電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

高田郁『花散らしの雨~みをつくし料理帖(2)』を読む

2013年06月15日 06時06分08秒 | 読書
角川書店のハルキ文庫で、高田郁著『花散らしの雨~みをつくし料理帖(2)』を読みました。料理人として生きる18歳の娘の話で、本書はその第二作。少々ステレオタイプな表現が鼻につくところはありますが、なかなかおもしろいシリーズのようです。

第1話:「俎橋から~ほろにが蕗ご飯」。「つる家」のライバル登龍楼が澪のもとに送り込んできた間諜は、澪の信頼との板ばさみになって悩みます。献立や材料は真似ることができても、料理人の器量は真似られるものではありません。とはいえ、登龍楼の主人である采女宗馬というのも、悪役ながら大物という印象です。
第2話:「花散らしの雨~こぼれ梅」。房州流山の白みりんの見本を抱えた行き倒れを助け、その素晴らしさに感嘆しますが、話はそれだけでは終わりません。みりん粕は「こぼれ梅」といって、幼なじみの野江と一緒に食べた思い出のおやつなのだとか。あさひ太夫が斬られて怪我をしたと又次に聞いて、「こぼれ梅」を吉原まで持参します。度胸があるといえばいいのか、無鉄砲と言えばいいのか、主の種市や芳は心配なことでしょう。
第3話:「一粒符~なめらか葛饅頭」。澪と芳が住んでいる長屋の隣人で、火事の恐怖のために言葉を失ってしまった太一が麻疹にかかってしまいます。血のつながりはないけれど、実子のように愛情を注ぐおりょうが必死に看病をしますが、こんどはおりょうが麻疹に感染。大人の麻疹は大変だと言いますが、実際に重篤な状況に陥ってしまいます。口の中に水泡が出来て、食べられない太一に食べてもらえるものを工夫したのが、タイトルの「なめらか葛饅頭」でした。美味しそうです。
第4話:「銀菊~忍び瓜」。おりょうの病欠の間、助っ人に来てくれたりう婆さん、なかなか味な老婆です。腰は曲がっていても口は達者で、仕事ができて戦力になる。まるでどこかの家の老母のようではないですか(^o^)/
蛸ときゅうりの酢の物が、まさか葵の御紋との連想で敬遠されるとは。原因さえわかれば対処のしようはありますが、恋心だけは対処のしようがありません。忍ぶ恋?それも結構。日常生活は大切で、夏の花火はたいてい妙に甘酸っぱいものです。


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