講談社現代新書で、速水敏彦著『他人を見下す若者たち』を読みました。帯に大書された「自分以外はバカ」の時代!というキャッチコピーは、いかにも当世の風潮を表しておりますが、内容は若者の心理を研究してきた学者の随想風な啓蒙書といったところでしょうか。
構成は、次のようになっています。
ここで、キーワードは「仮想的有能感」という著者の造語でしょう。これは、「過去の実績や経験に基づくことなく、他者の能力を低く見積もることに伴って生じる本物でない有能感」(p118)という意味だそうです。著者は、仮想的有能感と自尊感情とをクロスさせ、四つのタイプに分類していますが、これは面白い考え方です。また、仮想的有能感は若者だけの特徴ではなく、世代により、文化により影響されるものとされていますから、当方の若い時代の失敗なども、ほろ苦く振り返ることも可能です。また、子育てを終えた立場からは、
という指摘は耳が痛いものです。
仮想的有能感というのは、学問的に評価の定まった概念ではないようで、著者自らあとがきの中で「今後、地道な心理学的研究を蓄積する必要があると感じている」と述べているように話題先行の感もありますが、心理学の立場からの一つの見方として、たいへん興味深く読みました。
写真は、文翔館二階ベランダから見た東側(奥羽山脈方面)の眺めです。
構成は、次のようになっています。
第1章 感情が変わった
第2章 やる気が低下する若者たち
第3章 他者を軽視する人々
第4章 自己肯定感を求めて
第5章 人々の心に潜む仮想的有能感
第6章 自分に満足できない人・できる人
第7章 日本人の心はどうなるか
ここで、キーワードは「仮想的有能感」という著者の造語でしょう。これは、「過去の実績や経験に基づくことなく、他者の能力を低く見積もることに伴って生じる本物でない有能感」(p118)という意味だそうです。著者は、仮想的有能感と自尊感情とをクロスさせ、四つのタイプに分類していますが、これは面白い考え方です。また、仮想的有能感は若者だけの特徴ではなく、世代により、文化により影響されるものとされていますから、当方の若い時代の失敗なども、ほろ苦く振り返ることも可能です。また、子育てを終えた立場からは、
親は子どもをユニークな目立つ人物に仕立てようと画策する。それはそれでよいことだが、子どもの独自性ばかりを求めて、普通の大人になるために必要な行動・態度を身につけさせる社会化のための訓練を忘れてしまっているように思われる。(p.207~8)
という指摘は耳が痛いものです。
仮想的有能感というのは、学問的に評価の定まった概念ではないようで、著者自らあとがきの中で「今後、地道な心理学的研究を蓄積する必要があると感じている」と述べているように話題先行の感もありますが、心理学の立場からの一つの見方として、たいへん興味深く読みました。
写真は、文翔館二階ベランダから見た東側(奥羽山脈方面)の眺めです。