鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

汚染米の流通について監視体制を構築せよ

2008-09-16 | Weblog
 汚染米問題が広がりを見せつつある。15日には監督官庁の大阪農政局の元課長が2005年から06年に三笠フーズの冬木三男社長から2回にわたって供応を受けていた事実が発覚したほか、汚染されたもち米を食用に供していた大阪の13の病院から回収された米から基準の6倍の0.06ppmのメタミドホスが検出され、汚染米の余波はますます広がりそうな勢いとなってきた。米は日本人の基本的な食品だけに揺るがせににできない問題で、農林水産省のあり方にも関わってきそうである。
 三笠フーズが事故米である汚染米を流通させ始めたのは10年以上前からで、政府が買い上げた米を保管しているうちに劣化した米を工業用ののり原料として民間に安く払い下げているのを悪用して、食用にまわしていたもので、問われた冬木社長は「悪いこととは知りながら、利益を出すためにやむなくやってしまった」と会見で語っていた。
 この汚染米の流通を持ちかけたのは三笠フーズに買収された米の流通会社の経営者の宮崎一雄氏(現三笠フーズ特別顧問)で、日本テレビの「真相報道バンキシャ!」で責を問われて、「汚染米とは言って売ってない」とシャーシャーと答えていた。三笠フーズの冬木社長に教えたのか、と聞かれて「そんなことはしていない」とも答え、醜い責任のなすり合いをしている。
 問題は汚染米の横流しの事実を知ってか知らずか、農林水産省は過去96回も三笠フーズの立ち入り検査に出向きながら、なんら摘発しなかったことである。事前に立ち入り検査がある、と通告してから行った、との話もあり、農水省もぐるだ、と思われても仕方がない。供応に応じた大阪農政局の元課長は「1回目は1000円くらいの料理をご馳走になっただけで、2回目は食事に手をつけなかった」と弁明している、というが国家公務員倫理規定に反している事実には変わりはない。
 当の冬木社長は今月はじめに記者会見で謝罪して以降、あまりの影響の大きさに驚いてか姿をくらましており、15日には報道人に「万死に値する」と反省の心境を書いた文章を送ってきた。
 三笠フーズが流通した汚染米は年間1776トンで、これによる三笠フーズの不当利得は5120万円にのぼる、という。この汚染米は焼酎や菓子の原料として用いられるだけでなく、一部幼稚園や老人ホームなどの主食として用いられている。太田誠一農水大臣は「人体には影響ない」と監督官庁の責任者としてはあるまじき発言をしたが、とんでもないことだ。
 汚染米の流通がどういう仕組みになっていて、その監視体制がどうなっているのか、さっぱりわからない。政府はいまの汚染米の影響がどこまで広がるのかを解明するのはもちろん、今後、こうした事態の再発を防止するために汚染米の流通についてどういう監視体制をつくっていくのか、を国民の前ではっきり言明すべきである。

追記1 農水省は16日、汚染米の最終加工者を含めた流通業者が約370社にのぼる詳細を会社名も併せて発表した。これまで判明していた和菓子、米菓メーカー、給食施設に加え、外食企業も含まれている。「不正流通対策特別チーム」や地方農政局の食品表示Gメンが①殺虫剤メタミドホス②カビ毒アフエアトキシンBI③殺虫剤アセタミプリドーーの3つのルートを調査してわかったもので、次はその原因と再発防止の対策の発表である。ぜひとも急いでほしい。

追記2 17日になって農水省が公表したリストのうち表記された熊本県の業者から「全く関連のない商品を扱っており、迷惑だ」との抗議が寄せられた、という。12日に九州農政局の職員が来て、間違いに気づいたが、そのまま公表されてしまったという杜撰さはあきれ返る。今回の事件の遠因は農水省の汚染米処理のいい加減さにあることがわかってきており、責任者への厳粛な処罰が望まれる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする