電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

柴田錬三郎『貧乏同心御用帳』を読む

2006年06月20日 20時36分25秒 | 読書
つい先日、書店で見かけた平積みの文庫本の中から、「剣は強いが情けに弱い。江戸町奉行所の町方同心・大和川喜八郎は32歳、独身なのに6歳から14歳までの孤児を9人同居させているかわりもの~」云々の紹介文に乗せられて、柴田錬三郎『貧乏同心御用帳』を購入しました。講談社文庫ですが文字のポイントが大きく、たいへん読みやすいのも理由の一つです。

さて、この連作短編集は、四本の物語から成っています。
「南蛮船」、江戸町奉行所の町方同心・大和川喜八郎が同居させている孤児九人は、別に大層な主義主張があったわけでもなく、成り行きで増えてしまったにすぎない。家が三間しかないから、もう置けないと断っている。孤児たちは同心組と称し、探索を手伝うこともあり、大人のウソを見抜きなかなか役に立つところもある。このあたり、ホームズが時折使うロンドンの少年たちを思わせる。
しかしルソンねぇ・・・鎖国から200年、世代にして8代、3000余人で血統を受け継ぐことができるものだろうか。テーマが民族の純血というしろものだけに、ややエキセントリックなお話です。
「埋蔵金十万両」、武田信玄の埋蔵金伝説によるお話。埋蔵金伝説の話はよく耳にしますが、私は一攫千金の夢は見ない性格のようです。ただし、一度でいいから金を王水(*)に溶かし、とける様子を観察してみたい。甲州金を1個見つけたら、ぜひ御一報ください(^_^)/

(*):Wikipediaによる「王水」の解説

「お家騒動」、双子の兄弟とお家騒動の話はよくあるパターン。山手樹一郎の『桃太郎侍』もそう。ただし、本作は一方が熱病のために人格が歪んだダメ兄で、もう片方が立派な弟。う~む、これは困りましたね。自由気ままな生活が良いのはわかるが、すこしは働きなさい。
「流人島」、本作によれば、八丈島の流人生活はそれほど悲惨ではなかったそうな。もちろん、お金があれば、の話です。地獄の沙汰も金次第と、ホリエモンも言っていたとかいなかったとか。私は地獄も極楽も無縁なので、別にいいけど。
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2 コメント

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はじめましてv (ささ)
2006-06-21 01:00:03
コメントとトラックバックをありがとうございましたv

貧乏同心は良いですよねvvv

本当に、もっと読みたいシリーズでした。



実は平岩氏の「はやぶさ新八」シリーズも好きなんです。

私はケチなので、文庫でしか読みませんが(笑)。

御用帳1~10と御用旅1、2は読みました。

御用旅の3が早く文庫で出て欲しいです。

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ささ さん、 (narkejp)
2006-06-21 20:24:52
コメントをありがとうございます。『貧乏同心御用帳』は、私ももう少し続きが読みたい気がしました。『はやぶさ新八御用旅』シリーズは、まだ続きがあるのですか。それは知りませんでした。楽しみが増えました(^_^)/

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