厳選!ビジネス書 今年の200冊

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2024年185冊目 『とにかく可視化』は、会議時に目の前で話されたことをその通りに書くことで議論を深める

2024-06-06 09:43:36 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

この本では「眼前可視化」というノウハウを紹介します。

 

会議・商談時にリアルタイムに目の前で議事録を書きながら「議論を可視化しながら会議を進行する」というシンプルな方法で、これにより議論を深め、蓄積していくことを目的としています。

 

いかに言葉の定義が曖昧であるのか、論理が破綻しているのか、目的や手段が混在しているのか、同じことの繰り返しなのか・・・

 

参加者の目の前で話したことをその通りに書いていくと、このような欠点・歪み・ノイズに気づくと思います。

生産性向上の第一歩ですね。

 

【my pick-up】

◎決める会議とは?

私が在籍していたころのリクルートでは会議とは「決める場」であることが大半で、決めることが仕事という言葉が多くの先輩方の胸に刻まれていました。したがって、会議の司会進行・ファシリテーション(円滑に進める)役はその会議で1番大きな決裁権を持つ役職の高い人物が担うことが当たり前となっていたのです。これに付随して、参加メンバーも厳選されることになります。決める立場の人だけ呼んで、決められない・意志がない人は参加させない。意見を言えない人・意志がない人に対しては「なぜあいつを呼ぶんだ?」となってしまうくらいの雰囲気でした。

◎誰が眼前可視化を実行するのか?

社長や役員が参加する会議の場合は、社長はさすがにないとしても若手ではなく、その間くらいのナンバー3~4の役員クラスが眼前可視化をするのが好適です。ある種のカルチャーとして「議事録取るのは若い子」という不文律があります。これは、議事録を取る仕事の重要性が低いという認識がベースになっています。今回の眼前可視化は「議事録を取ることとは全く別、議論を進めるためのテクニック、ツール」という位置づけであり、非常に重要な業務だということを念頭に、誰が担当するのかについて決めてもらえればと思います。

◎問題発生要因を特定しないことの死活問題

そもそも問題発生要因は何か、なぜ成果が出ないかという観点で物事を見ていない人・組織は「振り返る」という概念も持ち合わせていません。振り返りが甘い企業は実は多く、運任せの場当たり的な判断と実行で何とかなってきてしまっている場合は、特にその傾向が強い。また振り返りノウハウそのものが欠如しているケースもあります。振り返りとは、事前にしっかりと計画を策定していないとできません。当初想定していたスケジュール・タスク・成果に対し、部署別、個人別に何がどこまで到達したのかという結果の整理と、なぜそういう結果になったのかという要因分析が必要なのです。

振り返ることなく、元気ゼロの状態から一定期間が経過し、体力が少しずつ回復してくると問題発生要因の特定、前回の途中放棄について振り返ることなく次の打ち手の議論が始まってしまう傾向があります。「打ち手を議論していると仕事している気になってしまう病」とでも名付けましょうか。打ち手の成果分析をせずに打ち手ばかりの議論が横行します。こういう場合の議論は自分たちの視界・経験・価値観の中で立案し続ける傾向が強く、問題発生要因を特定せず振り返りもしないくらいの水準に止まりがちです。

◎誰が何に何時間使っているか

多くの企業で「多くのメンバーが現在の業務でいっぱいいっぱい、人が足りない」という現象が起きています。ただ実態を詰めていくと、1人当たりの売上や利益にまだまだ伸びしろがあるのに、そういう声が出てしまっていることがわかります。生産性を見直す手立てはないのでしょうか?地味だが非常に有効な手段として、各人が何をどれくらいの時間を使ってやっているのかについて可視化することをおすすめしています。実際にやってみると、不要な業務がこれでもかというほど出てきます。

各人が多忙で人が足りない→採用だ!と短絡的な意志決定をしてしまう場合にもたくさん遭遇してきましたが、これは本当にムダです。人を増やす前にやるべきことがあるはずです。きっちりパフォーマンスを最大化できる運営を敷いた上で、それでも人を増やす必要があるのか否か。採用の前にやるべきことって、結構あるのです。

・必要のない会議に出ている

会議の中で多いのが、参加者はとにかく多い、意見を言っているのは数名、その他の傍観者はメモも取らずただ情報共有の意味で参加させられている・・・というようなものです。会議は議論するためのものであり、情報共有なら他の手段でOKと割り切ることが重要です。

・ブラインドタッチ、単語登録、雛形使いまわしなどを徹底していない

メールを作成する時に毎回同じ文章を手打ちしており、単語登録を通じて一発で言葉が出るようにしていないとか、ブラインドタッチがそもそもできていないとか、基礎行動を軽視している場合は驚くほど多いです。

・本人がやるべきことと、そうではないことの切り分けができていない

外部に委託して変動費化した方がよい業務も内製化してしまっているという場合もあるでしょう。「私がやるべき仕事だ!」と思って取り組むのと「私じゃなくて他の人がやった方が上手くいく仕事をたまたま私がやっている」と思いながら行うのとでは、成果も違ってくるはず。

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2024年184冊目 『CFO魂の鍛え方』は、金庫番から経営の羅針盤への役割転換が必要

2024-06-06 09:29:31 | おすすめビジネス書

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評価 (4点/5点満点)

元松下電器産業副社長で、日本におけるCFOの第一世代とも言える川上徹也さんが、経理・財務のプロフェッショナルとして身につけるべき思考、知識、戦略について紹介します。

 

CFOは、会社の資金をひたすら守る金庫番ではなく、企業価値を維持、向上する役割が求められます。

つまり、経営の羅針盤として、経営戦略に深く関わることが不可欠になっています。

これは徳成旨亮さんの『CFO思考』にも同様の考えが示されています。

 

当時の松下の中村社長とのやり取りも生々しく書かれており、

経理・財務の仕事に関わる方だけでなく、様々な業種・職種で働き、これから経営の中核として活躍する方にも参考となる1冊です。

 

【my pick-up】

◎CFOは日々IRの活動を通じて株主や投資家と向き合う

CFOになったばかりの私は、IRの役割が十分に分かっていなかったように思う。経理部長までの経験、知識では全く対応できなかったのがIRである。海外でのIR説明会の場では、著名アナリストから「中途半端だ」と罵倒されたり、投資家から「株をすべて売却する」と言い放たれたりした。

資本市場は常に先を見る。すでに終わった決算の数字を誇ったり、くどくどと説明したりしても、投資家には響かない。具体的な構造改革のプラン、将来に向けた成長シナリオ、バランスシートのあるべき姿など、これから先の戦略をわかりやすく示していくことが肝要である。そして、どんなに厳しいものであれ、社外の意見にきちんと耳を傾け、それを必要なら経営戦略に生かしていくことである。

◎B/Sを基軸にした経営

経営革新はP/Lからは生まれてこない。P/Lから生まれるのは改善である。B/Sを起点にしてこそ、大胆な革新が可能になる。例えば、棚卸資産(在庫)を劇的に削減しようと目標を定めた時、生産工程での最初のインプットから最終商品のアウトプットまで、すべての過程で合理化、効率化を進め、リードタイムを全体で縮める必要がある。消費者に届くまでの物流の見直しも忘れてはならない。そうした中で、抜本的な経営革新は生まれてくるのだろう。いかなる事業、いつの時代においても、バランスシート中心の経営は戦略の要諦である。

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