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イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「有次と庖丁」読了

2017年06月02日 | 2017読書
江弘毅 「有次と庖丁」読了

新聞のコラムに、「いま、一をたくさん売る人のことを拍手し過ぎ。……面白くないですよね。何もないところから一をつくれる人の方がすごいですよ。」という文章が掲載されていた。
この文章は、この本の中の一節であると紹介されていた。
“何もないところから一をつくれる人”というのは確かにすごいと思う。

タイトルの「有次」というのは京都の錦市場にある包丁店の名前だ。鍛冶屋ではない。今風にいうと、OEMで作られた包丁を自社ブランドとして売っている。ということになる。
主な商品は堺で作られているそうだ。本文を読むと、コラムの言葉を言った人はとあるレストランのオーナーで、包丁鍛冶のことを言っているのだが、そこには「有次」の橋渡しがあってこそのプロの要望に答えられるものづくりが存在するのだというのがこの本の趣旨である。メーカーではないけれども、ちゃんとものづくりをしているのだということだ。
顧客である料理人のニーズを製作者に伝えて満足のいくものを作る。それが本当の「店」の役割であるというのだ。
僕も一応、小売業で給料をもらっているわけだが、そういう文章を読むと地面に顔を埋めたくなる。
「これが今年の流行ですよ~。」と言われて、はい、そうですか。と答え、「このバーゲン品は安いですよ~。」と言われて、はい、そうですかと答え、「ウチのブランドはこういう売り方をしますから口出ししないでください。」と言われて、はい、そうですかと答える。
99.9%はそんな感じだ。そこには顧客のニーズの橋渡しがあるわけでもなく、ましてやものづくりにかかわっているという感触もない。

なんだか僕の存在する業界がかなり厳しいところにきているというのもうなずけてしまう。
これくらいの規模で商売をやっているうちは顧客の顔がよく見えてその橋渡しをすることでものづくりにかかわることができるのだろうが、それを超えて規模が大きくなってくるとそれができなくなってしまう。大量に売りさばかないと会社が立ち行かないから最大公約数が必要なのだ。それも一理ある。
しかし、自分のことを振り返ると、プロの顧客相手に満足のいくものづくりをコーディネートできるかというと、どの業界に存在していたとしても、そんな集中力や説得力や根気、体力がないのは明らかで、大きな流れのなかでなんとか沈まないように浮かび続けているしかないのだと納得してしまった。

給料をもらいながら言えたことではないが、毎日なんだか物足りないのは、“何もないところから一をつくる”という行為がないからだとあらためて気付いてしまった。
そうなんだ、もともと、なんでも自分で作ってみたい性分の人間が、営業マンが持ってきた商品を見て「はい、そうですか。」と言うしかできないというのは服の上から背中を掻いているようなものだ。今となってはしかたがないが・・・。


せっかく「有次」というお店を知ったので魚の骨抜きを買い求めてみた。さすがに包丁には手が出なかったので500円の骨抜きだ。しかし、ちゃんと刻印が押されている。
使い心地はどうだかわからないが、これが本当のブランドだと骨抜きが自慢しているように見えた。


水軒沖釣行

2017年06月02日 | 2017釣り
場所:水軒沖
条件:小潮 5:46干潮
釣果:(ふたりで)サバ1匹 マルアジ50匹

今日はいつも山菜採りでお世話になっている森に暮らすひまじんさんをお招きしての釣行だ。僕の経験とヘッポコな勘ではサバの群れはあっという間に通り過ぎてゆく。前回好調だったのですかさず山を下りてもらった。
しかしながら、朝からいやらしい色の雲が垂れ込め、突然の大雨が降ってくるし、おまけに今日は北寄りがポイントだと踏んで目星をつけた場所はまったくアタリがない。



およそ1時間、アタリがないままどうしたものかと思案していると陸に近いところに見覚えのある青いスパンカーを張った船が浮いている。あれはフェイスブックで釣果の情報交換をしているOOさんの船ではないだろうか。
近づいてみるとたしかにOOさんだ。「どうですか?。」と問いかけてみると、とりあえずここで粘りなさいという指示をいただいた。彼はほぼ毎日この海域でチョクリ釣りをやっている。彼の言葉には間違いがない。きっと。まったく手立てがない中で心強いアドバイスだ。
僕ひとりならボウズでもなんとも思わないが、ひまじんさんにはなんとか魚を持って帰ってもらいたい。

言葉を信じて仕掛けを下すと間もなくアタリがあった。マルアジだ。それからは僕にもひまじんさんにもポツポツとアタリが続く。
ひまじんさんは年に1回しかこの釣りをしないはずだが、なかなかうまいこと長い長い胴突き仕掛けを操っている。

前半は魚探に映らないほどの薄い群れのようだったが次第に魚探にも魚影が映るようになってきた。一荷で上がってくることもあり、生け簀の中も次第ににぎやかになってきた。
サバは1匹しかなかったものの、マルアジは50匹。まずまずの釣果になった。
釣れるタナは水深15メートル~20メートルだ。これだけ浅ければサバも食ってくると思うのだが、やはり昨夜の嵐のような天気が影響しているのだろうか・・。

なんとか釣果も形になったので午前9時に終了。帰りは心配した天気も回復し、真夏のような雰囲気であった。