鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

出版業界に出でよ、パラノイア

2008-09-10 | Weblog
 主婦の友社が今年6月に看板雑誌の「主婦の友」を休刊したのに続いて、朝日新聞社がオピニオン雑誌「論座」を9月1日発売の10月号で休刊、講談社も月刊総合誌「現代」を12月1日発売号で休刊する。いずれも会社を代表する雑誌で、ネットの普及で雑誌が売ればくなってきたのが最大の理由。これまでは他の事業なり、雑誌でその落ち込みをカバーしてきたが、出版社自体の経営も苦しくなってきていて、そうもいかなくなってきたようで、雑誌そのもののあり方が問われることとなりそう。
 講談社の「現代」は1966年創刊で、講談社ノンフィクション賞の発表誌でもあり、ジャーナリスティックな切り口で好評を博していた。発行部数は96年には36万部あったのが、現在は8万部に落ち込み、ここ10年来採算割れが続いていた。朝日新聞社の「論座」は1995年に創刊され、ライバル紙の読売新聞の渡辺恒雄主筆を登場させるなど右、左なく取り上げるユニークな編集方針で、時に完売の号が出るなど注目されたが、台所の実態は印刷部数2万部で完売しても赤字だった、という。
 この他にもこのところ集英社の映画誌「ROADSHOW」と「PLAYBOY日本版」、小学館の漫画誌「週刊ヤングサンデー」、マドラ出版の「広告批評」、講談社の「KING」と「Style」、世界文化社の「GRACE」、リクルートの「ビーイング」などが休刊となっている。出版科学研究所によると、今年1-7月の雑誌の創刊件数が100件なのに対し、休廃刊は107件と従来は常に休廃刊の数を創刊のが上回っていたのに、今年になって逆転した、という。
 この最大の理由がインターネットの普及で、ネット上でただで情報が得られるからで、お金を出して雑誌を買わなくなっている。ネットの普及は広告面でも出版社の経営を大きく圧迫している。電通の調べによると、2007年のインターネット広告費は4591億円で、雑誌広告費の4585億円を初めて上回った。雑誌に広告を出しても効果がないから、ネットへ広告するようになり、この傾向はさらに拍車がかかるものと思われる。
 基本的にはコンセプトの似たような雑誌が氾濫し、どの雑誌も特徴がないことに尽きるが、出版社の売上は販売収入と広告収入から成り立っており、広告が減少すれば、販売収入に頼ることになるが、売れ行き不振では値上げをするわけにはいかず、勢い休廃刊ということに落ち着くしかないのかもしれない。
 ここは出版に基本であるマーケットで対象の読者を絞り、そのターゲットに向けた編集方針を決めて、少部数でも経営の成り立つような戦略を立てるしかないのだろう。それには変化するマーケットにニーズを絶えず探り当てるようなことも求められるだろう。雑誌を創刊するには常人にはない大変なエネルギーが要る。もし、それなくして創刊しているようなら、そんな雑誌は遠からず休廃刊の憂き目に遭うだろう。
 米国の半導体メーカー、インテルの創業者、アンドリュー・グローブ会長がかつて「パラノイアだけが生き残る」と言ったことがある。業態は異なるが、事業を営む者として相通ずるものがある。出版業界にもパラノイアが必要なのだろう。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どこへいったのか、110兆円のマネー

2008-09-09 | Weblog
 8日夕、待ち合わせで東京・青山の地下鉄青山一丁目駅近くの喫茶店で休んでいたら、中年の男性2人が入ってきて、隣のテーブルに着いて、やおら話し出した。本を読みながら、聞くともなく聞こえてきた話を聞いて驚いた。どこか都心の土地650坪のうち400坪を坪1億円で買うことで、どこか外資系の銀行から融資を受ける話をしている。会長と呼ばれた60前後のスーツ姿の男性が周りも憚らず、携帯電話で部下を呼びだし、前の男性に確認しているのは松本清張のミステリー小説じみている。まるで、20年前のバブルが再燃しつつあるのか、と思わせる一場面であった。
 都心の土地の時価が1坪1億円になった、という話は聞かないが、表面に表れている経済指標は悲観的なものばかりである。今年4-6月期のGDP(国内総生産)は前期比0.6%減(年率2.4%)と四半期ぶりにマイナス成長となったし、企業業績も野村証券の選定した348社ベースで今期は3.3%の経常減益となる見通しである。しかも物価は原油価格の上昇を受けて上がる一方で、生活難は続いているのに肝心の政府は権力闘争に明け暮れていて、海外から日本を見る眼は厳しく、”日本総売り”の状況となっている。
 株価は8日こそ東証一部で前日比412円33銭高の1万2624円46銭となったものの、相変わらず基調は低調で、今年8月の東証一部の売買代金は39兆7000億円で3年ぶりの低水準に落ち込んだ。頼みの外国人投資家は昨年8月から今年3月まで4兆円売り越しし、4~5月に2兆円買い越したが、6月には再び1兆円の売り越しで、その後も買いには転じていない。
 8日の東証一部の全上場株の時価総額は385兆7338億円と時価総額の目安であった日本のGDP500兆円を大きく割り込んでいる。東証二部の全上場株の時価総額は4兆657億円と微々たるものなので、ざっと110兆円ものお金が逃げ出してしまった勘定で、恐らく海外へ逃避してしまったものと思われる。消えた110兆円ものお金がどこへ流れて行ったのか、追及していけば、日本経済の立て直しの処方箋が書けるのだろうが、お金に縁のない庶民にとっては雲を掴むような話なのだろう。
 9日付けの日本経済新聞の1面トップにタイミングよく「銀行にマネー滞留 預金超過145兆円」との記事が出ていた。 すわっ、110兆円が銀行に行ったのか、と思ってよく読むと、なんのことはない、この1年で増えたのはほんの1%で、なにも最近のことでなく、ここ数年の傾向を記事にしただけのことで、経済専門紙としてはやや専門を欠くこととなった。、
 そのお金が原油市場に流れ込んで、1バーレル144ドルもの高値を呼んだものと思われるが、その一部が再び土地に向かっているのだろうか。件の中年男性2人はどう見ても高額なマネーを運用している輩には見えず、どうみても踊らされている人にしか見えなかった。松本清張ばりの推理が働けば、一遍のミステリーがものにすることが出来たのかもしれない。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パン食い競争になぞらえられた自民党総裁選

2008-09-08 | Weblog
 7日は朝から気温がどんどん上がり、じっとしていても汗が流れ落ちてくる蒸し暑さで、とても季節は秋になったとは思えない。前日の夜にNHK衛星テレビで放映した黒沢明監督の「七人の侍」のビデオを見ながら、よく作りこんであるのに改めて感心する。制作費が当初の予算の3倍になったことを含めて、日本映画界にはもうこんな映画をつくる人材もエネルギーもないだろう、と思う。映画というものが最大のレジャーだった時代だからこそ出来たのだろう。それに比べるとこの7日の朝の報道番組に始まった自民党総裁選はまるで田舎芝居で、まさに茶番劇といった感じである。
 まず、TBSの「時事放談」では、パネラーの塩川正十郎元財務相が外人記者の言だといって、乱立気味の自民党総裁選を「パン食い競争」と揶揄した。外人記者といいながら、実は本人の感想なのだろう。
 実際、続いてテレビ各局のチャンネルをひねっていると、もう自民党総裁選一色で、パン食い競争さながらの態。告示前なのに早くも石破茂前防衛相や山本一太外務省副大臣、石原伸晃元国土建設相、棚橋泰文元科学技術政策担当相、それに小池百合子元防衛相の出馬表明組の議員が出演して、出馬の抱負を自ら語っているのは劇場型総裁選を先取りしている。肝心の麻生太郎幹事長と与謝野馨経済財政担当相が出ていないのは画龍点睛を欠くきらいがあるが、まず名前を売りたい候補者が応じているのは当然か。
 出馬できるかどうか推薦人の20人の議員を確保できるのかどうかはわからないのにこうしてテレビに堂々と顔を出すのはいい度胸をしている。この程度の図々しさは国会議員なら当たり前なのだろう。出馬表明の抱負はいずれも似たりよったりで、新味にかけるものばかりだったが、ただひとり棚橋泰文氏の「30代、40代の議員を代表して世代交代を」と狼煙を上げたのが光っていた。官僚依存の政治から脱却を図るため、国家公務員の数を10%削減するし、国会議員の数も減らす、と官僚出身者にしては思い切った提言をしていたのが耳を引いていた。確かに政界も経済界も老害がはびこっていて、若返りが必要な時なのかもしれない、と思わせた。
 夕方の日本テレビの「真相報道バンキシャ!」に出演した小池百合子が推薦人の20人が確保できた、と語っていたが、その後で「誰が総裁になるのか」を聞く街頭アンケートで、麻生幹事長に大きくリードされているのは当然として石原伸晃にも負けているのを見せられて、眉をひそめていたのが目についた。
 午後池上本門寺の東京都旧跡、松濤園が公開されていたのを見に行きがてら、届いたばかりの文芸春秋10月号を繰っていると、冒頭の「福田と小泉総理の覚悟が違う」(飯島勲)、「福田康夫その虚像と実像」(田勢康弘)が掲載されているが、さすがに福田首相の突然の辞任まで織り込んでいない。月刊誌の限界か、締切の関係で間に合わなかったのだろう。
 夕方帰ってきて溝ノ口の駅に降り立ったら、一面豪雨と雷で、約1時間ばかり足止めを食ってしまった。午後6時から雨との天気予報が若干早まったわけだが、頃合いを見て雷の光るなかをかみさんと日傘をさしながら、帰路に着いた。なにやら政界が視界不良を暗示しているような天候であった。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本相撲協会は理事長交代はもちろん外部から頭脳を入れ、体質改善図れ

2008-09-07 | Weblog
 相撲界が大麻問題で揺れている。先にロシア出身の幕内の関取、若ノ鵬が大麻を吸引していた件で逮捕され、日本相撲協会から解雇されたことから、関取69人を対象に尿検査を実施したところ、ロシア出身の露鵬、白露山の兄弟に陽性反応が出て、師匠の北の湖理事長の責任問題となっているからだ。北の湖理事長は昨年の朝青龍の仮病問題でもガバナビリティを問われたことがあり、今回も協会のトップとして「力士が否定しているのだから……」と煮え切らない態度に終始しており、退任は避けられない見通しである。
 今回の大麻事件の対応を見ていて、不思議なのは検査機関にゲタを預ける形で議論が進んでいることで、当事者と管理者は一貫して潔白を主張しているのも不思議なことである。最初の検査はキット式の簡易検査で必ずしも大麻にだけ反応するとは限らない、というが、6日に陽性とクロの結果が出た世界反ドーピング機関(WADA)認定の専門機関、三菱化学メディエンスの判定に対しても当事者は異議を申し立てている。北の湖理事長は警視庁の付属機関、科学捜査研究所での再検査を希望している、というからテレビの見過ぎか、だれかの入れ知恵なのだろう。
 露鵬は大嶽部屋(元貴闘力)の、白露山は北の湖部屋のそれぞれ所属で、北の湖理事長みずからの部屋の問題だけにこれまでのように「親方が対処すべき問題だ」と突き放すことはできず、言ったことは自らにはね返ってくる。両親方とも関取がシロと言っているのだから、と全面的に力士の肩を持つ発言をしているが、単に責任問題を回避したいがために他ならず、言い分をそのまま認めるわけにはいかない。
 大嶽親方は裁判に持ち込むようなことを言っているが、第三者の判定機関でクロと出ているのをたとえ裁判に持ち込んでも勝てるわけがない。警察に逮捕され、刑事裁判として争うのならともかく、まだ逮捕されていないのだから、裁判といってもどちらが告訴するのかさえ明らかではない。まさか、大嶽親方自身がマスコミ各社を相手に名誉棄損で告訴する気ではないだろう。となると、裁判うんぬんの言辞は具体性に欠けることになる。罪を犯したかどうかは争えるが、犯していないことを立証するのは難しい。
 そんなことも分からずに裁判云々はないだろう。ことほど左様に理事長を含め日本相撲協会の幹部クラスの程度は低い。朝青龍問題に限らず、貴ノ花部屋の問題などこの数年のゴタゴタで組織としての態を成していないことは明らかである。まず理事長は交代して刷新を図るとともに、ここは外部から頭脳を入れて、徹底的な体質改善を図る必要があるようだ。

追記 8日に開かれた日本相撲協会の緊急理事会で、露鵬、白露山両力士は解雇、そして北の湖理事長は辞任することを決めた。6月のロサンゼルス巡業で大麻を入手した事実が明らかとなって、さすがに北の湖理事長も観念したようで、大嶽親方も委員から年寄へ降格処分となった。ただ、北の湖は理事としてとどまり、地方巡業を担当する、というのは理解できない。しかも外部からの識者を入れることについては何も決めておらず体質改善については白紙で、また同じようなことを繰り返すのでは、と懸念される。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

産業展示会の意義を改めて思い知る

2008-09-06 | Weblog
 5日は東京・有明の東京ビッグサイトで開催されている「第66回東京インターナショナル ギフトショー2008秋」に出かけた。この春にかみさんと同じビジネスガイド社主催の「プレミアム・インセンティブショー」に架空の会社、フロンティア マネジメントの社長、執行役員ということで登録して入場したので、かみさんには招待状が送られてきたのだが、社長たる鈍想愚感子には来なかったので、再度登録したら、招待状が来て行けることとなった。業者対象の展示会なので、個人では入場できない仕組みとなっているのだ。
 朝11時頃に会場に到着し、西ホールのコンコースの登録所で入館証をもらい、西2ホールから入場した。社長と執行役員が何か商売のネタになるような商品をみつけよう、という格好で各ブースを物色していった。まず西2ホールの入ったところに宝飾品のコーナーがあり、直径8センチくらいのダイヤモンド状のガラスの置き物があるのを見つけた。以前に東急ハーベスト伊東の売店にあるのを買い求めたが、人にギフトとしてあげてしまったので、再度自宅用にと思っていたが、もう置いてなくて、いろいろ探していたがみつからなかったものだった。白と緑と青、それに橙のものを買い揃えた。
 次いで、東ホールでオーストリア人のクラウス・ベッシュ氏の発明したサウンド・ピクチャーを展示しているブースが目に入り、最終日で小売りもする、というので、多少安くしてもらって一点購入した。これもどこかで目にしていいな、と思っていたが、値段が高くて手が出なかった記憶がある。
 さらに東ホールでブリキなど金属でつくった猫や竜の置きものが目に入り、見ていると、ボード板を持った女性が寄ってきて、「1万円以上買っていただけると7掛けとなります」という。商品を仕入れにきた業者と見られたわけで、面白そうなものを選んで架空の会社の住所(といっても自宅であるが)まで送ってもらうように依頼した。
 これまで街中にあるバラエティショップをのぞいては何か面白そうなものはないか、と探していたが、ギフトショーに来れば大概のものは揃うし、街中のお店よりバラエティに富んでいる。
 このギフトショーは東京ビッグサイトの東1-6ホール、それに西1-4ホールの総面積8万6410平方mの全会場を使用する数少ない展示会のひとつ。出展社数は国内外あわせて2200社、出品点数300万点という化け物展示会。順番に各ブースを見て回る強制動線を敷いていて、何かないかと物色しようという来場者にはいいが、必要なところだけ見たい来場者には不親切な構成となっている。ただ、出展社には公平に来場者が訪れるので、評判がいいのだろう。ただ、展示会としては単に出展社を並べているだけで、主催者の意図はあまり感じられない。
 それでも出展社の出品する商品が魅力を形成している。ここまで大きくばれば、他の追随を許さないだろう。ただ、今回は海外からの出展社が多く目につき、国内の出展社とごっちゃになっているのが気になった。
 しかし、正直会場が馬鹿でかいだけに順番にブースを回っていると、疲れる。途中でかみさんが「足が痛い」といって一緒に回るのをギブアップしてしまった。午後3時過ぎには後片付けを始める出展社も出だして、閉幕の午後4時までにとうとう最後まで見終わることが出来なかった。最後まで会場にいたおかげで、ビジネスガイド社の芳賀久枝社長の通り一辺の閉会の挨拶を聞くことができた。
 展示会を純粋に一来場者の気分でじっくり回ったのは初めてのことで、産業展示会というものの意義を改めて思い知った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

総裁選の添え物か、当座の話題稼ぎの小池百合子

2008-09-05 | Weblog
 自民党総裁選が当初から名乗りを上げていた麻生太郎幹事長に加えて、与謝野馨経済財政担当相、石原伸晃元国土建設相、小池百合子元防衛相、さらには谷垣禎一国土建設相も立候補するようで、賑やかな様相を呈してきた。まるで、福田首相の退陣を前もって予想していたような状況で、小沢一郎代表の無投票再選の民主党党首選にあてつけるような感じでもある。国会議員である以上、首相をめざすのは当然のことではあるが、マスコミに小池百合子がなぜそんなにもてはやされるのか理解できない。
 福田首相の退陣とともに総裁選に焦点が移り、新聞・テレビは早速、総裁選に立候補が予想される議員を追いかけ始めた。まず麻生幹事長が追いかけられるのはいままでの経緯からして妥当なところであるが、次いで追いかけられたのは小池百合子であった。テレビのワイドショーの主たる視聴者が主婦であることを意識してか、女性初の総裁選立候補者というキーワードとともに連日追いかけられた。
 もともとテレビキャスター出身だけにマスコミのつぼを心得ている小池百合子はいかにもその気があるような素振りを見せて、テレビカメラそれとなく媚を売るような態を見せる。先日のテレビでは岩手県大船渡の漁港でクマが泳いでいるのが見つかったニュースを流し、その冒頭に何を間違ったか、小池百合子がビルの出入り口から出てくる姿が流させた。小池百合子が港に浮かぶクマ扱いされたわけで、次のニュースに出てくるはずの画面が間違って送出されたようで、クマというより老いた雌猫ならもっと受けたことだろう。
 小池百合子は政界の渡り鳥と言われるほど細川護煕日本新党からはじまって小沢一郎自由党、そして自民党と渡り歩き、常に時の権力者に寄り添ってきた。小泉内閣の郵政民営化選挙の時に兵庫から東京の選挙区に女刺客として送り込まれ、見事勝利を得て、環境相に起用され、安倍内閣時には女性初の防衛相となり、当時の守屋武昌事務次官と対立して、ワイドショーを賑わし、結果的に守屋次官の贈収賄事件を暴くことになり、一挙に首相候補に祭り上げられることになった。
 しかし、大臣として直下の事務次官と人事のことで対立し、深夜に携帯電話で更迭の連絡をするのはどう考えても大臣の方に非がある。そんな荒っぽい仕事のやり方では省内を治めることはできない。女性大臣だから許されることで、男性の大臣だったら総スカンを食うところだったろう。小池百合子は女性であることを最大限に生かして、マスコミに媚をうっているとしか思えない。しかも政治家としての見識があるとはとても思えない。
 男性社会である政治の世界で一見華々しく見えるので、マスコミの中心をなす中年の男性記者に人気があるということなのだろう。それと、女性だから何をしてもテレビの絵になる、とのこともあるのだろう。
 4日朝のフジテレビの「とくダネ!」が街頭およびインターネットのアンケート調査で小沢対麻生の対決となった場合どちらを選ぶかという設問で、麻生が59.9%に対し、小沢は40.1%だったのに対し、小沢対小池では小沢が54.1%なのに対し、小池は53.9%だった。一般大衆は小池のうそ加減をよくわかっているということで、少し安心した。
 どの世界にも色を添える、もしくは当座の話題稼ぎみたいなものがあり、とりあえずは対象にあげておくというものがある。小池百合子も所詮、添え物ということなのだろう。全く勘違いした女性は困り物である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もともと暗礁に乗り上げていた拉致問題再調査

2008-09-04 | Weblog
 北朝鮮の拉致問題再調査が宙に浮く見通しとなった。もともと北朝鮮は拉致問題について再調査する意思などてんからなく、単に米国に対するポーズのために執り行った措置に過ぎず、ここへきて福田首相が辞任したことから北朝鮮に対する再調査の実施を迫ることが事実上できなくなった。北朝鮮としては予定通りの行動というに過ぎないが、いよいよ拉致問題は解決のメドが立たなくなってきた。
 8月12日に合意した日朝実務者協議では拉致問題を迅速に行い、可能な限り秋には終了し、開始と同時に日本も北朝鮮に対する経済制裁を一部解除する、というものだった。協議の中身の詳細はわからず、膠着状態に陥っていた拉致問題について辻褄を合わせるため、日朝間で格好をつけたとしか思えないものだった。具体的な再調査の中身については肝心のスケジュール、調査のやり方などについては何も明らかにされなかった。
 日本側としては直前の福田内閣改造で、それまで首相補佐官として拉致問題を担当させていた中山恭子参院議員を拉致問題担当大臣に昇格させ、いかにも政府あげて拉致問題に取り組んでいる姿勢をみせただけに一応の前進をした、という格好をつける必要があった。ずるがしこい北朝鮮側にそこまで忌憚のない腹のうちを見せたかどうか、はわからないが、拉致問題再調査を行うことで合意ということになった。
 ところが、8月末になって北朝鮮は6カ国協議で合意した寧辺核施設の無能力化を突如中断する、という措置を発表した。米国によるテロ支援国家の指定解除が先送りされたことに対する不満を表明したもので、もとは北朝鮮が核施設への立ち入りなどの手順を定めた申告書検証案に回答しないのが発端で、どこまで北朝鮮が核無能力化をする気であるのか見えない。この過程で、ついでに拉致問題も協議されているに過ぎず、北朝鮮にとてはあくまでも米国のテロ支援国家の指定解除が最優先の課題であるのは明らか。
 福田首相が辞任しようが、しまいが、北朝鮮は拉致問題の再調査には手をつける気なんか最初からなかったことだろう。それよりも核施設の無能力化にからむ米国からの経済支援がなによりも望みだった。それが遠のいた今、拉致問題の再調査などてんから頭の中にないことだろう。
 福田首相が辞任した理由のなかに膠着状態に陥っている拉致問題もあったことだろう。日本の外務省も辻褄合わせでここまで引っ張ってきた拉致問題について、福田首相の辞任という不測の事態が起きたことで内心ホッとしているに違いない。再調査が暗礁に乗り上げたとする格好の口実ができたからで、次になる首相に下駄を預ければいい、とでも思っていることだろう。
 可哀そうなのは何も知らされずに年ばかりとっていく拉致家族の被害者だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

限りなく100%に近づけていくのが練習

2008-09-03 | Weblog
 2日は久し振りに「題名のない音楽会」の番組収録公開に出かけた。横浜みなとみらいホールで開かれるということで、余裕をもって出かけたら、30分ほどで着いてしまった。東急みなとみらい線のみなとみらい駅を地上へ上がると、みなとみらいホールの方向指示の案内が出ている。このあたりには10年以上も前から展示会場の横浜パシフィコへ行く時にいつもは2階へ上がってしまうので、こんなところにホールがる、とは思いもしなかった。
 午後5時半からの入場券引き換えを終え、軽い夕食を摂ろうとショッピングモールの方へ行くと、やけに楽器を持った中高生の姿が目につく。どうやら、題名のない音楽会の出場楽団であるシエナ・ウインド・オーケストラとの共演で狩り出されているような感じであった。先月、初めてシエナ・ウインド・オーケストラの演奏気あを聴きに行ったところ、最後に会場の聴衆がそれぞれの楽器を持って舞台に上がり「星状旗よ永遠なれ」を合奏したのを見ているので、同じ佐渡裕で行うのだろう、と思った。
 最初に指揮の佐渡裕が現れ、本日の趣向を述べた後、「題名のない音楽会」の恒例として、佐渡裕が「新しいページをめくりましょう」と言うのに合わせて会場の全員が「めくりましょう」と声を上げ、手を左から右に振り上げるのをお願いした。しばらく来ないうちに変わっていくものだ、と思った。
 「題名のない音楽会」前半は世界最年少、10歳のジャズドラマーの大我君とこれも19歳と若いスペインのトランペット奏者、ルベン・シメオの共演で、ルパン三世のテーマ、ヴェニスの謝肉祭、鉄腕アトムのメドレーから始まった。わずか10歳でオーケストラをバックに堂々とドラムを叩くのを聞いていると、音楽はつくづく才能なのだ、と思い知らされる。すでに米国でライブを行っているし、ジャズのメッカのニューオーリンズにも行ったことがる、という。佐渡裕が「目が素晴らしい」と絶賛していた。大我、シメオ2人の「熊蜂の飛行」も絶品であった。
 前半の最後にバックのオーケストラの関係で「アフリカン・シンフォニー」を演奏した。高校野球の応援歌といsてよく聞く曲で、先々月に横浜球場で行われた北神奈川決勝戦で、東海大相模の4番のスラッガー、大田選手が登場する時に奏でられた曲で、チャンスに3回も敬遠され、結果として負けてしまったことが思い出された。
 後半は「熱血指導!高校生吹奏楽クリニック」と題して、東京都立立川高校吹奏楽楽部による「風紋」が演奏され、次いでそれを聞いていた佐渡裕が演奏の細部にわたって奏で方を指導するというもので、「第19小節の出だし……」とか、「第5小節は歌うように」とか指示しながら演奏を繰り返していく。そのうちにシエナ・ウインド・オーケストラのメンバーが要所に入り、一緒に、もしくはシエナメンバーだけが演奏することで高校生に身体dえもって教え込むやり方を進めていった。聴衆にとって演目の細かい指示は全く理解できないが、オーケストラの練習の仕方が」よくわかった。
 かれこれ10分以上はこうしたことをやっていて、最後に佐渡裕が「質問の時間」と言ったが、女性アナウンサーが「時間のの関係で「とカットし、佐渡裕が「こうして24時までやっていくのが練習なのだが、時間というものがある。最後は時間との勝負だ」と言いながら、再度佐渡裕の指揮で「風紋」を演奏した。最初の吹奏楽部の先生の指揮による演奏より格段によくなった。なによりも素人っぽさが消え、メリハリの効いた演奏となった。音楽の練習というものは決して100%の出来にはならないが、それに限りなく近づけていくことなのだ、と理解できた。音楽に限らず世の中の努力はこうしたものだ、と思った。
 こうしたクリニックは3回目だというが、指導された高校生にとっては一生の思い出となるのは間違いないし、各人の貴重なシーンとなって脳裡に刻み込まれることだろう。
 で、最後はシエナ・ウインド・オーケストラ恒例の「星条旗よ永遠なれ」を会場に来ていた首都圏の中高生が楽器を持って舞台に上がり、聴衆は手拍子で合奏した。会場に入ったら、舞台の周りはいずれも中高生だったので、こうした趣向であることがわかっていた。大いに楽しむことができた演奏会だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

頑是ない子供が玩具を放り出したような福田首相の辞め方

2008-09-02 | Weblog
 1日午後8時45分からのNHKテレビのニュースを見ていたら、アナウンサーが突如「午後9時半から福田首相の緊急記者会見が決まりました」と言ったので、とっさに辞任か、と思った。というのは朝の防災の日の会見に青いワイシャツの上に防災服のジャンパーを着た姿で現れた福田首相はボタンをはめないでいつになくラフな格好でいたのでアレッと思った記憶が甦ったのと、最近の福田首相の言動が辞任を決意してんのものなら理解できる、と思ったからだ。
 で、午後9時からのNHKニュースは途中から「福田首相辞任へ」とテロップが流れ、その背景の解説が始まり、そのまま9時半に辞任会見となった。福田首相は「多難な政局のなか約1年間政権を担当してきたが、ねじれ国会もあってなかなか思うような政治が進められなかった。それでもここへきて、道路財源の一般財源化や消費者庁の創設、そして総合経済対策の策定など大きな前進のための基礎を作ることができた。今後は新しい人にやってもらうのがいい、とい思って辞任を決めた」と語った。辞任を決めたのは先週末で、今後の政治的な空白を作らないためにも今が一番いい、と思った、とも語った。
 記者団から「前安倍総理と同じく政権を放り出すのか」と聞かれ、「安倍総理が辞めたのは健康上の理由で、私の場合はそうではない」と強調した。会見の最後に北海道新聞の記者から「自分のことを他人ごとのように言うきらいがあるが、自民党への影響をどう見るか」と聞かれたのに対し、「私はあなたと違って自分のことを客観的に見られるのだ」と気色ばんで答えていたのが印象的だった。
 福田首相はこの日、午後6時頃から麻生幹事長、町村官房長官と小一時間会談し、辞任の意向を伝え、後事を託した。12日からの臨時国会の開催が決まっていたが、自民党総裁選を行わなければならないし、政治日程が大幅に狂ってくることは明白で、一挙に解散総選挙モードに入ってくるのは必至で、いま大事な日本経済の振興という大事なことが置き去りにされることになる。
 冷静に考えて、政権の放り出しで、前安倍総理となんら変わるところがない。年こそ違え、2世議員のおぼっちゃま政権だったというしかない。言葉でいくらとりつくろうと、嫌になって辞めた無責任内閣だったとの印象はぬぐえない。
 31日のTBS「時事放談」で藤井裕久民主党議員と堺屋太一元経企庁長官が福田首相に望むこととして「敵を作ることとヴィジョンを創ること」をあげていたが、かなわぬ夢となった。
 考えてみれば、福田首相は最後まで政権のヴィジョンを示さなかった。一国のリーダーたる首相を志す以上、国をどうしよう、こうしようというヴィジョンもなく、政権を担当していたわけで、最初から成るべきではなかったのかもしれない。単に親の故福田赳夫元首相が日本でのサミットの議長を務められなかったのを果たしたい、との思いだけで首相になったのだろう。
 辞任に真相は公明党のゴリ押しか、それとも自民党OB筋のサジェスチョンか、はたまたテロ特措法の延長のメドが立たず米国に顔向けできないと思ったからか、わからないが、結局福田首相では総選挙で勝てない、ということなのだろう。辞めるつもりになれば、最後は華々しく散るような大英断でもすれば拍手でも起きるのだろうが、頑是ない子供が玩具を放り出したような辞め方では唾でもはきかけられるのが関の山だろう。福田首相は最後までブレーンを持たない、いや持てなかった人だった。大概、この種の人は周りに頼りになるブレーンを1人か、2人くらいは持っていて、いざという時にはブレーンに相談して方向を決める、というのが通例だが、福田首相の周りにはそれらしき人はついぞ見かけなかった。
 福田首相はプライドの高い人で、自らが泥まみれになってのたうちまわるのが我慢できなかったのだろう。リーダーなるもの、自らが汚れることを嫌っていては周囲が付いて来ない、その意味では安倍前首相と同じくリーダーといsては不向きな人だった、と言える。
 政治家の引き際というのは難しいものなのかもしれないが、安倍、福田と2代続けてお粗末な辞め方をした自民党にはもう国民は信頼を置けないことだろう。

追記 2日の東京証券取引所の株価は前日比224円71銭(1.75%)安の1万2609円71銭で引け、3月31日以来、約5カ月ぶりの安値となった。引き続きの米国の金融システム不安に加え、福田辞任をきっかけに先物に仕掛け売りが出たのと欧州証券による大口売りが出たようで、いよいよ本格的な「日本売り」が始まった、と見る向きもある。当の福田首相はそこまで考えていないようだが、海外の見方はここまできている、ということだ。経済に疎い日本の政治家というのが海外の専門家の定説となるのは間違いない。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国民栄誉賞ひとつ決められない首相

2008-09-01 | Weblog
 北京オリンピックで北島康介選手が100m、200m平泳ぎで2回連続で金メダルを獲得した直後に国民栄誉賞を出す、とかいう話が流れた。しかし、まだオリンピック開催中であることから様子を見よう、ということになり、終盤に女子ソフトボールチームが初めての金メダルを獲得したことからエースの上野由岐子選手に国民栄誉賞をあげた方がいいのでは、との声が出てきて、結局、現在に至るまで国民栄誉賞うんぬんの話は立ち消えとなった。何事にも慎重というか、優柔不断な福田首相にとっては無理だったようで、後味の悪い結果となった。
 今回の北京オリンピックで日本人選手の活躍は大会初日に金メダル3連覇が確実視されていた女子柔道48キロ級の田村亮子選手が緊張感からかガチガチになり、指導ひとつの差で準決勝で敗れ、銅メダルを獲ったものの先行き暗いものを投げかけた。それを世界新記録とともに見事期待通りに北島康介が100m平泳ぎで2大会連続の金メダルを獲得したことで、一挙に明るいものに変わった。新鋭のノルウェーのダーレオーエン選手に次ぐ記録で決勝に臨んだ北島康介は準決勝までとは戦法を変えて金メダルを勝ち取り、意義あるものだった。レース後、インタビューに現れた北島康介はタオルで出てくる涙をぬぐいながら「何も言えねー」と絶句するシーンが印象的だった。続く200m平泳ぎも金メダルを獲得し、2大会連続2冠の偉業を達成した。
 この偉業に対し、首相官邸で早速、北島康介に国民栄誉賞の授与の話が持ち上がったもので、低迷する福田首相の内閣支持率アップを図ろう、というものであったのは間違いない。しかし、まだオリンピックは開催中であるし、今後の展開によっては他に国民栄誉賞にふさわしい活躍が出ないとも限らない、との声も出て、様子見とあいなった。
 国民栄誉賞は1977年8月に奇しくも故福田赳夫元首相が創設したもので、第1回には77年9月に王貞治監督が756本のホームラン世界新記録達成を理由に授与されている。以後、これまで15人が授与されており、スポーツ選手では山下泰裕、衣笠祥雄、千代の富士、高橋尚子がもらっており、福本豊、イチローが辞退している。正直、明確な基準があるわけではなく、時の首相の判断ひとつで授与されているのが実態である。
 だから今回も福田首相が断固授与する、と言えば出せただろう。どうせ恣意的なものなのだから、だれに出しても批判はされ、議論は尽きないことだろう。人気取りと言われても実際そうなのだから仕方がない、と腹をくくるべきだろう。その腹がくくれないのが福田首相だった。で、結果としてはもうタイミングがずれてしまった。
 31日のTBSの「時事放談」に出演した藤井裕久民主党最高顧問は「国民栄誉賞を出すならスパッと出せばよかったのに」と語っていた。そして、オリンピックで一番印象に残ったことはと聞かれて、柔道の石井慧選手が帰国後、福田首相に招かれて会った後に「福田首相は人がいいですね。だから人気が出ないんですね」と言っていたエピソードをあげていた。
 1日の日本経済新聞によると、福田政権の内閣支持率は前回(8月はじめ)より9ポイント下がって29%と内閣改造前に逆戻りした。正直、国民栄誉賞ひとつ決められない首相には愛想が尽きたというところなのだろう。

追記 1日夜になって辞任会見した福田首相にとって、国民栄誉賞うんぬんどころか、自身が辞めるつもりだったのでは心中それどころでなかったのだろう。しかし、一生懸命活躍した選手はそんなことは知らないし、国民もようくやった、と讃えたい気持ちになんら変わりはない。そんな選手、国民の気持ちを忖度する余裕などなかったのだろう。これで、最後までどうしようもない御仁だったことがはっきりした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする