イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「永遠の0」読了

2013年11月28日 | Weblog
百田尚樹 「永遠の0」読了

この本を読んだ人は総じてどんな感想を持つのだろう。
僕は著者がマスコミによく出るようになってから読んでいるので、その言動をオーバーラップさせながら読んでしまったのだが、太平洋戦争は戦略次第では勝つことができた戦争だ。日本軍は本当は強かったんだ。負けてしまったその原因は大本営にあるのだがら、そこが変われば今でもやれるぞ、的な考えで書かれたように思えるし、同時に零戦パイロットの武勇伝にも見える。日本人の自虐史観的な思想を植えつけてしまったのは日本のマスコミ、特に新聞社の責任が大きいのだということを主張したいようにも思える。
最後に特攻で命を落とす主人公のひとりになるのであろう兵士の行動には、現場の人々の思い、国より家族だ。というもっとも人らしい人の思いがこめられているようにも思える。
しかし、一番訴えたかったのは、少なくともこんなに過酷な環境のなかで、まさしく命を投げうって守ってくれた人々がいたこの国を、今の世代の人々はいろいろな意味でもっと大切にいつくしむべきだと言いたいのだと思う。
うん、絶対にそうだと思う。自分の生まれた国に誇りをもって愛そうではないか。そういうことだ。

物語の構成や文体にはどうもググッとくるものはなかった。実験的な表現もないし、深く考えるような巧みな物語もないように思えた。
著者自身が放送作家出身ということなので、巧みな技巧は望むべきもないのだろうが・・・。解説は故 児玉清氏だったが、その絶賛ぶりはちょっと大げさではないのかと思ってしまった。

どのくらい前か、日曜日の午前中に、「ラブアタック」というテレビ番組があって、現役大学生だったこの人が何度か出ていたことをあとで知ったのかはわからないが、なぜか記憶に残っている。ある意味ふざけた人だ。林真理子も景山民夫もバラエティ番組に主演していてふざけたことをやりながら直木賞を取ったのだからそれが不自然なこととは言わないがどうもゲテモノ臭いのは否めない。

600ページに近い物語は大半が元特攻兵たちの独白で占められている。これはこれで太平洋戦争はこんな展開でおこなわれていたのかと初めて知ることができたのがよかった。
ポートモレスビーやオーエンスタンレー山脈、ラバウル、ガダルカナル・・・。聞いたことはあるけれどもこの戦争でどんな意味を持っていたのか、そういうことを知るにはいい1冊だったのかもしれない。

この本の不思議なところをもうひとつ、それは古本が売っていないことだ。文庫本だけでも250万部以上売れていてしかも単行本の発売から7年以上も過ぎているのに古本屋で見ることがない。一気に人気が出た作家でマスコミにもよく登場するようになり映画化もされるというので“せどり”の人々が買い占めているのか、それとも、戦争賛美にも思えるストーリーのせいで特殊な思想の人々が買い占めているだけなのか・・・。ぼくも探し続けてやっとみつけることができたのだ。
それと、多分、朝○新聞は絶対にこの本も映画も評価をすることはないのだと思う。マスコミの世界というのも恐ろしいものだ。
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