鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

敵前逃亡の3バカトリオの辞任で何も解決しない

2008-09-20 | Weblog
 18日に農林水産省の白須敏朗事務次官が辞任したのに続いて、翌19には太田誠一大臣が汚染米問題の責任をとって辞任を申し出た。辞表を受け取った福田首相はすでに今月1日に辞任を表明しているので、軍隊で言えば元帥、大将、参謀本部長がそろって敵前逃亡したことになる。いかに米は日本に基幹をなすものとはいえ、異国の首相、大臣、事務次官がそろって辞任することなど過去に聞いたことがない異例の事態。20日付けの毎日新聞で作家の幸田真音が洞爺湖サミットで議長を務めた福田首相があっさり辞めたことは国際的に著しく信用を損ねたとしているが、今回の3バカトリオの辞任劇は国際的に「日本に農政なし」との印象を与えたのは間違いない。
 農水省は当初、汚染米問題は単なる一流通業者の不埒な行為と見くびっていた。白須次官も「農水省の責任ではに」と言明していたし、太田大臣に至っては「汚染米は健康には影響ない。大騒ぎすることはない」と語っていた。ところが、農水省の役人が汚染米の立ち入り調査を何回もしながら、事実を掴めなかったことや、関係業者が370社以上にも及ぶことなどが明らかになるにつれ、責任を認めざるを得ず、次官、大臣と相次いで辞任せざるを得ない事態に追い込まれた。
 ただ、太田大臣はこの前にも「日本の消費者はやかましい」といった問題発言をしたり、事務所経費の不正使用が明らかとなっていて、辞任のタイミングをうかがっていたふしがある。これ以上居座ると、総選挙に悪影響を及ぼしかねない、との判断も働いたと見る向きもある。
 太田大臣から辞表を受け取った福田首相は記者団から任命責任を問われ、「末端まで全部? 大変だな、総理大臣も」とお得意の人ごとのような答弁をし、周囲を呆れかえさせた。
 問題は3バカトリオが辞めても、なんら汚染米の流通対策が講じられていないことで、ませに敵前逃亡と言われても仕方がない。汚染米はもともと日本のお米の価格が高くて、海外からの米に輸入を抑えるためにウルグアイ・ラウンドなど多国間の貿易協定で米輸入を自由化しない代わりに、国が年間77万トンの米を輸入することを10数年前から行ってきた。その輸入米を保管しているうちに汚染してしまい、工業用原料などに流用してきた。それが、どういうわけか一部食用に回されていた、ということで、その流通ルートを解明し、今後こうした問題が再発しないように対策を講じる必要がある。
 大体、汚染米を「事故米」といかにも交通事故にでも遭ったような表現をすることからして、責任逃れをしたい、という役人特有の根性が見え隠れする。そもそも汚染させてしまったことが保管上の不備で、これも役人の責任であり、まずこのことからして問われなければならない。
 街頭でのインタビューで大臣の辞任の印象を聞かれた市民が「きちんと事後処理してから辞めてもらいたい」と言っていた。その通りである。

追記 テレビを見ていると、辞任した太田大臣が多分、農水省の玄関なのだろう、多くの職員に囲まれ、女性から花束をもらってニコニコしている映像が写されている。責任をとって辞任するが、何の善後策も講じずずに無責任に職場放棄していくのにこんな姿をみせつけられて釈然としないのは鈍想愚感子だけではないだろう。石をもって投げつけられても当然なくらいなのに笑顔で去るのはやはりおかしい。大臣を辞めるのは単に席を替わるだけで、屁でもない、ということか。せめて議員を辞めるくらいの心構えを示してもいいのではんかろうか。
コメント
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