鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

検察側の思惑通りに終わったライブドア事件

2008-09-13 | Weblog
 12日は東京・霞が関の東京高等裁判所へ裁判の傍聴に行った。午前9時半頃に着くと、正面右手で傍聴券配布の列ができている。ライブドアの元取締役、宮内亮治の判決があることを確かめて並ぶと、数分で締切となり、定員の74人に満たない67人だったので、全員傍聴可能となった。地下鉄の霞が関駅を地上へ上がったところで、民事の損害賠償請求の原告らが華々しく立て看板で「宮内被告に実刑を」とアピールしていた割には人気がないのがやや拍子抜けであった。
 定刻の午前10時に恒例の写真撮影の時間があり、終わったところで、宮内亮治被告がおもむろに入廷した。前回と違って、頭をすっきりと刈り込んでいたのが目立った。長らくの裁判が最後の日を迎えたので、気合を入れた、といった感じで、席に着いた。で、裁判長がすぐに判決を読み上げるか、と思いきや、前回からの書証の確認を検事、弁護士の両方にし始めた。「70~75号証は同意、76号証は不同意ですね」とやっており、本日の予定である判決は一体どうなっているのか、との疑念を抱かせた。
 続いて判決に入り、その疑念はすぐに失せた。判決は「原判決を破棄する」と一瞬ドキッとさせるものから始まった。ただ、続く「被告人を懲役1年2カ月に処し、裁判に要した10日を刑に参入する」と1審の1年8カ月の実刑から若干軽減されたと聞いて、やはりと思った。裁判長が読み上げる判決の趣旨は要するにライブドアの粉飾決算と関連会社の虚偽の業績を装って、株価を不当に吊上げ、証券市場の信頼性を損ねた責任は重い、として、たとえその後反省して堀江裁判の証人になったり、ライブドアの株価下落による被害を受けたとして損害賠償訴訟に財産のすべてを投げうって弁済に充てる、としているものの、犯した罪を帳消しにするのは至らない、というもの。
 ただ、反省していることは認められるとして1審より、6カ月刑が軽くなった。判決の趣旨を読み上げる裁判長の顔を見上げる宮内被告の顔は紅潮しており、「その程度のものか」との無念さが滲んでいた。聞き終えた後も不満そうな態で、裁判長が退廷するのを被告席に座ったままで見送っていた。しばし、呆然とした感じで、その後係員に促され、控え室に引き上げ、弁護士がその後を追った。
 執行猶予付きの判決を求めていた新穂均弁護士は「判決は極めて残念。判決書を精査し、今後の対応を検討する」としているが、最高裁に持ち込んでもこれ以上刑が軽くなることはまず考えられない。検察側の最大のねらいは堀江貴文元ライブドア社長を実刑のい持っていくことで、ここで、宮内被告を執行猶予になるようなことがあれば、堀江裁判も狂ってしまうことになる。
 悔悛の情を示している宮内被告が懲役1年2カ月の実刑判決を受けたのなら、全然反省していない堀江被告は3~5年の実刑となってもおかしくない。万が一、に宮内被告が心変わりして徹底抗戦の構えで最高裁に臨むようなことが起きてもこの流れは変わらないだろう。つまり、ライブドア事件は検察側の思惑通りの勝利、ということだろう。

追記 17日までに、宮内亮治は予想通り、最高裁に上告した。これだけ改心して反省しているのにたった6カ月の減刑にしかならないのか、と不満なのだろう。いまさら全財産を投げ打って賠償に応じる、との姿勢を変え、ホリエモンと共闘するわけにはいかず、さりとておめおめと引き下がるのも癪といったところだろう。しかし、検察のシナリオはもう出来上がっていて、主たるならいのホリエモンを監獄につなぎ、「汗かいて努力している人を絶望させてはならない」との意を貫くためにも宮内亮治の実刑は譲れないtぽころである。最高裁まで争った、という事実だけで自ら納得させるしかないのだろう。
コメント
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