電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

有川浩『三匹のおっさん~ふたたび』を読む

2012年07月21日 06時04分03秒 | 読書
文藝春秋社から今年発行された単行本で、有川浩著『三匹のおっさん~ふたたび』を読みました。竹刀を持った劇画風のオッサンの表紙を見て、これは笑えそうな話だろうと直感して(^o^)/

第1話:お嬢さん育ちのママがマルチ商法に引っかかり、肉屋のパートに勤め始めて苦労するお話です。キヨさんは頼もしく、早苗さんはしっかり者で、よろしいですなぁ。
第2話:商店街の本屋「ブックスいわき」で、万引きの現場を取り押さえるお話です。本屋の経営の実際も紹介し、万引き中学生も、基本的には性善説に立っているようです。
第3話:高校生の娘と、父親の再婚話。そうですね~、満佐子さんの「天然」ぶりが半端でないだけに、このお話は時間を置いてよく考えた方が……。
第4話:ゴミの不法投棄の話です。身近にありそうな例で、いちばんイライラするようなネタですね。
第5話:地域の祭りを復活するお話。幸いにも好天に恵まれ、よかったよかった。これが雨降りでは、お話になりません(^o^)/
第6話:偽三匹の登場。放火犯が絡んでは、放ってはおけません。しかし、定年を迎えた男たちにしては、ずいぶん子供っぽい。昔のマドンナは懐かしいかもしれませんが、時の流れは無残なもので、過去の熱愛もすっかり忘れてしまっているのが実状であって、こんなふうな台詞や展開はありえないんじゃなかろうか。話の都合上、仕方がないのはわかりますが、それにしても度が過ぎるんじゃないですかね~。



有川浩という著者の作品は、初めて読みます。はじめのうちは、「ヒロシ」という名前の男性作家なのだろうと思い込んでいましたが、読んでいるうちに、これはどうも女性ではないかと疑い始めました。案の定、「ヒロシ」ではなくて「ヒロ」だそうで、女性作家で間違いないようです。

全体的に、おもしろく読みました。やけに無作法な年寄りが増えたのは、戦後の混乱期に少年期を過ごした影響だろうと思います。大正生まれなど、上の世代は、もう少しジェントルな雰囲気を持っていたように思います。

コメント (2)