鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

どこへいったのか、110兆円のマネー

2008-09-09 | Weblog
 8日夕、待ち合わせで東京・青山の地下鉄青山一丁目駅近くの喫茶店で休んでいたら、中年の男性2人が入ってきて、隣のテーブルに着いて、やおら話し出した。本を読みながら、聞くともなく聞こえてきた話を聞いて驚いた。どこか都心の土地650坪のうち400坪を坪1億円で買うことで、どこか外資系の銀行から融資を受ける話をしている。会長と呼ばれた60前後のスーツ姿の男性が周りも憚らず、携帯電話で部下を呼びだし、前の男性に確認しているのは松本清張のミステリー小説じみている。まるで、20年前のバブルが再燃しつつあるのか、と思わせる一場面であった。
 都心の土地の時価が1坪1億円になった、という話は聞かないが、表面に表れている経済指標は悲観的なものばかりである。今年4-6月期のGDP(国内総生産)は前期比0.6%減(年率2.4%)と四半期ぶりにマイナス成長となったし、企業業績も野村証券の選定した348社ベースで今期は3.3%の経常減益となる見通しである。しかも物価は原油価格の上昇を受けて上がる一方で、生活難は続いているのに肝心の政府は権力闘争に明け暮れていて、海外から日本を見る眼は厳しく、”日本総売り”の状況となっている。
 株価は8日こそ東証一部で前日比412円33銭高の1万2624円46銭となったものの、相変わらず基調は低調で、今年8月の東証一部の売買代金は39兆7000億円で3年ぶりの低水準に落ち込んだ。頼みの外国人投資家は昨年8月から今年3月まで4兆円売り越しし、4~5月に2兆円買い越したが、6月には再び1兆円の売り越しで、その後も買いには転じていない。
 8日の東証一部の全上場株の時価総額は385兆7338億円と時価総額の目安であった日本のGDP500兆円を大きく割り込んでいる。東証二部の全上場株の時価総額は4兆657億円と微々たるものなので、ざっと110兆円ものお金が逃げ出してしまった勘定で、恐らく海外へ逃避してしまったものと思われる。消えた110兆円ものお金がどこへ流れて行ったのか、追及していけば、日本経済の立て直しの処方箋が書けるのだろうが、お金に縁のない庶民にとっては雲を掴むような話なのだろう。
 9日付けの日本経済新聞の1面トップにタイミングよく「銀行にマネー滞留 預金超過145兆円」との記事が出ていた。 すわっ、110兆円が銀行に行ったのか、と思ってよく読むと、なんのことはない、この1年で増えたのはほんの1%で、なにも最近のことでなく、ここ数年の傾向を記事にしただけのことで、経済専門紙としてはやや専門を欠くこととなった。、
 そのお金が原油市場に流れ込んで、1バーレル144ドルもの高値を呼んだものと思われるが、その一部が再び土地に向かっているのだろうか。件の中年男性2人はどう見ても高額なマネーを運用している輩には見えず、どうみても踊らされている人にしか見えなかった。松本清張ばりの推理が働けば、一遍のミステリーがものにすることが出来たのかもしれない。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする