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●音楽&漫画・・ 「僕とフリオと校庭で」

 もうけっこう前の話になっちゃうけど、NHKの番組「仕事ハッケン伝」の2013年9月12日に放送された回では、俳優の六角精児さんが、タワーレコード渋谷店でバイヤーという仕事を体験して見せていた。知る人ぞ知る、という音楽マニアらしい六角精児さんは、60年代70年代のロックやポップス、フォーク、日本の歌謡音楽まで詳しく、曲選びにもマニアックさも垣間見える。タワーレコード・スタッフの皆さんと協力しながら、バイヤーの仕事や、シチュエイション別選曲や店頭掲示ポップ、イベント準備の仕事などなど、四苦八苦しながらも頑張ってこなしていた。


 六角精児さんが番組の中で、タワレコのバイヤーとしての仕事の一環で、シチュエイション別に選曲する仕事で、つまり目的別でアルバムを選んで店頭に掲示する作業で、シチュエイションの場所を「公園」と設定して、芝生や池のある、都会のオアシスのような、のどかで美しい景色の公園で、リラックスした気分のときに聴く音楽はどういう曲か?というのを考案、選曲するのだが、その選曲アルバムの中に、ポール・サイモンの1972年のソロアルバム「ポール・サイモン」があったので、懐かしく、ちょっと感激して嬉しかった。僕が70年代後半、アパートの六畳一間の部屋で日夜熱中して聴いていたアルバムである。発表は72年だけど、僕が買い求めたのは76年頃だ。


 アルバム「ポール・サイモン」はどれも良い曲ばかりだったけど、アルバム冒頭の「母と子の絆」も好きだったけど、次の曲「ダンカンの歌」が特に印象深い。勿論、僕は大好きだったけど、この曲が番組の中での「ポール・サイモン」アルバムCDを選んだときのBGMで流していた。何だか物悲しいような雰囲気もある牧歌的な調子の癒される曲で、しんみりじんわり心に響く。ペルー・ボリビアが発祥の地だといわれる民族楽器的縦笛、ケーナで綴られる間奏がたまらない。名曲「コンドルが飛んでいく」で使われている楽器だ。何というか素朴で哀愁を帯びた音色を奏でる。ケーナとチャランゴが入ると本当に、曲がフォークロアっぽい。フォークロアというかフォルクローレというか。超久々に「ダンカンの歌」を聴いて、70年代80年代、ワシの若き日々を思い出した。


 あの時代、サイモン&ガーファンクル後のソロの、ポール・サイモンのオリジナルアルバムは良い曲がいっぱい入ってた。75年発表の「時の流れに」も良いアルバムだったなあ。調度同じ頃、買い求めたんだろうけど。久々にアート・ガーファンクルと一緒に歌った「マイリトルタウン」も入ってた。「ワンダフルワールド」の入った、アート・ガーファンクルのソロアルバム「ウォーターマーク」も良かったなあ。ジェイムス・テーラーとポール・サイモンと三人で歌った「What A Wonderful World」が入ったアルバム。あの時代、若き日の、ハートが傷付きまくってた僕は、アパートの六畳一間の部屋で、そんなアルバムを種々、独りで聴いて癒されてた。

 ポール・サイモン72年発表のソロアルバム「ポール・サイモン」には、「僕とフリオと校庭で」という楽曲が収録されているが、このタイトルが着いた漫画がある。ポール・サイモンの曲、「僕とフリオと校庭で」は、フォークといえばフォーク的だがアップテンポで、ややビートの利いた楽しい楽曲だ。漫画の方の「僕とフリオと校庭で」は、何というか、ちょっとホラー雰囲気のある、少年の日の幻想のような不思議な漫画作品だ。少年の日のトワイライトゾーンの思い出。果たして現実だったのか幻想だったのかというような、あいまいな調子のホラー風味。作者のタッチが怪奇漫画的で怖い、ファンタジー。まあ、ちょっとダーク・ファンタジー風味。作者の諸星大二郎さんは70年代、調度、星野之宣さんと同時くらいにジャンプで登場したSF漫画家。SFはダーク・ファンタジーや風刺SFぽい。タッチ・描写が怪奇漫画風で、ちょっと不気味な雰囲気を醸し出す。伝奇漫画や、昔の中国を舞台にした妖怪ものとかも描きますね。独特の不思議な魅力のある作品を紡ぎ出す、異色の漫画作家さんでした。「僕とフリオと校庭で」は白泉社の少年ジェッツに83年初出掲載され、91年、双葉社発行のコミックス単行本、諸星大二郎短編集「僕とフリオと校庭で」に収録されました。

 

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