電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

加藤浩子『ヴェルディ~オペラ変革者の素顔と作品』を読む

2017年07月27日 06時04分01秒 | -ノンフィクション
平凡社新書で、加藤浩子著『ヴェルディ~オペラ変革者の素顔と作品』を読みました。老母の入院手続きや検査などでやけに待ち時間がありますので、手頃なサイズの未読の本を物色していたところ、2013年5月に新刊で購入したままだったこの本(*1)が目についた次第。初版第1刷です。

著者の本については、これまでも何冊か読んでおり、とくに『黄金の翼=ジュゼッペ・ヴェルディ』(東京書籍)はおもしろく読みましたし、辞書代わりに便利に使っている面もあります。さて、今回の本はどうか。

本書の構成は、次のようになっています。

序章 ヴェルディ、その「完璧」なる人生
第一部 人間として 作曲家として
 第1章 宿屋の息子~家計と家族
 第2章 人生の同志~二番目の妻ジュゼッピーナ・ストレッポーニ
 第3章 事業への意欲~農場主ヴェルディ
 第4章 「憩いの家」と病院の建設~慈善家ヴェルディ
 第5章 「建国の父」という神話から祖国統一運動とヴェルディ
 第6章 「泣けるオペラ」の創造~作曲家ヴェルディ
 第7章 作曲家の覇権の確立~劇場人ヴェルディ
第二部 現代に生きるヴェルディ
 第8章 ヴェルディ上演の現在
 第9章 今聴きたいヴェルディ歌手・指揮者
 第10章 イタリア人名演奏家・芸術監督、ヴェルディを語る
第三部 ヴェルディ全オペラ作品
 第11章 群衆ドラマと心理劇の間で~前期作品
 第12章 メロディとドラマの融合~中期作品
 第13章 壮大なる葛藤~後期作品
 第14章 シェイクスピアが開いた新しい道~晩期作品
 第15章 オペラ以外の代表的作品

本書は、政治とヴェルディにまつわる「神話」を解きほぐし、人間ヴェルディの苦難と成長、音楽と作曲家としての成長、劇場人としての成功と事業家としての面などを記述しながら、主要作品の魅力と現代における上演・演奏の現状を紹介したものです。新書というコンパクトな形態ではありますが、内容はぎっしりとつまっており、読みごたえがあります。何よりも、ヴェルディ愛があふれています(^o^)/



ちなみに、私がこれまでテレビ放送やLD/DVD等で複数回観た(聴いた)ヴェルディのオペラ作品は、著者の区分に従えば、次のようになっています。

  • 前期作品……「エルナーニ」
  • 中期作品……「ルイザ・ミラー」「リゴレット」「ラ・トラヴィアータ」
  • 後期作品……「シモン・ボッカネグラ」「仮面舞踏会」「ドン・カルロ」「アイーダ」
  • 晩期作品……「オテロ」

ふーむ。そういえば、まだ「ファルスタッフ」は観たことがありませんし、まだまだ楽しみは尽きないということか。一番好きな作品はといえばやっぱり「ドン・カルロ」ですが、楽しんだ回数からいえば「トラヴィアータ」かもしれません。今、たっぷり時間があるならば、「シモン・ボッカネグラ」あたりを取り出したいところです。

(*1):今度の通勤ルートには〜「電網郊外散歩道」2013年5月

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