老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

ジェンダー、セクシャリティ問題・西東

2013-05-30 01:22:05 | 社会問題
オスカー・ワイルド(個人的には『サロメ』が印象に残ってます)もE.M.フォースター(A Passage to IndiaもそうですがHowards Endもヴィクトリア朝の言説編成の中で読むと非常に面白い)も、イギリスを代表する作家ですね。二人ともウルフと並び、忘れられない作家です。こうした優れた芸術家たちを同性愛者であることだけで差別することは、後世に伝えるべき財産を失うことになります。力を秘めた人々を生かすことなく差別、抑圧して社会を自ら衰退させている様子は、本当に見るに堪えません…

パリでの同性婚に反対するデモ、今も続いているのですね…
デモに参加する人たちはどのような理由で反対しているのでしょうか。
ちょうど二週間前、フランス人のフェミニズム研究者と話をしました。彼女は「フランスは世界で14番目に同性婚を認めた。この点に関しては世界で遅れをとっているので、今回の法成立を機に同性愛者の問題に目を向けるべき」と話していました。

それにしても、フランスって面白い国ですね。
同性婚は長らく認めなかったけど、PACSは1999年にいち早く導入し、男女参画の問題でもパリテ(クオーター制)を2008年に取り入れ、日本の大臣たちの写真よりも、女性の多さがともかく目立ちます。社会的マイノリティとされている人たちに寛容でマイノリティでなくなるような制度がある一方で、同性婚を法律で認めるまでにはこれだけの時間がかかった。あるところでは厳格でありながら、あるところでは寛容で、両極端なところがフランスらしさなのかなあとも思ったり。

ちなみにその研究者は、橋下氏の「従軍慰安婦」に関する一連の発言についても「公人としてあり得ない」「人権意識が欠落している」と呆れた様子でした。政治家がそんな調子だから男女共同参画に関係の施策がどれも取るに足らないような、フランスと比べてがっかりしてしまうお粗末なものしかなくなってしまうのだと強く主張していました。

「日本の公共サービスや思いやりの心、おもてなしは素晴らしいのに、女性に対する扱いや法律で一つもいいと思ったことはない」とのこと。女性手帳についても、「女性だけに子どもを産み育てる役割を押し付けるものであり得ない」と話していました。

世界中でジェンダーやセクシャリティが原因で差別されなくなる日が来るのだろうか。そんな未来を作りたいけど、そこまでの道のりはいったいどれだけ険しいのだろうか。

「護憲+BBS」「どんぺりを飲みながら」より
見習い期間
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レスリングはオリンピックに残れるか

2013-05-30 01:03:21 | 社会問題
いよいよ今晩か明日早朝にどのスポーツがオリンピックに残されるか決定されるようである。確率は八分の一らしい。

去る2月13日に「何があったのか、レスリングはずし」と題して、レスリングのオリンピックからの除外は、日本、トルコ、スペインのオリンピックの招致活動と不可分ではないという投稿をした。

この3カ国でレスリングをお家芸にしているのは日本とトルコであるが、トルコはレスリングが国技でありながら、除外されたときに日本のように騒がずに、トルコレスリング協会は静観していた。これも下手に騒いでEU出身のオリンピック委員に悪印象を与えてはいけないとの配慮があったからと想像される。

あれから約4ヶ月半経過したが、水面下でどのように進んでいるのであろうか。フィクサーはIOC委員でもある前IOC会長の長男サマランチ・ジュニア(スペイン)であろう。想像されるシナリオは、レスリング王国の日本とトルコの顔を立て、レスリングをオリンピックに残して、オリンピック開催地決定の投票ではスペインへという内容である。日本にとってレスリング残留とオリンピック開催の両者共に願ったり叶ったりとは成らないのではなかろうか。

そう考えれば、レスリングが突然オリンピックゲームから除外された時にこのようなシナリオが考えられていたということもあり得ない話ではない。スペイン決定への表向きの理由は、トルコはクルド人テロの危険性がある、東京は福島原発事故が完全に収束していない、さらに先の猪瀬東京都知事のニューヨークでの失言等いくらでもある。レスリング関係者にとっては「果報は寝て待て」ということではないだろうか。

「護憲+BBS」「芸能・スポーツ界の運営方法をウォッチング」より
厚顔の美少年
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少々ヤケです

2013-05-28 23:28:01 | 社会問題
最近、地域の九条の会のために六枚ばかりの原稿を書いたらすっかり疲れて、我ながらびっくりしている。四十代に四百字の原稿用紙に八十枚一気に書いたことを思い出して、自分が八十四歳の超老人であることをつくづく思い知らされている。そんな状態で書くコラムだから、言うことも少しおかしいかもしれない。

最近、安倍の妙な経済政策が一見うまくいっているみたいで、ジャーナリズムも本来の役割を放棄してヤケにおとなしいのは困ったことだ。こんな状態がそのまま参院選まで続くと、また自民党が大勝して憲法改悪に突き進みそうで、その時、流れに弱い日本国民がどんな反応をするか空恐ろしい気がする。

それに反して今まで妙に人気のあった橋下の「維新」という変な会は、彼の間抜けな慰安婦発言で、あまり票を稼げそうもないのはいいことかもしれない。

とにかく、不思議なことは、日本の戦後のある時期からの右翼といわれる連中が、日本を植民地にしているアメリカに対して、絶対に反米を主張しないことである。これは、鳩山にしろ安倍にしろ、日本国内でアメリカさんの気にいらなそうなことを云っても、アメリカに行ってちょっと叱られるとすぐ変わってしまうのとそっくりである。

だからこれから右翼を気取る連中は、もっとはっきり反米を主張して中国やロシアと仲良くして、世界中のいわゆる反米の国々とも仲良くしようといって頑張ってみたらどうだろう。もちろんジャーナリズムははじめはそんな運動に批判的だろうし、国民も大体反対だろうから、この運動を頑張るのは命がけだろうけれど、ちゃんとした右翼なら、もともと命がけのはずだから、やってみたら案外、最終的には国民の支持をえられるかもしれない。

私自身はいくつになっても命がけは嫌いだから、こんな運動に乗るつもりはないが、こういう形で命を落とすのが、右翼本来の生き方であろう。そして死体はウジに食われて、大和魂だけは空中に残って赤とんぼと一緒に空で遊んでいればいい。

「護憲+コラム」より
鈴木建三
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橋下大阪市長の発言に関連して(2)

2013-05-27 05:32:30 | 社会問題
橋下大阪市長の沖縄米軍幹部への「風俗営業の活用」進言の問題であるが、27日に外国人記者クラブでその発言を撤回し、米軍と米国民へ謝罪すると報じられている。しかし公党(日本維新の会)の共同代表として、大阪市の教育行政の最高責任者(大阪市長)として、また橋下氏は弁護士ゆえ弁護士法第一条や風俗営業法や売春防止法に照らしても、その発言は大いに問題があり、米国へ撤回、謝罪しても、公人として発言の責任をとったことにはなるまい。

弁護士法第1条(弁護士の使命) 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
http://www.houko.com/00/01/S24/205.HTM#s1

橋下市長は記者会見で、「風俗営業の活用」を沖縄米軍幹部に進言したら、その幹部は凍りついていたと述べていたが、米軍幹部も上記のような肩書きを持つ公人から、「買春行為」(売春防止法違反)と言えるような発言が出るとは、「非常識すぎて」一瞬耳を疑ったのでないかと思われる。非礼きわまる言動であり、日本人としてもこのような公人が居るとは恥ずかしい限りである。

そこで橋下市長の言った風俗営業とは何かを考えてみたい。風俗営業が規定されているのは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、いわゆる風俗営業法である。「風俗営業」の内容にについては第二条以下で規定されている。個室の浴場で何がいけないのか想像はできるが、「風俗営業法」では具体的に規定されていない。

風俗営業法 第一章 総則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO122.html

第一条  この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。

第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。

第二条八項

5 この法律において「性風俗関連特殊営業」とは、店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業をいう。

6 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。

一  浴場業(公衆浴場法 (昭和二十三年法律第百三十九号)第一条第一項 に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業

二 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)

また橋下市長がどのような風俗営業をイメージして言ったのか、捉え方は様々であろうが、記者会見での「風俗営業の活用」の文脈から見れば、日本では個室浴場(俗称ソープランド)で売春行為が行われていますよと教唆しているようにもとれ、これが大方の見方であろう。

しかし日本には次のような売春防止法という法律があり、売春行為は禁止されている。公党の共同代表であり、市長であり、弁護士でもある公人が他人へ推奨、教唆できる場所でないことは明らかである。あわや同法第五条(売春勧誘)、第六条(売春周旋)の行為に抵触しかねない言動といわれてもやむを得ないであろう。

売春防止法 第一章 総則
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxrefer.cgi?H_FILE=%8f%ba%8e%4f%88%ea%96%40%88%ea%88%ea%94%aa&REF_NAME=%94%84%8f%74%96%68%8e%7e%96%40&ANCHOR_F=&ANCHOR_T=

(目的)
第一条  この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることによつて、売春の防止を図ることを目的とする。

(定義)
第二条  この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。

(売春の禁止)
第三条  何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。

ソープランドのイメージ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔の美少年
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橋下大阪市長の発言に関連して

2013-05-26 15:08:29 | 安全・外交
周知のように、橋下発言の問題点は「従軍慰安婦是認発言」と沖縄米軍幹部への「風俗営業の活用発言」である。当初は橋下擁護論もあったが、最近は議論も出尽くし、メディアや世論も橋下批判が大勢のようだが、当然であろう。

ところでメディアも連日橋下発言を大きくとり上げながら、「従軍慰安婦」がどうして生まれたか、その再発防止はどう在るべきかについて言及がないのは残念である。仮にこのようなことは二度と起きないと思っているのであれば、それは甘い。男性の性の本能は人類滅亡まで存在することを前提に、再び戦前の国家体制に変われば再発の可能性は否定できないと思うからである。

従軍慰安婦の成り立ちと再発防止策は表裏一体であって、当時、国家が日本国民が生きるために平和より侵略戦争を推進したこと、基本的人権と民主主義が憲法に規定されていなかったことに尽きるのではなかろうか。歴史に「たられば」は通用しないが、少なくとも立憲主義に基づく現行憲法下であれば起こり得なかったであろう。

そのような意味でも、現行憲法改正のための96条の先行改正(硬性憲法の軟性憲法化)は絶対に許されない。最近橋下市長も批判を受け入れ、当初の発言を従軍慰安婦問題を肯定しているわけではない、侵略戦争はあったと釈明しているようであるが、それであればそのようなことが二度と起きないように、現行憲法の平和主義、基本的人権、国民主権を堅持することを明言したうえで、持論の憲法96条改正も修正すべきではないだろうか。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔の美少年
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人類の自己破壊-遺伝子組み換え作物と原発

2013-05-23 19:44:05 | TPP
「世界が食べられなくなる日」というドキュメンタリーを見た(6月8日から上映)。
http://www.uplink.co.jp/sekatabe/

お豆腐や納豆を買うと「遺伝子組み換え大豆ではない」と書かれている。この遺伝子組み換え作物と、原発の問題を扱う。根は一緒だからと。

大豆の生産量はアメリカとブラジルが世界のおよそ70%を占め、輸出量もこの2国で75~80%を占める。そして、この2国の作る大豆の80~90%は遺伝子組み換え大豆。トウモロコシも産地アメリカでは、殆どが遺伝子組み換え。日本でもコーン油や菓子類にコーンシュガーとして消費されることが多い。

遺伝子組み換え作物の種子は、アメリカの巨大企業モンサント社が発売している。そしてそれは枯葉剤とよく似た農薬ラウンドアップとセットで、世界中の農家に売り込まれている。モンサント社は、遺伝子組み換えのコーンを3か月ラットに食べさせる実験を行って、安全性を証明したとしている。しかし、ラットの3か月は人間では約10年にしかならない。

この作品で紹介されている実験は、200匹のラットを、①遺伝子組み換えコーン、②ラウンドアップと遺伝子組み換えコーン、③ラウンドアップを混ぜた水、対照群として④遺伝子組み換えでないコーンとラウンドアップの入っていない水を与える4グループに分けた。それをまた①~③群の量や濃度を3段階にし(例えばラウンドアップは水道水、河川、農薬散布濃度)、オス・メス20グループに分けて、ラットの平均寿命の2年以上、飼育した結果を伝えている。

4か月で死亡例が出、13か月でメスの10~30%に乳がんが増加、オスに腎臓疾患が増加。腫瘍が肥大化し始める。15か月では複数の腫瘍が発生し、乳腺に鳩の卵サイズの大きな腫瘍。21か月ではオスの腫瘍の数が3~4倍になり、メスの80%に乳腺腫瘍が発生している。その無惨な映像にギョッとさせられる。

この遺伝子組み換え作物や農薬を、モンサント社は世界各国に「安全・高収穫」として売り込んでいる。TPPに加盟した日本にも、これらの食糧が、雪崩れ込んでくることだろう。

映画の制作者は、遺伝子組み換え作物が原発と同じ構造だと言う。それは、「破局的な結果を生む、取り返しのつかないテクノロジー」で、「一度汚染されたら元に戻らない」。そして「世界中にすでに存在している」と。広島から始まった放射能被害は、チェルノブイリや福島第一以外にも、原発はじめ核施設周辺で、目には見えない形で周りを静かに汚染し続けている。

年月が経って、がんなどを発症しても個人では、その原因が遺伝子組み換え作物や放射能にあることを証明するのは困難だろう。私たちは、人類の「自己破壊」の真っただ中にいることを、真摯に自覚しなければならない。

*いま各地で自主上映中の「モンサントの不自然な食べもの」と合わせて観ると良く分かります。
http://www.uplink.co.jp/monsanto/

「護憲+コラム」より
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続・憲法の骨格改変は「革命」・・

2013-05-20 22:53:25 | 憲法
百山さんの書き込み:憲法論には全く同感です。というよりも抜きん出ていると思われ、教えられるところが多かった。

現憲法の改正は改悪になるのであれば「革命」であるという意見はまったくその通りです。自民党などや一部マスコミは日本国憲法を馬鹿にしている連中であり、「憲法尊重擁護義務」を遵守しょうとしない意味で政府高官に相応しくないと思われます。

「護憲+BBS」「憲法を考える」より
名無しの探偵
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私も最近憲法改正論議の中で「革命」と言う表現に出くわし、新鮮さを感じていましたが、それは百山さんの投稿より早く、5月3日の朝日新聞朝刊13面、「オピニオン」に寄稿されている憲法学者石川健治氏(東大教授)の論文でした。その見出しは朝日新聞が付けたのか、『96条改正という「革命」』という表題になっていますが、寄稿者は論文の最後で、『立憲国家としての日本の根幹に対する反逆であり「革命」にほかならない。』と書いておられ、その「革命」表現に新鮮さを感じておりました。

「護憲+BBS」「憲法を考える」より
厚顔の美少年
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安倍コベ一派のやろうとしていることは、『反革命』だと思っています。フランス革命、イギリス革命、アメリカの独立等から溢れ出た、王や貴族らの専横から解放し、市民の自由・権利を宣言した「市民革命」の本来からすれば、今やろうとしていることは、天皇元首であれ、国民主権を形骸化、乃至大幅に削ぐものであり、日本国憲法の宣言する人権、市民の権利・自由を制限しようとするものだからです。言語道断です。実権は我が手に、ですか!?彼らの狙いは。

米政府や周辺諸国政府が、歴史問題や従軍慰安婦問題を取り上げ、安倍コベ氏の足を引っ張ろうとしていますが、不自然なことではないと思います。自由主義、民主主義の価値を共有しようとしないから、です。

「護憲+BBS」「憲法を考える」より
蔵龍隠士
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飯島参与の単独北朝鮮訪問に思う

2013-05-18 13:28:47 | 北朝鮮問題
安倍内閣の飯島参与が単独で北朝鮮を訪問し、幹部と会談する姿が北朝鮮側から一部報道されたが、会談終了後も双方からその詳細は発表されず不明である。

北朝鮮から何らかの条件提示のもと、拉致被害者の帰国が示されたことは容易に想像できる。北朝鮮からの提示は日朝国交回復と植民地時代の賠償問題(金銭))であろう。仮にそうだとすれば、安倍首相は拉致問題は安倍政権で必ず解決すると豪語してきており、最終、日朝二国間交渉に持ち込んででも解決すべきであろう。

しかしこれまで歴代の内閣と首相はこの問題解決を米国頼みにしてきた経緯もあり、米国の頭越しには決断できないであろう。ならばどうするか、朝鮮戦争は現在休戦協定中であるが、それを当事国で講話平和条約を結ぶことを米国に進言し、同時並行で日朝間の拉致問題と賠償問題及び北朝鮮の核廃絶を解決するよう、オバマ大統領に進言すべきである。

しかし一方でブッシュ大統領時代に拉致被害者の横田さきえさんとご子息がホワイトハウスに招かれた際、大統領に拉致被害者の救済を直訴したが、結局ブッシュ政権は解決できなかったことを忘れてはならない。オバマ大統領もブッシュ大統領も同じではないかと思われる。また米政府も容易に受け入れられないであろう。仮にそうなった場合には拉致問題と賠償問題は日朝間の独自懸案問題として、二国間で解決すべきであろう。

なぜなら米国には中東の緊張関係と朝鮮半島の緊張関係は国益と思う団体やロビイストがあり、この壁は厚く、大統領や政府に対して影響力をもっているからである。いわゆる産軍複合体の存在である。共和党の大統領は軍需産業の経営者から支持され、民主党の大統領はその労働者や労働組合から支持を受け、軍産も労使も一体でメリットを享受している構図である。これは日本の政官業の利権関係と同じである。

北朝鮮が休戦協定から講和条約の締結を米国に発信しているにも関わらず、時の大統領と国務省がそれを無視している背景はそのような事情からであろう。産軍複合体の支持を失ってはねじれ国会では政権運営もまま成らず、次期大統領選にもその党は不利になることは明らかであるからであろう。

日本の外務省もそのことは百も承知でありながら、日朝二国間交渉に踏み出すべきことを時の政府に進言せず、拉致問題を米国頼みにすることを政府に踏襲させていることは、拉致被害者への不作為であり、不誠実といえる。そのことは時の外務大臣も総理大臣も承知しているはずであるが、拉致被害者に空手形を発し続けている厚顔さはもう改めて欲しい。

外務省にとって今回の飯島参与の訪朝は頭越しで不愉快であろうが、米国務省の顔色を伺うのではなく、拉致された人と被害者家族の心痛と高齢化に目を向けるべきである。そのような意味で安倍首相は今回の飯島参与が持ち帰った課題を米国にも開示して、最後は日朝二国間交渉で解決する覚悟を米国に示すべき時であろう。それができなければ拉致被害者に謝罪し、二度と安倍内閣で解決しますと約束しないことである。

「護憲+BBS」「政権ウォッチング」より
厚顔の美少年
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A君への手紙

2013-05-17 09:08:18 | 憲法
A君。

先日の私達の会の集まりの時、話の流れで「改憲」の話がでましたね。その時、貴方は「僕は今の憲法を拡大解釈して、実態と合わないものを積み上げて行くくらいなら、九条は改憲した方がいいと思う」と言っていましたね。

「自衛軍なら自衛軍をちゃんとつくって、その代わり憲法に明記していない事はいかなる事でも認めない-とした方がすっきりするんじゃないかなー」と、貴方はまるでスポーツのルールを決めるみたいにあっけらかんと話していましたね。

これが今時の若者の考えなのかなーと私は不思議なものを見るような思いで貴方をみていたのですよ。

「じゃぁさ、憲法九条が変わって、もし徴兵制が出来たら貴方はどうするの?」と聞いたら、「それは世論が許さないでしょう」と貴方は言っていたけれど、「へっ!? その世論が改憲大好き人間の石原慎太郎や橋下徹を行政の長に選んだんじゃないの?しかも石原慎太郎なんて最高得票で何年も東京都知事に治まっていたのだから、世論なんて風任せにしないで、ちゃんと自分の問題として考えなさいよ」と今なら言えるけれど、あの時は何だかその場の空気がバタバタしちゃって、話せる状況ではありませんでしたね。

元々この問題はあの時の会の趣旨とは直接関係のない話だったので、関係ないことにたとえ雑談でもあんまり関わりたくない、という人もいたやも知れず、やっぱり長くは話せない雰囲気でしたね。

でも、貴方はそんな「世論」なんて本当に信じているのですか?場合によっては世論が後押しするかも知れないじゃないですか。そんな「特権貴族」みたいなこといっているけれど、戦争が始まったら貴方は軍服に身を固め泥水の中を這いずり回らなければならなくなるかも知れないのですよ。

「いったい何時の時代の話だ?」という声が聞こえてきそうですが、「これからの戦争はハイテク戦だからボタンひとつで敵を攻撃する。高度な訓練を受けた専門家を必要としているのであって、そんな徴兵制なんかで無理矢理集められた若いのが何人いたって士気の低下になるだけで使い物ならない、だから徴兵制はあり得ない」と言う人がいますが、でも組織というのは「高度な訓練を受けた専門家」だけで成り立っている分けではなく、誰でもが出来る仕事に携わっている人達もいるはずです。

現に徴兵制を布いているお隣の韓国では、「徴兵」と言っても土木工事や公共事業的なものに徴用される若者も多いと聞きます。公共事業に「徴兵」という名で人材集められれば、国は人件費の大幅削減になるでしょう。

「それならば戦場に行かされる危険性はないじゃないか」って、安心しないでくださいよ。いよいよ、世界の紛争地帯で人が必要になったら、捨て駒として戦場に駆り出されるかもしれないし…「ハイテク機械使うのもったいないから、ここはいくらでも替わりが効く兵隊にやらせよう…」なんてね。

でも、そうなったら若者だけでなく、六十代のおじさん達も「リストラ部隊」なんて呼ばれて、「60歳でリストラにあっ貴方、年金が支給されるまで国防軍で働きませんか?お給料も出ますし、年金も1.5倍に増額され支給開始も早くなりますよ」なんてリクルートされるかも知れないし、これは志願制の話ですが、そうなると貴方がた若者だけの問題でなくなりますね。

それにね、韓国がそうだけれど、無理矢理徴兵されて来た人達で成り立っている組織だから、苛め、パワハラ、虐待も結構あるそうで、韓国の軍隊も身分制度が複雑で上官の命令には絶対に逆らえないそうですよ。

今回の自民党の「新憲法草案」では軍事裁判所みたいなのも出来るようだし、当然「徴兵のがれ」は罪に問われる事になりますね。韓国では(韓国の事例ばかりで申し訳ないのですが)徴兵逃れをするために指を切り落とす人とかもいて、国も指一本では正当な「徴兵逃れ」の理由にはならないと法律を厳しくしたようです。

そして、高学歴、大きな組織で重要な仕事についている人は徴兵の順番も遅くなったり、徴兵されても大変な仕事には就かされなくて、期間も短くて済むそうです。だから、韓国は日本とは比較にならないほどの受験競争が激しいのです。正に命がけの競争と言えるかも知れません。やはり、戦争になっても社会は決してフラットにはならず「希望は戦争」という分けにはいかないようです。

A君、徴兵が3年か2年かは分かりませんが、もし実施される日が来るとしたらその何年かを慣れない集団生活の中で24時間過ごすのは、たとえ戦場に行かされる事がなかったとしても、ひきこもりの貴方にはキツイのではないですか?

だからこそ、この問題を「自分の身に起きるかも知れない」事として考えてみましょうよ。「家の子もよその子も、戦争には出さん!」と言っている元気なおばちゃん達もいるし、「命を掛けて作った日本国憲法を替えて、若者達を戦場に送りたくはない」と考えている元気な高齢者もいるし、だからそこのところを皆で一度集まって話してみませんか?若い人も、おばちゃん達も、高齢者の方達も、憲法をどうしたいのか?一度自分達の問題として考えたり、話したり出来る場をつくりませんか?

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
パンドラ
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良識ある政治を求めて

2013-05-15 15:14:04 | 安倍内閣
第二次安倍内閣が誕生した昨年12月以来、マスコミは「2013年7月の参院選まではタカ派色を抑え経済政策に重点を置くようだ」と報じ、アベノミクスと称する政策が打ち出されるとそれを連日最大限に賞賛。折に触れ見え隠れする安倍総理の危うさには、あえて触れようとしてこなかった。

そんなマスコミの太鼓もち振りに自信を得たのか、安倍総理は、長嶋・松井両氏の国民栄誉賞授与式に背番号96のユニフォームを着て登場したり、インターネットサイトのイベントで軍服姿で陸上自衛隊の戦車に乗って手を振ったりのはしゃぎ振り。自らのタカ派振りを愛嬌の衣をまとって国民にアピールすることに余念がない。

それに加えて現在は、国内の原発再稼動推進と、トルコへの原発売り込みの「トップセールス」という厚顔ぶりまで身に着けた。

こうして、調子に乗りすぎたのか、ここに来て、河野談話・村山談話の見直しや靖国参拝に反発する中国・韓国に対して、「脅しに屈しない」と挑発的な発言で対応し、ついにアジア諸国だけでなく、アメリカやヨーロッパの友好国からも、批判・懸念の声が噴出し始めた。菅官房長官を始めとする総理周辺の閣僚らが、目下弁明に大童だが、安倍総理自身には客観的に見た己の姿が見えていないようだ。

岸信介の孫である安倍晋三氏の政治信条が「(東条内閣の閣僚として開戦詔勅にサインをし、指弾の対象となった)祖父の名誉を回復する」という私的センチメンタリズムから発していること、その帰結が「美しい日本/強い日本を取り戻す」と言うスローガンであり、戦前回帰の国家主義的国作りへの執着であるという本質は、前回の総理時代と全く変わっていない、ということだ。

安倍総理の歴史認識が諸外国の顰蹙を買っていることをマスコミもようやく報じ始めているが、彼の歴史観・国家観によって最も被害を蒙っているのは、言うまでもなく私たち国民自身だ。

国家を国民の上に位置づけて統合したがる安倍総理の志向性は、現憲法が保障する国民の「自由」「平等」「個人の尊重」「健康で文化的な生活を営む権利」を抑制し「公の秩序」を強調する「自民党憲法草案」に投影され、すでに色々な形で私たちに影響を及ぼし始めている。

4月28日の「主権回復の日」。式典では会場から起きた「天皇陛下万歳」に総理を始め閣僚が唱和したという。その一方で、5月15日の沖縄返還の日には、何の政府行事も予定されていない。沖縄の人達の「痛恨」「屈辱」の思いは置き去りにされたままだ。

福島原発事故の被害者や脱原発を願う人々の拠点「経産省前テントひろば」では、5月10日に明らかに仕組まれた挑発によって不当逮捕事件が発生した。

「マイナンバー法案」とか「女性手帳」など、国による個人への余計な介入を目論む法案が、いつの間にか法制化されようとしている。

こうした流れを受けて、社会は他を思いやる大らかさや良識が陰を潜めて、最近は排外主義者のヘイトスピーチや、橋下維新の会代表の「従軍慰安婦は必要だった」発言など、目を覆うような破廉恥で不穏当な言動が大手を振るっている。

政治家よ、東日本大震災の時に示された被災者の忍耐強さ、ボランティアに駆けつけた若者たちの優しさ、救助に汗を流した自衛隊や警察官や消防隊の人達の献身、こういう日本人のモラルの高さを、悪用しないでもらいたい。あなた方の下品な振る舞いによって、私たち国民の心を踏みにじり、日本という国を世界の笑いものに仕立てあげないでもらいたい。

私たちは一体いつまでこの政治の喧騒がもたらす苦痛に耐えていかなければならないのだろうか。良識ある政治家よ、出でよ!

「護憲+コラム」より
笹井明子
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