一般財団法人 日本包丁研ぎ協会/監修 「包丁・砥石の選び方、使い方、育て方: この1冊でもう迷わない」読了
包丁の研ぎ方の本を読んで包丁研ぎが上手くなろうなどとは通信教育で空手をマスターしようとするのと同じなんじゃなかろうかと思うのだが、教えてくれる人もいないのでこんな本を見つけて読んでみた。
しかし、「日本包丁研ぎ協会」というような団体があったというのも驚きだ。一般財団法人というのは最低300万円の資金を持っていないと設立できないというのだからかなり気合が入っていそうだ。
包丁のメーカーが共同して設立したのだろうが、包丁を買ったのはいいけれども自分で研ぐ人が少ないから切れなくなったというクレームが多いから啓蒙のために作ったのかもしれないと想像したりしてしまうとちょっと悲しいのである。
新しい包丁と買ってやろうと思ったきっかけのひとつは、自分なりにではあるがそれなりに研ぐのも上手くなってきたのではないだろうかと思っていて、錆びさせない工夫もできるようになってきたからだった。
しかし、今使っている砥石の番手は適切なのかとか、研ぎ続けているうちになぜだか切っ先のほうが鳥の嘴のように変形してしまうという悩みは続いたままだった。
まあ、そんな悩みのヒントになればいいと思って読んでみたというわけだ。
まあ、結局のところ、そう簡単にはわからないということだけがわかった。元々、今使っている砥石の番手自体がわからないので適切かどうかという以前の問題だ。本を読んでいるだけでは、「こんなザラザラ具合はOO番の砥石だ」というのはさすがにわからない。当たり前だ。
800番以下が荒砥、800番~3000番が中砥、それ以上が仕上げ砥だということだが、僕の砥石は一体何なのであろうか?一応、荒砥と中砥として使っているのだが、本当に適切かどうかがわからない。
ひとつ参考になったのは、面直し用の砥石は絶対に必要だということである。僕は100均で買った砥石をそれに使っているのだが、きちんと平面を作ろうとしたら、ダイヤモンド砥石を準備しなければならないらしい。早速ヨドバシで注文せねばと思うのである。値段次第だが・・。
そして、鳥の嘴問題については、包丁というのはすべて先端に向かってテーパー状の形になっているので切刃の角度は先端に向かうにつれて鋭角になっているそうである。それをどの場所も同じ角度で研いでいるからなのかもしれないという原因が浮かんできた。
それと、知ってはいたがまず僕にはできないと思っていた糸刃の付け方だが、それは仕上げ砥石を使ってワンストローク研ぐだけで完了するらしい。これは絶対に試してみなければならない。
鋼材の名前とその特徴も今後の購入の際には参考になりそうだ。和包丁に使われている鋼材の材料といえば青紙という鋼材と白紙という鋼材が有名だが、青紙は白紙にクロムとタングステンを添加して硬さを増しているので研ぎにくいが切れ味が鋭くその切れ味が長持ちする鋼材なのだとしか思っていなかった。それぞれの2号という鋼材が炭素含有量のバランスがよく一番流通しているものになる。しかし、この本によると、それぞれで切れ味に特徴があるのだという。
青紙は鉄以外の鉱物が含有されているので刃先にも当然存在する。それが食材に引っ掛かるので切れ味のスムーズさを阻害するというのである。だから、青紙2号を使った包丁では、皮はよく切れるが身を切るときには抵抗を感じる。白紙2号を使った包丁では皮には刃が入りにくいが身を切る際の抵抗はかなり軽く感じるという。
硬めの野菜を切るときなどは刃に引っ掛かりがあることで刃が進みやすくなりよく切れると評価をされている。そういえば、うちにもある菜切り包丁は多分青紙2号の鋼材を使っているようだが、母親はそれを知って買ったのかどうか、理にかなっているということかもしれない。ものすごく研ぎにくいので今では収納庫の奥で眠ったままになっているのだが・・。
しかし、切るときの感覚と食べた時のおいしさは別で、切れ味の違いで食材の雑味の有無や多寡が変わると言われている。日本料理には、「割主烹従」という言葉があるそうだ。「割」すなわち食材を切る仕事が第一で、「烹」すなわち火を使った加熱調理がこれに続くという価値観を表した言葉だそうだが、それだけ切るということは重要な工程だということである。
青紙鋼は食材を引っかくため、細胞に負荷がかかり、雑味が出やすい。しかし、食材によっては雑味がまったくないと味が薄いと感じることもあるので、獲れたての新鮮な魚などは青紙鋼のほうが美味しく切れるという意見もあるそうだ。
そんなことを言われると、釣ったその日に食べてしまう僕などは青紙鋼の包丁のほうが適しているということになる。また1本欲しくなってくるではないか・・。
ステンレスの牛刀も1本欲しいと思っているのだが、ステンレス鋼では銀紙3号、5号、1号、ASU-8、V金10号という素材が有名だそうだ。
ASU-8という鋼材はモリブデン鋼、モリブデンパナジウム鋼とも言われて販売されているそうだが、一般的には家庭用でプロ用ではないそうだ。「腕はアマチュア、心だけはプロフェッショナル」と不遜なことを思っている僕にとっては使いたくないと思ってしまう鋼材だ。
JIS規格で定められたSUS420J2の不純物を減らして炭素量を増やしたのが銀紙鋼だ。その中の3号というのがもっとも炭素量が多く、本職用の包丁として需要が高いらしい。和包丁としての作りも多いらしく、和食の料理人からの支持も高いということである。
洋包丁の種類が豊富なのはV金10号である。VG10とも呼ばれる。武生特殊鋼材社というところが作っていて、クロム、モリブデン、コバルトなどが添加されている。
ダマスカス鋼という縞模様の包丁はほとんどがこの鋼材だそうである。
これは今後の購入の参考になる。
しかし、銀紙3号の牛刀の値段を調べてみると、僕が買った出刃包丁よりも値段が高い・・。
これは買おうとしても無理だ・・。
そして洋包丁の産地だが、僕が目をつけたのは越前の包丁だ。元々、刀の産地であったが、鎌も作るようになり江戸時代には日本一の生産量を誇っていたそうだ、それが低迷して包丁の生産に切り替えたということだ。昭和も中頃を過ぎてからの再興だそうだが、なんとなくいいように思う。
お隣の関はちょっとメジャーすぎるので、僕は隠れた銘品を探したいと思うのである。
そして包丁で刃ないが、必ずペアとなるまな板の情報も掲載されている。
まな板の素材としては木製がいいのだが、酢酸ビニル製も包丁を傷ませないまな板だそうだ。これもヨドバシで探さねばと思うのである。
なかなか情報盛りだくさんのムック本であった。
包丁の研ぎ方の本を読んで包丁研ぎが上手くなろうなどとは通信教育で空手をマスターしようとするのと同じなんじゃなかろうかと思うのだが、教えてくれる人もいないのでこんな本を見つけて読んでみた。
しかし、「日本包丁研ぎ協会」というような団体があったというのも驚きだ。一般財団法人というのは最低300万円の資金を持っていないと設立できないというのだからかなり気合が入っていそうだ。
包丁のメーカーが共同して設立したのだろうが、包丁を買ったのはいいけれども自分で研ぐ人が少ないから切れなくなったというクレームが多いから啓蒙のために作ったのかもしれないと想像したりしてしまうとちょっと悲しいのである。
新しい包丁と買ってやろうと思ったきっかけのひとつは、自分なりにではあるがそれなりに研ぐのも上手くなってきたのではないだろうかと思っていて、錆びさせない工夫もできるようになってきたからだった。
しかし、今使っている砥石の番手は適切なのかとか、研ぎ続けているうちになぜだか切っ先のほうが鳥の嘴のように変形してしまうという悩みは続いたままだった。
まあ、そんな悩みのヒントになればいいと思って読んでみたというわけだ。
まあ、結局のところ、そう簡単にはわからないということだけがわかった。元々、今使っている砥石の番手自体がわからないので適切かどうかという以前の問題だ。本を読んでいるだけでは、「こんなザラザラ具合はOO番の砥石だ」というのはさすがにわからない。当たり前だ。
800番以下が荒砥、800番~3000番が中砥、それ以上が仕上げ砥だということだが、僕の砥石は一体何なのであろうか?一応、荒砥と中砥として使っているのだが、本当に適切かどうかがわからない。
ひとつ参考になったのは、面直し用の砥石は絶対に必要だということである。僕は100均で買った砥石をそれに使っているのだが、きちんと平面を作ろうとしたら、ダイヤモンド砥石を準備しなければならないらしい。早速ヨドバシで注文せねばと思うのである。値段次第だが・・。
そして、鳥の嘴問題については、包丁というのはすべて先端に向かってテーパー状の形になっているので切刃の角度は先端に向かうにつれて鋭角になっているそうである。それをどの場所も同じ角度で研いでいるからなのかもしれないという原因が浮かんできた。
それと、知ってはいたがまず僕にはできないと思っていた糸刃の付け方だが、それは仕上げ砥石を使ってワンストローク研ぐだけで完了するらしい。これは絶対に試してみなければならない。
鋼材の名前とその特徴も今後の購入の際には参考になりそうだ。和包丁に使われている鋼材の材料といえば青紙という鋼材と白紙という鋼材が有名だが、青紙は白紙にクロムとタングステンを添加して硬さを増しているので研ぎにくいが切れ味が鋭くその切れ味が長持ちする鋼材なのだとしか思っていなかった。それぞれの2号という鋼材が炭素含有量のバランスがよく一番流通しているものになる。しかし、この本によると、それぞれで切れ味に特徴があるのだという。
青紙は鉄以外の鉱物が含有されているので刃先にも当然存在する。それが食材に引っ掛かるので切れ味のスムーズさを阻害するというのである。だから、青紙2号を使った包丁では、皮はよく切れるが身を切るときには抵抗を感じる。白紙2号を使った包丁では皮には刃が入りにくいが身を切る際の抵抗はかなり軽く感じるという。
硬めの野菜を切るときなどは刃に引っ掛かりがあることで刃が進みやすくなりよく切れると評価をされている。そういえば、うちにもある菜切り包丁は多分青紙2号の鋼材を使っているようだが、母親はそれを知って買ったのかどうか、理にかなっているということかもしれない。ものすごく研ぎにくいので今では収納庫の奥で眠ったままになっているのだが・・。
しかし、切るときの感覚と食べた時のおいしさは別で、切れ味の違いで食材の雑味の有無や多寡が変わると言われている。日本料理には、「割主烹従」という言葉があるそうだ。「割」すなわち食材を切る仕事が第一で、「烹」すなわち火を使った加熱調理がこれに続くという価値観を表した言葉だそうだが、それだけ切るということは重要な工程だということである。
青紙鋼は食材を引っかくため、細胞に負荷がかかり、雑味が出やすい。しかし、食材によっては雑味がまったくないと味が薄いと感じることもあるので、獲れたての新鮮な魚などは青紙鋼のほうが美味しく切れるという意見もあるそうだ。
そんなことを言われると、釣ったその日に食べてしまう僕などは青紙鋼の包丁のほうが適しているということになる。また1本欲しくなってくるではないか・・。
ステンレスの牛刀も1本欲しいと思っているのだが、ステンレス鋼では銀紙3号、5号、1号、ASU-8、V金10号という素材が有名だそうだ。
ASU-8という鋼材はモリブデン鋼、モリブデンパナジウム鋼とも言われて販売されているそうだが、一般的には家庭用でプロ用ではないそうだ。「腕はアマチュア、心だけはプロフェッショナル」と不遜なことを思っている僕にとっては使いたくないと思ってしまう鋼材だ。
JIS規格で定められたSUS420J2の不純物を減らして炭素量を増やしたのが銀紙鋼だ。その中の3号というのがもっとも炭素量が多く、本職用の包丁として需要が高いらしい。和包丁としての作りも多いらしく、和食の料理人からの支持も高いということである。
洋包丁の種類が豊富なのはV金10号である。VG10とも呼ばれる。武生特殊鋼材社というところが作っていて、クロム、モリブデン、コバルトなどが添加されている。
ダマスカス鋼という縞模様の包丁はほとんどがこの鋼材だそうである。
これは今後の購入の参考になる。
しかし、銀紙3号の牛刀の値段を調べてみると、僕が買った出刃包丁よりも値段が高い・・。
これは買おうとしても無理だ・・。
そして洋包丁の産地だが、僕が目をつけたのは越前の包丁だ。元々、刀の産地であったが、鎌も作るようになり江戸時代には日本一の生産量を誇っていたそうだ、それが低迷して包丁の生産に切り替えたということだ。昭和も中頃を過ぎてからの再興だそうだが、なんとなくいいように思う。
お隣の関はちょっとメジャーすぎるので、僕は隠れた銘品を探したいと思うのである。
そして包丁で刃ないが、必ずペアとなるまな板の情報も掲載されている。
まな板の素材としては木製がいいのだが、酢酸ビニル製も包丁を傷ませないまな板だそうだ。これもヨドバシで探さねばと思うのである。
なかなか情報盛りだくさんのムック本であった。