電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

「むかさり絵馬」が伝えてくれるもの

2011年02月02日 06時03分32秒 | 散歩・外出・旅行
当地山形県の内陸部には、「むかさり絵馬」という習俗があります。これは、子どもを失った親が、死んだ子どもが生きていればと年齢を数え、成人していればこうであったかという場面を描いて、寺などに奉納するものです。題材としては、写真のように結婚を扱ったものが多いために、「むかさり(婚礼)」絵馬と呼ばれているようです。



それにしても明治44年9月の日付の入った写真の絵馬は、奉納者名はぼかしましたが、父親が娘と婿を伴って墓参りをする場面でしょうか。ということは、両親は健在で娘を亡くしたというケースなのか、あるいは描かれるのは死者であるという考えに立てば、この母親は夫ばかりか娘をも亡くしているのでしょうか。いずれにしろ、その心情たるやいかばかりかと、思わず絶句します。



こちらは三三九度の場面でしょうか。大正期のもののようですが、古式にのっとって花嫁は花婿に対して90度の角度で座っており、現代のように花嫁花婿が並んで座ってはおりません。あえてぼかしましたが、頭の後ろに戒名が記されているところから見て、故人となったのは花嫁側、つまり娘のほうでしょう。このことは、位置関係や視線の方向からも推測されます。

こういう絵馬の存在は、昔も今も変わらず、故人が心の中に生きていることを伝えてくれます。思わずほろりとさせられたことでした。
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