鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

異色な組み合わせで芸術の秋を楽しんだ

2008-09-19 | Weblog
 18日は東京・初台の東京オペラシティでの恒例の「題名のない音楽会」の公開番組を聴きに行った。招待券にゲストがブルーマングループと出ていたので、数年ぶりにブルーマンの演奏が聴けるのならと出かけた。司会の佐渡裕が今年になってから休みをとってなくて、来週から休みに入るせいか、前後半とも熱演で合わせて2時間強の充実した時間を過ごすことができた。
 前半の第1部はまずアコーディオン奏者の御喜美江による「バンドネオン協奏曲第3楽章」から始まった。ドイツに住んでいて日本とドイツを行ったり来たりしている世界的な奏者で、年齢不詳で、佐渡裕とお互い褒めあっていたのが印象的だった。続いて現れたのがギタリストの村治佳織で、白いドレスの膝の上にギターを置いて「主よ、人の望みの喜びよ」と「G線上のアリア」を演奏した。数年前に上野のホールで演奏を聴いたことがあるが、その時はGパン姿の少女の風情だったが、すっかり大人の女性になっていて、弾く曲もクラシック畑に変わっていて、また違う魅力が出ていた。
 最後に登場したのが韓国のバリトン歌手、キュウ・ウオン・ハンで、「オンブラ・マイ・フ」と「アヴェ・マリア」を熱唱した。アヴェ・マリアは単にアヴェ・マリアと繰り返しているだけの単調な歌のようで、じっくりと聴かせてくれた。
 第2部は歌舞伎の舞台回しを務める常磐津とブルーマングループの異色な組み合わせで、まず赤い2段の舞台に構えた常磐津社中が「どんつく」を演じた。そして、三味線、鼓、謡いの演奏を交えての紹介があり、その都度、司会の佐渡裕が「挑戦したい」といって実際に楽器を手にとり、奏でたのが面白かった。謡いにも挑戦し、「筋がいい」と褒められ、会場の笑いを誘っていた。
 そんなことをしているうちに舞台の袖からブルーマングループの3人組が登場し、持ち前のパイプ製の楽器を使って、常磐津グループと競演し出した。常磐津社中が演じる音をブルーマングループが直ちに再現するというもので、その音感、リズムには驚嘆させられた。司会の佐渡裕も食い入るようにブルーマングループの演奏を見つめていたのがそれを象徴していた。
 特にブルーマンの持ち曲の「PVC HOUSE FINAL」と常磐津社中の「千代の友鶴」を合奏したのは日本の古典音楽と西洋の現代音楽がこんな形で共奏できることを見せてくれた。いつも歌舞伎役者の背後で地味に演じている常磐津社中の音楽が底深いものである、と改めて認識させられた。
 「題名のない音楽会」ならではの企画であり、一般の商業目的の演奏会ではなかなかこうした企画は出てこないだろう。今回の試みを一体誰が企画したのかわからないが、その人に感謝、感謝である。芸術の秋にいい演奏を聴くことができて幸せな一日であった。
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