最近になって知りえたことだが、江戸時代の終りを告げる「薩長連合」という倒幕のきっかけとなった政治的な出来事がある。そしてこの薩長連合を仲介したのが土佐藩脱藩者の坂本竜馬であるというのが歴史的な定説となっている。
しかし、最近岩波から「坂本竜馬」(新書版)を上梓された松浦玲氏が、以前に書かれた本の中で、「坂本竜馬が脱藩者であり、倒幕の運動のために薩摩と長州の間を仲介する役目を担っていたという事実は疑わしい」という記述をしていたことで、竜馬の歴史的な立場は微妙であり、まして薩長連合の仲介者であるという事実は疑わしいと考えだしていた。
ところが、長年にわたって愛読してきた吉村昭氏(2006年逝去)のエッセーで真相が明らかになった。吉村先生(尊敬の念から「先生」と呼ぶ)は、「ひとり旅」(文芸春秋)という本の175ページ「武器で結びついた薩長」の最後で次のように述べる。
「薩長連合というと、坂本竜馬が斡旋したことになっているが、坂本竜馬は藩士ではなく郷士である。坂本竜馬が両方を仲介して薩長同盟を結ばせたといわれているが、そのようなことは史実にはない。」(ですます調をである体にして表記した)
このようなことを書くと、吉村氏は小説家であり、歴史家ではないと信憑性に疑いを待たれる人もあろう。しかしながら吉村氏は文献史料に当たるとともに現地にも出かけて関係者の子孫などや地域の歴史家にも取材しており、歴史家のように現地に出向かない専門家とは異なる。吉村氏こそ本当の歴史家というべきである。
「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽」より
名無しの探偵
しかし、最近岩波から「坂本竜馬」(新書版)を上梓された松浦玲氏が、以前に書かれた本の中で、「坂本竜馬が脱藩者であり、倒幕の運動のために薩摩と長州の間を仲介する役目を担っていたという事実は疑わしい」という記述をしていたことで、竜馬の歴史的な立場は微妙であり、まして薩長連合の仲介者であるという事実は疑わしいと考えだしていた。
ところが、長年にわたって愛読してきた吉村昭氏(2006年逝去)のエッセーで真相が明らかになった。吉村先生(尊敬の念から「先生」と呼ぶ)は、「ひとり旅」(文芸春秋)という本の175ページ「武器で結びついた薩長」の最後で次のように述べる。
「薩長連合というと、坂本竜馬が斡旋したことになっているが、坂本竜馬は藩士ではなく郷士である。坂本竜馬が両方を仲介して薩長同盟を結ばせたといわれているが、そのようなことは史実にはない。」(ですます調をである体にして表記した)
このようなことを書くと、吉村氏は小説家であり、歴史家ではないと信憑性に疑いを待たれる人もあろう。しかしながら吉村氏は文献史料に当たるとともに現地にも出かけて関係者の子孫などや地域の歴史家にも取材しており、歴史家のように現地に出向かない専門家とは異なる。吉村氏こそ本当の歴史家というべきである。
「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽」より
名無しの探偵