別に旧来の友人が亡くなったというわけではない。
取引先では毎年、春と秋に次のシーズンにどんな商品が展開されるかという展示会がおこなわれる。先日の連休の最中、ある取引先の展示会に出向いた。
その目的は来シーズンの商品動向を知りたいというのは3割ほどで、平社員のころ一緒に仕事をしていた営業社員を訪ねることであった。というのは、社内の本部といわれる人間と話をしていてふと、彼のことを聞いてみたところ、今は営業を離れて物流の部門に異動しているということであった。
ちなみにかれは岸和田のリトルリーグの野球少年で、ライバルチームには清原がいたそうだ。清原は当時からとんでもない長打を放つ選手だったそうだ。
毎週水曜日になると閉店後売り場の模様替えをする。けっこう広大なスペースがあるので取引先のセールスマンにも応援を頼んで作業をする。(今では校正取引上問題があるのかもしれないが・・)歳も同じだということもあって、終わったあとはいつも近所のたこ焼き屋で缶ビールを飲んで騒いでいた。それ以外でも売上が厳しいと何か目玉品を入れてくれと頼んだり、僕のほうも彼の営業成績が厳しいときはこっそり納品伝票を上司の机の箱のなかに忍ばせたりというようなことをやっていた。頼りになる営業マンだった。
なかなか仕事熱心だったので東京の本社へ栄転していたなんていうこともあって疎遠になっていたのだが、彼が営業を離れたというのは驚きだった。
少し病気をしていたという話も聞いていたけれどもなかなか元気でやっていた。ただ、スーツ姿ではなく、エプロンにジーンズという姿であったことにはすこし驚きと寂しさを感じるのであった。「なんだかあれだよね、あんたと一緒に傘のパッキンかついでいた頃がいちばんおもしろかったよね。」なんていう話をしていると自分も歳を取ってしまったと思うのだが、それも仕方がない。会社の中でもやっぱり勝ち組と負け組みって必ずあるものだ。
彼の会社の今の顔ぶれを見ると、中途で他社から入ってきたひとが役員に昇格して、ほぼ同時に転職してきた同僚たちがその配下に納まっている感じだ。
日産のカルロス・ゴーンが逮捕されたというニュースが流れていたけれども、どこの会社でもそれなりの派閥争いというものがあるのだろう。彼をかわいがっていた役員は数年前に引退し、勢力図が変わって彼もその巻き添えを食ってしまったというところなのだろうか。
その役員とも仕事をしていたことがあるけれども、当時はまったく仕事をしない人であった。頼みごとはすぐに忘れるし、その模様替えのときでもあまり動かない。それがいまでは取締役支店長さんだ。現場力と政治力というのはやっぱり別物らしい。ぼくからすると、なんであんな人が出世してるの?という思いでそれを見ていた。(他人事ではあるのだが。)
かくいう僕も来年は55歳。役職定年を迎えて部下を持たない立場になり営業職で業務を続けられる可能性は限りなく低くて、そうなると彼の会社へ来シーズンの商品を見に行くこともないので、ここのところは絶対に彼に会っておかなければと思ったので休日にもかかわらず会いにいったのだった。
まあ、重用されることもなかったし、敵意をむき出しにされるほどの実力もなく、ウチの会社に派閥争いというものがあったのかどうかもわからないほど隅っこのほうを歩んできたわけだけれども、それはそれで自分にはちょうどよかったのではないだろうかと過去を振り返ってみるのだ。
セミナーに行ったりビジネス書を読んでいると「自己実現」という言葉がよく出てくるけれどもそれもまったくわからなかった。何をすれば自己を実現できるのか・・。会社の中で勝ち抜けたといってもそれでどういった満足が満たされるのか、どこまで行くと勝ち組になるのか。それがまったくわからなかった。そうなったからといって星の運行を変えることができるわけでなし、季節の巡りの順番を変えることができるわけでもない。
この30年間、そしてあと数年間、人生の半分以上の時間を会社のなかで過ごすわけだけれども、やっぱりそこには自己実現というものを見出すことができないのだ。
「利名は軽く一に釣艇の内なり。」というところだろうか・・。
取引先では毎年、春と秋に次のシーズンにどんな商品が展開されるかという展示会がおこなわれる。先日の連休の最中、ある取引先の展示会に出向いた。
その目的は来シーズンの商品動向を知りたいというのは3割ほどで、平社員のころ一緒に仕事をしていた営業社員を訪ねることであった。というのは、社内の本部といわれる人間と話をしていてふと、彼のことを聞いてみたところ、今は営業を離れて物流の部門に異動しているということであった。
ちなみにかれは岸和田のリトルリーグの野球少年で、ライバルチームには清原がいたそうだ。清原は当時からとんでもない長打を放つ選手だったそうだ。
毎週水曜日になると閉店後売り場の模様替えをする。けっこう広大なスペースがあるので取引先のセールスマンにも応援を頼んで作業をする。(今では校正取引上問題があるのかもしれないが・・)歳も同じだということもあって、終わったあとはいつも近所のたこ焼き屋で缶ビールを飲んで騒いでいた。それ以外でも売上が厳しいと何か目玉品を入れてくれと頼んだり、僕のほうも彼の営業成績が厳しいときはこっそり納品伝票を上司の机の箱のなかに忍ばせたりというようなことをやっていた。頼りになる営業マンだった。
なかなか仕事熱心だったので東京の本社へ栄転していたなんていうこともあって疎遠になっていたのだが、彼が営業を離れたというのは驚きだった。
少し病気をしていたという話も聞いていたけれどもなかなか元気でやっていた。ただ、スーツ姿ではなく、エプロンにジーンズという姿であったことにはすこし驚きと寂しさを感じるのであった。「なんだかあれだよね、あんたと一緒に傘のパッキンかついでいた頃がいちばんおもしろかったよね。」なんていう話をしていると自分も歳を取ってしまったと思うのだが、それも仕方がない。会社の中でもやっぱり勝ち組と負け組みって必ずあるものだ。
彼の会社の今の顔ぶれを見ると、中途で他社から入ってきたひとが役員に昇格して、ほぼ同時に転職してきた同僚たちがその配下に納まっている感じだ。
日産のカルロス・ゴーンが逮捕されたというニュースが流れていたけれども、どこの会社でもそれなりの派閥争いというものがあるのだろう。彼をかわいがっていた役員は数年前に引退し、勢力図が変わって彼もその巻き添えを食ってしまったというところなのだろうか。
その役員とも仕事をしていたことがあるけれども、当時はまったく仕事をしない人であった。頼みごとはすぐに忘れるし、その模様替えのときでもあまり動かない。それがいまでは取締役支店長さんだ。現場力と政治力というのはやっぱり別物らしい。ぼくからすると、なんであんな人が出世してるの?という思いでそれを見ていた。(他人事ではあるのだが。)
かくいう僕も来年は55歳。役職定年を迎えて部下を持たない立場になり営業職で業務を続けられる可能性は限りなく低くて、そうなると彼の会社へ来シーズンの商品を見に行くこともないので、ここのところは絶対に彼に会っておかなければと思ったので休日にもかかわらず会いにいったのだった。
まあ、重用されることもなかったし、敵意をむき出しにされるほどの実力もなく、ウチの会社に派閥争いというものがあったのかどうかもわからないほど隅っこのほうを歩んできたわけだけれども、それはそれで自分にはちょうどよかったのではないだろうかと過去を振り返ってみるのだ。
セミナーに行ったりビジネス書を読んでいると「自己実現」という言葉がよく出てくるけれどもそれもまったくわからなかった。何をすれば自己を実現できるのか・・。会社の中で勝ち抜けたといってもそれでどういった満足が満たされるのか、どこまで行くと勝ち組になるのか。それがまったくわからなかった。そうなったからといって星の運行を変えることができるわけでなし、季節の巡りの順番を変えることができるわけでもない。
この30年間、そしてあと数年間、人生の半分以上の時間を会社のなかで過ごすわけだけれども、やっぱりそこには自己実現というものを見出すことができないのだ。
「利名は軽く一に釣艇の内なり。」というところだろうか・・。
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