life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「延長戦に入りました」(著:奥田 英朗)

2010-08-16 23:37:16 | 【書物】1点集中型
 以前Numberで、WBCだったか五輪だったか……確か岩瀬がものすごく割を食ってひとりで何敗分かを背負っていたときで、奥田氏が確か竜ファンなので感情移入度が高かった、そんなエッセイ(でいいのか? あれはノンフィクションなのか?)を読んだことがありまして、「なんだか妙に面白いぞ。奥田英朗。」とか失礼にも思ったのが、氏の作品との出会いでありました。

 そのあと実は「最悪」だけ読んだんですけど、「邪魔」とか「サウスバウンド」とか気になりつつまだ読んでません。ただ今回このエッセイを読んでみて、「サウスバウンド」ってこういうノリかなーとか想像しました。(とはいえ映画も見てないんだけど。映画の宣伝を見た限りでは、なんかかっ飛んでそうだったので。あ、でも「空中ブランコ」は映画をTVで見たような気もする。)

 で、この「延長戦に入りました」は作家になられる前に雑誌に連載していたものだそうで、ひとことで言えば「スポーツに関するエッセイ」だと思います。深く競技を掘り下げるタイプのスポーツノンフィクション的なものではなくて、ふつうの人と日常とスポーツの関わりという視点かな。なんというか、スポーツを茶化しまくり、おちょくりまくっております。高校野球(しかも地区予選)の馬鹿試合から、時には選手の名前(外国人選手の姓だったり、五十音順の話だったり)やら果ては国名すらネタにしておられます。

 なので、競技のことが全然わからなくても充分に楽しめます。私自身、ハンドボールやボブスレーやプロレスなどほとんどわからない競技の話がいっぱい出てきましたけど、それでも笑いをこらえるのに必死だったし。もちろん、競技を知ってるとさらに面白く感じるんじゃないかと思います。
 ただ、シャレがわからないと面白くないかもしれない(笑)。地下鉄で読んでて吹き出しそうになって困ったほど、ツボにはまるツッコミが満載で、けどなんというか、文章の端々にスポーツへのどうしようもない愛着が感じられるのです。どれもこれも氏がたくさんのスポーツをちゃんと見たりやったりしているからこそのものなんじゃないかなと思いました。

 個人的には、浅田次郎氏のエッセイも思い出すノリとテンポです。そういう並べ方ってご両者に失礼なのかもしれませんが(汗)短絡的に結びついちゃったのですよ、そもそもエッセイ自体あまりたくさん読んでないもので……でも浅田氏のエッセイも好きなんです。
 そんなわけで、やっぱり「泳いで帰れ」も「野球の国」も読んでおくべきかなーと思った読後でした。


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2 コメント

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面白そう! (ぱるぱる@暑くて家籠り)
2010-08-17 12:08:51
おひさしでございます~。
奥田英朗か~!しかも食いつきたくなる内容だなぁ。

以前読んだよ「サウスバウンド」。
ジャケ買いじゃなくて表紙買いっていうのかよくわかりませんが、普段まったく本を読まない私が何か衝動に駆られて。
さらにごっつい分厚い前後編やったのに一気に読んだ。
(文庫では3冊になってたような)
お父さんがぶっ飛んだキャラで飽きませんでした。面白かった。

あ、なんか思い出してきた。「イン・ザ・プール」が読みかけやったような気が…。
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面白かったよ~ (かじ@admin)
2010-08-18 23:41:52
こちらこそご無沙汰しております~。
こっちも暑い暑い言ってますが、そちらはもっと暑いんだろうなー。
クーラーあったら外に出たくないよね(^^;

この本は、ひとつひとつが短いエッセイなので、
たぶんとりたてて本好きじゃなくても読みやすいと思う。おすすめです。

まだ奥田氏の作風が認識できるほどにはたくさん読んでいないので、
今度は私も「サウスバウンド」読んでみようかなー。
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