電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

エルガー「交響曲第2番」を聴く

2012年07月29日 06時01分01秒 | -オーケストラ
梅雨空の下、通勤の音楽で繰り返し楽しんだのが、エルガーの交響曲第2番、変ホ長調Op.63です。東北の梅雨も上がり、カッと真夏の太陽が照りつけることとなりましたので、週末に車からCDを引き上げ、自室のパソコンに取り込み、USB-オーディオプロセッサを経由してミニコンポで鳴らしました。やっぱりタイヤのロードノイズの中で聴くよりも、ずっと雰囲気良く楽しむことができます。演奏は、ジュゼッペ・シノポリ指揮フィルハーモニア管弦楽団、CDはグラモフォンのパノラマ・シリーズ中の「エドワード・エルガー」(UCCG-3807/8)で、1987年3月に、ロンドンの Wolthamstow Town Hall にて収録されたデジタル録音です。

添付リーフレット中の解説によれば、1903年の11月、エルガーは夫人アリスを伴い、初めてのイタリア旅行に出かけたとのこと。スケッチや手紙などから、第1番ではなく、第2番めの交響曲となる作曲を進めていたらしいです。曲が完成するのが1911年2月のことで、前年5月に逝去していたイギリス国王エドワード七世に献呈されたのだそうです。ということは、この時の国王が、例の「英国王のスピーチ」に登場した厳格なお父さんということか。
初演は1911年5月で、作曲者自身の指揮で、必ずしも大成功というわけでもなかったらしい。理由は、曲調が沈鬱で、終楽章の終わり方が静かに曲を閉じるタイプだったから、ということだそうです。まあ、演奏会の成功の基準が、新聞の批評らんや、聴衆大興奮!ブラボーの連発!鳴り止まぬ拍手、スタンディング・オベイション!というようなものだったら、こういう音楽の初演が成功とはいえない結果に終わるのは納得できますが、一方で、聴衆の心に静かに染み入るような演奏会は、必ずしも失敗とは言えないのではないでしょうか(^o^)/

第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・ノビルメンテ。nobilmente とは、上品に、気高く、というような意味らしい。冒頭の部分から、なるほど気高く上品にという指示が理解できます。比較的長い楽章ですが、弱音部も車のロードノイズに埋もれることなく、上質な音楽をしっとりと楽しむことができます。
第2楽章:ラルゲット。静かに始まる緩徐楽章のようでいて、息長く、次第に力と熱を蓄え、音楽の姿は変貌していきます。
第3楽章:ロンド、プレスト。モダンで軽やかなロンドです。ちょいとプロコフィエフのバレエ音楽を連想するようなところなどは、時代の共通性かもしれません。
第4楽章:モデラート・エ・マエストーソ。穏やかで落ち着きのある、堂々たる音楽のフィナーレです。

演奏は、シノーポリらしく明晰なもので、英国音楽だから霧の中のような茫洋としたとらえどころのないものとは考えていないようです(^o^)/
その点で、「はじめてのエルガー」の曲集としては、なかなか良い選択なのかもしれません。

■シノポリ指揮フィルハーモニア管
I=20'44" II=18'24" III=8'59" IV=17'16" total=65'23"
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