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或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「バッキンガムの光芒 (ファージングIII)」(著:ジョー・ウォルトン/訳:茂木 健)

2011-08-04 23:26:38 | 【書物】1点集中型
 「ファージング」3部作の最終章。日本の話題もちょこっと出てきて、世界情勢がどう改変されているかがわかりやすくなってる。そうきたか、という感じかも。

 今回のヒロインは、ロイストンの忘れ形見エルヴィラ。賢く、美しく、最後はたくましく成長した姿を見せてくれる。エルヴィラとその母の関係の作り方が良いなぁ。素直に、よかったねエルヴィラ! と言ってあげたくなる(笑)。
 10代の少女というキャラクターの威力か、前2作よりも、数々の陰謀の中にあっても先行きへの希望がちゃんと見える感じがする。とはいえ、しかしジャックは……やっぱりね(涙)。カーマイケルにもジャックにもちゃんと幸せになってほしかったからここだけは残念なんだけど、展開上こうなるんだろうな(泣)という。

 3部作の最後を飾るにふさわしく、カーマイケル(と、エルヴィラ)がじりじりと土俵際まで追い詰められていく感じがクライマックス感を高めてくれた。エルヴィラ自身があわやカーマイケルを絶体絶命のピンチに追い込みかけるという小技(か?)もあったりとか。
 最後は、女王の国イギリスらしい締めくくり。なるほど、ルーシーの手記はただの語りのための「手記仕立て」ではなかったわけだ。
 ただ、単なる大団円ではなくて、ラストシーンのカーマイケルの姿には1部のラストシーンにも少し似た哀愁がある。もちろん(書かれてあるように)ジャックのことがあるからなんだけど、そこがなんともイギリスっぽいなと。何がイギリスっぽいのか説明できないけど、なんか、雰囲気が。

 それにしても、カーマイケルは主役だから別格として、サー・ガイかっこよすぎ(笑)。探偵になったカーマイケルと、首相になったサー・ガイが組んだその後の物語、なんつってシリーズ化したら面白そうなんだけどな~。


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