北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

陸前高田~大船渡~気仙沼

2011-05-13 23:45:48 | Weblog
 昨夜の雨は何とか晴れて、一路大船渡市へ。

 道の途中の峠は実にのどかで、山の木々の新葉が開き針葉樹の濃い緑と対比をなして春の明るさを感じさせます。

 山の表情で季節を表す季語には春夏秋冬それぞれのものがありますが、春を表す山の季語は『山笑う』というもの。しかし『山笑う』という季語は、今の三陸地方には悲しく響きます。そんな笑う山の梺には大変な惨状が広がっているのです。


           【遠くの山は笑っているが足元には悲しみが広がる】


 峠を下って沢筋に少しがれきを片づけた後が見受けられるなあ、と思っていると突然川幅が広くなって、あっという間に広大な破壊された原野が広がってきました。やがてここが陸前高田の市街地と知ることになりますが、被害面積の広さがあまりに広大なので声も出ません。

 とにかく延々とがれきの山が広がっています。そんな中、道路だけは左右にがれきを除けて通れるようにしてあって、我々はそこを走るのですが道の両側はがれきの山。『がれきの山』以外の表現が使えないかと思うのですが言葉を選ぶことができません。

 本当に町が壊滅していました。


           【茫漠たる荒野が広がります】



    ※    ※    ※    ※


 大船渡では周辺の船主さんたちが12名集まってくれて、漁業組合の戸田組合長と私からご挨拶をしてお見舞い金を手渡しました。その後の意見交換ではやはり皆さん漁具の不足や地元の市場施設の壊滅などを嘆いていました。

 中には「毎日こんながれきの山を見ていると悲惨なんだけどこんな風景にも慣れて来ちゃうね。慣れちゃって今まで随分ものを持ちすぎてものに振り回されていたな、とも気づいたよ。考え方が変わっちゃったね」とも。苦しいであろう胸の内ですが前向きに変えて行かないといられない気持ちが伝わってきました。




           【大船渡も海辺は壊滅です】


 大船渡では市役所もご挨拶のために訪問し、副市長さんにお会い出来ました。

「いまわが市の復興計画づくりも始まりました。委員さんからは『国もそろそろ復興計画を作るのだろうけれど、先に作った方が強いよ』という意見を頂きました」とおっしゃっていましたが、大船渡だって海沿いは相当数の施設が被害を受けています。一日も早い復興をお祈りします。


    ※    ※    ※    ※

 
 また、昨日来られなくてお見舞いを渡せなかった方を今日訪問しようと、帰る途中で再び気仙沼に立ち寄りました。こちらでは港の反対側にあるお宅を訪問したのですが、途中港を間近に見ることになり、船が焼けて黒こげになっているものを多数見かけました。






 気仙沼は重油タンクが流されてそれに火がついたことで大規模な火災が発生しました。そのため、津波そのものによる被害は免れたのに火災によって焼けてしまったという船も数多いのだそうです。

 おまけに地盤が70センチ程下がったために、満潮時には塩がつかります。この地盤高はどうしたらよいでしょう。




「まあ、命だけは助かったからね」

 何が幸いし何が災いしたのか分からないけれど、ほんのちょっとの何かが生死を
分けたのだそうで、人間の運命は本当に分からないものだ、とおっしゃっていました。


 気仙沼でも市役所を訪問しました。昨年の外来船誘致の催しには気仙沼市長さんがわざわざ訪ねてきてくださったという情報を受けて、表敬のご挨拶に伺ったのです。

 自治体としては基本的に他の自治体において活動をする時は表敬訪問をするというマインドが一般的にあります。私自身、一国一城のお膝元で何か行動をする時は同じ自治体なのだからご挨拶に伺っておくべきだと思っています。

 我々が訪ねた時は菅原市長さんがお会いしてくださり、昨年の外来船誘致の時に釧路の訪問団とあったことも覚えておられました。

 また、気仙沼では釧路の船主さんが行方不明になっていることや、その方所有の八幡丸という船が津波によって建物の屋上にまでうちあげられ取り残されていることも話題になりました。

 市長さんの名刺には『頑張ろう気仙沼 海がある限り気仙沼は不滅」の文字が印刷されており、復興への力強い決意を伺えました。

 ガンバレ大船渡、ガンバレ気仙沼、ガンバレ南三陸町、ガンバレ陸前高田、ガンバレ石巻…

 被害を受けた自治体はまだまだ多いでしょうけれど、支援の輪を大きくそして長く広げ続けたいものです。

 皆さんどうぞ被災地を忘れないでください。心からご協力をお願い致します。


コメント (1)
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