とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

2017後立山連峰縦走:3日目冷池山荘~赤岩尾根~大谷原

2017-07-31 00:01:56 | 山登り
3日目も朝からずっと雨だ。5時からの朝食を1番で食堂に入り、早々に出発の準備をする。


下山する予定の大谷原からは、タクシーを呼んで白馬まで帰ることにしていたので、山荘からタクシー会社に電話をする。コースタイムでは、4時間半くらいかかるようになってはいたが、4時間あれば十分間に合うだろうと、4時間後の9:30頃来てもらうように連絡する。5:32。冷池山荘を出発する。


5:46。赤岩尾根分岐に到着する。後方に見える赤い屋根の建物が、冷池山荘である。


真っすぐ進むと、爺ヶ岳方面だが、我々は、赤岩尾根方面に下って行く。


北アルプスには、3大急登と呼ばれる急登があるのだが、一般的には、烏帽子岳のブナ立て尾根、剱岳の早月尾根、燕岳の合戦尾根の3つだと言われている。しかし、鹿島槍ヶ岳の赤岩尾根、笠ヶ岳の笠新道が入るとされる説もあり、どれも負けず劣らずの急登だ。

3大急登に入ってもおかしくない赤岩尾根の下りも、なかなか大変だ。やせ尾根を何度も下るのだが、赤茶けた山腹に切られた登山道は滑りやすく、ちょっとした衝撃で小石が崩れ落ちていく。樹林帯の中に入ると鉄製・木製の階段が幾度となく現れ、嫌になってしまうほど長く感じる。


7:46。赤岩尾根登山口に到着する。コースタイムでは3時間20分になっていたが、実際には2時間ほどで下山してしまっていた。


登山口のすぐ横にある砂防ダムの地下トンネルに入る。




トンネルの途中にある覗き窓からは、豪快に流れ落ちる水が見える。


あとは、大谷原までの林道歩きである。今までの登山道と比べると単調すぎて飽きてしまうくらいだ。




8:33。大谷原に到着する。結局、冷池山荘から3時間で下山してしまったようだ。健脚メンバーが揃ったとは思っていたが、これほど早く着けるとは思ってもみなかった。


タクシーの予約時間まで1時間もあるので、待ちきれない。携帯の電波が届きにくい場所だったが、au(ドコモはダメ)で何とか繋がり、連絡がついた。荷物の整理やトイレを済ませているうちに15分程でタクシーが到着する。タクシーの運転手に集合写真を撮ってもらうと、2泊3日の山旅が無事終わった。


白馬に戻り、八方温泉で3日ぶりに風呂に入る。やっぱり山の後の温泉は最高だ。その後の食事とソフトクリームも美味しかった。今回のルートは、難所の八峰キレット通過があったので3人という少人数で行けたのが良かった。また、同行したSさん、Yさんとも気力、体力、度胸が3拍子揃っており安心して登山できたのはありがたかった。このメンバーなら、更なるスリルある山旅ができそうだ。

参考1.3日目のコースマップ(冷池山荘~赤岩尾根~大谷原)


参考2.3日目の高低図(冷池山荘~赤岩尾根~大谷原)

2017後立山連峰縦走:2日目鹿島槍ヶ岳~冷池山荘

2017-07-30 06:51:09 | 山登り
10:19。キレット小屋を出発する。キレット小屋からは、いきなりの急登である。梯子を登り、さらに鎖場を登ると岩峰の東面をトラバースする区間に出る。


前方の岩場では、悪戦苦闘している登山者の姿も見える。


10:26。八峰キレット核心部と呼ばれる場所に来た。どんな場所なんだろうかとビクビクしながら進んでいく。


八峰キレット核心部は、谷底をトラバースする短い区間だ。梯子が二箇所にかけられ、トラバースには足場を補完する橋が架けられていて高度感がある。

核心部を抜けてきて余裕が見られるYさん。


核心部を過ぎてしまえば、それほど緊張する場所はなく、稜線のガレた登山道を進んでいく。




11:15。鹿島槍北峰の分岐に出る。北峰までは直ぐなので、荷物を置いて空荷で向かう。


11:23。鹿島槍ヶ岳北峰2842mに到着する。


分岐まで戻り、荷物を担いで吊り尾根と呼ばれる岩稜帯を進む。大きな雪渓がほとんど溶けずに残っている。


雪渓が溶けた場所は、チングルマとイワカガミのお花畑になっている。


12:14。鹿島槍ヶ岳南峰2889mに無事到着する。ここまで来れば一安心である。多少の雨風があっても問題なく先に進めることができる。


南峰山頂でガスを出してお湯を沸かす。山頂で飲むコーヒーの味は格別である。


山頂で1時間近くのんびりしていたら、一瞬ガスが晴れて剱岳らしき山容が顔をのぞかせた。


しかし、それ以上ガスが晴れることなく再び真っ白いガスに包まれてしまったので、諦めて出発することにした。岩がゴロゴロしているが、緩やかに下っているのでサクサクと進んでいける。


後ろを振り返る。尾根道の右側が信州側となるが、ガスで全く景色が見えない。


少し高度が下がってきたので、ハイマツ帯とお花畑が多く見られるようになってきた。


今回の山行では、ハクサンチドリを初めて見つける。


ハクサンイチゲ。


13:29。布引山2683mに到着する。


あとは、気楽なハイキングコースが続く。


14:14。冷池山荘に到着する。ここまで無事に来られるか心配だったが、難なく来られたことにホッとする。途中、出会った冷池山荘のスタッフの女性によれば、この日はここ3日間で最も天気が安定した日だという事だった。毎日雨で、外に出ることもままならないスタッフが久しぶりに外に出て登山道を歩いてきたのだという。晴れ間はほとんどなかったが、雨風もほとんどなくここまで来られた我々は、大いに恵まれていたという事だろう。


部屋に荷物を置いてから、談話室で、早速待ちに待った生ビールを頂く。まさに至福の一時だ。


17時の夕食。


最終日は、下山するだけなので、多少の雨が降っていても何てことはない。ほぼ、八割方終わったという安堵感から午後8時過ぎには眠りに入っていた。

参考1.2日目のコースマップ(五竜岳~キレット小屋~鹿島槍ヶ岳~冷池山荘)


参考2.2日目の高低図(五竜岳~キレット小屋~鹿島槍ヶ岳~冷池山荘)


「2017後立山連峰縦走:3日目冷池山荘~赤岩尾根~大谷原」に続く。


2017後立山連峰縦走:2日目五竜岳~キレット小屋

2017-07-29 18:10:46 | 山登り
2日目の朝も山荘の周囲は雲に覆われ、快晴は望めそうもない。それでも、五竜岳直下まで来ているので、五竜岳だけは登るつもりでいた。まずは、五竜山荘名物の「山が好き 酒が好き」Tシャツを、色を代えてお揃いで購入する。このTシャツを着ると、五竜岳山頂への思いが高まる。


5:22。五竜山荘を出発する。相変わらず雨が降り続き、最初からカッパを着ての山行となった。


五竜岳への登山道は、ガレ場のジグザグ道だ。五竜から鹿島槍の区間は、岩稜地帯が続くので落石や転倒などで頭を守るためにヘルメット着用推進山域となっている。この日は、全員ヘルメットを着用する。


信州側は、真っ白い雲の中に覆われて街並みを確認するすべもない。


6:22。五竜岳2814mに無事到着する。山頂写真は、「山が好き 酒が好き」Tシャツで決まりだ。


15分ほど山頂周辺で休憩した後、キレット小屋への分岐まで下る。この辺りまで来ると、ガスが少しとれ青空もチラッと見え、雨も止んできていた。登りだしたときと比べると、かなり期待できる状況になってきたので、キレット小屋までの縦走を予定通り進める気持ちに全員傾いてしまっていた。


これから進む八峰キレットは、富山県、長野県の県境に位置し、大キレット(北穂高岳-槍ヶ岳(南岳))、不帰キレット(唐松岳ー白馬岳(天狗の頭))と共に日本三大キレットの一つに数えられる有名な難所だ。まず最初に出てくるのが、G4と呼ばれる岩峰である。


鎖場が連続する岩場を慎重に下って行く。




G4を下り終えると、小さなコルが見えてきた。


コルの先には、G5と呼ばれる岩峰が待ち構えている。


岩の僅かな隙間からミヤマオダマキが咲いていた。


G5を登り返す。


鎖がないと、とても登っていけない垂直の岩場。


8:24。北尾根ノ頭2550mに到着する。


前方に見えるのは、鹿島槍ヶ岳の北峰だろうか?まだ、先は遠い。


さらに三段登りと呼ばれる岩場を進む。




9:00。少し広い場所に出る。ここなら休憩もできる。朝食からすでに4時間も経っているのでお腹が空いた。五竜山荘で作ってもらった弁当を、雄大な景色をバックに食べる。




エネルギーを補給できたので、さらに一頑張り。この岩場をクリアすればキレット小屋が見えてくるはずだ。




大きな岩峰を回り込むと、最初の目標ポイントであるキレット小屋が見えてきた。もう僅かだが、急いては事を仕損じる。慎重に足元を見ながら小屋に向かった。五竜岳から、ほぼ3時間の行程だった。


「2017後立山連峰縦走:2日目鹿島槍ヶ岳~冷池山荘」に続く。

2017後立山連峰縦走:1日目八方尾根~唐松岳~五竜山荘

2017-07-28 22:15:48 | 山登り
26日(水)~27日(金)の3日間で後立山連峰の唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳の縦走コースを歩いてきた。今回は、健脚のSさん、Yさんの女性2名を伴って、3名のパーティで難コースと言われる八峰キレットを通過する計画だ。

前日の火曜日、Sさんのペンションに泊る。翌朝、八方尾根スキー場のゴンドラリフト、アルペンリフト2本を乗り継いで行く。最後のアルペンリフト乗車口前は、ニッコウキスゲの大群落である。




最後のリフトを下りると、八方池山荘前に出る。7:41。ここから、本格的な登山道となり、後立山連峰縦走登山の開始だ。


しばらくは整備された木道を歩いていく。雪渓がいたるところに残っており、今年は雪が多いという事が良く分かる。




8:40。八方池に到着する。残念ながら、白いガスに包まれ景色は全く見えず、池に映る白馬連峰の姿も見えない。


登山道の脇には、鮮やかな赤紫色のホタルブクロが咲いていた。


ダケカンバの森の中を進んでいく。


雨露にぬれたクルマユリ。


再び雪渓歩きだ。


夏道の横には、雪渓が広がっている。


少し青空が出て来る。チングルマやイワカガミの高山植物のお花畑が青空に映える。




10:00。丸山ケルンに到着する。


雲が取れて、不帰の嶮が良く見える。




10:40。唐松山荘に到着する。山荘前のテラスで軽く食事休憩をしてから、荷物を下ろし、空荷で唐松岳に向かう。


11:10。10分ほどで唐松岳2696mの山頂に到着する。晴れていれば、白馬三山の雄姿も見えるはずだが、真白い景色では何も見えない。山頂写真だけ撮って、早々に下山だ。


途中の岩場には、コマクサの群落も見られる。


唐松山荘のテラスから、唐松岳に繋がる稜線を眺める。


11:55。唐松山荘から、いよいよ難所が始まる。すぐに出てくるのが、牛首の鎖場だ。険しい断崖の一部に掛けられた鎖場が連続している。






白いガスがかかり下の方が見えないのが幸いしているかもしれない。女性陣もしっかり、後を付いてくる。




イワギキョウが岩場の隙間から健気に咲いている。


ガスの中に包まれているのが五竜岳か?


垂直に切れ落ちた絶壁の横を通過する。


14:03。五竜山荘に到着する。これでこの日の行程は終了だ。部屋に荷物を置いて一息ついてから、談話室に入って、一日目の無事を記念してビールで祝杯を挙げる。アルコール類は、それほど強くない私だが、女性陣の熱気に釣られて、いつも以上に飲んでしまい一旦部屋に戻ると夕食まで爆睡だった。

夕食は、五竜山荘名物のカレーライスだ。美味しいカレーにお代わりするも、翌日の天気予報が今一つ芳しくない。特に五竜岳から鹿島槍ヶ岳にかけての八峰キレットは、スリルと緊張に襲われる鎖や岩場の難所が連続する。ずっと雨だったら、かなり危険な場所だけに、翌日の行程をどうするか3人で大いに悩む。最悪の場合は、五竜岳だけ登ってから遠見尾根経由で五竜遠見スキー場に下りることも考えた。それでも、最近の天気は、予想が難しい。結局、翌日の朝の天気を見て考えようという事で、この日は、眠りについた。

参考1.1日目のコースマップ(八方尾根~唐松岳~五竜山荘)


参考2.1日目の高低図(八方尾根~唐松岳~五竜山荘)


「2017後立山連峰縦走:2日目五竜岳~キレット小屋」に続く。

2017幌尻岳&アポイ岳登山ツアー:5日目アポイ岳登山

2017-07-23 11:14:20 | 山登り
アポイ岳は、北海道様似郡様似町の日高山脈支稜線西南端に位置する標高810.6mの山である。地名の由来はアイヌ語の「アペ・オ・イ」(火のあるところ)から。山が「幌満かんらん岩」と呼ばれているかんらん岩でできており、標高が低いわりに、特殊な岩体のため森林が発達せず、「蛇紋岩植物」が生育する高山植物の宝庫として有名であり、花の百名山としても有名だ。

ビジターセンターで学んだことによると、アポイ岳の「幌満かんらん岩」は、世界的に見てもここにしかないという貴重な岩であるそうだ。かんらん岩の研究をする学者は、世界中からこのアポイ岳の「幌満かんらん岩」を見に来るという。何が貴重かというと、この幌満かんらん岩は、マントル物質そのものであるという。地球の内部は、マントルという物質でできているが、人類の科学力をもってしてもマントルまで掘り進むことは未だにできていない。そのマントル物質が、アポイ岳ではむき出しになっているからスゴイというわけだ。そういう場所であるからこそ、2015年にはユネスコ世界ジオパークに認定されている。


アポイ山荘で早めの朝食をとり、アポイ岳登山口を7:30に出発する。登山口では、入林届けに記入する。


ここにも、熊出没注意の大きな看板がある。北海道では、何処の山に行っても熊に遭遇する可能性があるのだ。


シャクナゲを見つける。


8:25。3合目を通過する。登山道には、1合ごとに道標が建っているので登山の目安になる。また、木には、熊除けの鐘が吊り下げられている。


8:45。5合目の避難小屋に到着する。


5合目を過ぎると、岩がむき出しになった登山道に変わってくる。


花の百名山だけあって、このあといろんな花を目にするようになってくる。

雨露に濡れたイブキジャコウソウ。


サマニオトギリ。


6~7合目は、はんれい岩質とかんらん岩の互層になっている。




キンロバイ。


エゾカワラマツバ。


アポイアザミ。


アポイマンテマ。


ホソバトウキ。


この黒っぽい岩が筋になっているのは、かんらん岩がむき出しになっているのだろうか?


9:52。9合目を通過する。


9:56。アポイ岳山頂810.6mに到着する。


30分ほど山頂で休憩した後、幌満お花畑方面に向かう。幌満お花畑方面のルートは、登山者が少ないのか道幅が狭く歩きにくい。


視界が開けてきて前方を見ると、鞍部が平らになっているのが見える。そこが幌満お花畑らしい。


10:55。幌満お花畑に到着する。


ここでしか見られないエゾルリムラサキ。薄紫の可愛い花だ。


ヒメエゾネギ。


お花畑から遠望すると、昨日泊ったアポイ山荘が見えた。


下山していく途中、大勢の高校生が見えた。地元の浦河高校の高校生だ。学校行事としてアポイ岳登山をしているという。


馬の背お花畑で、これからアポイ岳を目指す高校生を見送る。


13:05。無事下山。


その後、アポイ山荘の温泉に入って軽く昼食をとって、一路150キロ先の新千歳空港まで向かった。レンタカーを返却後、最終便の飛行機に搭乗し、4泊5日の登山ツアーが無事終わった。好天には恵まれなかったが、登山の時だけは雨に降られず、ほぼ予定通りの計画で終わったのはラッキーだった。

参考1.アポイ岳のコースマップ


参考2.アポイ岳の高低図

2017幌尻岳&アポイ岳登山ツアー:4日目新冠観光

2017-07-22 22:15:07 | 観光
小さいレンタカーなので車中泊はツライ。なかなか気持ちよく寝ることが出来ず、4時過ぎには目が覚めていた。1日目に泊まったホテルヒルズの温泉が、朝風呂として5時から入浴できると分かっていたので、オープンを待って、さっそく温泉に入った。

入浴後、温泉の大広間で小一時間ほど朝寝をすると疲れがとれた。4日目の当初の予定は、新冠ポロシリ山荘から林道歩きをすることにしていたので、まるまる1日分空いてしまったのだ。空いた一日は、新冠町を観光することにした。まずは、近くのマックに行って朝食を済ませ、道の駅がある「新冠町 レ・コード館」に寄ってみた。


ここは、97万枚ものレコードが蓄蔵されていて、レコード音楽好きが集う施設となっている。1935年に製作された蓄音機の音色観賞や音楽の歴史なども知ることができるそうだ。ところが、入口まで行ってみると閉まっていて入れない。休日の翌日は、休館日という事で、残念ながら入ることが出来なかった。

仕方なく、レ・コード館前のハイセイコー像などを眺めて、別の場所に向かう。


小高い場所まで行くと、サラブレッド銀座駐車公園がある。


駐車公園からは、サラブレッドが佇んでいる牧場が見渡す限り広がっている。


駐車公園の西側を眺めると、新冠泥火山が見える。火山というからには、噴煙でも上がっているのかと思ったが、見た目は、普通の丘にしか見えない。しかも、私有地の牧場内の丘なので近くまで行くこともできない。大昔の火山活動によって盛り上った泥丘が8個存在するという説明文を読んだだけで終わった。




他に面白そうな場所はないかとパンフレットを見て、判官館森林公園に向かった。ここは、国道236号線沿いに位置し約66ヘクタールの広大な敷地面積を持つ公園で、太平洋を望む判官岬、広葉樹の原生林に覆われ豊富な種類の草花や野鳥を見ながら遊歩道の散策やフィールドアスレチックで遊ぶことができる。

判官館森林公園でも、つい最近熊が出たとかで、ビクビクしながらも“たこっぺ湿原”まで行く。案内板の表示が不親切で場所がすぐにわからず、園内を歩き回ってしまったが、何とか湿原の場所に出た。


湿地帯の中に木道が整備され散策できるようになっているが、いかんせん時期が遅かった。ほとんど花は終わっており、青々とした葉が繁っているだけだった。


大きなミズバショウの葉だけが、目につく。


緑だらけの中で、僅かに彩りを見せているのはシモツケソウしかない。


たこっぺ湿原から少し足を延ばして、判官岬まで行く。


判官岬からは、太平洋、日高本線、新冠市街地などが良く見える。


判官岬の先端は、判官館という岩山だ。


判官館という名前の由来は、看板にこのように書かれている。
『京の五条の橋の上・・・』この歌は牛若丸と弁慶で広く親しまれている。牛若丸は後の悲劇の武将源九郎判官義経である。梶原景時の奸計によって、心ならずとも兄源の頼朝との戦いとなった。弟義経は、ひそかに衣川をあとに、海路蝦夷地をめざしたという。折からの季節風に漂流すること数日、初めて見た蝦夷地は日高山脈の残雪であった。義経はふとひときわ目立つ岸壁に気を奪われていた。それは衣川上流の断崖とそっくりであったからだ。義経は、懐かしさのあまり上陸したが、空腹と安堵感からハマナスの砂丘に放心状態のまま倒れた。しばし後、水と食物を持ったアイヌの娘が立っていた。以後、義経はこの娘と暮らすことになる。義経は、岩山を自らの源九郎判官義経の名にちなんで「判官館」と名付けた。・・・


判官館がどんなふうに見えるかというと、近くにこんな絵があった。残念ながら、この景色は海からでないと見られないようだ。


新冠の観光はこのぐらいにして、最後の目的地であるアポイ岳のある様似町まで向かった。日本ジオパークのうち、ユネスコ世界ジオパークに認定されているのは「アポイ岳」の他、「洞爺湖有珠山」「糸魚川」「山陰海岸」「島原半島」「室戸」「隠岐」「阿蘇」の8地域だという。アポイ岳ジオパークビジターセンターで翌日登るアポイ岳の勉強をしておくことにした。


ビジターセンターの入口にあった北海道の鳥瞰図。これを見ると、北海道の屋根という大雪山系と日高山系が良く分かる。


アポイ岳ジオパークビジターセンターのすぐ前が、この日泊まるアポイ山荘だ。数年前の北海道マラニックで泊ったことがあり、いい宿だったので今回も泊ることにしたのだ。


アポイ山荘の夕食。


メニューはこんな感じ。


食後のデザートも美味しかった。


「2017幌尻岳&アポイ岳登山ツアー:5日目アポイ岳登山」に続く。

2017幌尻岳&アポイ岳登山ツアー:3日目幌尻岳登山~林道歩き

2017-07-21 22:17:23 | 山登り
新冠ポロシリ山荘で3日目の朝を迎える。深夜、トイレに行った時、月が見えていたので午前中は何とか天気が持ちそうだった。午前3時に起床して、朝食を食べたり登山の準備をしていたら4時を回ってしまった。山頂アタック用のサブザックに食料、飲み物、雨具を詰めて準備万端だ。4:18。新冠ポロシリ山荘を出発する。


登山道は、山荘のすぐ前にある細い踏み跡だ。


沢沿いにしばらく進むが、途中で土砂崩れがあり、高巻の登山道で迂回していく。一旦登ってから沢側に下るのだが、泥だらけの凄い道でロープを捕まえながらでないと下りることができない。


再び沢沿いに進む。


渡渉を1回すると、本格的な登山道になる。腰くらいまでに伸びた笹の道を進むので、雨具のズボンを履いて行ったのは正解だった。水滴が多量に着いた笹を掻き分けるので、雨具がなければ、ズボンがずぶ濡れになるところだった。


6:07。見晴台に着くと雲が取れて、青空が出ていた。左側の尖ったカッコいい山は、カムイエクウチカウシ山だ。カムイエクウチカウシ山は、通称「カムエク」と呼ばれており、このアイヌ語の意味は「熊が転げ落ちることがよくあるほどの急峻な山」ということらしい。


そして、こちらはイドンナップ岳だ。


見晴台からさらに急坂が続く。ところどころにコバイケイソウが咲きだしている。


6:50。雪渓から溶け出した水が沢となって流れ落ちている。


沢を過ぎると、高山植物がいたるところで見られるようになってきた。ハクサンチドリ。


シナノキンバイ。


ハクサンイチゲ。


いつの間にか全面お花畑になってきた。下の方には、幌尻湖も見える。


7:04。その名もズバリ“お花畑”を通過する。


イワヒゲ。


ミヤマアズマギク。


トカチフウロ。


7:30。目の前に大きな岩が見えてきた。


7:45。“大岩”の横を通過する。


7:53。振内コースとの分岐を通過。


8:05。幌尻岳山頂2052mについに到着する。これで98座目となった。百名山の中でも最難関と言われる幌尻岳に登頂できたのは、単にうれしい。


山頂から周囲の山並みを撮る。戸蔦別岳が見えている。


北カールには、雪渓がまだ残っている。


5分ほど遅れて、かわいさんも山頂に到着したので改めて一緒の写真を撮る。


30分ほど山頂で景色を堪能して、下山することにした。余裕があれば、七ツ沼カールくらいまでは行ってみたかったが、午後から天気が崩れるとの情報があり、山荘には泊まらずそのまま林道歩きして駐車場まで戻ることにした。

登りは約4時間、下りは約3時間で新冠ポロシリ山荘に戻った。時計を見たら、11:43とまだお昼前だった。この分なら、明るいうちに駐車場まで戻れそうだ。山荘で、昼食を自炊して腹ごしらえする。

参考1:新冠ポロシリ山荘から幌尻岳へのコースマップ


参考2.新冠ポロシリ山荘から幌尻岳の高低図


12:18。山荘で腹ごしらえしている間に、ついに雨が降りだした。帰りの林道歩きも雨の中だ。

12:57。山荘から2キロ林道歩きをすると奥新冠ダムである。ここからさらに15キロも林道歩きが続く。


とにかく帰りの林道歩きも長くてツライ。しかも雨が降ったり止んだりと景色も楽しめない。途中から雨が止み、雨具を脱いで歩き続けていたが、残り1キロくらいから雨がポツポツ降りだしてきた。最後は走るように歩き、車に戻ると大雨になってきた。まさに間一髪だった。

参考3:新冠ポロシリ山荘からイドンナップ山荘へのコースマップ


参考4.新冠ポロシリ山荘からイドンナップ山荘の高低図


18:30。その後、遅れて到着したかわいさんを乗せて、イドンナップ山荘から車で脱出する。この時点で、新冠地域は大雨となっていた。雷雨の中、40キロの林道ドライブは恐怖だ。2ヶ所程土砂崩れがあったが、通れないほどではない。しかし、大きな土砂崩れがあったらひとたまりもない。

林道が終わり、ホッとしたのもつかの間だ。舗装道路になっても大雨は続き、道路がいたるところで冠水し、大きな水しぶきを上げながら街中を目指した。20:30。やっと新冠のコンビニに到着すると一息つけた。この日の食料と飲み物を買いこんで、新冠温泉ホテルヒルズ近くの駐車場で車中泊することにして3日目が終わった。

「2017幌尻岳&アポイ岳登山ツアー:4日目新冠観光」に続く。

2017幌尻岳&アポイ岳登山ツアー:1日目~2日目林道歩き

2017-07-20 22:26:55 | 山登り
7月15日~19日にかけて、今年2回目の北海道ツアーに出かけた。一番の目的は、自分にとっては98座目となる百名山の幌尻岳に登頂することだった。4泊5日という日程では、誰も同行する人はおらず一人で行くつもりだったが、直前になって既に百名山完登済みの“かわいさん”が同行してくれることになり、心強い同行者ができてぐっと緊張感が和らいだ。

まず、1日目は、新千歳空港からレンタカーを借りて、新冠までのドライブだ。この日は移動だけで、新冠町の丘の上にある「新冠温泉 レ・コードの湯 ホテルヒルズ」に宿泊する。新冠町は、日本有数の軽種馬産地として栄えている街だ。至る所に馬の牧場風景が広がり、ハイセイコーやナリタブライアン、オフリキャップ等の馬像が建てられており、まさにサラブレッドの街と言っていい。

登山は、2日目からの予定なので、まずはホテルに早めに入って英気を養うことにした。ホテルの周りも広大な牧草地が広がり、北海道らしい風景が広がっている。


日没近くになって、ホテルの温泉の屋上にある展望台から空を眺めてみると、雲間からスポットライトの光が射しているような幻想的な風景が見えていた。




水平線には雲が多く、夕焼けを期待してしばらく眺めていると雲の切れ間から夕陽が姿を現した。




空が全体的に赤く染まり、夕焼けらしくなってはいたが、くっきりした夕焼けではなく翌日の天気は、あまり期待できそうもなかった。


ホテルの夕食は、こんな感じだ。山に登ると、たいした食事はできないので、ちょっと贅沢で栄養のある食事がありがたい。




2日目の朝、ホテルの玄関前だ。


ロッジ風のお洒落なホテルで、外から眺めてみると、まるで海外の別荘地に来たかのような雰囲気だ。




さて、ホテルを出るといよいよ幌尻岳の登山口へと向かう。今回、私が選択したのは、渡渉を20回以上も行う平取町豊糠からのルートではなく、新冠からの登山ルートだ。新冠からはまず泉町町道ゲートまで25キロの舗装道路を進む。町道ゲートからは、未舗装道路となり23キロのダートを進む。舗装道路なら気楽だが、ダートとなると30~40キロ/hくらいしか出せない。8:50。新冠ダムに到着する。


新冠ダムの上を走ると、新冠ダムのゲートがある。


新冠ダムのゲートから更に未舗装道路を17キロ走るとイドンナップ山荘だ。イドンナップ山荘は無人の避難小屋で、幌尻岳登山者はここで車を止めることになる。さすがに百名山だけあって、こんな山奥なのに数十台の車がすでに止まっていた。


イドンナップ山荘の先には、2年前、アドベンチャーレーサーの田中陽希さんが、日本百名山一筆書きでこのルートを歩いたことから、今年の7月8日に「幌尻岳新冠陽希コース」と命名したという石碑が建っていた。


まだ出来立ての石碑の前で記念写真を撮る。百名山の中でも最難関と言われる幌尻岳をこれから目指すと思うと、身が引き締まる思いだ。


9:43。イドンナップ山荘前のゲートを抜けると、新冠幌尻山荘まで約17キロの林道歩きとなる。


数分歩くと、北電ゲートがある。このゲートは、がっちり施錠されており、登山者は隙間をくぐって通り抜けなければならない。


10:38。橋の途中にもゲートがあり、最初のゲートよりも更に狭くてキビシイ出入口だ。回転扉は人一人しか通り抜けることが出来ず、荷物は下ろさなければならない。


その後も、似たような景色がいつまでも続く林道歩きだ。雨も降りだし、景色は良く見えない。また、ヒグマとの遭遇の可能性もあり、ひと時も気が抜けない。通常山での林道歩きといえば、せいぜい4キロくらいだが、17キロもあるというのは精神的に苦痛だ。12:05。それでも、ポロシリ山荘まであと10キロという案内板を見ると嬉しい。


13:15。ポロシリ山荘まであと5キロまで来た。また、北電ゲートからの距離を示す道標が0.5~1キロ毎にあるので、目標ができて気が休まる。


14:40。新冠ポロシリ山荘がついに見えた。


新冠ポロシリ山荘は2階建てで、40人は楽に入る大きな山荘だ。管理人はいないが、素泊まりで1泊一人1000円を募金箱に入れるようになっている。すぐ横に川が流れていて、そこの水が使えるが煮沸は必要である。屋外にはトイレが設置され、管理が行き届いているようでキレイだった。

事前に、管理者に連絡を取った所、この日は大勢宿泊する予定だと聞いていたのだが、当日と翌日の天気が良くない予報が出ていたせいか、結局宿泊したのは、我々を含めて6名だけだった。外は雨が降っており、やることもないので夕食を早めにとって午後6時には就寝する。

参考1:今回のコースマップ


参考2.今回の高低図


「2017幌尻岳&アポイ岳登山ツアー:3日目幌尻岳登山~林道歩き」に続く。

2017苗場山:後半

2017-07-11 22:05:23 | 山登り
雪解けが済んだばかりの湿原からはミズバショウが咲きだしていた。尾瀬に比べると可愛くて小さなミズバショウだ。




池塘の水面には、青い空と白い雲が映し出されている。そろそろ下山の時間となり、この風景も見納めだ。


元来た木道をたどって引き返す。


雪渓歩きも十分満喫できた。




山頂台地で咲き誇っていた高山植物たち。チングルマ。




ワタスゲ。




イワカガミ。


上りは3時間半ほどかかったが、下りは2時間半ほどで3合目駐車場に16時頃到着する。

みんな、下山し終わったところで写真を撮ろうと胸元を見ると、いつもぶら下げていたカメラが見当たらない。おかしい!何でないのだ!一瞬目の前が真っ暗になった。

思い起こせば、6合目と5合目の中間あたりで滑って転んで腕を擦り剝いていたことに気付いた。バンドエイドを傷口に張る為、カメラとザックを登山道の脇に下ろしていた。ザックは当然のごとく背負ったが、カメラをそのまま置き忘れてしまっていたのだ。命の次に大事なカメラだけに諦めることはできない。幸い、まだ明るい時間であり、空荷で行けば見つけることが出来るだろうと急いで山道を駆けあがった。転んで痛めた足の事もすっかり気にならないほど必死に駆けあがっていったが、やはり現場まで行くのは相当距離がある。まだまだ遠いなあと泣きたくなってきた頃、上から下山してきた登山者の手にカメラがぶら下がっているのが見えた。なんと、私のカメラをしっかりと握りしめ持ち帰ってきてくれていたのだ。まさに、持ってきてくれた人が神か仏に思えた。カメラを受け取って、再び下山し、登山口で待っていた仲間と無事合流することが出来た。通常の登山の後、しっかりトレランもやってしまい大いに体を酷使した一日となってしまった。その後、ゆっくり下山してきた親切な登山者の方には、気持ちばかりのものだが丁重にお礼をしたのは言うまでもない。

参考1.今回のコースマップ


参考2.今回の高低図(カメラを取りに引き返した分は含まない)


結局1時間ほどみんなを待たせてしまったので、登山口を出たのは17時近くになっていた。その後、この日の宿である「牧之の宿 のよさの里」に向かった。

「牧之の宿 のよさの里」は数ある秋山郷の宿泊施設の中では、一番ユニークな宿である。秋山郷を世に初めて紹介した江戸の文人「鈴木牧之」にちなんで、その当時の秋山郷の暮らしと文化を再現した宿泊施設であり、内風呂と食事ができる本家をメインに400mの廊下で結ばれている7戸の分家で構成され、秘密の隠れ家的な宿だ。


分家に行く為には、屋根付きの廊下を歩いて移動するのだが、本家から遠いほどかなり歩かなければならない。




一番奥の分家に行く廊下の先は、はるか先となり良く見えない。


我々が泊まった分家は、「三左衛門」という名前で、4畳半、8畳、10畳の部屋がある。中には、囲炉裏や流し、冷蔵庫、洗面所、トイレ、テレビが付いており自炊もできる。


露天風呂は24時間営業で、鳥甲山が良く見える絶景ポイントだ。


夕食は、地元産の食材をふんだんに使っており素朴な味わいがある。






早朝の鳥甲山。ポスターの写真と比較して山を確認できる。




帰りがけには、宿の前から見える鳥甲山をバックに記念撮影。


宿の入り口前でも記念撮影。


帰りは、秋山郷マラニックのコースを逆走して飯山まで戻り、ついでに善光寺参りをしていく。


善光寺といえば、内陣のお戒壇巡りだ。善光寺本堂の内陣の奥に、地下へと誘う階段があり、ここから暗闇の奥へと身を投じていく。真っ暗闇の中を右回りに壁をつたっていくと巨大な錠前があり、その先がゴールだ。この錠前は、「極楽の錠前」と呼ばれており、暗闇で探しあてて触れることで、来世の極楽浄土が約束されるというわけだ。暗闇の中をワーワー言いながら無事錠前に触れることが出来た。これで、みんな来世の極楽浄土が約束されたという訳だ。

その後は、順調に帰路につき帰宅することが出来た。当初の予定から大分変更になってしまったが、いい山旅であったことは間違いない。

2017苗場山:前半

2017-07-10 21:55:45 | 山登り
7月8~9日にかけて北アルプスの笠ヶ岳を予定していたのだが、二日前の天気予報で悪天候になっていたので急遽中止し、比較的天気がよさそうな新潟県周辺の山を探し長野県と新潟県の境にある苗場山に行くことにした。メンバーは5人となったが、ほとんどのメンバーは2~3回目の苗場山だ。

苗場山は新潟県南部、長野県北東部の県境に位置する標高2,145mの火山である。山頂は平坦な台地上になっており、広い湿原が広がっている。湿原には小さな池塘がいくつも点在し、雪解けと共に天空のお花畑が広がる。池塘には、ミヤマホタルイやヤチスゲが苗のように繁って苗代田のような外観を呈していることから、苗場山という名前が付いたと言われている。

苗場山の登山ルートはいくつもあるが、一番土地勘のある秋山郷の小赤沢登山口から登ることにした。秋山郷から林道を上がり3合目登山口の駐車場に着いたのは、8時過ぎだった。駐車場は、トイレも完備しており、100台位は楽に止めることが出来るくらい広い。既に数十台の車が止まっており、さすが百名山だけに登山者も多いようだ。


8:12。登山口で登山届を提出し、いざ出発だ。


思ったよりいい天気となり日差しが強くなってきていたが、木陰の下を歩くので最初は気持ちよい。


8:41。4合目1470mに到着する。3合目から山頂までは、1合ごとに標識が立っているので目安が分かってありがたい。


ムラサキがかったツツジを見かけた。よく見るヤマツツジはオレンジぽいし、アカヤシオよりも濃いピンクなのでちょっと気になっていたのだが、あとで調べたらムラサキヤシオだと分かった。新緑の森の中で濃い紅紫色の花は、一際目立つ。




9:40。水場に到着した。雪解け水が滴り落ち、顔や手に付けると冷たくて気持ちいい。


水場を過ぎると、岩場歩きが始まる。鎖場となっており慎重に登る場所がいくつも続く。


谷間には雪渓が残っており、近くを通るだけで冷たい風が体に流れてきて気持ちよい。


イワカガミが咲きだしている。


10:28。急な登山道を抜けると、標高2000m近くとなり、木道が続く山頂台地の入口だ。湿原を眺めながら、暫し休憩する。


後を振り返ると、秋山郷の名山「鳥甲山」の鋭いピークの山頂が良く見える。


10:55。9合目2000mを通過する。アップダウンはほとんどなく楽しいハイキングコースが続く。


目の前には、雪渓が広がり、冷たくて気持ち良さそうな雪の上にみんな倒れこんだ。


池塘を見ると、苗が植えられたように植物が繁っている。まさしく、苗場山の名前の象徴のような景観が見えた。


木道の脇には、チングルマやイワカガミの群落がいたるところに見られる。




お花畑の前で記念写真を撮る。


山頂台地には、雪渓や湿原が見渡す限り広がっている。


さらに雪渓を横断する。




池塘と雪渓の先には、上越国境となる上州(群馬県)と越後(新潟県)を境とする山脈である谷川連峰の山並みが広がっている。


苗場山頂唯一の宿泊施設である苗場山自然体験交流センターが見えてきた。


苗場山自然体験交流センターの近くの岩には、登山の振興に貢献した大平晟翁のレリーフと役行者の石碑が置かれている。


11:35。苗場山山頂2145mに到着する。


山頂は、樹木に覆われ展望がないので、少し歩いて雪渓と湿原が広がる木道の休憩場所に移動する。木道のベンチに腰掛けて景色を見ながらのランチは最高だ。


休憩していると、一人の男性が前のほうに出てきて、何やら機械を操作しだした。何かと思ってみていると、今流行のドローンを操縦していたのだ。苗場山の風景を上空から撮影でもしているようだった。




風はなく穏やかな天気なので寒くもない。急いで下山する必要もないので、近くの雪渓まで歩いていって雪遊びに興じる。普段雪が降らないところに住んでいる人間にとっては、こんなに雪があるとはしゃいでしまうのだ。




結局、苗場山山頂周辺で2時間近くものんびりしてしまっていた。こんな日に山の上でのんびり過ごす時間は何にも代えがたい贅沢な時間だ。

「2017苗場山:後半」に続く。