1日午後8時45分からのNHKテレビのニュースを見ていたら、アナウンサーが突如「午後9時半から福田首相の緊急記者会見が決まりました」と言ったので、とっさに辞任か、と思った。というのは朝の防災の日の会見に青いワイシャツの上に防災服のジャンパーを着た姿で現れた福田首相はボタンをはめないでいつになくラフな格好でいたのでアレッと思った記憶が甦ったのと、最近の福田首相の言動が辞任を決意してんのものなら理解できる、と思ったからだ。
で、午後9時からのNHKニュースは途中から「福田首相辞任へ」とテロップが流れ、その背景の解説が始まり、そのまま9時半に辞任会見となった。福田首相は「多難な政局のなか約1年間政権を担当してきたが、ねじれ国会もあってなかなか思うような政治が進められなかった。それでもここへきて、道路財源の一般財源化や消費者庁の創設、そして総合経済対策の策定など大きな前進のための基礎を作ることができた。今後は新しい人にやってもらうのがいい、とい思って辞任を決めた」と語った。辞任を決めたのは先週末で、今後の政治的な空白を作らないためにも今が一番いい、と思った、とも語った。
記者団から「前安倍総理と同じく政権を放り出すのか」と聞かれ、「安倍総理が辞めたのは健康上の理由で、私の場合はそうではない」と強調した。会見の最後に北海道新聞の記者から「自分のことを他人ごとのように言うきらいがあるが、自民党への影響をどう見るか」と聞かれたのに対し、「私はあなたと違って自分のことを客観的に見られるのだ」と気色ばんで答えていたのが印象的だった。
福田首相はこの日、午後6時頃から麻生幹事長、町村官房長官と小一時間会談し、辞任の意向を伝え、後事を託した。12日からの臨時国会の開催が決まっていたが、自民党総裁選を行わなければならないし、政治日程が大幅に狂ってくることは明白で、一挙に解散総選挙モードに入ってくるのは必至で、いま大事な日本経済の振興という大事なことが置き去りにされることになる。
冷静に考えて、政権の放り出しで、前安倍総理となんら変わるところがない。年こそ違え、2世議員のおぼっちゃま政権だったというしかない。言葉でいくらとりつくろうと、嫌になって辞めた無責任内閣だったとの印象はぬぐえない。
31日のTBS「時事放談」で藤井裕久民主党議員と堺屋太一元経企庁長官が福田首相に望むこととして「敵を作ることとヴィジョンを創ること」をあげていたが、かなわぬ夢となった。
考えてみれば、福田首相は最後まで政権のヴィジョンを示さなかった。一国のリーダーたる首相を志す以上、国をどうしよう、こうしようというヴィジョンもなく、政権を担当していたわけで、最初から成るべきではなかったのかもしれない。単に親の故福田赳夫元首相が日本でのサミットの議長を務められなかったのを果たしたい、との思いだけで首相になったのだろう。
辞任に真相は公明党のゴリ押しか、それとも自民党OB筋のサジェスチョンか、はたまたテロ特措法の延長のメドが立たず米国に顔向けできないと思ったからか、わからないが、結局福田首相では総選挙で勝てない、ということなのだろう。辞めるつもりになれば、最後は華々しく散るような大英断でもすれば拍手でも起きるのだろうが、頑是ない子供が玩具を放り出したような辞め方では唾でもはきかけられるのが関の山だろう。福田首相は最後までブレーンを持たない、いや持てなかった人だった。大概、この種の人は周りに頼りになるブレーンを1人か、2人くらいは持っていて、いざという時にはブレーンに相談して方向を決める、というのが通例だが、福田首相の周りにはそれらしき人はついぞ見かけなかった。
福田首相はプライドの高い人で、自らが泥まみれになってのたうちまわるのが我慢できなかったのだろう。リーダーなるもの、自らが汚れることを嫌っていては周囲が付いて来ない、その意味では安倍前首相と同じくリーダーといsては不向きな人だった、と言える。
政治家の引き際というのは難しいものなのかもしれないが、安倍、福田と2代続けてお粗末な辞め方をした自民党にはもう国民は信頼を置けないことだろう。
追記 2日の東京証券取引所の株価は前日比224円71銭(1.75%)安の1万2609円71銭で引け、3月31日以来、約5カ月ぶりの安値となった。引き続きの米国の金融システム不安に加え、福田辞任をきっかけに先物に仕掛け売りが出たのと欧州証券による大口売りが出たようで、いよいよ本格的な「日本売り」が始まった、と見る向きもある。当の福田首相はそこまで考えていないようだが、海外の見方はここまできている、ということだ。経済に疎い日本の政治家というのが海外の専門家の定説となるのは間違いない。
で、午後9時からのNHKニュースは途中から「福田首相辞任へ」とテロップが流れ、その背景の解説が始まり、そのまま9時半に辞任会見となった。福田首相は「多難な政局のなか約1年間政権を担当してきたが、ねじれ国会もあってなかなか思うような政治が進められなかった。それでもここへきて、道路財源の一般財源化や消費者庁の創設、そして総合経済対策の策定など大きな前進のための基礎を作ることができた。今後は新しい人にやってもらうのがいい、とい思って辞任を決めた」と語った。辞任を決めたのは先週末で、今後の政治的な空白を作らないためにも今が一番いい、と思った、とも語った。
記者団から「前安倍総理と同じく政権を放り出すのか」と聞かれ、「安倍総理が辞めたのは健康上の理由で、私の場合はそうではない」と強調した。会見の最後に北海道新聞の記者から「自分のことを他人ごとのように言うきらいがあるが、自民党への影響をどう見るか」と聞かれたのに対し、「私はあなたと違って自分のことを客観的に見られるのだ」と気色ばんで答えていたのが印象的だった。
福田首相はこの日、午後6時頃から麻生幹事長、町村官房長官と小一時間会談し、辞任の意向を伝え、後事を託した。12日からの臨時国会の開催が決まっていたが、自民党総裁選を行わなければならないし、政治日程が大幅に狂ってくることは明白で、一挙に解散総選挙モードに入ってくるのは必至で、いま大事な日本経済の振興という大事なことが置き去りにされることになる。
冷静に考えて、政権の放り出しで、前安倍総理となんら変わるところがない。年こそ違え、2世議員のおぼっちゃま政権だったというしかない。言葉でいくらとりつくろうと、嫌になって辞めた無責任内閣だったとの印象はぬぐえない。
31日のTBS「時事放談」で藤井裕久民主党議員と堺屋太一元経企庁長官が福田首相に望むこととして「敵を作ることとヴィジョンを創ること」をあげていたが、かなわぬ夢となった。
考えてみれば、福田首相は最後まで政権のヴィジョンを示さなかった。一国のリーダーたる首相を志す以上、国をどうしよう、こうしようというヴィジョンもなく、政権を担当していたわけで、最初から成るべきではなかったのかもしれない。単に親の故福田赳夫元首相が日本でのサミットの議長を務められなかったのを果たしたい、との思いだけで首相になったのだろう。
辞任に真相は公明党のゴリ押しか、それとも自民党OB筋のサジェスチョンか、はたまたテロ特措法の延長のメドが立たず米国に顔向けできないと思ったからか、わからないが、結局福田首相では総選挙で勝てない、ということなのだろう。辞めるつもりになれば、最後は華々しく散るような大英断でもすれば拍手でも起きるのだろうが、頑是ない子供が玩具を放り出したような辞め方では唾でもはきかけられるのが関の山だろう。福田首相は最後までブレーンを持たない、いや持てなかった人だった。大概、この種の人は周りに頼りになるブレーンを1人か、2人くらいは持っていて、いざという時にはブレーンに相談して方向を決める、というのが通例だが、福田首相の周りにはそれらしき人はついぞ見かけなかった。
福田首相はプライドの高い人で、自らが泥まみれになってのたうちまわるのが我慢できなかったのだろう。リーダーなるもの、自らが汚れることを嫌っていては周囲が付いて来ない、その意味では安倍前首相と同じくリーダーといsては不向きな人だった、と言える。
政治家の引き際というのは難しいものなのかもしれないが、安倍、福田と2代続けてお粗末な辞め方をした自民党にはもう国民は信頼を置けないことだろう。
追記 2日の東京証券取引所の株価は前日比224円71銭(1.75%)安の1万2609円71銭で引け、3月31日以来、約5カ月ぶりの安値となった。引き続きの米国の金融システム不安に加え、福田辞任をきっかけに先物に仕掛け売りが出たのと欧州証券による大口売りが出たようで、いよいよ本格的な「日本売り」が始まった、と見る向きもある。当の福田首相はそこまで考えていないようだが、海外の見方はここまできている、ということだ。経済に疎い日本の政治家というのが海外の専門家の定説となるのは間違いない。