電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

シューマン「アンダンテと変奏曲」を聴く

2009年12月30日 06時13分03秒 | -室内楽
ほっとするひととき、お菓子をつまみながらコーヒーを飲み、お気に入りの音楽を聴くのが何よりも嬉しいものです。たとえばこの曲、1843年に作曲された、シューマンの「アンダンテと変奏曲」。今日は二台のピアノではなくて、オリジナルの編成で、2台のピアノ、2つのチェロとホルン、というもの。しかも、演奏はマルタ・アルゲリッチ(Pf)、アレクサンドル・ラビノヴィチ(Pf)、ナターリャ・グートマン(Vc)、ミッシャ・マイスキー(Vc)、マリー・ルイーゼ・ノイネッカー(Hrn)という豪華な顔ぶれです。


この二枚組のCDでは、一枚目の第5トラックから第7トラックまで、便宜的に三つのトラックに分けて収録されています。添付のパンフレットの表記をもとに、Wikipedia 等の解説を加えると、どうやら次のような区分になるようです。

第5トラック:序奏(ソステヌート)~主題(アンダンテ・エスプレッシーヴォ)~第2変奏(ウン・ポコ・ピウ・アニマート)~第4変奏(ピウ・アニマート)~第5変奏(ピウ・レント)~間奏曲(ウン・ポコ・ピウ・レント)。短い序奏に続く、アンダンテ・エスプレッシーヴォの、夢見るようなシューマンの音楽の始まり。ピウ・レントの夢見るような音楽。そして、第2変奏から第4変奏に至る、活発な音楽。このあたりは、まったくピアノの独壇場で、ホルンやチェロは、たしかに音を添えるだけ、という感じもしますが、第5変奏、ピウ・レントでは、ぐっと雰囲気が変わります。それにしても、ピアノとチェロとホルンという組み合わせを考えたのは、どういうきっかけだったのかわかりませんが、結果的にクララに花を持たせたことになったのでしょう。(^_^)/
第6トラック:第6変奏(ピウ・レント)~第7変奏(アニマート)。中盤の飛び跳ねるようなピアノに続くホルンのソロが、酒席帰りの酔っ払いには「パパ、酔ってねーよ!」に聞こえてしまう、というのは内緒です(^o^)/
でも、このチェロの旋律はほんとに素敵です。
第7トラック:第10変奏(ダッピオ・ムーヴィメント)~終曲(テンポ・プリモ~ピウ・アダージョ)。ピアノの活発な動きに目を(耳を)奪われますが、実はホルンとチェロのバックがあっての響きであることに気づきます。試奏後に、周囲の意見を入れて二台のピアノのための曲に改訂してしまったとのことですが、曲の終わりのところで、リタルダンドしてそっと終わる、このオリジナル編成の魅力は、かけがえのないものだと思います。

CDは、EMI ベストクラシックス100 というシリーズ中の TOCE-14256 という二枚組で、1994年のライブ録音だそうです。実際、演奏の後の盛んな拍手から、演奏会の雰囲気も知ることができます。デュトワと共演したテレビ録画等からは、怖いオバサンにしか見えないアルゲリッチですが、じつはすごいプレッシャーの中でソリストとして活動してきたようで、こういうシューマンの室内楽などに、彼女の音楽の本当の喜びがあるような気もしてくる(*)、そんな録音です。

■2台のPf、2つのVcおよびHrnのためのアンダンテと変奏曲(アルゲリッチ他)
I=8'06" II=4'50" III=5'47" total=18'43"

(*):アルゲリッチの幼い頃のトラウマに触れて~青柳いずみこのMerde日記

トップの写真は、今朝のコーヒーと、いただきもののお菓子。代官山の小川軒のレーズンウィッチです。これ、おいしいんですよね~。コーヒーとレーズンウィッチとシューマン。早朝の至福であります。
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