とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

塩見岳3日目

2009-07-24 07:00:00 | 山登り
眠れずに真夜中に時計を見たら0時過ぎだった。まだ、夜明けまでは時間がある。天気が気になりトイレにも行きたくなったので、ヘッドランプをつけて小屋の外に出てみた。真っ暗な闇の中で空を見上げると、空全体に溢れんばかりの星星が輝き、空の真ん中には大きな天の川が横たわっていた。久々にみた星空だ。これで天気は大丈夫だと確信を持った。トイレを済ませ静かに寝床に戻った。

3時を過ぎた頃、早立ちの人たちがごそごそと動き始めた。私もしばらくしてから身支度を整え小屋の外に出てみた。まだ、星がキラキラ光っている。眠っている仲間の人たちにも声をかけ起しにいった。間違いなくご来光が見えそうな晴れ上がった空であった。4時を過ぎた頃から空は明るくなり、山の向こうが赤くなってきた。その上には三日月が輝いている。たくさんの登山者たちが小屋の前にある高台に集まってきた。ご来光の瞬間をカメラに捉えようと待ち構えた。

だが、太陽はなかなか上がってこない。そのうち朝食の用意ができたと小屋番に呼び出され、食事にむかった。ご飯と味噌汁をお代わりしたが、結構早く食べ終えて、再びご来光を見に戻った。幸いにもまだ太陽は山の下だった。

しばらく待つうちに、ふと見上げると一気に山の向こうが輝きだした。ご来光の瞬間である。雲の色がオレンジ色からピンク、赤とめまぐるしく変化していく。やっぱり高い山から見る日の出は神々しい。



太陽に向かって、今後の山旅の無事を祈って手を合わせた。

さて、これからは元来た道を戻り下山だ。雨具を干した塩見小屋の向こうには、昨日登った塩見岳西峰と天狗岩が見える。

ザックを整理して三伏峠に向かって歩き出した。振り返るとピラミダルな塩見岳が大きくよく見えた。

また、遠くには北アルプスの槍ヶ岳、乗鞍山、中央アルプスがくっきり見えた。東側に目を転ずれば、甲斐駒が岳、千丈岳がでっかく見える。

そして、北岳、間の岳、農鳥岳等の白峰三山も手にとる様に見えた。この日は快適な稜線歩きとなった。三伏山を越えると樹林帯の中に初日に泊まった三伏峠小屋が見えた。

また、空を見上げると、あばら骨のような面白い雲が見えた。

そして、東側には、初日に登りたかった烏帽子岳のなだらかな稜線が見えた。

三伏峠にはあと僅かである。

三伏峠から烏帽子岳に向かう途中にお花畑があるというので、すこし寄り道することにした。分岐から分かれ数分でお花畑に着いた。水場が近くにあり、お腹もすいてきたのでお花畑の前で昼食にすることにした。昼食はNさんがパックご飯、カレー、スパゲッティ、コンソメスープ、野菜とたくさん材料を持ってきてくれたおかげで、水場から汲んできた南アルプスの天然水を使ったカレーライスやスパゲティ、スープをご馳走になった。また、小屋に近くKちゃんがビールを買ってきてくれたので、青空とお花畑の前で気持ちよい昼食をとることができた。お花畑は鹿害を防ぐためフェンスで囲まれていたが、黄色い花が咲き乱れていた。


お花畑に向こうには、塩見岳がどっしり構えていたのも嬉しかった。


三伏峠からは急な下りとなる。塩川までは10の区間に区切られ、10から1まで番号が振られている。登るのはきつかったが、下りはぐんぐん下りて1時間ほどで5/10まで着いた。少し休憩をして4/10を過ぎた頃、岩に血溜まりがあってびっくり。かなり多量の血溜まりである。しかもまだ生々しく、乾いていなかった。誰か滑落して怪我をしたのではないかと気になり回りをきょろきょろしながら下山していった。沢に下りたところで、先行した登山者に会ったが、その人たちも血溜まりを見て気になっていたらしい。だが怪我をした人は見かけていないということで、ますます心配になったが、とりあえず前に進んだ。南アルプスらしい苔むした樹林帯や沢を渡り塩川小屋に着いた。



塩川小屋でトイレを借りた時に、小屋番から怪我人の話があって血溜まりの真相が明らかになった。単独行の若い男性が下山中に足を踏み外して転倒し、岩場で頭と手を打ち大怪我をしたとの事だった。しかし、その男性は、骨を折ったにもかかわらず自分で手当てをして小屋まで一人でたどり着いたらしい。知らせを受けた小屋番がドクターヘリを呼び、ヘリ発着場まで車で送り届けてきたばかりとの事だった。命に別状はないようだったので少し安心したが、よくも一人で下山できたものだと驚いた。山での事故は、下山時が最も多いと聞いている。つかれて足腰の踏ん張りが利かなくなってくるので最後の最後まで気を抜いてはいけないとつくづく思った。幸い我々のパーティは全員怪我もなく無事下山できた。