鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

パン食い競争になぞらえられた自民党総裁選

2008-09-08 | Weblog
 7日は朝から気温がどんどん上がり、じっとしていても汗が流れ落ちてくる蒸し暑さで、とても季節は秋になったとは思えない。前日の夜にNHK衛星テレビで放映した黒沢明監督の「七人の侍」のビデオを見ながら、よく作りこんであるのに改めて感心する。制作費が当初の予算の3倍になったことを含めて、日本映画界にはもうこんな映画をつくる人材もエネルギーもないだろう、と思う。映画というものが最大のレジャーだった時代だからこそ出来たのだろう。それに比べるとこの7日の朝の報道番組に始まった自民党総裁選はまるで田舎芝居で、まさに茶番劇といった感じである。
 まず、TBSの「時事放談」では、パネラーの塩川正十郎元財務相が外人記者の言だといって、乱立気味の自民党総裁選を「パン食い競争」と揶揄した。外人記者といいながら、実は本人の感想なのだろう。
 実際、続いてテレビ各局のチャンネルをひねっていると、もう自民党総裁選一色で、パン食い競争さながらの態。告示前なのに早くも石破茂前防衛相や山本一太外務省副大臣、石原伸晃元国土建設相、棚橋泰文元科学技術政策担当相、それに小池百合子元防衛相の出馬表明組の議員が出演して、出馬の抱負を自ら語っているのは劇場型総裁選を先取りしている。肝心の麻生太郎幹事長と与謝野馨経済財政担当相が出ていないのは画龍点睛を欠くきらいがあるが、まず名前を売りたい候補者が応じているのは当然か。
 出馬できるかどうか推薦人の20人の議員を確保できるのかどうかはわからないのにこうしてテレビに堂々と顔を出すのはいい度胸をしている。この程度の図々しさは国会議員なら当たり前なのだろう。出馬表明の抱負はいずれも似たりよったりで、新味にかけるものばかりだったが、ただひとり棚橋泰文氏の「30代、40代の議員を代表して世代交代を」と狼煙を上げたのが光っていた。官僚依存の政治から脱却を図るため、国家公務員の数を10%削減するし、国会議員の数も減らす、と官僚出身者にしては思い切った提言をしていたのが耳を引いていた。確かに政界も経済界も老害がはびこっていて、若返りが必要な時なのかもしれない、と思わせた。
 夕方の日本テレビの「真相報道バンキシャ!」に出演した小池百合子が推薦人の20人が確保できた、と語っていたが、その後で「誰が総裁になるのか」を聞く街頭アンケートで、麻生幹事長に大きくリードされているのは当然として石原伸晃にも負けているのを見せられて、眉をひそめていたのが目についた。
 午後池上本門寺の東京都旧跡、松濤園が公開されていたのを見に行きがてら、届いたばかりの文芸春秋10月号を繰っていると、冒頭の「福田と小泉総理の覚悟が違う」(飯島勲)、「福田康夫その虚像と実像」(田勢康弘)が掲載されているが、さすがに福田首相の突然の辞任まで織り込んでいない。月刊誌の限界か、締切の関係で間に合わなかったのだろう。
 夕方帰ってきて溝ノ口の駅に降り立ったら、一面豪雨と雷で、約1時間ばかり足止めを食ってしまった。午後6時から雨との天気予報が若干早まったわけだが、頃合いを見て雷の光るなかをかみさんと日傘をさしながら、帰路に着いた。なにやら政界が視界不良を暗示しているような天候であった。
コメント (1)
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