評価 (3点/5点満点)
社会で成功している人の秘密は、その人に合った「場所取り(ポジショニング)」と「タイミング」にあります。
「タイミング」はコントロール不能の所与の条件と考えるべきですが、「場所取り」=自分が陣取る場所をマネジメントすることはできます。
この本は、自分の陣地を決める「場所取り」をどうすればいいかを教示して、「自分の人生の主人公」になることをお手伝いします。
キャリアが終盤にさしかかり、定年が近づけば、組織に守ってもらえなくなりますから、自分の陣地を固めておかねばなりません。
また、組織での昇進が、かえってあなたの良さを殺してしまう可能性もあります。
著者・藤原和博さんの「キャリアの大三角形」理論(100人に1人の分野を3つ掛け合わせる)は有名ですが、実践できている人はまだまだ少ないと思います。
突然大病をしたり、災害や事故で死ぬ目に遭ったりすることがあり得ますので、人生にとって本当に大事なやりたいことを保留して生きていくのは、死ぬ直前になって後悔することになるでしょう。
【my pick-up】
◎あなたがやめるべき5つのこと
1.本当はやりたくないのに、つきあいや慣性の法則でしていたことから「逃げる」
・ゴルフが本当に好きですか?
・出たくもない結構披露宴に無理して出席していませんか?
2.本当にコミュニケーションしたい大事な人との時間を大切にするために、なんとなくの人間関係を「避ける」
・家族と会話もせずに、黙々と義理の年賀状に返事を書いたりしていませんか?
3.できないことは、はっきりと「断る」
・なんとなくずるずると続けていることはありませんか?
4.趣味だと思い込んでやってきたことのなかから、本当に好きで自分がリラックスできること以外は、回数を「減らす」
・ジムや英会話教室、ブランドの服が本当に好きですか?
・旅行にあと1回しか行けないとしたら、どこを選びますか?
5.他の誰かになろうとしたり、世間の目・他人の目によるこうなるともっとかっこいいだろうという「もっと」症候群を「やめる」
・会社の先輩を本当にうらやましいと思いますか?
・連休や夏休みに渋滞することがわかっているのに出かけ、疲れていませんか?
◎33歳からの猛烈な読書
人間は通常、自分1人で世の中を見ていますが、これだけ社会が多様化すると、自分1人の視点では限界があります。その点、本には著者が人生の膨大な時間をかけて獲得した独自の視点や専門性が詰まっています。本を読めば、その著者の視点から社会を疑似的に見ることができるのです。その視点をいかに数多く持つことができるか。圧倒的な読書体験は、ものを見たり考えたりする時の深みを増してくれます。私は読書の結果、組織の論理に簡単に飲み込まれない俯瞰的な意識を獲得しました。ちなみに、33歳からの約35年間で読んだ本は4000冊程度になります。
◎脳がつながる場所を作る
人生の後半戦を誰とどのように脳をつなげて生きるのか。それは、どのようなコミュニティを作り育て、自分の居場所にするかにほかなりません。ではどのようなコミュニティに入ればいいのでしょうか。意識すべきは、会社や組織とできるだけ離れること。なぜなら、会社や組織はあなたの人生を記憶しないからです。組織があなたの人生を記憶しないのは、組織が機能の集合体だから。仮にあなたがいなくなっても、次に機能を果たせる人がやってきて、その役割を埋めていきます。創業者さえも、株式を手放したら同じ扱いになります。自分の人生を記憶してほしければ、家族を含めたコミュニティに痕跡を残すことです。あなたの軌跡/奇跡の記憶媒体は、組織ではコミュニティなのです。
◎時間の使い方を変える
私は和田中学校の校長時代、朝はバスで通勤しましたが、帰りが遅くなる時には、タクシーを利用していました。自宅までは1200円くらい。もちろん教育委員会は交通費としてバス代しか認めていませんから自腹です。「通勤にタクシーなんて」と思われるかもしれませんが、理由があります。夜はバスの運行間隔が空いて、待ち時間が長いのです。もちろんバスに乗れば安く済みますが、それには時間という犠牲を伴います。私は、その犠牲は見合わないと判断しました。この発想のベースになったのが、自分の時給です。タクシーで帰れば、1日の貴重な時間のうち30分をセーブできる。1200円ならむしろ安いくらいだったのです。「忙しくて時間がない」と言う人は、時間に対する意識が低いのです。どんな人間でも1日は24時間しかありません。どうすれば時間を作れるか。そのためには、もっとアウトソースしましょう。お金を使ってプロに委ねるのです。
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