電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

「辻村寿三郎展」を観る

2019年04月27日 06時01分02秒 | 散歩外出ドライブ
雨のため農休日となった木曜の午後、妻と二人で、東根市の複合文化施設「まなびあテラス」で開催されている「辻村寿三郎展」を観てきました。人形師・辻村寿三郎といえば、我が世代にとっては「新八犬伝」の「我こそは玉梓が怨霊〜!」を思い出しますし、辻村ジュサブローという名前のほうが記憶に強く残っているほうですが、今回はその「新八犬伝」や「真田十勇士」のほか、「平家物語縁起」や仏像など、様々な人形が展示されています。初めて見たときのインパクトが強烈だった例の「玉梓」は衣装や冠はなくて頭だけでしたが、パネルになっているのを見て、「あ〜、これこれ!」と思い出しました(^o^)/
「新八犬伝」に登場する人形が、いずれも「ヘンな顔」なのに、物語が進むに連れて強烈な印象を与える。辻村ジュサブローという名前とともに、これまでずっと記憶にとどまり続けたのは、人形師の並々ならぬ表現意欲にうたれたからだったのでしょう。



むしろ、今回初めて知ったのが、氏の原点となった初期作品「ヒロシマよりこころをこめて」とそのデッサンでした。敗戦間近に満州から広島に引き上げてきた寿三郎親子が、昭和20年の春に広島市から三次市に転居します。この作品は、当時小学生だった同級生みよちゃんがヒロシマで被爆し、高等科の兄に手を引かれて立っている姿の人形で、少女の手には死んだ猫がぶらりと下がっている、というものです。

ヒロシマに救援に入り、入市被曝したことで原爆症になり苦しんだ亡父の生活を身近に知るだけに、ただ可愛い・美しいだけではない、辻村寿三郎の人形の世界の背後に何があるのか、その表現の強さ、切迫感の理由が感じられるような気がしました。



4月20日から7月15日まで、一般500円、高校生以下及び18歳未満250円。
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