イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「オーパ!」読了

2010年02月22日 | Weblog
開高健「オーパ!」読了
多分、師の著作のなかで一番売れている本ではないだろうか。
有名な「一日幸せになりたければ・・・」という古諺が載っている本だ。
朝日新聞の日曜版の書籍の欄に「百年読書」というのがるのだが、今月取り上げられている本がこの「オーパ!」だ。感想を書いて送ってみたらその文章の一部が1月31日の分に掲載されたのでまた読み返してみたところだ。
もう、何回読んだことだろうか、読むたびに興味の赴く先が変わってくる。
釣りにしか興味がなかったころは掲載されている写真に、作家に興味を持ってくるとその文章に、作家の人生を知ると釣りとはまったく関係のない章にと、いろいろな人がいろいろな思いで読むことができるのが名著でありベストセラーであるゆえんだろう。

アイザックウオルトンの「釣魚大全」は不況や戦争が興るたびに版を重ねられたというが、釣りの本というのはそんな面もあるのだろう。やっぱり読んでいてわくわくしてくる。
そのときだけ自分の周りにある嫌なことを忘れることができるような気がする。
「釣りを終えて空港のロビーを歩いていると不意に滅形が襲いかかってきた。」という言葉が最後の方に出てくるが、僕もこの本を読んでいるあいだは滅形から逃れられていたのかもしれない。

作家が46歳のときの釣行記で僕も今年46歳。今、この書き込みをしている最中、BSでアルゼンチンではあるがドラドフィッシングの模様を放送している。おまけに会社は業績不振であえいでいる最中。いま、この本を読み返しているのも偶然ではないのかもしれない。
前に読んだのはちょうど3年前。そのときには偶然にも大型本の古本を見つけたようだ。このときもやっぱり何かそれ以上のものを感じたようだ。
http://blog.goo.ne.jp/matufusa/e/27d6680455c3dc6c1f9bdf1b345b4bf2

テレビに出てくるタックルは最新のものだが、この釣行で師が持っていったタックルはPEラインはおろか、カーボンロッドがまだ珍しい頃のはずだ。この本で出てくるロッドのABU「ディプロマット」にはカーボン仕様はなかったはずだ。
今の時代に師が生きていたら、きっと、「技術は進歩したが人類は退化の一途をたどっている。何やってんの?」と皮肉なことをおっしゃるのだろうな。
コメント
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