電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響・仙台フィル合同による第222回定期演奏会でマーラーの交響曲第2番「復活」を聴く

2012年07月20日 06時59分19秒 | -オーケストラ
演奏会の会場を、いつもの山形テルサホールではなく、山形市民会館に移して開催された第222回定期演奏会は、山形交響楽団と仙台フィルとの合同で、マーラーの交響曲第2番「復活」を取り上げました。19日は山形で、20日は仙台で演奏することになっているそうです。飯森さんによれば、「復活」を演奏するのは山形ではたぶん初めてで、東北では飯森さんが指揮して東京交響楽団が盛岡で演奏したのが初めてだったそうな。実は、そのときの盛岡の合唱が素晴らしかったことから、指導されていた佐々木先生にお願いして、山響アマデウスコアという合唱団を作った、とのことです。今回は、佐々木先生が指導されておられる盛岡・仙台・山形の合唱三団体が勢ぞろいして、山響とともに「復活」を歌います。使用するスコアは、通常のマーラー協会版ではなく、ギルバート・キャプラン校訂版とのこと。ボヘミア生まれのユダヤ人・マーラーが、ユダヤ教からキリスト教に改宗し、その終末思想を率直に描いたものとして、後年の装飾を含まない形で演奏してみたい、とのことでした。



会場には、何台かテレビカメラが入っています。ステージにもマイクが立ち、テレビカメラがスタンバイしています。この演奏会を、地元の山形放送YBC-TVがドキュメンタリーとして制作するのと、日経チャンネルでもUstreamで24日から放送する(*1)とのことでした。

とにかく、ステージ裏のバンダと四管編成のオーケストラに加え、四部合唱+独唱者二人のすごい人数です。それだけで、もう単純に圧倒されてしまい、演奏の記憶が飛びそうですが、なんとか部分的にでもレポートしたいと思います。

まず、山響ファンクラブ制作による、今回の演奏会の楽器編成と配置図が秀逸でした。演奏中の写真は撮影できませんので、これがあればよくわかります。ナイス・アイデアだと思います。



第1楽章:アレグロ・マエストーソ、完全にまじめで、しかも荘厳な表出をもって、と指示されています。激しさを持った音楽です。
第2楽章:アンダンテ・モデラート、きわめて気楽に、けっして急がないで、と指示されています。弦楽器の弱音器の効果なのでしょうか、やわらかな音です。しかも、この大人数の弦楽全員でのピツィカートは、異様なほどの緊張感と効果をもたらします。
第3楽章:スケルツォ、おだやかに、流れる動きで。ティンパニの打撃から。ところどころに、「子供の魔法の角笛」(*2,*3)の中の、「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」が聞こえます。四管の迫力は、金管だけでなく、例えば主張するような四本のファゴットなどにも感じられます。このあたり、表現力を拡大したいと願ったのであろう理由は、納得できます。鐘を模した?ドラというか鉄板というか、そのジャーンという音で終わります。
第4楽章:「原光」、オーケストラが静かに荘厳に奏するうちに、女声の独唱が始まります。メゾソプラノの加納悦子さん。ほれぼれするような、深く、いい声です。声にからむコンサートマスター高木さんの弦もフィドル風に。
第5楽章:イン・テンポ・ディ・スケルツォ、荒々しく奔放に。始まりは荒々しく、遠くでバンダが何度も鳴りますが、ホルンにトランペット、パーカッションと、何人も担当しているようです。指揮者の動きを、テレビモニターで見ているのでしょうか。シンバルは派手に鳴らされるし、パーカッションも多彩、打楽器の連打でcresc.して盛り上がる迫力はすごい。フルートとバンダが呼び交わす様子は効果的です。ソプラノ独唱は平井香織さん。合唱はやっぱり素晴らしいものです。第3部の、2人の独唱者と合唱とオーケストラの豊穣な響きを、堪能しました。いや~、満足です。

飯森さんが、それぞれのパートの健闘を讃えます。山響の人たちは慣れているのですぐに立って聴衆のあたたかい拍手を受けますが、仙台フィルの方たちは遠慮しているのか、促されてようやく立ち上がります。このあたりの交歓風景も、温かみがあっていいものです。





終演後のファン交流会も盛況で、なかなかインタビューに近づけませんでした。逆に、会場を出たところで、某社の記者さんにつかまってしまい、感想などをインタビューされてしまいました(^o^;)>poripori

今回は、山響の定期演奏会でしたので、コンサートマスターを高木さんがつとめていたように、それぞれの首席は山響の人たちがつとめていましたが、仙台公演では、神谷未穂さんがコンサートマスターをつとめるなど、仙台フィルの人たちにバトンタッチするのかな、と思います。東日本大震災の復興を祈念する、仙台公演の成功を祈ります。

(*1):日経チャンネルUSTREAM:東日本大震災復興祈念~山響・仙台フィル合同演奏会~7月24日配信

(*2):マーラー「子供の不思議な角笛」を聴く~「電網郊外散歩道」2008年4月
(*3):山響第217回定期演奏会でマーラー編「死と乙女」と「少年の魔法の角笛」を聴く~「電網郊外散歩道」2011年12月

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