鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

もともと暗礁に乗り上げていた拉致問題再調査

2008-09-04 | Weblog
 北朝鮮の拉致問題再調査が宙に浮く見通しとなった。もともと北朝鮮は拉致問題について再調査する意思などてんからなく、単に米国に対するポーズのために執り行った措置に過ぎず、ここへきて福田首相が辞任したことから北朝鮮に対する再調査の実施を迫ることが事実上できなくなった。北朝鮮としては予定通りの行動というに過ぎないが、いよいよ拉致問題は解決のメドが立たなくなってきた。
 8月12日に合意した日朝実務者協議では拉致問題を迅速に行い、可能な限り秋には終了し、開始と同時に日本も北朝鮮に対する経済制裁を一部解除する、というものだった。協議の中身の詳細はわからず、膠着状態に陥っていた拉致問題について辻褄を合わせるため、日朝間で格好をつけたとしか思えないものだった。具体的な再調査の中身については肝心のスケジュール、調査のやり方などについては何も明らかにされなかった。
 日本側としては直前の福田内閣改造で、それまで首相補佐官として拉致問題を担当させていた中山恭子参院議員を拉致問題担当大臣に昇格させ、いかにも政府あげて拉致問題に取り組んでいる姿勢をみせただけに一応の前進をした、という格好をつける必要があった。ずるがしこい北朝鮮側にそこまで忌憚のない腹のうちを見せたかどうか、はわからないが、拉致問題再調査を行うことで合意ということになった。
 ところが、8月末になって北朝鮮は6カ国協議で合意した寧辺核施設の無能力化を突如中断する、という措置を発表した。米国によるテロ支援国家の指定解除が先送りされたことに対する不満を表明したもので、もとは北朝鮮が核施設への立ち入りなどの手順を定めた申告書検証案に回答しないのが発端で、どこまで北朝鮮が核無能力化をする気であるのか見えない。この過程で、ついでに拉致問題も協議されているに過ぎず、北朝鮮にとてはあくまでも米国のテロ支援国家の指定解除が最優先の課題であるのは明らか。
 福田首相が辞任しようが、しまいが、北朝鮮は拉致問題の再調査には手をつける気なんか最初からなかったことだろう。それよりも核施設の無能力化にからむ米国からの経済支援がなによりも望みだった。それが遠のいた今、拉致問題の再調査などてんから頭の中にないことだろう。
 福田首相が辞任した理由のなかに膠着状態に陥っている拉致問題もあったことだろう。日本の外務省も辻褄合わせでここまで引っ張ってきた拉致問題について、福田首相の辞任という不測の事態が起きたことで内心ホッとしているに違いない。再調査が暗礁に乗り上げたとする格好の口実ができたからで、次になる首相に下駄を預ければいい、とでも思っていることだろう。
 可哀そうなのは何も知らされずに年ばかりとっていく拉致家族の被害者だ。
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