写真①:通称・「塩倉庫」(熊本塩務局津屋崎出張所庁舎附属文庫)
=福津市津屋崎土居で、2010年10月3日撮影
〈津屋崎千軒・町歩きスポット〉 48
:土居の「塩倉庫」
土居(福津市津屋崎4丁目)にある赤煉瓦(レンガ)造りの切妻造平屋約25平方㍍の建物で、「塩倉庫」=写真①=は通称。政府が日露戦争の軍費調達のため、明治38年に製塩から販売まで管理する塩の専売制をしき、翌39年(1906年)に建設した熊本塩務局津屋崎出張所庁舎附属文庫(文書庫)です。江戸時代から製塩を続けてきた津屋崎の塩田が、明治44年(1911年)に廃止になるまで局の重要文書を保管していました。ほかに庁舎、塩倉などの施設が建てられたとみられますが、現存しているのは同文庫と荷揚場だけ。
この「塩倉庫」に使われた赤レンガの積み方は、レンガを大きい方の面・「長手」だけの段、小さい方の面・「小口」だけの段と一段おきに積み重ねる方式の「イギリス積み」です=写真②=。強度が最も強く、使うレンガが少なくてすむ廃材の出ない合理的な積み方とされています。
写真②:「イギリス積み」で積み上げられた「塩倉庫」の赤レンガ
=写真は10年7月2日撮影
塩と炭鉱王が支えた津屋崎」というキャッチフレーズで、「津屋崎千軒うみがめ祭・町家まつり」が平成22年4月17日(土)―18日(日)、福津市まちおこしセンター「津屋崎千軒なごみ」などで催され、延べ約8千人が来場しました。町興しボランティア団体の「津屋崎千軒 海とまちなみの会」が、メンバーに参加した実行委員会で初めて開催されたもので「塩倉庫」についての南時夫・市教委文化財係長の講演会や、「塩倉庫」前広場に特設した野外ステージで「津屋崎塩倉庫ライトアップコンサート」=写真③=を行い、約2百人の音楽ファンが来場。
写真③:「津屋崎塩倉庫ライトアップコンサート」
=10年4月17日撮影
また、「津屋崎塩田」が津屋崎の中心産業だった時代の写真や塩作りの方法などを展示。〝津屋崎は塩で保(も)つ〟といわれた津屋崎産の粗塩を再現、外海に面した「恋の浦」のきれいな海水から手作りした焼き塩の実費頒布や、塩作り体験教室=写真④=も開かれました。
写真④:塩作り体験教室
=福津市まちおこしセンター「津屋崎千軒なごみ」で、10年4月17日撮影
「土居の塩倉庫」位置図