アンドルー・H. ノール/著 斉藤 隆央/訳 「生命 最初の30億年―地球に刻まれた進化の足跡」読了
カンブリア紀の不思議な生き物については何冊か読んだことがあるけれども、この本はその前の時代について書かれた本だ。
カンブリア紀の前、先カンブリア紀の生き物というのはエディアラカラ生物群というのが有名だが、この本ではさらに時代を遡っている。もう、その時代になってくると細菌の世界になってくる。化石といってもこれは本当に化石なのかというものになってくるのでまるで推理ゲームをするような展開になっている。
時代は43億年前、この時代に生命の萌芽が見られると著者は推理している。実際、代謝をしながら世代交代をする、膜によって外界と隔てられた生物(これが生物の定義だそうだ)がどんなきっかけで生まれたかということはこの本にも具体的なことは書かれていないが、その最初はRNAであったかもしれないと書かれている。RNAというのはDNAから転写された情報を受けてたんぱく質をつくる核酸だが、この物質が雪のように降り積もって積層してできた有機物の膜の間に挟まれて細胞のような形のものができたというのだ。イメージとしてはラザニアのようなものだったのだろうか・・。
その場所は海底の熱水が噴出する場所であった。その痕跡は炭酸岩塩の結晶として発見された。ただ、あまりにも古い地層のためにこれが自然に結晶してできたのか、生物(好熱性微生物)なのかはじつははっきりわからないそうだ。ただ、ストロマトライトの化石の構造にはよく似ているので生物の痕跡であるという期待は大きい。
それから約28億年という長い時代は細菌の時代であった。RNAによる情報伝達はDNAがとってかわる。また、バクテリア同士の融合というものも進んだ。有名な話だが、葉緑体やミトコンドリアは他の細菌に取り込まれたバクテリアの名残なのである。初期の生物というのはかなり自由だったようだ。そんな自由な生き方が今の生物がもつ細胞の基礎を作ったということか。その次にDNAが核膜で包まれた真核生物が生まれる。多細胞生物への足掛かりである。
ここからが生物の多様性のスタートになる。
ただ、そう簡単にはいかない。次の時代はエディアラカラ生物群という殻を持たない生物の時代を迎えるが、その前に細菌たちの大量絶滅が待っていた。全球凍結という、赤道面にまで氷河がやってくる時代だ。細菌の時代は非常に安定したと想像でき、この大量絶滅がなければ新しい生物の時代の幕は開かなかったと考えられている。巨大隕石が衝突して恐竜が絶滅し哺乳類の時代を迎えたのと同じことがこの時代でも起こっていたというのである。
なんとも長い長い物語だ。簡単に28億年というけれども、あまりにも長すぎて想像できない。そして、地球が生まれて46億年というが、生物というのは地球が出来上がってかなり早い時期に生まれたというのが驚きだ。地球は最初のころからすでに不毛の地ではなかったというのが驚きだ。
なんとかわかるところを拾ってつなげるとこんな感じだろうか・・。
かなり抜けている部分があると思うがこれが僕の読解力の限界だ。
以下に備考として単語の解説を書いておく。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
シアノバクテリア
藍色細菌ともいう。かつては藍藻と呼ばれていたが、近年の研究により、細菌類と同じ原核生物であることが明らかになった。クロロフィルa、β(ベータ)‐カロテン、フィコビリンなどの色素を含み、光合成を行う。湿地や水たまり、あるいは水槽の縁などに発生して、緑色のねばねばした膜状になる。最古の生物の1つで、35億年前の地層からシアノバクテリアに似た化石が発見されている。進化遺伝学的な研究により、光合成能力をもつシアノバクテリアが、他の細菌と共生的に合体することによって真核生物が生じ、シアノバクテリアは葉緑体となったと考えられている。
ストロマトライト
藍藻(シアノバクテリア)類の死骸と泥粒などによって作られる層状の構造をもつ岩石のことである。特に、内部の断面が層状になっているものを指す。
原核生物
真核、つまり明確な境界を示す核膜を持たない細胞からなる生物のことで、すべて単細胞生物。
真核生物と対をなす分類で、性質の異なる細菌(バクテリア)とアーキア(旧名:古細菌)の2つの生物を含んでいる。細菌はこれ
真核生物
動物、植物、菌類、原生生物など、身体を構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる細胞小器官を有する生物である。真核生物以外の生物は原核生物と呼ばれる。
生物を基本的な遺伝の仕組みや生化学的性質を元に分類する3ドメイン説では、古細菌(アーキア)ドメイン、細菌(バクテリア)ドメインと共に生物界を3分する。他の2つのドメインに比べ、非常に大型で形態的に多様性に富むという特徴を持つ。かつての5界説における動物界、植物界、菌界、原生生物界の4界は真核生物に含まれている。
古細菌
生物の主要な系統の一つである。細菌(バクテリア)、真核生物(ユーカリオタ)と共に、全生物界を3分している。古細菌は形態や名称こそ細菌と類似するが、細菌とは異なる系統に属しており、その生態機構や遺伝子も全く異なる。非常に多様な生物を含むが、その代表例として高度好塩菌、メタン菌、好熱菌などが良く知られている。
カンブリア紀の不思議な生き物については何冊か読んだことがあるけれども、この本はその前の時代について書かれた本だ。
カンブリア紀の前、先カンブリア紀の生き物というのはエディアラカラ生物群というのが有名だが、この本ではさらに時代を遡っている。もう、その時代になってくると細菌の世界になってくる。化石といってもこれは本当に化石なのかというものになってくるのでまるで推理ゲームをするような展開になっている。
時代は43億年前、この時代に生命の萌芽が見られると著者は推理している。実際、代謝をしながら世代交代をする、膜によって外界と隔てられた生物(これが生物の定義だそうだ)がどんなきっかけで生まれたかということはこの本にも具体的なことは書かれていないが、その最初はRNAであったかもしれないと書かれている。RNAというのはDNAから転写された情報を受けてたんぱく質をつくる核酸だが、この物質が雪のように降り積もって積層してできた有機物の膜の間に挟まれて細胞のような形のものができたというのだ。イメージとしてはラザニアのようなものだったのだろうか・・。
その場所は海底の熱水が噴出する場所であった。その痕跡は炭酸岩塩の結晶として発見された。ただ、あまりにも古い地層のためにこれが自然に結晶してできたのか、生物(好熱性微生物)なのかはじつははっきりわからないそうだ。ただ、ストロマトライトの化石の構造にはよく似ているので生物の痕跡であるという期待は大きい。
それから約28億年という長い時代は細菌の時代であった。RNAによる情報伝達はDNAがとってかわる。また、バクテリア同士の融合というものも進んだ。有名な話だが、葉緑体やミトコンドリアは他の細菌に取り込まれたバクテリアの名残なのである。初期の生物というのはかなり自由だったようだ。そんな自由な生き方が今の生物がもつ細胞の基礎を作ったということか。その次にDNAが核膜で包まれた真核生物が生まれる。多細胞生物への足掛かりである。
ここからが生物の多様性のスタートになる。
ただ、そう簡単にはいかない。次の時代はエディアラカラ生物群という殻を持たない生物の時代を迎えるが、その前に細菌たちの大量絶滅が待っていた。全球凍結という、赤道面にまで氷河がやってくる時代だ。細菌の時代は非常に安定したと想像でき、この大量絶滅がなければ新しい生物の時代の幕は開かなかったと考えられている。巨大隕石が衝突して恐竜が絶滅し哺乳類の時代を迎えたのと同じことがこの時代でも起こっていたというのである。
なんとも長い長い物語だ。簡単に28億年というけれども、あまりにも長すぎて想像できない。そして、地球が生まれて46億年というが、生物というのは地球が出来上がってかなり早い時期に生まれたというのが驚きだ。地球は最初のころからすでに不毛の地ではなかったというのが驚きだ。
なんとかわかるところを拾ってつなげるとこんな感じだろうか・・。
かなり抜けている部分があると思うがこれが僕の読解力の限界だ。
以下に備考として単語の解説を書いておく。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
シアノバクテリア
藍色細菌ともいう。かつては藍藻と呼ばれていたが、近年の研究により、細菌類と同じ原核生物であることが明らかになった。クロロフィルa、β(ベータ)‐カロテン、フィコビリンなどの色素を含み、光合成を行う。湿地や水たまり、あるいは水槽の縁などに発生して、緑色のねばねばした膜状になる。最古の生物の1つで、35億年前の地層からシアノバクテリアに似た化石が発見されている。進化遺伝学的な研究により、光合成能力をもつシアノバクテリアが、他の細菌と共生的に合体することによって真核生物が生じ、シアノバクテリアは葉緑体となったと考えられている。
ストロマトライト
藍藻(シアノバクテリア)類の死骸と泥粒などによって作られる層状の構造をもつ岩石のことである。特に、内部の断面が層状になっているものを指す。
原核生物
真核、つまり明確な境界を示す核膜を持たない細胞からなる生物のことで、すべて単細胞生物。
真核生物と対をなす分類で、性質の異なる細菌(バクテリア)とアーキア(旧名:古細菌)の2つの生物を含んでいる。細菌はこれ
真核生物
動物、植物、菌類、原生生物など、身体を構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる細胞小器官を有する生物である。真核生物以外の生物は原核生物と呼ばれる。
生物を基本的な遺伝の仕組みや生化学的性質を元に分類する3ドメイン説では、古細菌(アーキア)ドメイン、細菌(バクテリア)ドメインと共に生物界を3分する。他の2つのドメインに比べ、非常に大型で形態的に多様性に富むという特徴を持つ。かつての5界説における動物界、植物界、菌界、原生生物界の4界は真核生物に含まれている。
古細菌
生物の主要な系統の一つである。細菌(バクテリア)、真核生物(ユーカリオタ)と共に、全生物界を3分している。古細菌は形態や名称こそ細菌と類似するが、細菌とは異なる系統に属しており、その生態機構や遺伝子も全く異なる。非常に多様な生物を含むが、その代表例として高度好塩菌、メタン菌、好熱菌などが良く知られている。