鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

茶番の総裁選を押しつぶすリーマン・ショックなどの3点セット

2008-09-17 | Weblog
 150年の伝統を持つ米国第4位の証券会社、リーマン・ブラザーズが会社更生法の適用を裁判所に申請、経営破綻した。負債総額64兆円と史上最大で、米国経済のみならず世界経済に大きな打撃を与えつつある。16日の東証市場は前日比605円4銭安の1万1609円72銭と年初来安値はもちろん05年7月8日以来3年2カ月ぶりの安値を記録した。リーマン・ブラザーズ日本法人2社の負債総額は3兆9400億円と並み大抵の規模でなく、ショックは世界経済の屋台骨を大きく揺さぶりそう。
 リーマン・ブラザーズが経営破綻を招いたのはサブプライムローン(低所得者向け高金利住宅ローン)で、8月末までに140億ドルを超える損失を計上していると伝えられていたが、米国金融当局などと再建策を講じていることからなんとか乗り切れると思われていたが、頼みのバンク・オブ・アメリカがメリル・リンチを500億ドルで買収すると決めたことから、一転して破綻に追い込まれた。第1報が報じられたのは15日で、たまたま日本は祝日だったが、米国の証券市場の504.48ドル安のダウ平均1万917.51ドルに始まって世界同時株安現象を招いた。
 リーマン・ブラザーズは従業員2万8556人もいることもさることながら、米国経済を象徴する1850年創業の名門企業で、いくらサブプライムローンの痛手が大きいとはいえ、倒産するようなことはない、と信じられてきた。それが一夜にしてフッと地上から消え去ったわけで、今後何を信じていけばいいのか、という疑心暗鬼にも囚われる。
 問題は日本経済にも少なからぬ影響が出てくることだ。リーマン・ブラザーズ日本法人だけでも2000年の協栄生命保険の負債総額4兆5000億円に次ぐ戦後2番目の大型倒産で、その処理などについて政府から何のコメントも出ていない。16日は新聞休刊日だったこともあって、それに関する情報は何も伝わってきていない。
 リーマン・ブラザーズショックに限らず、日本と取り巻く状況は極めて厳しいものがある。金正日北朝鮮総書記の病状で拉致問題は棚ざらしのままだし、汚染米についても後手後手にまわっておよそ政府の態をなしていない。茶番劇である自民党総裁選の遊説に回っていて、押し寄せる難問はほったらかしである。留守を預かる福田首相はレイムダックでお飾りの居留守番でしかなく、国民の期待する対策を打とうともしない。
 当然というか、すっかり色褪せたのか、新聞休刊日の16日の夕刊各紙から自民党総裁選は1字たりとも載っていなかった。翌17日付けの日本経済新聞を見ると、さすがに金融庁・日銀など当局者は臨時の公開市場操作(オペ)で1兆5000億円の資金を市場に供給するなどそいれなりの手を講じていたようであるが、肝心の政府当局者からは何のコメントも出ていなかった。政治家は総じて経済オンチであるが、それにしてもお粗末極まりない。リーマン・ブラザーズショックに北朝鮮問題、汚染米の3点セットで総裁選は雲散霧消するかもしれない。
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