評価 (3点/5点満点)
労働と読書の関係の歴史を追いかけることで「なんで現代はこんなに労働と読書が両立しづらくなっているのか?」を考えます。
そして最終的に「どうすれば労働と読書が両立する社会をつくることができるのか」に対する著者の回答が記されています。
労働と読書(文化)の両立の困難にみんなが悩んでいるが、その根底には日本の働き方の問題があるとのこと。
『明治~戦後の社会では立身出世という成功に必要なのは、教養や勉強といった社会に関する知識とされていた。しかし現代において成功に必要なのは、その場で自分に必要な情報を得て、不必要な情報はノイズとして除外し、自分の行動を変革することである。そのため自分にとって不必要な情報も入ってくる読書は、働いていると遠ざけられることになった。』(P240)
『自分から遠く離れた文脈に触れること-それが読書なのである。そして、本が読めない状況とは、新しい文脈をつくる余裕がないということだ。自分から離れたところにある文脈をノイズだと思ってしまう。そのノイズを頭に入れる余裕がない。自分に関係のあるものばかりを求めてしまう。それは、余裕のなさゆえである。だから私たちは働いていると本が読めない。仕事以外の文脈を取り入れる余裕がなくなるからだ。』(P234)
『私にとっての「本も読めない社会」。それはあなたにとっては、たとえば「家族とゆっくり過ごす時間のない社会」であり「好きなバンドの新曲を追いかける気力もない社会」であり「学生時代から続けていた趣味を諦めざるをえない社会」である。』(まえがき)
全身全霊で働くことをやめて、「半身」で働く(片方は仕事であっても、片方は育児・介護・副業・趣味などほかのものに使う)ことを推奨しています。
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