life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「もうおうちへかえりましょう」(著:穂村 弘)

2012-06-23 22:32:50 | 【書物】1点集中型
 ちょっと力を抜きたくなったのでほむらさん。ほむらさんの、特に話し言葉でのひらがなの使い方がとてもツボにはまる。

 個人的に今作、最も共感したのは「『未来』の奴隷」かな。日曜夕方の憂鬱、いわゆる「サザエさん症候群」を意識する時間帯が前倒しになっている、という話だ。ほむらさんがそれに気づいたころには日曜の朝にはもう憂鬱になっていたらしい。わかるわかる。私も、下手したら土曜の夜、布団に入るころに「ああ次に起きたらもう(その日で)休みが終わっちゃう~」とか思っている。ほむらさんも「心が冷えると」それくらい前倒しになるらしい。ねぇ、やっぱりそういうこと、あるよねぇ。でも、「嬉しくなるポイント」はやっぱり金曜の夜……早くても朝かな。木曜ではないな(笑)。
 あと、もうこれはほむらさんの真骨頂と言うべきか(笑)、「愛はいつも」の締めの短歌がもう、このエピソードの流れからしてほんとにホラー(笑)。

 「言葉の戦後性」「言葉の金利」「したあとの朝日はだるい」と、短歌を通した時代考察3連発も面白い。短歌だけでなく、キャッチコピーや命名の傾向の変遷などから、なんだか知らぬ間に過ぎ去ってしまっているいくつもの時代の中で、なんとなくぼんやりした感じでぽつんとたたずむほむらさんの姿を想像してしまう。でも、ぼんやりしてるような雰囲気があっても、ほむらさんの感じてることはある意味で鋭かったり、やっぱりほむらさんならではの独特な視点があったりするのだ。
 「いいところ」センサーが完璧にシンクロする人、最近見つけられてないなぁ。それはもちろん、いま自分がいる外の世界に探しにいかなければ出会えないからなんだけど。


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