電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ジャン・マルク・ルイサダというピアニスト

2008年06月19日 06時31分41秒 | クラシック音楽
年を取ると、保守的になるといわれます。そういえば、若い頃に聴きなじんだ、昔の録音を大事にして、今の時代の演奏家に注意を向けないという面は、たしかにあるように思います。たぶんそれは、老人の保守性というよりは、若い日に織り上げようとして果たせなかったタペストリーに、当時の記憶に基づいて色模様を編みこもうとしているのでしょう。

そんなとき、地元のオーケストラのコンサートで、若くフレッシュな演奏家に接したり、音楽産業のプロモーションに乗ってはいないが実力のあるアーティストの演奏を体験したりするのは、「年寄りの保守性」を吹っ飛ばすよい機会となります。また、思いがけずいただいたCD等で、素晴らしい演奏家を知るきっかけが得られたりすることもあります。

ジャン=マルク・ルイサダ。1958年、チュニジア生まれ、フランス育ち。6歳でピアノを始め、はじめはパリでマルセル・シャンピとドニーズ・リヴィエールに師事、10代半ばからロンドン郊外のユーディ・メニューイン音楽学校で学び、そこではメニューイン、ジェラルド・ムーア、マイケル・ティペット、ナディア・ブーランジェやベンジャミン・ブリテンらとともに勉強します。パリ・コンサルヴァトワールでピアノをドミニク・メルレに、室内楽をジュヌヴィエーヴ・ジョワ=ディティユーに師事し、その両方の課程で一等賞をとったそうです。さらに大学院に進学し、ニキタ・マガロフやパウル・バドゥラ=スコダらに師事したとのこと。その後、ニューヨークやパリでコンサート・ピアニストとして活動を始め、1984年には最初の日本ツアーを行い、1988年にパリのTheatre des Champs-Elysees(シャンゼリゼ劇場でいいのかな?)にデビュー。室内楽も熱心な方のようですね。
(以上、添付のリーフレット等の情報。)

写真のCDは、パリ在住のピアニスト、n.anastasia さん(*2)からいただいた、ジャン=マルク・ルイサダ自筆の署名のある、R.シューマンとグリーグのピアノ協奏曲を収録したグラモフォン盤。演奏家の自筆の署名というところが、当方のミーハー心(*)をくすぐります(^o^)/

いや、ミーハー云々は冗談としても、1993年にロンドンのアビーロード・スタジオで収録されたこの録音、マイケル・ティルソン・トーマス指揮ロンドン交響楽団をバックに、ゆったりと、ピアノを充分に響かせながら、ロマン派の馥郁たる香りをはなつような演奏です。

署名の拡大写真を、とも考えましたが、個人の署名の社会的意味を考えると、それはちと影響が大きすぎるようですので、さりげなく、それらしく。かわりに、当方がよく聴いているシューマンとグリーグのピアノ協奏曲のLP/CDの写真を掲載します。一番右下のCDが今回話題の 439 913-2 という型番のドイツ・グラモフォン製CDです。



R.シューマン、ピアノ協奏曲
■ジャン=マルク・ルイサダ(Pf)、M.T.トーマス指揮ロンドン響
I=16'30" II=5'59" III=11'21" total=33'50"
■フライシャー(Pf)、セル/クリーヴランド管 (録音:1960年)
I=14'47" II=5'32" III=9'58" total=30'17"
■イェネ・ヤンドー(Pf)、アンドラーシュ・リゲティ/ブダペスト交響楽団 (1988)
I=14'01" II+III=16'12" total=30'13"

グリーグ、ピアノ協奏曲
■ジャン=マルク・ルイサダ(Pf)、M.T.トーマス指揮ロンドン響
I=13'58" II=6'40" III=10'50" total=31'28"
■フライシャー(Pf)、セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏
I=12'53" II=6'55" III=9'48" total=29'36"
■ヤンドー(Pf)、リゲティ指揮ブダペスト交響楽団の演奏。
I=12'00" II=5'48" III=9'16" total=27'04"

(*):実は、書籍でも著者のサイン本を数冊持っておりまして、訳者の川村二郎さんのサイン入りトーマス・マン『ブッデンブローク家の人々』、荒正人さんのサインが入った『赤毛のレドメイン』、井上ひさしさんの署名入り『東京セブンローズ』などを大切にしております。やっぱりミーハーかも(^o^)/
(*2):アナスタシアのパリ便り
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