電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ヴィヴァルディとピアソラ~二つの「四季」

2007年01月14日 17時28分54秒 | -協奏曲
ヴィヴァルディの「四季」は、いわずと知れた超有名曲ですので、実にたくさんの録音があります。小規模な私のコレクションでも、けっこうな数がたまってしまいました。演奏はどれも楽しいものですが、「ヴィヴァルディは女学校音楽部の顧問の先生」という記事(*)にも書いたように、聖ピエタ養育館の少女たちのオーケストラの中で、有能な子の技量を発揮させられるよう、協奏曲という曲種を工夫したのではないか、と考えています。

実は、イタリア合奏団によるDENONの「四季」には1986年7月の録音のほかにもう一つの録音があります。それがこのクレスト1000シリーズ中の1枚、1996年8月28日~9月1日、コンタリーニ宮での録音(COCO 70429)です。前者が「和声と創意への試み」作品8の全曲を収録しているのに対し、こちらはアストル・ピアソラの「ブエノスアイレスの四季」とのカプリング。

アストル・ピアソラ(*2)は、アルゼンチン生まれの作曲家で、バンドネオン奏者。はじめはアルゼンチン・タンゴのバンドネオン奏者としてスタートしますが、タンゴに限界を感じ、クラシック音楽の作曲家を志してパリでナディア・ブーランジェに師事します。しかし、そこで自分の音楽の原点がタンゴにあることを指摘され、はじめは経歴も隠していたのでしたが、タンゴを変えるんだと決意します。祖国アルゼンチンに帰ってからの活躍は、タンゴ革命とかピアソラ革命とか呼ばれるものでした。

ヴァイオリニストのギドン・クレーメルがピアソラを高く評価し尊敬して、ピアソラの音楽を演奏したアルバムを出したのが、一時話題になりました。このCDは、クラシック音楽におけるピアソラ再評価の流れの一環なのでしょうか。

イタリア合奏団の演奏では、ヴィヴァルディの超有名曲も生ぬるいものにはなっておらず、たいへんに活力あるものです。ピアソラの音楽も、現代の音楽であることは一目(聴)瞭然ですが、300年以上の隔たりがあるはずなのに、思ったほど違和感を感じません。ヴィヴァルディとピアソラと、二つの「四季」を並べた試みは、意外に成功しているようです。

(*):ヴィヴァルディは女学校音楽部の顧問の先生
(*2):Wikipedia で「アストル・ピアソラ」を調べる
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