めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

心の絆を確かめられない日本人

2016-01-05 14:47:08 | 帰省

昨年末、慌ただしく仕事を終え、夜行バスに揺られ田舎に変えると、
そこには、年老いた両親に、一年ぶりに帰って来た子供の姿を見て、
喜びと共に、長く離れて暮らしていた寂しさがにじみ出ていました。

子供達は全員故郷を離れ、それぞれが遠い地で生活を営む事は

決して珍しい事ではなく、私の両親と同じ様に、田舎で年寄り同士
または、たった一人で、余生を暮しているケースはかなり多いと
思われます。

確かに、福祉政策が進み、日本の高齢者に対する援助の手は

確実に伸びていて、田舎と言えど、様々な設備が整っていて、
高齢者たちは、身内の世話を受けることなく、それらを利用する事で
老後の生活を営む事が出来る様になったのですが、どんなに素晴らしい
施設やサービスが整ったとしても、身内による介護や、見守りからしたら
高齢者たちの心の安心感は程遠いと言えます。

今の社会、就労者も引退した高齢者も、どちらも、不安な生活を送り、

未来に夢を持てない時代となっています。
若者たちは、刹那な喜びに興じ、つかの間の喜びに心を癒す事を
強いられ、未来を夢見、しっかりとした将来の設計を心に描く事を
許されない、本当に辛い時代となっています。

表向きは、一部の成功者や高額所得者の築く社会を見せ付けられ、実際は

殆どの人が、ただ毎日の生活に明け暮れているのが現状です。
アメリカに於ける経済を支配する人々の数は、全人口のほんの数%で
殆どの人々が低所得者となっている事実は、日本が置かれている現状が
その後を追随している様で、これからの日本が、本当に豊かになるとは
言い難い事が心配です。

東京には比べものにもならない私の田舎も、都会で見られる大手資本が

次々にオープンし、土地の人々は、その関連会社に就職する事が
多くなっています。
また、その反面、昔ながらの商店は殆ど消えてしまい、田畑を耕す農家と
昔ながらの住居、そして、新興住宅地に、都会と全く同じコンビニが並ぶ
一体何処の街かと思ってしまう程の変貌ぶりです。

今や、日本中の街が、長年培われたその土地々の個性が無くなり、

単に、都会の大手資本のアンテナショップ化しているに過ぎません。
また、マスコミによる情報は、それらの店舗類を利用する事を頭に焼き付け
同じ町内にあっても、他の商店からの購入を控えさせる原因ともなって
増々、町の衰退化を助長しています。

本来ならば、家族は一か所で生活をし、各世代が助け合って生活してこそ

家族の絆や思いやりが生まれ、子供達も、高齢者に対する接し方を学び
社会全体の世代間の交流が生まれるのですが、一緒にいたくてもいられない
家族を作ることが難しい環境が多くの日本人の心を重くしているのです。

福祉を充実し、年金を確保して、お年寄りが楽に生活できる様にとする

今の日本の政策は、一見、高齢者たちにとっては素晴らしい様に思えますが、
人として一生を生きて行く事に大切な心の絆を育てる環境を無視した、
極めて一方的なお役所仕事としか思えません。

人は、本来、集団で生き、集団でお互いの気持ちを察し成長していくものです。

社会の機能性の為に、家族が分断され、その後、分裂した同士がなかなか
近づく事が出来ず、御互いの環境ばかりを良くしていくだけでは、いずれ
この様な問題が多く生まれるのは、少し考えれば解かったはずです。
しかしながら、日本を動かして行く方々は、残念ながら、自分のエゴにしか
目も心も動かず、結局は、多くの人々を見捨てる様な社会を作ってしまったのです。

日本人は、世界的に見ても、御互いの事を考え、人の気持ちを察する民族です。

それは、集団で生きる時に、いかに、御互いに幸せになる為にはどうしたら良いか
長い歴史の中で培われた、礼儀であり作法であったのです。

今や、人々の生活は分断し、そんな気持ちを持つまでも無く、自分の生活にしか

目を向けない、自己中心的な人々が多くなりました。
本来なら、学校で教えなくてもいい、家庭内での教育がなされず、子供たちの心も
殺伐とした乾いたものと成りやすく、様々な事件を生む要因ともなっているのです。

日本人は、家族のみならず、周囲の人とも接触を嫌い、情報により多くを判断し

直接的に人の心を察する能力が無くなってきているのが心配です。
どんなに、ネットにより世界の情報が瞬時に手に入っても、直接五感で感じて、
得られる情報は、ネットや人から得た情報より遥かに的確で、人々の心を繋げ
御互いの結束力を増すものです。

一部の超高額所得者の様でなく、誰もが、家族と一緒に生活が出来、

周囲の人達と暖かい交流が出来る生活を庶民は求めているのです。
本当の福祉対策は、高齢者に対するだけでなく、全ての世代の人々に
幸せを与えるものでなければなりません。

新年と言え、直ぐに桜の季節もやって来ます。そして、暑い夏も。

また、年末になれば、その速さに改めて驚くとは思いますが、
少しずつでも、日本人の心に、かつてのような思いやりが育つ一年となって、
多くの人々に笑顔が絶えない様な出来事が起こる事を期待したいものです。



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