めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

人々の心のストレスを考えた復興計画を

2016-05-05 14:01:27 | 災害

熊本大地震が発生して、早くも3週間と成りますが、五月になって
気温がかなり上がり、今だ収まらない余震の中で、新たなる
様々な問題が出てきています。

気温が上がることで先ず問題と成るのは、食料の保管保存、

更には、衛生問題と人々の健康問題です。
大量に持ち込まれた援助物資の中には、この暑さで傷む物も増え、
いかに安全に保管保存できるかが問題と成ります。

いまだ多くの被災者を抱える各被災地では、一か所に多人数の人が

衣食住の全てを我慢し、苦しい生活を続けています。
各地で夏日を記録するようになって、寒暖の差が激しくなる避難施設で
抵抗力の弱いお年寄りや小さな子供達、更には、病に伏している方々は
より一層の注意が必要と成って来ます。

しかしながら、今回の地震は、全く先が読めません。

もう3週間に成ると言うのに、震度4以上の地震がたびたび起こっています。
この事は、従来の地震とは異なった、新たなる想定をしなければ対処できない
長きに渡る戦いを余儀なくされる可能性が出てきました。

従来の災害の様に、どんなに恐ろしい事態も、しばらくすれば収まると言った

いわゆる常識と想定では、図ることが出来ない事態を考えなければなりません。
災害列島である日本は、様々な天変地異を体験してきましたが、それとて、
歴史を紐解けば、ある程度の期間を過ぎると次第に収まり、ものと姿に戻り
人々も復興して行くと言うのが定説でした。

とは言うものの、近年の災害は、地球温暖化に伴う異常気象のみならず、

地球で起こる災害が、私達の予想を超える事態になっているのが気になります。
我が国においても、五年前の東日本大震災に於ける甚大な被害は、
地震の大きさはともかく、その後の津波で多くの被害をもたらし、更には
もっと予想もしなかった、原子力発電所のメルトダウンと言う、いつ止まるとも
知れない難題を抱え込む事に成ってしまったのです。

つまり、私達日本人は、私達の未来にも繋がる大きな問題を抱えながら

生きて行かなければならなくなったと言えるのです。
今回の大地震も、しばらくすれば収まると考える多くの日本人の予想を
遥かに超える長きに渡って続くかもしれないのです。

私達日本人には、様々な問題も災害も時が解決してくれると言った考えが

昔からありました。
そのため、一時的な応急処置を施せば、いずれ立ち直り、素の姿に成ると
安易に考えていたのかも知れません。
4年後には東京オリンピックが開催され、世の中の景気も次第に良くなって
人々の生活も豊かに成ると多くの政治家たちは想定しているかも知れません。

しかし、原発問題が遠い未来まで無くならない様に、私達の苦悩は、果てしなく

遠い先まで続いて行くかもしれないのです。
過去20年程の国内の災害で、多くの地域が悲惨な災害に見舞われました。
その都度復興事業活動により、被災地は、以前にも増して新しい街に変わったり
災害地とは思えない程の安全な街に変わって行きました。

でも、その街に住む人たちは、決して幸せになったのでは無い事を、

復興事業に関わった人たちは知りません。
この事は、東日本大震災で家を失い家族を失った人たちが、いまだに心が癒えず
新しい街にも馴染んでいない事からも解ります。

復興と言う正当性を持った言葉が、あたかも、被災者たちを救っている様に

思われている方々が多いですが、被災者たちの本当の気持に寄り添って
街づくりをしている方々がどれ程いるでしょう。
特に、ボランティアとして実際に被災者たちと共に街の再建に汗を流している
方々はともかく、縦割り行政の中で、上層部から命令をして、復興と言う青写真を
頭に描いている方々にとっては、なかなか被災者の心は理解できないのです。

人は、見た目に美しい、防災施設が整った街で済む事が本当に幸せとは

言えないのです。故郷の懐かしい街とは全く異なった、何処の街か解からない
多くのお金が動いたとしか言いようがない外部の人の感覚で作られた街に、
どれ程の愛着を感じるででょう。

人は、それぞれ様々な環境で生まれ、その価値観も千差万別です。

特に、大都会に住む人と、地方都市に住む人の感覚は、大きく異なって来ます。
それ故、様々な文化が生まれ、地方独特の魅力が生まれて来るのです。
災害に強い、綺麗で便利な生活が、果たして、本当に人々を幸せにするのでしょうか。

私達は、近代的で便利な生活を追い求めた結果、多くの自然を失い、

かつて無かったような様々な病に苦しみ、人と人の絆を弱くしてしまいました。
健康で仕事が出来る人だけが喜ぶ社会を誰が親しみを持つでしょうか。
例え、津波を防げるという大堤防であっても、生きている間、まるで刑務所の様に
環境を変えてしまう故郷に、どれだけの人々が親しみを持ち住んでみたいと
考えるでしょう。

人間は、一体何に喜び幸せを感じ、何を求めて生きて行くのかが解からないと

人々を助けると思った復興も、逆に人々の心を悩ませる事と成るのです。



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