行徳生活日記

「行徳雑学館」作者の日記。

2009年2月14日(土)の日記

2009年02月14日 | 日記

昨夜は強い風が吹いていたけど、今日は1日穏やかな晴天。気温が急上昇していて、夕方のニュースによると5月中旬ぐらいの暖かさだったということ。日が照っている昼間に外へ出るときは、シャツだけでも十分なぐらいだった。だけど、これで春になるわけではないようだ。明日は暖かいけど今日ほど気温は上がらないとの予報。そして、週明けには冬の寒さが戻ってくるらしい。

昼飯は南行徳メトロセンターの松屋で最近登場した味噌てりチキン定食

松屋の鶏肉によるメニューは、これまでも気に入ったことがわりとあったように思うけど、今回も気に入った。

午後は映画のDVDを1枚見る。

夜は酒盛りしながらケーブルテレビの番組を見る。酒は毎年この時期に出る仁勇の純米大吟醸生原酒(720ml)。毎年、南行徳公園そばやバイパス欠真間のセブンイレブンで売っていた。今年は南行徳公園そばのセブンイレブンでは見当たらなかったが、バイパス欠真間のほうのセブンイレブンへ行ったら数本置いてあった。そこから1本買ってくる。

包装を見ると高そうに思えるが、3,000円とか5,000円とかするわけではなく、1,785円である。

コンビニや、スーパーの惣菜コーナーで買ったもの等々をつまみにして飲む。

今日は午後6時から9時まで3時間ぶっ通しでケーブルテレビ番組を見る。ファミリー劇場でNHK大河「武田信玄」のラスト2回。それと時代劇専門チャンネルで「大河ドラマアーカイブス」-源義経(1966年(昭和41年))の3回目。

「武田信玄」の最終回を見たのは、もう20年前あまり前。自分と同世代(小中学校の年次で言えばこちらが1年上になるが)の中井貴一が主演。その前年の「独眼竜政宗」の渡辺謙も自分より2、3歳上で、自分と同世代の俳優が主演をやり始めた頃だった。

いろいろと思い出すことはあるが、「武田信玄」の最終回というと今では笑ってしまうような思い出がひとつある。

その頃、毎週買っていたテレビ番組情報誌は「週刊テレビ番組」だった。(この雑誌は1990年代後半になくなってしまった。その後、今に至るまで買っているのは「TV Bros」。)

「週刊テレビ番組」の大河ドラマ紹介ページで「武田信玄」最終回のストーリー紹介が載っていた。ラストは「毘沙門天に祈り続けていた上杉謙信がついに神憑り状態になって出撃し、織田信長軍を打ち破る。敗走する織田信長の背後に武田信玄と上杉謙信の姿が山のようにそびえ立つのだった。」というものだった。

細かい文面まで正確に覚えているわけではないが、「信玄と謙信の姿が山のようにそびえ立つ」というところは、かなり確かだと思う。これを読んで自分としては、空に信玄と謙信の巨大な幻が現れる場面(かなり特撮ものっぽいけど)を予想したのだった。織田信長が振り返ると、自分を見下ろす信玄と謙信の雲を付くような巨大な姿の幻を見るというイメージだ。

巨大な人間の姿は、実体を持つ巨人にしても、幻とか映像にしても、表情とか視線とかが生々しいだけに、映像作品に登場すれば着ぐるみ怪獣よりも怖い。そして記憶に残りやすい。「ウルトラQ」の”変身”は人間の男性が身長30mの巨人に変身したという話だけど、これは皮膚感覚に訴えてくる怖さを感じた。「ウルトラQ」の初回放映時は自分が幼稚園に通っていた頃で、余りに怖くて見ることが出来なかった。見たのは2,3年の時間が経って平気になった頃に再放送でだったけど、それでも”変身”はほかのエピソードよりも怖さを感じた。

巨大な人間の幻が登場するもので、自分が覚えているものはと言うと、小学生の頃やっていた、ウルトラシリーズと同じ円谷作品で「怪奇大作戦」。その中の”幻の死神”では、壇ノ浦の源平古戦場の夜を行く遊覧船の前に巨大な亡霊が現れる。海からいくつもの手が突き出され、次に海に沈んだ平家の女官の巨大な後姿が海上に出現する。そして振り向くと顔が骸骨。これは密輸団が人を追い払おうとして映像を投影したものだった。(だけど、実際にそんなことをすれば人々の怖いもの見たさ心理を刺激して、さらにマスコミも集まってしまうだろうから逆効果になるとしか思えないのだが。)

そして、「怪奇大作戦」の最終回”ゆきおんな”。日光の戦場ヶ原だったと思うが、地平線に巨大な女の顔が現れる。これは、科学技術を利用した犯罪ではなく、最終回だけに人智を超えた現象として描かれたものだった。

そして1979年(自分が予備校生だった年)の映画「夜叉ヶ池」。泉鏡花の戯曲が原作ということ。宣伝していたけど、見ていない。でも、強烈に印象に残っているのが、多分ポスターだったと思うが、巨大な女性の姿の足元に集落や里山があるという絵。画像検索をしてみたが見つからない。だけど、宣伝チラシの画像はあった↓。

これは歌舞伎の女形の坂東玉三郎が演じた、夜叉ヶ池の主-白雪姫(ディズニーの白雪姫ではない)。自分の記憶に残っているのは、この白雪姫が集落や里山を覆いつくすように立つ姿。スケールから考えて幻の女性の身長は2000mから3000mになるのではないかと思える。物語の最後で村の掟を破ったために、夜叉ヶ池の主の怒りを買って村が洪水で全滅するという結末だったそうだが、それを暗示する絵だったのではないかと思う。(もう30年もたっているから記憶違いがあるかもしれないが)

そして1980年のアニメ「伝説巨神イデオン」。敵方の総司令官の娘でありながら、ひょんなことから主人公たちと行動を共にすることとなった女性カララ(声:戸田恵子)が、ピンチのときに自分の姿を空の雲に拡大投影して敵に呼びかけるという場面があった。敵メカのパイロットにしてみれば総司令官のお嬢さんが突然、空に巨大な姿で現れたのだからびっくりして攻撃の手を緩めてしまい、その隙に味方のメカが脱出するという展開だった。

「武田信玄」と同じ1988年頃だったと思うけど、CMで、少年が海の向こうに雲を付くような巨人がのっしのっしと歩く姿をイメージするというのがあった。これは自分にとっては印象に残るCMだった。確か、キャノンのCMではなかったかと思う。キャノンは光学機器やイメージ処理機器がメインの会社だから。(YouTubeで探してはみたけど、そのCMは見つからなかった)

そのようにして子供の頃から、怖い場面やファンタジー的な場面まで、映像やポスター等に登場する巨大に人間の姿をいろいろと見てきたのだから、「武田信玄」最終回で”そそり立つ”というのも、自分が見てきたものの延長上で考えていた。

そして、いよいよ織田信長(石橋凌)が敗走する場面が出てきて、その次の画面に映った映像を目にしたのだが、

「これかよー!」↓と思ったのだった。

多少は幻っぽくもあるけれど、顔だけとはいえ「怪奇大作戦」最終回”ゆきおんな”のようなものではない。単に画面に丸い枠を開け、上杉謙信と武田信玄、というよりはそれぞれの役に扮した柴田恭平と中井貴一の顔写真を出しました、というものでしかなかった。

これにはテレビの前でへなへなとなってしまい、すっかり落胆してしまった。

NHKでもかつて1970年代の中ごろには、女性の幻影が登場する番組があった。「未来への遺産」という、世界各地の遺跡を紹介していくドキュメンタリー番組だった。女優の佐藤友美が遺跡に現れては消える白塗り顔の女性の幻影を演じていた(別に巨大化はせず、等身大だったが)。だからNHKにもそうした映像を作るセンスは、「武田信玄」放映当時でも、決してないとはいえなかったと思うが、大きな組織は指揮命令系統がいくつもあるから、大河ドラマではあまり冒険をしなかったのかもしれない。

「週刊テレビ番組」以外のテレビ番組情報誌のストーリー解説は、どのように書かれていたかは今となっては分からない。”山のようにそびえ立つ”というのは「週刊テレビ番組」だけが書いたものなのかも知れない。でも、自分としては”山のようにそびえ立つ”という言葉から予想したイメージと、放映された映像との落差にがっかりしたことは確かだった。