電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

BSプレミアム再放送「蝉しぐれ」第3回を観る

2012年07月08日 06時05分29秒 | -藤沢周平
土曜の夜、NHK-BSプレミアムで、藤沢周平原作の連続時代劇「蝉しぐれ」第3回「歳月」を観ました。里村家老の陰謀で、おふく様と赤子もろとも皆殺しにあうところを辛くも切り抜けた一行は、父が懇意にしていた金井村の村役人・藤次郎の家に逃げ込みます。里村家老と対立する横山家老の屋敷に逃げ込みたいところですが、城下に通じる道は里村派によって封鎖されているはず。籘次郎が一計を案じ、夜の暗闇を利用し、舟で城下へ入り込むことに成功します。横山家老に陰謀を暴露した後、里村の屋敷に単身乗り込み、死にゆく者の気持ちを思い知らせる場面は迫力がありますし、縁あって嫁いだ新妻のせつさんとの暮らしは初々しい。母・登世が風邪で寝込んだときに看病してくれたせつに感謝して、「せつは、まことに良い嫁ですよ」という台詞を使っていますが、わが妻はかつて「こんなふうに言われたいものだわ~」ともらしておりました(^o^)/
領外追放となる際に、里村家老が刺客を放ったという警告を受けて、文四郎は緊張した日々を送りますが、なんとかこれも退けて、20年の時が流れます。そして、殿が亡くなり、一周忌を前に髪を下ろすというお福様と三国屋で再会しますが、ここは原作で追加された、「あのひとの白い胸など」のところを、かなりリアルに再現したところでしょう。脚本を担当した黒土三男さんは、『蝉しぐれ』を、文四郎とふくの初恋を軸にとらえていることは、後の映画化でより鮮明にしていますが、このドラマでの描き方は、まだバランスの取れたほうでしょう。

あらためて、良質のドラマであることを感じました。と同時に、藤沢周平の原作『蝉しぐれ』はさらに優れたものであることも、再確認したところです。


【追記】
「蝉しぐれ 再放送」で検索して来られる方が増えましたので、2013年春の再放送予定について触れた記事(*)をメモしておきます。

(*):NHKテレビで「蝉しぐれ」7回版の再放送を観る~「電網郊外散歩道」2013年2月

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