香港の活動家が尖閣上陸をしたが、彼らの本拠は、米国にある。

これらの一連の出来事を並べると、今回の尖閣問題は、表面的には中国と日本の対立のように見えるが、その背景は、米国産軍複合体の思惑も絡んだ非常に複雑なものがある。

日本と中国との関係について、米国には二つの考え方がある。一つは、中国を重視し、中国と友好関係を深めるという考え方。これはクリントン国務大臣が代表する米国民主党の考え方。もう一つは、日本との関係を重視し、中国の台頭を封じ込めようとする共和党の考え方。今回の尖閣問題は、中国封じ込めを重視する共和党の考え方に近い。

ところが、パネッタ長官が中国訪問前に日本に立ち寄り、【尖閣列島は、日米安全保障条約の適用内だが、領土問題については中立だ】と語った。パネッタ発言の文脈をよく読むと、右派連中がよく言う、【米国は日本を守る】という言葉が、如何に空しいかが分かる。

法律的に言うと、米国の参戦は、議会の承認が必要で、たとえ、米国政府が参戦を決意しても、議会の同意がないとできない。右派連中は、その事に触れたがらないが、厳然たる事実だ。

パネッタ長官が中国訪問の真意を18日付「星条旗新聞=Stars and Stripes」は、「我々の目標は、米国と中国が世界で最も重要な2国間関係を確立する事であり、その上でも緊密な軍事関係が鍵となる」と中国の梁光烈(りょう・こうれつ)国防部長に述べた、と報じている。このような米中関係を【チャイメリカ】と呼ぶ。

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「チャイメリカ」は、文字通りの世界第一・第二の大国間関係で、世界史的な広がりと意味を持つ。金融的相互依存に留まらず、外交・軍事から政治・経済・文化のあらゆる分野で競合しつつ協調する。

『防衛白書』などから未だに日米同盟がアジアの中心で中国と対抗していると信じている読者は、著者が詳しく紹介・分析する米中戦略・経済対話で、アメリカの世界戦略・アジア戦略が大きく変化し、米国国防総省報告が中国の軍事力を「国際公共財」と評するまでになっていることに驚くだろう。

尖閣列島問題で頼みの米国が「日本固有の領土」と認めてくれない背景も、本書のいう「米中協調体制が世界を決める」から理解できる。著者矢吹は、こうした点からも日米安保が「賞味期限はとっくに切れて、今は害しかない」と断言する。若者によく読まれる孫崎享の日米関係論と共に、外務省にとっては、耳が痛い話だろう。
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加藤哲郎(ジャパメリカからチャイメリカへ)

矢吹晋の著書『チャイメリカ』を引用しながら、加藤が日本の現在の世界の政治状況を解説している。

特に米国国防省が中国の軍事力を【国際公共財】と認めている事に注目しなければならない。当然ながら、その裏には米国の軍事力も【国際公共財】だという認識がある。世界のGDPの第一、第二の覇権国家がお互いの軍事力を【国際公共財】として認め合う関係をどう見るか。

素直に読めば、中国と米国で世界をリードしようという意志の表れだろう。この関係を世界の国々や人々にとって良いことだと見るか、それとも最悪の関係だと見るか。これは立場によって異なるだろう。ここでは、冷徹な力の論理が貫徹する国際社会の現実を直視しなければならない。

このように考えれば、野田政権の【尖閣国有化】は、あまりにも拙速、一歩間違えれば、戦争の危機を招きかねない暴挙だと言える。しかも、頼みの綱の米国の立ち位置の変化を考慮に入れない愚策だと思う。結局、一番得をするのは米国。日中双方に良い顔をしながら、何一つ失わない。こんなおいしい話はない。

現にパネツタ長官の中国訪問、習近平次期国家主席との会談後、反日デモは鎮静化した。冷静に見ると、日本は大きな借りを米国に作った事になる。

早速その見返りが行われた。一つは、原発ゼロ政策の閣議決定見送り。他の一つは、オスプレイ試験飛行の強行。世界情勢に暗い首相の政治判断が、日本の国益を大きく損ねたのである。

当然ながら、野田政権をここまで追い込んだ石原慎太郎都知事・前原政調会長などの発言・行動も徹底的に批判されなければならない。

私見だが、中国進出の日本企業は、今回の暴動による被害賠償を日本政府および東京都と石原慎太郎個人に請求すべきだろう。彼らの発言・行動によって何十億という被害をこれらの企業は被っている。彼らの火遊びの責任を取らすべきであり、そうしなければまたぞろ同じ過ちをすることは間違いない。

米国は常に大きな戦略(世界戦略)に基づいて行動する。中国も同様で、偶発的に起きる個々の出来事・問題・事件にはきわめて柔軟に対処するが、決してこの【大きな戦略】の枠組みから外れるような事はしない。

米国にとっては、今回の尖閣の問題は、米中関係を深化するためにきわめて重要な出来事だった。日本には、「尖閣は日米安保の適用範囲」とリップサービスを行う一方、「領土問題は中立」と言う。1972年の沖縄返還以前は、米国は沖縄を統治していた。その時は明確に尖閣は沖縄県のものと認知していたにも関わらずである。

このような米国外交の強かな二面性を認識していたら、尖閣国有化などというきわめてセンシティヴな問題を拙速に行えるわけがない。生き馬の目を抜くような国際社会の荒波の中で余りにも無策な外交を繰り広げているとしか言いようがない。

こんな野田首相をまたぞろ代表に選んだ民主党の連中には呆れてものも言えない。鶴田浩二の歌ではないが、「何から何まで真っ暗闇じゃございませんか」と言わざるを得ない情況である。

「護憲+コラム」より
流水
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